『悪魔の連帯保証』 ... ジャンル:リアル・現代 ファンタジー
作者:Sひかり
あらすじ・作品紹介
双子の妹の死に動揺する少年の前に現れた悪魔と名乗る男。彼から自分たちの恨みを晴らせる契約があると持ちかけられた少年は、妹を失った悲しみからその悪魔と契約しようとする。その行動の果てに起きた行く末も知らずに……。
123456789101112131415161718192021222324252627282930313233343536373839404142
日の暮れかけた夕方の閑静な住宅街、空には暗雲が立ち込め窓を叩くほどの強風が吹き荒れていた。
『クックックック……』
その住宅街の真上、全身に黒いローブを身にまとった男が宙に浮いた状態で低い声で笑っていた。
『久々に独り占めが出来そうだな、退屈しのぎにはうってつけだ』
男は笑いながら住宅街のある一軒を見つめていた。
男の視線の先にあった白い外観の家、周りの家は夕食時でにぎやかだったのに対しこの家だけは一室を除いて照明が点いておらず静まり返っていた。中では唯一明かりのついていた八畳ほどの和室に少女の遺影を乗せた台と木製の棺桶が置かれ、傍には黒いシャツとズボンを着た黒髪で七三分けの少年が座っていた。
「…………真由」
少年は棺桶の中に納められた妹の名前をつぶやいた。少年の名前は志村智樹(しむら ともき)、棺桶の中にいる少女・真由(まゆ)の双子の兄で小学六年生である。
「誰かいますか?」
「ん? 誰?」
「……鱈野だよ、入っていい?」
廊下からふすまを叩く音と共に少年らしき人物の声が聞こえた。
「どうぞ」
智樹が声をかけるとゆっくりとふすまが開いて、同じく黒い服装をして通学カバンを持った少年が入ってきた。
「……なんだ、鱈野しか来なかったんだ」
「なんだ、はないだろ。プリント届けに着たんだ」
彼の名は鱈野蓮(たらの れん)、智樹と同じ六年二組の同級生である。蓮は畳の上に腰掛けながらカバンを開いて数枚のプリント用紙を取り出した。
「来月の行事予定と献立表、後は地域の行事報告とかつまらんヤツだ」
「あっそう、わかった……」
智樹はプリント用紙を受け取ると再び視線の先を目の前の棺桶に向けた。この日、この家では親族や近所の人間で真由の葬式が執り行われ、翌日の火葬の為に両親は親族の家で打ち合わせに行って留守だった。
「それで、久々に会った担任は何か言ってたのか?」
「特に何も、形式通りの挨拶ぐらいで……校長ウチの担任も焼香だけで帰ったから」
「そうか、いくらあんまり来てなかったからって不人情だな」
蓮はため息をつきながら、カバンから新聞を取り出した。
「それは?」
「お前、テレビもろくに見てないんだろ? 夕刊に続報出てたぞ、さすがに直後と違って三面だったけど」
智樹は新聞を受け取ると、蓮の言う新聞の三面を開いた。
「……『学校側がいじめを否定』?」
そこには真由と智樹が通っていた小学校が記者会見を開いたと言う記事が掲載されていた。
『【小六女児自殺、学校側が会見】今月二十日、○県北砺市立小学校に通う志村真由ちゃん(十二歳)が自宅で首を吊り自殺した件で、二十一日、学校長と担任教師が記者会見を開いた。発表によると真由ちゃんは昨年から学校にあまり通っておらず、運動会や文化祭などの行事も欠席していたが、校長は「校内でイジメがあったという話は聞いていない」と学校内部の問題を否定、真由ちゃんの近況や家族宛に書かれた遺書について記者が質問すると現在調査中などとして具体的な回答を避けた。警察は今後も自殺の原因を中心に捜査を続けるとしている。』
「まあ、遺書の内容はマスコミにも流れてるから、完全否定は出来ないだろうけどな。ここ数日は、抗議の電話やらメールやらで対応に追われてるらしいぞ」
「…………こんな扱いって」
蓮の発言も耳に入れず、智樹は震えながら記事を読んでいた。
「……鱈野も知ってるよね?」
「ん?」
「真由がどんな仕打ちを受けていたかだよ」
智樹はそう言いながら新聞を置き、蓮の方を向いた。
「……大体知ってたよ、クラスが違うとは言え立場は似たような状況だったんだからさ」
「そうだよね……、お互いろくに通ってなかったから」
蓮は軽く目を通すと智樹に紙を返した。真由と智樹は校内ではいじめとも言える行為にあっていて、最近は殆ど学校には通っていなかった。蓮も智樹ほどではないが同様の理由で一時的に学校には通っていなかった時期があった。
「確か、去年の球技大会で失敗したのがきっかけだったっけ? オレはその試合は見てないけど」
「……うん、あの時の失敗以来、部内で孤立して……それが噂で広まって」
