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『それゆけ!レッドボーイ!』 ... ジャンル:ショート*2 お笑い
作者:江保場狂壱
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正義の味方、レッドボーイは正義感あふれる少年探偵だ。真っ赤な全身タイツに、真っ赤なヘルメット。そして腰にはスーパーコルトという自慢の拳銃をぶら下げている。レッドボーイにはレッド号という自慢のスクーターに乗って事件現場に駆けつけるのだ。
ゆけ!!レッドボーイ!!
『第一話:レッドボーイ誕生』
中学校にあがったばかりの山田太郎くん。勉強は苦手だけど運動は誰にも負けない自信がある。容姿は子役時代の真田広之、下沢弘之に似ていた。ところが学校には悪の科学者ワルガスキー博士が生物の教師として働いていた。獅子のような鬣で、肌は黒く、名和博に似ている校長先生よりえらそうに見える教師であった。
彼は太郎君の身体能力に目をつけ、下校途中の太郎君を誘拐し、自分の研究室へ連れ帰ったのである。
ワルガスキー博士にはイーモン博士という助手がいた。彼は禿頭で黒い丸めがねをかけたおちょぼ口にちょびひげを生やした人であった。明確に言えば由利徹に似ていた。イーモン博士はオシャ・マンベ出身であった。
ワルガスキーは太郎君に改造手術を行い、悪の秘密結社『シュッカー』の戦闘員にしようとしたのだ。ワルガスキーが子供を狙うのには理由がある。彼は子供を戦闘員に仕立て、警察官が手出しできないようにするのである。仮に警察官が戦闘員を撃ち殺してしまえば非難は警察に集まる。子供は人を殺しても罪にはならず、マスコミに守られるが、警察が子供を殺せば大犯罪になり、マスコミに叩かれるからだ。
ワルガスキーは太郎君を改造した。彼は太郎君を百年に一度の逸材とほめた。しかし良心の呵責に悩まされたイーモン博士は太郎君を洗脳する前に逃がしてしまった。逃亡する途中イーモン博士は戦闘員に撃ち殺されてしまった。イーモン博士は太郎君に今わの際に「イノシカ町、コレイラ内、四苦八区にあるあたしの家に姪っこが一人で住んでいのよ。あのごも立派な科学者でぇ、あんたの身の上話を聞けばすぐ協力してくれるかもしんないわけよ。太郎君ごめんねぇ。がっくん」
おちょぼぐちで東北弁をしゃべりながら、そういってイーモン博士は息絶えた。
太郎君は博士に教えられた家にやってきた。巨大なロボットの頭みたいな家で、周りにはロボットアームが取り付けられた家であった。近所では某ホラー漫画家の赤と白の縞々の家以上に訴えられたという曰くつきの家であった。
その家にはイーモン博士の姪である雪子が住んでいた。雪子は中島ゆたか似のスレンダーな女性であった。太郎は手短に事情を話すと雪子は即座に理解した。そして伯父ゆずりの頭脳でシュッカーと戦う武器を用意してくれたのだ。
レッドスーツはあらゆる弾丸をはじき返し、炎や寒さにも強いすぐれものだ。
レッドメットはかぶると普段の千倍以上に頭脳明晰になる機能がある。
そしてスーパーコルトは特殊な弾丸であらゆるものを撃ち抜く威力があるのだ。
「やい!裏切り者、出て来い!!」
全身黒タイツの戦闘員が五人ほどやってきた。太郎君はスーパーコルトで戦闘員の額に風穴を開けてやった。太郎は未成年だから人を殺しても大丈夫なのだ。
戦えレッドボーイ!負けるなレッドボーイ!
