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『アースカイド 』 ... ジャンル:SF 未分類
作者:高橋――@
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あらすじ・作品紹介
時は、2XXX年。人類は、宇宙科学の発展を機に、新たな星を発見して行った。広大な宇宙に可能性を感じた人類は、地球を離れることを決断した。そして時代は流れ...
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【プロローグ】
2XXX年 世界機密議会にて...
「―――。賛成多数により、ローニ計画を実行することに決定いたします。」
「議長。そろそろ……。」
「ああ。わかった。……ここに、宇宙最高機密死刑執行隔離惑星 アースカイドの解禁を宣言する!!!」
【1】
3XXX年‐B地区最高裁判所にて...
「被告人は、自分の欲望のままに悪行を続け、さらには反省の色をみせるどころか、さらなる醜態をさらすものであり
改善の余地はないとし、宇宙全憲法に基づき被告人“ジョン・マティー”氏を死刑とする」
裁判所にどよめきがはしる。
「ば…ばかな!!!待て!待ってくれ!!!!私はやってない!私はだまされたんだ!私じゃない!!!!」
彼の抗議は、空しくも儚く響き渡るだけだった。
ジョン・マティー 34歳 男性
妻と、子供2人をもち、幸せな家族を営んでいた。
宇宙科学セキュリティーセンターで働き、仲間からも信頼される存在だったマティーは、
最高レベル“新惑星調査”の調査員として活躍。今までに3つの惑星を発見していた。
しかし、先月、上からの命令で、“ある惑星”について調べるよう命令される。
それこそが、彼の人生を狂わす歯車になっていたことは、“あの惑星”に行くまで、知る余地もなかった。
今現在、人類が住んでいる惑星は、3つある。
1つが、パルリア惑星。自然あふれる惑星で、酸素濃度が高く、人口の大半が高齢者でしめている。
2つ目が、リコロワーグ星。テクノロジーが進み、ほぼすべてが機械化されている。
3つ目が、LJG惑星。まったくといっていいほど、地球に似た星であるが、惑星自体が小さい。
実際には、火星,月,地球にも住んでいる人々はいるが、ほんの一握りである。
こうした中で、1つの惑星が宇宙の遠く…はるか遠くに発見されていた。
名は“アースカイド”一部の人間しか知らない悪夢の惑星である。昼は長く、猛暑の毎日。
しかし、彼は知ることになる。この惑星の本当の恐ろしさを……。
「………ここは…どこだ?」
マティーは、痛みを感じる体を説得しながらようやく立った。
どうやら、林…いや、森の中にいるようだ。
「天国にしちゃあ、荒いところだ。しかし、刑務所でもなさそうだ」
マティーは、近くにあった木の枝を杖代わりにして前にあるいた。
1歩…2歩…。痛みが体中にはしりわたり、時々足をとめてしまう。しかし、立ち止まったら立ち止まったで
足に激痛が走るのだ。そんな中で、ようやく視界が良い広野?のような場所にでた。
見渡すと、目の前に町があった。町といっても、家が5,6軒あるだけで、しかし、小川が流れていて
故郷を思い出すような場所だった。マティーは、早速あの町へと歩いていく。
なぜ自分がここにいるのかという疑問のヒントを知るため兼なぜか妙にのどが渇くのだ。水を飲みたいため
町へ向かった。ようやく町に付いた頃には、体中が痛すぎて体が麻痺し逆に普通に歩けていた。
家は、よくみるとこんな町にはあわないガンマンがいそうなバーだった。
ところが、中にはあふれんばかりに人がいて、楽しそうに喋っている。
マティー自体こういう場所が好きで、これはラッキーだと感じたが、すぐに異変に気づく……。
“皆、楽しそうに喋っているものの、一人も酒やビールを飲んでいなく、水すらのんでいる者がいない”
“ここにはなにも置いてないのか?”という推測を立てたもののすぐにそれは打ち砕かれることになった。
カウンターには、大量の酒やワイン,カクテル等々があるし、蛇口だってあった。
じゃあなぜ?疑問は膨らむばかりだった。
マティーは、混乱しながらも、カウンターに座った。普通ならば、マスターが来て「なにかお飲みになりますか?」と
聞きにくるはずだが、やはりこなかった。だが、マスターはいるのだ。しかも、ワイングラスを丁寧に磨いている。その時、
マスターがマティーと目が合う。
見かけない顔だな。という表情を浮かべたマスターだったが、すぐに笑みを浮かべてこちらへゆったりと近づいてきた。
「おまえはなにをやらかしたんだい?」
マティーは耳を疑った。やらかした?なにを?いきなり来て……。その悩んだ顔を見たマスターはすぐにさっしたのか