智樹は思い出すように説明した。智樹によると真由はクラス対抗の球技大会でフットサルの試合中に相手のシュートを止めるつもりが防ぎきれずオウンゴールになってしまい、それ以来、同級生達から笑いのネタにされるようになったと言う。
「部活に入ってるわけでもないのに防げるわけないよ。たまたま体に当たって跳ね返ったボールがゴールに入っちゃっただけだろ……」
「そうだよな……部活の大会じゃあるまいし、そこまで後引くほど本気にする事じゃないしな」
智樹の独り言に蓮は何気なく返した。すると、智樹がゆっくりと蓮の顔を見た。
「でも、お前はいいよな。いじめてた連中が数人で、しかもそいつらが問題起こして大人しくなったんだから。ボクなんてトロいってだけで未だにクラス中に厄介者扱いだぞ!」
智樹は急に立ち上がって声を荒げた。
「ま、まあ落ち着け。……気持ちはわかるけど、オレだってまだ解決したわけじゃないからさ」
蓮はあわてて両手で智樹の肩を軽く押さえた。
「…………はぁ、何でこうなっちゃったんだろう」
智樹はゆっくりとしゃがむと、両目を手で覆いながらつぶやいた。覆っていた手の隙間からは、かすかに涙がこぼれていた。
「……智樹…………」
蓮はかける言葉も思いつかずただ智樹の姿を見ていることしか出来なかった。すると、
「そろそろ帰るわ、もう遅いし」
蓮は腕時計を見ながら立ち上がった。時計はすでに六時を指していた。
「あ……わかった」
「それじゃあ、またな」
そう言って蓮は廊下に出て帰っていった。
「…………ボクはどうすればいいんだよ……真由」
智樹は涙を腕で拭いながら言った。その時、
『……教えてやろうか?』
どこからともかく低く重い声が聞こえた。
「……え? 誰?」
智樹は慌てて辺りを見渡した、しかし部屋中見渡しても自分以外の人間の姿は見られなかった。
『……ククク、ここだよ』
声の主は真上から音も立てずに天井をすり抜けて降りてきた。智樹は目の前に現れた黒いローブの男を見て一瞬、目を丸くした。
「……だ、誰だお前?!」
智樹は数秒ほどして両手を床について声を上げた。
『……俺か? 俺はお前に良い契約を持ち掛けに来たんだよ』
「……け、契約?」
『そうさ……、お前にとって悪い話じゃないぜ』
男は驚く智樹を尻目に冷静な口調で話し出した。
「……な、何かよくわからないけど、とりあえず人間じゃないよね?」
智樹はゆっくりと立ち上がりながら恐る恐る聞いた。男は顔も手足もローブに包まれて見えなかったが、頭を覆っているフードの中からかすかに二つの黄色い光が見えた。
『そうとも、何たって俺は……悪魔だからな…………クククク』
悪魔と名乗る男は両目を黄色く光らせながら笑い声を上げた。
翌日、
「はあ……、本当にこの学校はお構いなしって感じだよな」
「お構いなし? 急にどうしたの、アニキ」
午前中の休み時間、蓮は妹の尋美と廊下を歩いていた。お互いに理科室や音楽室などの専門教室での授業の後で、周囲は学年の教室前とは打って変わって静かだった。
「だって自殺者が出たってのに、ちょっと集会やっただけだぞ。担任や校長も焼香だけあげて帰ったらしいし冷たすぎだろ」
「……バタバタしてそこまで考えられないんじゃない? あちこちと話したり抗議に対応したりで」
「いやぁ、イジメ自殺なんてオレ達が生まれる前からあったんだろ。何で起きてからもわざわざ批判されるような事してるんだよ」
「それはそうだけど……」
蓮の発言に尋美はため息をつきながら返した。蓮の言う通り真由が死亡した後は十分ほどの全校集会と、カウンセリングや公共の相談ダイヤルなどを記した簡単なプリントを配ったぐらいで、一部の授業を延期したりアンケートを行なうなどの対策は今の所やっていなかった。
「まあ、どうせ授業短縮になっても暇だけどな。死んだ子とは面識ないし」
「……そういえば、いつも一緒にいる先輩はどうしたの?」
「アイツは中学受験で今週いないよ。他にも受験やらインフルエンザやらで結構休んでるから学級閉鎖の方がありうるかもな」
蓮は笑いながら皮肉を込めて言った。
「そんな、そこまでは……あれ?」
「ん?」
二人が学年教室の前に来ると、六年一組の教室から通学カバンを二つ抱えた智樹の姿があった。
「どうした、智樹?」
「……あ、鱈野……」
智樹は蓮の声に気付くとゆっくりと振り返って近づいてきた。両手に持ったカバンの一つは智樹自身の物だったが、もう一つにはカバンの横に『六年一組・志村真由』と書かれた名札がぶら下げてあった。
「ああ、学校に残ってた真由ちゃんの荷物か」
「うん、これから火葬だから一緒に入れといてやろうと思ったんだ……」
智樹はうつむきながら寂しそうに言った。智樹は机に残っていた真由の靴や給食袋などを取りに来ていた。
