『生きた証』 ... ジャンル:未分類 未分類
作者:木介(初代)
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俺の名前は坂本辰也。中学1年生、部活は野球部。別に目立つ存在でも、薄い存在でもない普通の中学生。
今日も野球の練習が終わってグラウンドをならして帰る準備をしていた。
「坂本君」
誰かに呼ばれたような気がして後ろに振り返ったが誰もいなかった。そして
「坂本君、こっちだよ」
と、また呼ばれた気がして前を見た。
するとそこには、自分と同じぐらいの女子が立っていた。
「ん?何?お前誰だよ」と言った。
するとその彼女は「すぐには信じてもらえないと思うけどあなたたちの言葉で言う死神かな」と言った。
俺は鼻で笑って「何言ってんだお前そんな嘘に騙されるわけがねーだろ」と言った。
そこに、同じぐらいに終わったソフト部の女子が「坂本誰と話してんだ?」
「あぁこいつが分けわかんねー事言ってきたんだよ」
「こいつって誰だよ?誰もいないじゃん」
「え?」
おれは耳を疑った「お前らまで何言ってんだよここに女子がいるだろ」
するとソフト部の女子は「どこにいるんだよ」といった。
俺は急に怖くなって走り出した。
家に帰ったら階段を駆け上がり自分の部屋に入って布団をかぶり落ち着こうとした。
妹が部屋に入ってきた。
「お兄ちゃん、勉強教えて、中学生なんやから小学校の問題ぐらい分かるやろ」と言った。
「うるさい、あっち行っとけ」
「何やってんの?」
「ええから、はよ出て行け」と無理やり追い出そうとした。
「変なの、もうすぐご飯やからはよ降りてきーよ」と部屋を出て行った。そしてそこであの死神が入ってきた。
「これで信じてもらえたかな?」と言った。
「お…お前は何しにきたんだ?俺に何の用がある?」と落ち着きを意識しながら言い返した。
すると、「私はあなたに言いたいことがあるからここにきたんだよ。あなたに言いたいことは…」
「辰也ご飯よ」と母さんが入ってきた。
「今はほっといてくれ」と言い返した。
「…わかったわ、じゃあここにご飯置いておくわね」と母さんは出て行った。
「じゃあ言うね」死神が再び喋り始めた。
「死神の仕事はだいたいわかってると思うから直接言うね。坂本君、君はあと3年で…死ぬよ」
「え?」
「だからこれから死ぬまでの3年間君のそばにいて3年以内に死なないように見守る。これから3年間君がどう生きるかは自由だよ。私は生き死にに関係すること意外は口を出さないから…」「…」
次の日学校で学級委員を決めることになって先生が「誰か立候補する奴はいないか〜」と言って静まり返る教室で俺はすばやく手を挙げた。
「坂本、お前がやるのか珍しいな、いつも何をするにもめんどくさがっていたのに。」
「気が変わったんです」俺は堂々と答えた。
「そうか頑張れよ」
「はい」俺は昨日の夜死神に聞かされたあと3年で死ぬと言うことそこで俺なりに結論を出した。どうせなら今自分が出来なかったこと、やり残したことをこの3年間ですべてやりきって自分の生きた証を残そうと。
それから俺は学級委員から生徒会、野球部すべて全力でやった。
そして、あっという間に1年、2年と流れていった。気が付けば俺ももう3年生で寿命ももう1週間をきった。
俺の人生の中で最後の野球大会がやってきた。結果は…2対1で負けた。俺は涙をこらえながら家に帰った。
「どうだったの試合は?」
「負けたよ」
「そう、じゃあ次は高校で頑張りなさいね」
「…うん」
時間は止まることなく進み続けた。部活も3年生は引退して、夏休みの練習は1年と2年あと遊びに来ている3年生その中に俺もいた。
死ぬことは分かっていてもやっぱり自分の好きな野球は楽しかった。
俺の人生最終日、死神が「坂本君私が仕事するの十時間後になったよ。なんか3年間があっという間に過ぎたね」
「あっそ」
「死ぬのが怖くないの?」
「怖いさ、ものすごく怖い、でも、そんなこと言っても俺の寿命が伸びることは絶対にないだろ、だったら堂々としてたらいいんだよ。」俺はユニフォームを着て靴を履き、「じゃあ行ってくる〜」
「は〜い、辰也もう引退したんでしょ。なのになんでユニフォームなんか来てるのよ。」
「別にいいだろ気分だよ」
「ふ〜んじゃぁ行ってらっしゃい」
「あぁ」
中学校のグラウンドに野球の打球音とサッカーのドリブルの音が響き渡る。時々楽しそうな笑い声までも聞こえる。
練習が終わって皆帰っていくそこでソフト部の女子が「よぅ、坂本お前今日は妙にやる気が凄かったなユニフォームまで着て。」「まぁな、じゃぁ俺帰るわ。」
「おぅ、またな。」
またな、その言葉を聞いた瞬間足が止まった。
「…」
「どうした坂本?」
「…」
「あぁ、またな!!」そういって俺は走った。
「変なの」
その夜俺は妹に勉強を教えた。「ここはこういう風に3+10で考えたら簡単だろ。」
「なるほどさすがお兄ちゃん。」
「まぁな。じゃあ今日はここまで復習しとけよ。」
「うん分かった。」妹は部屋から出て行った。
死神が「もう、いいの?やり残したことはない?」
「あぁ、もうない。」
「ご両親には何も言わなくていいの?」
「もういい、そういう事言うとこの世に未練が残るだろ。すっきりした状態で死んだほうがましだから。」
「分かった、じゃあやるね」
俺は深く深呼吸して3年前まで教室で寝てるような体勢になった。
「…」
「お兄ちゃんちょっとここが分からないんだけど」
「…」
「ねぇおにいちゃん」
「…」
「ちょっとおきてよ」
「…」
「お母さーん」妹が母を連れてきた
「辰也?どうしたの?」
「…」
「辰也?」
「…」
「辰也!?」
「お兄ちゃん?」
「辰也!!」
「お兄ちゃん!」
「ちょっと救急車呼んで!!」
「お兄ちゃん!!」
「辰也!辰也!!辰也〜〜〜!!!」
「…」
「なぁ死神、俺は今からどこに行くんだ?」
「行くとこはいっぱいあるからね」
「まぁ付いていけば分かるか。」
「うん」
「俺…ほんとに死んだんだな。」
「後悔してる?」
「後悔っていうかなんというか。」
「ほんとに生きた証を残せたのかなって…」
「考え方は人それぞれだよ」
「そうだな。」
俺はこうして15年という短い人生に幕を閉じた…
2009/02/11(Wed)15:30:19 公開 /
木介(初代)
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■作者からのメッセージ
大変急ですが、『生きた証』シリーズ『人間になった神』の原作者、木介さんはこちらの都合上で小説がかけなくなりました。
勝手ながら誠に申し訳ありません。
これからは僕が2代目として引き継がせてもらいますのでよろしくお願いします。
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