質問ではなく、マティーの知りたかったことについて喋ってくれた。
「ああ。そうか。おまえは、新入りなんだな?」
わけもわからないが、一応マティーはうなづいた。
「おまえ、死刑判決うけたろ?」
「ち……ちがう!私はやってない!!」
とっさにマティーは声をあらげてしまった。先ほどまでうるさかったバーもこの声によって一気に静かになってしまった。
「…まあ…そんなに熱くなるなや。あ、おまえら!こいつは新入りだからよ。まあ仲良くしてくれや」
マスターの一言により、また少しずつうるささを取り戻していった。マスターはマティーを見て
「ま、わけありっぽいなおまえ。どうだ?俺にはなしてみねえか?」
特に情報もないマティー、長年居そうなマスターにすべてをはなしてみた。
「――――。ほお〜。なるほどねえ、新惑星調査員だったのか…。それで、そのある星ってなんなんだ?」
「ああ。確か、アースカイドっていった。」
その言葉にマスターの顔が強張った。
「そ…そりゃあこの星のことだぜ!」
「それはどういうことだ!」
「どういうこともなにも、この星はアースカイドだ。」
「ま、まさか………!それじゃあ、この星は睡眠性があるのか!?」
「ああ、この水やすべてのもの空気までも睡眠を誘うものが入ってるよ……もしよかったら、おまえさんが
知ってるこの星についておしえてくれねえか?」
「……ああいいだろう。隠してもどうせしょうがないしな。
―――。まず、惑星自体が小さいこと、あと、不思議なことに酸素濃度がパルリアとほぼ同じ量あることだ。
それと、その睡眠性、この睡眠性の発生原因は本来のこの惑星にある水からでている。水が蒸発すれば、空気中に、
水を木がすえばその木のみも。そんなかんじに睡眠性が広がっている。」
「なるほど、水からでてたのか。俺たちもよ、睡眠性があることは知っていたんだが、どこからでてるのかわからなくてよ
なにも、食べなかったんだ。」
「食べなかった?なぜ?小麦粉くらいあるんだろ?それを食えばよかったのに」
「…………。おまえさん。この星について大事なことをしらねえようだな。」
「大事なこと?」
「俺もここに来て、2週間目だ。この星じゃあ結構生きてるほうさ。」
マティーにとって、彼のいってることがわからなかった。この星について大事なこと?
「この星にはなにか毒でもあるのか?俺が空気検査をしてもそれらしいものは発見されなかったが」
「毒…まあ、おれらみたいなやつにそういう難しいこときかれてもなあ。おれは馬鹿だからよ。
率直にいわせてもらえば、……この星で寝た奴は死ぬ」
マティーは呆然とした。お前はなにをいってるんだ?と疑問が頭をよぎるが、それ以上に彼の言葉はマティーにとって疑問だった。
「まあ、無理もないだろうな。……この話については、俺よかクリントラさんに話を聞くべきだな。
――。おい。ティモ。クリントラさんを2階から呼んできてくれないか?」
っと、彼は、カウンターに座っていた20代後半そこそこに男に言った「あいよ。」といった声は野太く、個性的な声だった。
しばらくすると、ティモという男と一緒に、爺様が降りてきた。ゆっくりとその爺様はマティーの隣の席にすわった。
「お主か。ついさっき来たという男は?」
マティーは気を取り直して爺様の質問に答えた
「はい。マティーといいます」
「さよか、んで〜なんの話を聞きたいんだっけのお?」
マスターは苦笑いをしながら
「あ、例の“就寝死”についての。」
「お、そうだったそうだった。………就寝死のお。今だからこそ、こんなに人が生き残れるようになったが
最初に来たわしたちにとって、悪夢でしかなかったのお。
―――。それは、わしが丁度この惑星に来て間もないころ一人の男にあったんじゃ。彼もまたその日にきたので
この惑星についてなにもしらんかった。2人で途方もなく歩いていると小川がながれてたんじゃ。
ちょうど、2人とものどが渇いていたのでのお、急いで手ですくってのんだんじゃ。
それが、運命の分かれ道じゃった。………わしはこのとおり、体がのわりに手がとても小さかったんじゃ。
手ですくってもあまり飲めた量ではなかった。ところが、彼の場合は、手が大きくてのお。コップ一杯の量をすくって
一気に飲んだんじゃ。…………すると、彼は急に横になって、グーグーと寝てしまったんじゃ。
疲れがたまったんじゃなとわしは思ったんじゃ。しかし、そうではなかった。2日…一週間…一ヶ月…
彼が起きる事はなかった。必死にわしはおこそうとしたんじゃ。殴ったり、ひっぱたいたり、つねったり色々とな。
彼は、眠り続けてそのまま痩せこけて死んでいったんじゃ。
わしは、なにかの毒がこの水にはいってるんだと、直感したんじゃ。その時以来、わしは水を飲まなくなった。
それから、何人もの人間が、水をのんで死んでいったんじゃ。」
マティーは爺様のやせこけた拳が震えてるのに気づいた。この話は現実なのだと心の底から感じた。