「そうか、じゃあ俺は授業あるからこれで、な」
「うん、また後でね。アニキ」
智樹の雰囲気にいたたまれなくなった尋美はそう言って近くの階段を降りて行った、蓮も隣にある自分の教室である六年二組に入ろうとした。その時、
「おい、ノロマの志村が久しぶりに来てるぜ」
「本当だ、大荷物抱えて夜逃げか? 妹殺しちゃったから」
二組や三組の教室から廊下に出てきた男子数人が智樹を見るなりからかってきた。
「またあの連中か。放って置けよ、あんな奴らに反論なんて……」
蓮は智樹に気を使って落ち着くよう言いかけた。しかし、
「……それじゃ」
智樹は蓮が言い終わる前に、小走りにその場を離れ階段を降りていった。
「え?……お、おう」
蓮は急な行動にあっけをとられた。普段ならバカにされるとキレ気味に智樹が言い返して、それをさらに笑われるのがパターン化していた。
「ん? 逃げるように行っちゃったぞ」
「図星だから逃げたんじゃねえの。あの鱈野の野郎に説得されたんじゃお終いだ」
「それより、さっさと行かないとボールがなくなるぞ。早く行こうぜ」
男子達はそう言いながら体育館に繋がる廊下の奥に向かって走っていった。
「妙だな、いつもなら何か言い返すのに……」
蓮は違和感を覚えながらも自分の教室に入っていった。
智樹は階段を降りて生徒玄関に向かって一階の廊下を歩いていた。学年教室のある階とは異なり、一階には来賓室や保健室など生徒があまり用のない部屋が並んでいる為か、登下校時以外は人気がほとんどなかった。
『……アイツらがお前の言ってた連中だな?』
突然、智樹の背後に黒いローブ姿の悪魔が現れた。悪魔は昨日から他の人間気づかれないように智樹の行動を見ていたらしい。
「うん……、ほんの一部だけどね。ああいう事される時が多いよ」
智樹は小声で悪魔に話した。智樹はドジでのんびりした性格故に周りの同級生より要領が悪いことから、先ほどの男子以外にも学年の大半からからかわれたり腫れ物扱いを受けていた。しかし、自分ではどうすることも出来ず引きこもりがちになっていたのである。
『お前の願いは「コレまで馬鹿にしてきた連中をおとなしくさせる」でいいんだよな。 もう苦しむ心配はなくなるぞ……ちょっと手荒い方法だけどな』
「……どういう事?」
智樹は振り返り心配そうな顔で悪魔に聞いてきた。
「本当におとなしくさせられるの? 大体、何で僕の為に……」
『細かい事は気にするな、それにお前も妹の死を無駄に出来ないだろう?』
「……!」
悪魔は智樹の質問にも動じずゆっくりとした口調で言った。この言葉を聞いた途端、智樹はその場で足を止めた。
『お前とはクラスが違うがその真由とか言う妹を馬鹿にしてた連中にも、その報いを受けさせてやる。悪魔も意外と暇だから終わるまで付き合ってやるよ』
「…………うん、わかった」
『……契約は成立でいいんだな、ククク……』
「楽しみにしてるよ……その時を」
智樹は小声で返事をすると再び歩き出して生徒玄関に入り、自分の下駄箱があるロッカーの前で止まった。
「……さすがに、今日はないか」
智樹は念の為に、入れてある自分のスニーカーをひっくり返した。
『あ? 何か入れられるのか』
「前に画鋲を入れられた事があるからね」
智樹はそう言いながらスニーカーを履いて玄関を出た。
「それで具体的にどうすれば良いの?」
『簡単な事だ、来週お前がまたアイツらに会う時に近づけば良い。後は俺の自慢の話術と能力に期待しておけ』
「え……近づくの?」
『安心しろ、契約どおりに進めば二度とあの連中から馬鹿にされないからな』
校舎前の駐車場を歩きながら智樹は親戚の迎えの車が着くまで悪魔と話していた。
『俺にとっては良い暇つぶしを見つけたからな……クククク』
悪魔の笑い声にも慣れたのか智樹は迎えの車を探す為に校門前の道路を見つめていた。後に自分がこの悪魔と出会ってしまった事を後悔するとも知らずに…………。
真由の葬儀から一週間後、
「……風邪引いたの?」
「ああ、熱はないんだけど鼻づまりが酷くてさ。念の為、二人で病院に行くよ」
強い風が吹き荒れた寒い朝、久々に登校する準備をしていた智樹は蓮の家に電話をかけた。しかし、蓮は妹の尋美と揃って風邪を引いたらしく、大事をとって診察を受けてから学校に行くか決めると言う。
「悪いな、久しぶりの登校だってのに一緒に行けなくて」
蓮と智樹の家は近い事から当初は一緒に通う予定だった為、蓮は鼻声で申し訳なさそうに言った。
「ううん、それより風邪気味なら始めから休むって連絡したほうが良いんじゃない?」
「いや、俺も去年は結構休んでたからさ。できるだけ授業に出たいから」