『第五話:人間爆弾』
ある日太郎君は雪子と一緒にテレビを見ていた。ニュースでは世界的に有名なアタマイー博士が来日してくるというのだ。アタマイー博士は老人だが身長は高く、目はかえるのようにぎょろっとしていた。髪の毛はもじゃもじゃで真っ白だった。大泉晃に似ている老人で、やたらと甲高い声を上げていた。
雪子はすごく頭のいい博士ならシュッカーが狙うに決まっていると太郎君に護衛を命じたのである。
しかしシュッカーの狙いは太郎君たちの斜め上を行っていた。彼はアタマイー博士の頭部に爆弾を仕掛け、近く開かれる世界国際会議に出席し、他の権威ある学者たちを皆殺しにしようとしたのだ。
ワルガスキーは戦闘員田中君を今回の作戦責任者に任命した。彼は牛の頭部にプロレスラー並の肉体を持つ怪人なのだ。しかも学生服を着ているので未成年だ。顔は安岡力也に似ているが戸籍上は中学生なので警官に撃たれれば社会問題になること間違いなしだ。
田中君はあっさりアタマイー博士を拉致し、頭の中にダイナマイトを仕込んだのである。
世界国際会議が始まる前にレッドボーイはレッドメットの機能でアタマイー博士の頭部に仕掛けられたダイナマイトを発見した。急いでアタマイー博士を拉致し、レッド号で世界国際会議の会場から遠ざかった。
田中君は戦闘員たちと一緒にジープに乗って追いかけてきた。もうじき爆弾が爆発する。周りには民家はなく、人気もないのでアタマイー博士を田中君めがけて放り投げた。
アタマイー博士とジープは木っ端微塵に吹き飛び、瀕死の状態である田中君の額にレッドボーイはスーパーコルトをつきつけ、引き金を引いたのであった。
「アタマイー博士ごめんなさい。でも博士の犠牲はきっと無駄にはしません」
『第十五話:悪者ブルース』
太郎君の同級生に鈴木君という宮内洋に似ている不良がいた。家は貧しく父親はおらず、母親は病気で小さな妹が独りいた。鈴木君の着ている学生服はつぎがはいっており、いつも心無い同級生に冷やかされていた。
鈴木君は世の中が面白くなく、むしゃくしゃしていた。捨てられたゴミにライターで火をつけては悦に浸っていた。そこをワルガスキー博士に見つかりこう持ちかけられた。
「どうかね?ゴミではなく、毎日家に火をつけ放題だよ」
鈴木君はワルガスキーの甘言にはまってしまい、両手にガスバーナーをつけてしまった。背中にはガスボンベを背負っていた。
次の日から鈴木君は学校に来なくなった。代わりに鈴木君をいじめた同級生の家が燃やされた。鈴木君の仕業である。
レッドボーイは鈴木君が家に火をつける瞬間を目撃した。そして腰にぶら下げたスーパーコルトで鈴木君を撃った。鈴木君は母親と妹の名を叫ぶと、体は真っ赤になって燃え上がり、やがて灰しか残らなかった。
「ワルガスキーめ。鈴木君をこんな目にあわせて許さないぞ!」
レッドボーイの瞳に涙がこぼれるのであった。
『第三十話:恐怖のCD』
太郎君のクラスではあるCDが流行っていた。歌手は同じクラスメイトの花園さやかというフランス人形みたいにきれいな渡辺やよいに似ている女の子であった。彼女のとろけるような砂糖菓子のような歌声を聞くと夢見心地になるのである。まるでエルドラドか、桃源郷へ言った気分になるのだ。
しかし花園がクラスメイトに万引きしてとか、喧嘩してとお願いされると断れない、いや断らずに何の疑問もなくお願いを聞いてしまうのだ。
これはおかしいと太郎君は雪子に問題のCDを分析してもらった。するとCDには人を洗脳する恐ろしい仕掛けが施されていたのだ。こんな悪いことをするやつはシュッカーに違いない。
太郎君はレッドボーイに変身し、花園の所属する事務所に殴り込みをかけた。案の定事務所にはシュッカーの戦闘員が待機していた。スーパーコルトで全員射殺し、社長室にやってきた。安部徹似の悪人面した社長は拳銃を握っていた。
そこには蜂のような格好をした花園がいた。彼女もシュッカーに改造されたのだ。
「よくもあんなキチ○イCDをばらまいたな!死ね!」
レッドボーイは花園さんの胸にスーパーコルトを撃ち当てた。がっくりと倒れる花園をレッドボーイは優しく支える。
「花園さんをこんな目にあわせて。許さないぞワルガスキー!!」
『第三十六話:偽者現る』