「……クリントラさん。1つ質問しても良いですか?」
「ん?なんじゃ?」
「あなたは、水を飲まなくなったといいましたが、人間はそれでは死んでしまうのでは?」
「………そう。“この星以外では死んでしまうだろう”
わしは、極限まで断食をし続けた。死ぬ!そう思ったこともあった。いっそ、水をがぶ飲みして
寝たまま死んだほうが楽なのではないかとね。……しかし、極限の先には、不思議な世界が広がっていたんじゃ。
“死ななかった”そう死ななかったんじゃ。どれほど、筋肉が削られていっても、どれほど水分を無くしたとしても
死ぬことはなかった。」
「そんなことが……ですが、それは――。」
「それは不可能だ。そうおぬしはいいたいんじゃろ?まあ、無理もない。しかし、おぬしは現にみているではないか。
わしという、最大の証拠を。」
確かに、爺様の体は、骨と皮、まさにそんなかんじであった。
「おぬしにはなしてあげよう。この星の真の目的を。」
「真の目的!!??」
「わしも、なにもしないままこの“拷問”受ける気はない。なにか安楽の方法をさがした。
すると、ある人間を発見することができたんじゃ。」
「ある人間?」
「ああ。名はベクルトル。この星のすべてを知るものじゃ」
【2】
一面に広がるのは岩と石。
砂漠のような砂が、マティーの足を一段に疲れさせていった。
彼がなぜここにいるかといえば、もちろんこの星の真の目的を知るためだ。
クリントラの話ではこうだ。
「わしも一回しかあえなかったんじゃが、この町を南にいくと乾燥地帯がある。そこの
洞窟に、ベクルトルがいるんじゃ。……わしは、もう座っていてもつかれるんでな。案内はできんが
おぬしならできるじゃろうて。まだそれほどこの星にいてないんだろ?」
ということだ。
ところが、いくら探しても洞窟らしき穴はなかった。歩きつかれたマティーは岩陰に腰を下ろした。
「あのクリントラという人のいっていた話が本当なら、生き地獄ということか。研究結果じゃあ何も出なかったのに」
そんな疑問を持っていた時、いきなり突風が吹き荒れた。
すると、いままで砂漠だったところにポカリと穴が現れたのだった。
マティーは立ち上がり、その穴に入っていった。
穴は、大人一人が屈んで入れるスペースだった。道は幾度となくクネクネと曲がっていた。
しばらく歩いていると、焚き火の音がしていた。
どんどんと音は鮮明になってきて、広いスペースに出た。そこには、男が体育座りでずっと火を見ていた
「あの、……」
と、話しかけると男はゆっくりとマティーのほうに目を向けた
「客とはめずらしい」
男は焚き火に薪を足した
「ベクルトルさんですか?」
「いかにもそうだが、そういう君は?」
「私はマティー。クリントラさんの話を聞いてやってきました」
「クリントラさんか。あの人が私のことを教えると言うことは、君はこの星にきたばかりかい?」
「ええ。クリントラさんにいろいろな話を聞かせてもらって、この星の真の目的について聞きにきました」
「そうか、あの人が教えるということは君は何か特別な事情があるようだね」
マティーはためらいながらも、自分が罪がないのに死刑判決になったこと、偶然のこの星について調べていたことなど話した
「ふん、やつらは俺以外も蹴落としていたのか」
「どういうことですか?」
「――――私は、ローニ計画担当長だった。」
「ローニ計画?」
「宇宙最高機密死刑執行隔離惑星。これがアースカイドの存在理由だ。ところが、それは、機密組織のたてまえ。
機密組織内のさらに機密組織 ローニという組織がある。そこで計画されたのが、ローニ計画。」
「計画とはなんなんですか?」
「君はこの星についてしらべたんだよな」
「ええ。ですが、そんなことは知りませんでした」
「ローニがもみ消したのさ。この星に毒があるということをね。しかし君は運が悪かった。調べたのが
ローニ本部がその星に機械音波破壊器を送る前だった。ローニは、もしかしたらという可能性があるものすべてを
殺していった。君の場合は僕と同じこの星におくられたけどね。」
「それじゃあ、あなたも何もしてないんですか?」
「ああもちろん。」
「…でもなんで担当長だったのに、ここへ?」
「……金がほしくなったんだよ。ローニは、仕事量が半端なく多いのに対して給料はくそくらいだった。
もし、私がローニ計画をマスコミに売ったらどんだけ儲かるかとね」
「なるほど。それでそのローニ計画とはなんなんですか?」
「ここアースカイドには、水に毒がある。しかし、この星にはもう1つ特色がある。
君もクリントラさんを見たならわかるだろ?」
「……食べなくても生きれる」
「そう。しかし、それだけじゃない。実はクリントラさんはもう142歳だ」
「え?」
「つまり、ここでは、不老不死なのさ。皆がね。アースカイドがその特色を知った時、どんな事を思ったと思う?