「来ないほうがいいよ。特に今日は絶対休んだ方がいい」
「……え? どうした、急に」
智樹は突然強い口調で言った、蓮は聞きなれない言い方に疑問を持った。
「……あ、その、無理して悪化したら大変じゃない。今日は雪も降りそうだからさ……」
智樹は数秒ほど間を置いてからそう言った。智樹の言う通り、すでに朝の八時を回っているにもかかわらず、空は雲に包まれていつ降り出してもおかしくない状態だった。
「ああ、そう言う事か……。あ、そろそろ行かないと病院混むから。それじゃあ」
「……うん、わかった。気をつけてね」
蓮が電話を切ったのを確認してから智樹はゆっくりと受話器を置いた。
「…………なるべく早くやったほうが良いね。とばっちりを受けない為に」
智樹がそうつぶやくと、悪魔が背後から姿を現した。
『ククク…………心配はいらん。五分もあれば大丈夫だ……』
悪魔は喋りながら辺りを見渡した。電話の置いてある部屋は白いカーペットが敷かれ、黒いソファーや薄型テレビなどが置かれたリビングとなっているが、人気はなく智樹しかいなかった。
『それにしても本当に静かな家だな、周りの家はさっきからどこも慌しいのに』
「……いつもこんな感じだよ。父さんはほとんどいないし母さんも昼間しかいないから」
智樹は冷静な口調で回答した。智樹の父親は漁師で週に一日ぐらいしか家に帰らず、母親も市場の食堂に勤めている為、明け方に出かけて下校時間の夕方には眠りについていた。先週の葬儀の時は仕事を休んでいたが、それでも火葬が終わって一段楽したこの日はまた通常の生活に戻っていた。
「……それより、早く契約してすませよう。あんまりダラダラしてると遅くなる」
智樹は通学カバンを背負いながら悪魔に向かって強い口調で言った。
『まあそう焦るな。一応、契約についてもう一度説明するぞ』
そう言いながら悪魔は家を出ようとする智樹の後をつけながら話した。
「なら、学校に行きながら話そう」
『おう、後で色々言われるのは面倒だからしっかり聞けよ』
「それじゃあ、魂を食べるのは大変だから感情を食べるってわけ?」
智樹はいつもの通学路を歩きながら、気付かれないように体を半透明にしている悪魔と、周りに怪しまれないように教科書を開きながら小声で話していた。周囲には通勤通学で車や人通りが多いが、曇り空で少し暗い事や立ち話をしながら歩いている物がほとんどで、さも教科書の内容を暗記しているように見える為か気付いていなかった。
『そうだ。人の魂を食うにはかなりのエネルギーが必要でな。いわゆる悪い感情を食う方が量は少ないが効率は良いんだ』
悪魔は自分の目的を詳しく語った。悪魔にとっての食料は人の魂を食うのが最上らしいが、瀕死の状態で亡くなる人間を狙うのがほとんどらしく、健康な人間の魂を食すには相当なエネルギーが必要で割に合わないらしい。だから、大事故や災害などがない限り憎しみや罵りなどの悪意の感情を食う事が多いと言う。
『と言っても、善人の魂は薄いと言うかイマイチだから集団じゃない限り狙わん。悪人とか悪い思想が悪魔にとって濃くてイケるから狙う。だから魂そのものじゃなくても恨みとか相手を見下すような感情も食べられるんだ』
「じゃあ、アイツらが僕を馬鹿にする感情を食べたらどうなるの?」
『一度食っちまえば、最低でもお前に対してそういう感情は起こらない。だから、その感情を食われた奴はバカにしようと思う事はなくなるだろう』
「そうなんだ……」
『最も、吸い取った感情を食べずにエネルギーとして貯めて物理的にぶつけたり弾けさせるのも可能だ。中にはわざと災害や事故を起こして弱った人間から魂を食おうとする奴もいる』
「え……、それじゃあ、まさか……」
智樹は心配そうに振り向いた。
『まあ、それには何十人もの感情を一つに集めないとダメだ。あちこちからしらみつぶしに集めるなんて面倒だから俺はせん』
「そっか……良かった」
智樹はため息をついて前を向いた。
「……でも、あの連中の魂を狙ったりはしないの? 何か僕を操って怪我させるとか」
『バカ言え。お前を殺そうとする程ならともかく、あの程度の奴らを五、六人食っても大して価値はない。それに、操ると言ってもせいぜい操り人形とか言うやつぐらいだぞ』
悪魔は淡々と語った。どうやら操ると言っても発言はまだしも動きまでは難しいそうで、洗脳や憑依と言った事は出来ないらしい。
「……ふ〜ん、そうならいいけど……」
『とにかく、お前が連中の前に現れると、奴らにお前をバカにする感情が自然にわき起こる。そこを俺が吸い取ろうと言う契約だ』
「うん……わかった」