ある日イノシカ町の商店街にレッドボーイの偽者が現れた。彼はレッド号にまたがり、マシンガンで夕方ににぎわっていた商店街に恐怖のどん底に叩き落した。
太郎君は帰宅途中、レッドボーイの偽者と遭遇した。
「あれはボクじゃないか!!」
太郎君は困惑した。このままではレッドボーイが犯罪者になり、警察に捕まってしまう。雪子はレッドボーイの偽者を捕まえるために探知機を作った。シュッカーなら今までのデータを元にレッドボーイの偽者を作ってもおかしくないと判断したのだ。
レッドボーイはただちに偽者を発見した。偽者は伊藤君で谷隼人に似ている将来を渇望された天才少年だったが不治の病に犯され、親に見捨てられたのだ。彼はシュッカーに改造してもらい、マシンガンで幸せな人間を殺して回っていたのだ。
レッドボーイの怒りは爆発した。レッドボーイはスーパーコルトを使わず、素手でマシンガンを叩き割ることにしたのだ。
伊藤君はマシンガンでレッドボーイを蜂の巣にしようとした。しかし弾は当たらない。そしてレッドボーイは伊藤君に近づき、マシンガンを素手で叩き割ったのだ。
「マシンガンが……、俺の生きるすべだった」
伊藤君はうなだれていたが、突如レッドボーイを突き飛ばした。その瞬間叩き割られたマシンガンが爆発した。伊藤君が失敗すればマシンガンは爆発する仕組みになっていたのだ。
「伊藤君……。シュッカー!お前たちの非道な行いは最高裁が許しても、このボクだけは許さないぞ!!」
「最終回:レッドボーイよ永遠に」
雪子がワルガスキーに拉致されて殺された。怒りに燃えるレッドボーイはシュッカーの秘密基地に単身突入した。そして戦闘員たちをスーパーコルト二丁で撃ち殺し、ワルガスキーをマシンガンで撃ち殺した。その死体にマシンガンの弾が切れるまで撃ち込んだのである。その姿は死者の踊りであった。
そしてワルガスキーの秘密基地を爆破したのであった。秘密基地はモウイッ町の住宅街の地下にあり、爆破のショックで住宅街は壊滅したのであった。空には粉塵が舞い上がり、遠くから救急車と消防車のサイレンの音が鳴り響いていた。
レッドボーイが夕日を眺めながら丘の上に立っていると警察の機動隊が取り囲んでいた。そしてその中から黒いスーツに黒いソフト帽をかぶった丹波哲郎似の人が前に出た。
「私は東京都警の捜査一課課長の白木だ。レッドボーイ、お前を逮捕する」
「逮捕するだって?ボクは未成年だ。逮捕なんか出来るわけがない」
「甘いな。法律は人間だけのものだ。お前みたいな化け物には適応しないのだ。見た目は子供でも容赦はしない。撃て!!」
白木が右手をあげると機動隊は警告なしで拳銃を構え、レッドボーイに撃ち込んだ。
レッドボーイは胸を撃たれ、腹部を撃たれ、独楽のように体を回転させると、今度は背中を撃たれ、サイコロの目の様に穴が開いたのであった。レッドボーイは霞む意識の中で真っ赤な夕日に雪子がにっこり微笑んでいた。レッドボーイは血塗れの右手を夕日に伸ばしたが、雪子の顔は朝露の様に消えて、自身も永遠にさめることのない闇の世界へと旅立って行った。
完
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2011/04/14(Thu)09:17:11 公開 / 江保場狂壱
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■作者からのメッセージ
レッドボーイはいわゆる戦後の初期に流行った少年探偵物を基準にしております。少年なのになんで銃を撃ったり、バイクに乗ってるんだよ!!とスカパーで観ては突っ込んでました。
まあ、とあるアニメや特撮をモデルにしております。突っ込みどころ満載です。
例えに出てくる俳優は1970年代に東映で活躍した人たちです。さっぱりわからないと思いますが、チープさを笑ってください。
作品の感想については、登竜門:通常版(横書き)をご利用ください。
等幅フォント『ヒラギノ明朝体4等幅』かMS Office系『HGS明朝E』、Winデフォ『MS 明朝』で42文字折り返しの『文庫本的読書モード』。
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