ふ、実に簡単さ。永遠の命が手に入るかもしれない。
それが、ローニ計画の始まり。アースカイドに囚人を送り、人間がどうなっていくのか監視している」
「監視??」
「そう、いくつもある。……しかし、ローニ計画は失敗するだろうな」
【3】
「失敗する?」
焚き火の薪が折れる。
「今も、そのローニ計画は監視段階で止まっている。なぜだかわかるか?」
「いえ。」
「いくらこの星を調べてもなぜ不老不死になるかわからないからさ。空気にも異常は見られない、大地にも見られない。
不老不死はなぜなるのか。それがわからない。だから監視段階でとまっている。
しかし、私は分かった。この星に来てね」
「不老不死になる方法を?」
「ああ。すべての答えは、“水”にあった。」
「水?」
「そう。ここの水は、睡眠効果とともに、また違う効果もあったのさ」
「しかし、水だなんて、そのローニも調べたんじゃないですか?」
「ああ。もちろん調べた。しかし、違うのさ。水そのものが不老不死の効果になるわけじゃない」
「それじゃあなにが?」
「君は、水と大地のかかわり思いつくものはあるかい?」
急な質問にとまどいながら
「………植物?」
「そう植物だ。それじゃもう1つ。植物がつくりだすものは?」
「酸素。」
「つまり、ここの水で作られた酸素こそが、不老不死の原因だった。だが、それだけでもだめだ。
空気中にある時のその酸素は、普通の酸素とはまったく同じもの。しかし、人間の体内に入ることによって
普通とは違う働きをもたらす、それが、不老不死」
「ですが、それでもいつかは気づくのでは?」
「それはない。実は、その酸素は、環境変化が激しい。つまり、あっちに届くと、ちょっとした普通の酸素に
適合し、普通の酸素に変化してしまうのだ。だから、結果的普通の酸素しか見当たらない。
よって、このローニ計画は無理なのさ。もし、不老不死を手にするのならばこの星にこなければならない。」
「…ですが、1つだけひっかることがあります。」
「なんだい?」
「植物というルートを、科学者たちが見逃すのでしょうか?酸素だとわかればやりようもある気がするんですが」
「…………わからない。」
4XXX年 不老不死は夢ではなくなった。
つまり、ローニ計画は成功を治めたのだ。
それは、アースカイド自体の改革。
アースカイドの水すべてを湖に溜め草を植える。
そこを完全密封状態にし、酸素のみ通過できる装置をつけた。
それ以外の場所はすべて、コンクリート化または、砂漠化し、アースカイドの原型をすべて壊した。
その事により、不老不死を手に入れたのだ。
〜地球〜
「ベクルトルさん。やつら分かっているのでしょうか?」
「ふむ。永遠とはまた残酷なもの。」
「マスター。ビール。」
「はいよ、」
テーブルに置かれたビールをマティーは一気に飲み干した
「不老不死。それは爺さんや婆さんになって、なにもできなくなっても、生きること。」
マスターは、グラスを磨きながら言った
「“生き地獄”」
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2007/12/21(Fri)14:27:55 公開 / 高橋――@
■この作品の著作権は高橋――@さんにあります。無断転載は禁止です。
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■作者からのメッセージ
いろいろ考え練ったんですが最後らへんはもう変なことになってしまいました。
手直しするつもりですが、一様投稿させていただきます。
作品の感想については、登竜門:通常版(横書き)をご利用ください。
等幅フォント『ヒラギノ明朝体4等幅』かMS Office系『HGS明朝E』、Winデフォ『MS 明朝』で42文字折り返しの『文庫本的読書モード』。
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2020/03/28:Androidスマホにも対応。Noto Serif JPで表示します。