智樹と悪魔が話しているうちに、目の前には校門が見えてきた。辺りには登校してきた小学生がいつものように入っていく。
『で、どうやって狙うんだ? ここであの連中が来るまで待つか?』
「いや、全員集まってからの方が良い。八時半に体育館で朝礼があるからその時やろう」
『わかった。その時にまとめて……だな』
校舎の外壁中央に取り付けられた時計は八時十分を指していた。智樹は生徒玄関に入ると、学年教室とは反対側の廊下を歩いていった。
『……さっきの段取りで契約するんだな? 智樹』
「うん……この間、僕を見た途端にバカにしてきた奴らが一番感情強いはずだよ」
『わかった。契約通りに俺は行動するぞ、何日もお前を付け回した意味が無いからな』
智樹は悪魔の言葉も聞き流して早足で歩き、隠れる為に校舎奥の人気のないトイレに向かった。
「もう、真由の二の舞は作らない。奴らが他のターゲットを決める前にやらないといけないんだ」
『ククク……それにしても平然と話すようになるとはすごいな。初めて見た時は腰を抜かしたくせに……』
「何日も経ってるから慣れちゃったよ。それに、恨みを晴らせるなら悪魔だろうと何だろうと付き合ってやるよ」
『なるほどな…………ククク』
「うん、僕はやるから。僕自身だけじゃなく真由の弔いの為、このまま逃げるだけじゃ嫌だから……」
智樹は自信を持ちながらも少し寂しそうに言った。悪魔は智樹の様子を見ながら薄ら笑いを浮かべていた。
「最初は後悔があったけど全て片がつくなら迷わない、逃げ回るよりはマシだろうから……ね」
その頃、
「やっぱり、考えてみると変だな……」
蓮は尋美と一緒に近所の病院のロビーにいた。室内はテレビや本棚と共に二十人ほどが座れるように長いすが五個設置されていたが、時期的に大半のスペースが埋まっており、皆、八時半の開業時間を待っていた。
「どうしたの? アニキ」
「いや、この間から智樹の様子が変でさ。何か違和感があるんだ」
「どう言う事?」
マスク越しの尋美の問いかけに蓮は鼻声で説明した。
「普通は学校に残った遺品ぐらい学校側が持ってくるだろ? 家族が取りに行くにしても担任に玄関前まで持ってきてもらえばいいし。第一、こう言う時は親が行くんじゃねえのか? 遺書の件もあるしさ」
「そう言えばそうだよね……忌引(きび)きって言うんだっけ? 休みのはずだよね」
「からかわれるのわかってたから無視したとしても、忌引きが過ぎた昨日は来てなかったからな。今朝の電話でやけに心配してたのも気になる」
「……昨日まで風邪引いてたんじゃない? だから、アニキの事心配して……」
「それなら理由で言うはずだ。俺が聞き返した時に戸惑う必要はないだろ」
「そうか……」
蓮はしばらく腕を組みながら考えていた。そして、一分ほど黙ってからゆっくりと口を開いた。
「……あいつらは理由は違えど兄妹そろっていじめられていたからな、その妹が自殺した理由をアイツが一番知っている」
「まさか、復讐するとか?!」
「それはないだろ。アイツにそこまでする度胸も力もないし、クラス中じゃ相手が多すぎる」
「そうなんだ……」
「まあ……、要するにさ」
蓮はため息をつきながらゆっくりと振り返って、背後の窓を見つめだした。
「何か嫌な予感がするんだよな……」
蓮は窓の外から見える校舎を見つめながらつぶやいた。
志村智樹 様
貴方の周囲が貴方を蔑(さげすむ)む感情を全て奪い取ります。貴方にはそれを忌憚(きたん)なく遂行する為に、蔑む感情を思い起こすよう周囲の人間に近づいて、悪魔が空腹を満たせるまで協力する事を約束していただきます。
もし契約後に協力を拒んだり悪魔の説明に背く行動があった場合は、契約違反として相応の制裁や罰を受けてもらいます。
日本時間二千×年二月十三日午前八時二十六分、契約成立。即時遂行。
各教室前の廊下で朝礼に向かう児童たちが列を成していた。各教室前の廊下では児童達が周囲がそれぞれ私語を交わしていたが、六年二組の前に並んでいた智樹はそれに目もくれず、うつむいて自分の順番の位置に立っていた。
『コレだけの人数だとまとめて吸い取るには二、三分かかるぞ。感情を吸い取られた人間は少しだるさや虚脱感を感じるが健康に影響は無いからな』
「……うん」
悪魔は体を半透明にして真横の窓の外から両手を突き出して準備をしていた。悪魔の言葉を唯一聞き取った智樹は小さくうなずいた。
「何だ、珍しく志村が来てるのか」
「邪魔だから来なくていいのによ、気持ち悪い」
智樹を見た数人の男子が勝手な悪口を言ってきた。智樹は言い返さず黙って悪魔の行動を待った。
『ククク……前のクラスからもお前をバカにした感情が出ているな。これはかなり集まりそうだぞ』
悪魔は笑いながら言った。智樹たちの前に並ぶ一組の児童達も智樹の顔を知っており、話題にはしないが目に止まった数人から悪魔が蔑む感情を感じ取っていた。各クラスの列の前には担任教師もいたが、持参したファイルの中身を読んでおり悪魔の言葉や悪口は、廊下全体に響くざわめきにかき消されて聞こえていなかった。
「そろそろ時間だから、静かにしてちゃんと並べよ」
一組の列の前に立つジャージ姿の男性教師が、周囲のクラスにまで聞こえるように大声で言った。
『よし、もうそろそろだな』
「うん……頼んだよ」
智樹が小声でつぶやいた。その時、
「あら? 真由の兄弟はまだ生きてるみたいね」
一組の前に並ぶ一人の女子が智樹を見つけて言った。
「…………!」
智樹は妹の名前に反応して、前にいる声の主の方を向いた。
「まあ、いいんじゃない? 男の方は自覚しててほとんど来てないらしいから」
「そうね。真由なんて恥かく為にしつこく登校してくるからウザかったね」
「……アイツら……」
笑いながら悪口を話す数人の女子達に、智樹は怒りを覚え睨みだした。
『落ち着け、アイツらの感情も吸い取ってやるから心配すんな。終わるまで大人しくしていろ』
「あ、……うん」
智樹は悪魔の言葉を聞いて、少し冷静になり視線をそらした。
「お前ら、そういう事を言うんじゃない。さっさと静かに並んでくれ」
先ほどのジャージ姿の男性教師が、女子達の前に立って注意した。
「いいじゃない、他の子達もまだ話してるんだから」
「第一、真由が死んだせいで寒いのに集会やらされるんだから。」
周りの児童達も私語を続けているのを良い事に、女子達は反省の色を見せなかった。元々、この学校に朝礼はなく、真由の葬儀や警察の捜査が一段落したこの日に急遽、朝礼と言う名目で自殺の詳細を説明する集会を行なう事になったのである。
「しかし……あんまりとやかくは言えんが、少しは反省したらどうだ。周りがやっているからってだな」
「何言ってるんですか、死んでせいせいしたんだから。私たちは関係ないってのに、ホント死んでからも迷惑かける奴ね」
「……サチコ、よくそんなに平気で言えるわね」
「すげえなアイツ……」
サチコと言う女子の強気な発言に、さすがに一緒にふざけていた数人の女子達や近くに並んでいる男子も少し引き気味になっていた。それでも、彼女自身は平然としていた。
「私なんて家近くて本当に迷惑してたんだから。あのノロマでうざい奴を迎えに行ったりプリント届けたり時間のムダだったわ。みんなだって真由をバカにしてたからわかるでしょ?」
「それはそうだけどさ……」
「とにかく、あんな奴は死んで正解だったのよ」
サチコはにやけながら言った。次の瞬間、
「ふざけるなあっ!」
「……きゃっ?! な、なによ?」
智樹は我慢できずに列から飛び出し、前に並んでいたサチコの襟元をつかんだ。
「人が死んでおいて正解ってどういう事だ! 調子乗るのもいい加減にしやがれ!」
智樹の言動に付近は急に静かになった。サチコは突然の出来事に驚き、数秒間を置いてから口を開いた。
「な、何言ってんのよ。そこまで怒る事じゃないでしょ?」
「何が当然だ、真由を死なせておいてまだ言うかてめえ! 大体……」
智樹が続いて怒りをぶちまけようとした。その時、
『あ〜あ、後悔しても知らないぞ』
「……え?!」
悪魔の言葉が智樹の頭に響いた。それと同時に智樹は急に体に違和感を覚え発言を止めた。
「……志村?」
「……どうした? 急に黙って……」
数秒ほどの静寂の後、男性教師が智樹の肩に触れた。
「がっ……ああっ……」
その途端、智樹は力が抜けたように受け身も取れずその場に倒れこんだ。
「お、おいっ、どうした?!」
「志村! しっかりしろ!」
男性教師がすでに意識のない智樹を抱え、その耳元に向かって叫んだ。事態が飲み込めない児童達は騒然となりどよめきだした。
『……ククク、それじゃあやるか。……罰をな』
悪魔は児童達に向かってかざしていた手を急に光らせ、思いっきり振り上げた。
「……う、う〜ん…………あれ?」
智樹は体のだるさを感じながら、ゆっくりと目を開いた。
「ここは……一体?」
体を起こすと自分がベッドの上にいる事に気付いた。ベッドの周囲はベージュのカーテンに囲まれていた。
「……お、目が覚めたな」
少しくぐもった声と共にゆっくりとカーテンが開かれた。
「あ、鱈野……」
「無事だったみたいだな、智樹」
声の主はマスクをつけた蓮であった。蓮がカーテンを開くと白い壁が見え、ベッドの横には大きな窓とテレビの乗った小さな棚が置かれていた。
「……ここは?」
「病院だよ、お前は近所の内科に運ばれたんだ」
「……そうなんだ」
智樹は髪をかきながらつぶやいた。
「……なんかよくわかんないけど、助かったのかな? なんで急に意識が……」
「それにしてもすごいよな、あんな周りが黒こげの状態で無傷だったんだから」
「……え?」
蓮の言葉を聞いて智樹は目を見開いた。
「ん? 焼け跡の中心で倒れてたって聞いたけど、違うのか?」
「え? 焼け跡? 黒こげって何?」
智樹は意味がわからず困惑した。
「あ、ひょっとして一瞬だったから覚えてないのかもな」
蓮はそう言いながらテレビのリモコンを取り出して、ベッドの横にあるテレビを点けた。
「今はどこも中継やってるぞ……俺もよくわかんないけどさ」
「中継……え?!」
智樹は画面に映し出された映像を見て、驚きのあまり声を上げた。
『私は今、爆発のあった小学校の上空にいます。ご覧のように現在でもわずかに煙が上がっており、消防による捜索が続けられております』
テレビ画面にはヘリコプターの音と共に智樹達が通っている小学校が映っていた。しかし、さっきまでの見慣れた校舎とは打って変わって、最上階は真っ黒な骨組みがむき出しになっており、中からは黒煙が上がっていた。
「…………な、何で……」
「……俺が診察待ってたら急に爆発音がして、窓を見たらもう煙が上がってたんだ……」
テレビを見て絶句する智樹に、蓮は少したどたどしく言った。
「……あ、とりあえず医者呼んでくるよ」
蓮はそう言って小走りに病室を出た。智樹は返事をする余裕もなく、テレビ画面だけを見つめていた。
『…………驚いたか?』
「……! その声は……」
智樹が声に反応して顔を上げると、窓をすり抜けて悪魔があらわれた。
『よお……、気がついたか……』
「……お前……これは一体……」
『……安心しろ、感情を思いっきり吸い取った反動で意識が飛んだだけだ。お前にだけバリアを張ったからかすり傷一つない』
悪魔は智樹の目の前に立ち話し始めた。
「……僕の感情も吸い取ったの?」
『そうさ、契約通り吸い取った感情とお前があの女にぶつけた怒りをまとめて……弾けさせたんだ。エネルギーの大半はお前の全力の怒りだったがな』
悪魔はテレビに映った校舎を指差して言った。智樹は聞いた瞬間、唖然として言葉を失った。
『一組と二組だったか? お前以外の魂を根こそぎ食ってやったぞ、薄くても数があれば十分腹が満たせたぜ』
「……やっぱり…………お前か」
『ああ、そうだ。……連帯保証ってやつさ』
「ど、どういうことだよ! 何でこんなことをしたんだ! 契約にそんなのなかったはずだぞ」
智樹は悪魔の言葉に耐え切れずに声を上げた。
『……ああ? 元はと言えばお前のせいじゃねえか』
悪魔は冷静なまま智樹の頭に手を当てた。
『俺が終わるまで大人しくしろと言ったのに、飛び出したのは誰だよ?』
「……あ…………」
智樹は自分の行動を思い出し、発言を止めた。
『言ったよな……? 説明に背く行動があったら、罰を受けるって』
「…………ば、罰?」
『そうだ。お前が契約通りに行動しなかった罰として、俺はあの連中の魂を食ったんだ』
「……え?! どういうこと?」
発言の意図がつかめない智樹を無視して、悪魔は窓の方に振り向いた。
『それじゃあ、俺はそろそろ行くぞ』
「……え?! ま、待てよ! どこ行くんだ!」
『……説明は済んだからもうお前に用はない、もう会う事もないだろう』
「待ってくれよ! 何でみんなを殺したんだ? 何で僕だけは守ったんだ? ちゃんと説明してくれよ!」
智樹は焦った口調で悪魔に質問をぶつけた。
『……ったく。やっぱり、お前は気づいていないようだな』
悪魔は面倒臭そうに振り返って、智樹の顔を睨んだ。
「気付いてない?」
『最初にお前を見た時から気付いていたんだがな……』
悪魔はゆっくりと腕を伸ばし智樹の顔を指差した。
「な、何だよ……」
『……お前はあの時、死にたがっていたんじゃないか?』
「えっ?」
智樹は再び絶句して声も出なかった。悪魔は話しながらゆっくりと窓の方に振り返った。
『お前も妹と一緒で苦しんでいた、そして同じ身だった妹が死を選んだ。……易々と悪魔との契約を受けたって事は、死んでも悔いなしと無意識に思っていたからじゃないのか』
「…………そんな……それは……」
『普通の精神状態じゃなかったお前は俺と契約、思った通りにブチぎれて大きな感情を放出させた。こうも予想通りに事が運ぶとはラッキーだったぜ!』
悪魔はそう言いながら、勢いをつけて窓をすり抜けた。
「……あ!」
『死にたがってる奴を殺しても面白くない、後悔がお前への制裁だ』
「ま、待て……!」
『じゃあな、一生その重みを背負って苦しめ!』
悪魔はそう言い残して空の彼方に消えていった。智樹は悪魔が消えてからも窓の外を見つめ呆然としていた。
「…………後悔? ……連帯保証?」
智樹は表情が固まったまま、目の前の一点を見つめた状態でつぶやいていた。
「い、いや……悪いのは……あの悪魔が勝手にやっただけ……」
「……志村君? 入るよ?」
しばらくして、廊下から中年の男性医師が入ってきた。
「いや〜、診察が長引いてね。君が運ばれた時に軽く診た程度だが奇跡的に怪我はなさそうだよ」
医師はそう言って智樹のベッドの傍に立った。しかし、智樹は挨拶どころか振り向くことすらしなかった。
「予想……どお…………り?」
「……志村君?」
医師の問いかけに耳も貸さず、智樹は両手で目を覆った。
「そうか……、アイツは僕が我慢できずにキレる事も予想して……いや……」
目を覆う両手と顔の隙間からは涙がこぼれていた。智樹の声は徐々に潤んだ声になっていた。
「悪魔は始めから…………魂を食うために僕に近づいた?」
「そ、そうか。まだ落ち着かないか。とりあえず、お母さんがもうすぐ来るからちょっと待っていてくれ」
医師は泣き出した智樹を見て、一旦、部屋を後にした。
「…………それじゃあ、つまり……僕が契約しなければ……こんな事には……」
智樹は錯乱していた。さっき医師が入ってきた事にすら気づいていない状態だった。
「……ボクガミンナヲ……コロシタ……?」
智樹は呆然とした表情で両手でベッドを叩いた。顔は涙で濡れ、手からは爪が食い込んで出血していたが、それにかまわず両手で髪を思いきりかきだした
「僕が……僕が…………あああああっ!」
号泣する智樹の声が室内に響いた。
一週間後、
『先週起きた小学校爆破事件の続報です。警察と消防による懸命な捜査が続いていますが、爆発の原因は未だわかっていません』
通行人でごった返す商店街のショーウィンドーの中、一台のテレビの中でキャスターが原稿を読み上げていた。
「あ、何か新しい情報でも入ったのかな?」
「ん? どうせさっきと同じじゃねえの」
たまたまその前を通っていた尋美と蓮は、ショーウィンドーの前で足を止めた。
『現場近くにはガスや薬品などの置かれた施設はなく、爆発を校内で目撃した五年生や六年三組の児童、教師からも怪しい行動をした者がいたとの証言はなかったとの事です』
「……まだわかってないんだ」
「そりゃそうだろ、もし誰かがやったなら証拠が残るはずなんだから」
蓮は冷静に語った。学校は警察の捜査や安全面からしばらく休校になっていた。
『発表によりますと、犠牲者は爆発の起きた廊下にいた六年一組、二組の児童と担任教師の合わせて五十二名、爆発の振動による転倒や落下物での負傷者が七名との事です。現在、校舎は爆発の現場を隔離した状態で安全点検が行なわれており、今学期の授業は来週からグラウンドに設置予定の仮設教室で行なわれる予定で……』
「……私はよく知らないけど、そんなに死んじゃったんだね…………生き残った志村って人もトラウマで精神科に入院したって聞いたし」
「……そうだな…………俺もまだ実感わかねえよ。先週までみんな元気だったのによ……」
蓮は尋美にしか聞こえないほどの小さな声でさびしそうに言った。だが、そのテレビ画面を蓮と尋美以外に熱心に見つめる者がいた。
『ククク…………そうか、五十二人も食ったのか』
その者は上空から笑いながら独り言を言っていた。
『今度はどこで探すかな、次のカモ……いや、契約者を…………クククク』
2009/02/04(Wed)09:34:21 公開 /
Sひかり
http://blog.goo.ne.jp/s-hikari
■この作品の著作権は
Sひかりさん
にあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
一ヶ月も経ってないですが久々気分の新作です。一部設定が前作と同じですが、読んでいなくてもわかるようにしています。今回も色々と悩んだ事や反省すべき点がありましたが、何とか最後まで書けました。読んでいただいた方々、ありがとうございます。
作品の感想については、
登竜門:通常版(横書き)
をご利用ください。
等幅フォント『ヒラギノ明朝体4等幅』かMS Office系『HGS明朝E』、Winデフォ『MS 明朝』で
42文字折り返し
の『文庫本的読書モード』。
CSS3により、MSIEとWebKit/Blink(Google Chrome系)ブラウザに対応(2013/11/25)。
MSIEではフォントサイズによってアンチエイリアス掛かるので、「拡大」して見ると読みやすいかも。
2020/03/28:Androidスマホにも対応。Noto Serif JPで表示します。