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『幽玄灯』 ... ジャンル:ホラー 異世界
作者:鬼
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あらすじ・作品紹介
4章を書くに当たって久遠 空音をどんなオタクにしようか考える所から書くにいたるまで悩みまくりました、普通のオタクじゃツマラナイし、かと言って余り飛んだ設定でもアレなので…暑い毎日で煮える脳で搾り出した結果が「軍事オタクでドイツ軍万歳」でした…旅から趣旨が今回はずれました、次回からついに本題突入いたします、きっと…です(・w・)ノそして、この作品を読んでくださってる皆様本当にありがとうございます100%力不足ですが、折角書き始めた物なのでどうにか完結に向かって走って行きたいと思っておりますorz by鬼童寺
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第一話 序章編
「火村祭り
それは村中で松明を燃やす祭事であり
作者である私は一目みて感動した
まるで村ごと燃えてしまうのではないかと思う程の多数の焔
まるで浮世と幽界、陽と陰が逆転したようであった
村人は皆酒を楽しみ太鼓を打ち鳴らし
その祭りを楽しんでいる
そして酔った村人は口々に歌を歌い始める
ご先祖様をお迎えせねば、丑寅の方にお供えを
ご先祖様が上がってくるぞ、ぼんやは寝かせ
お供え物を用意しろ
耳に入った村人達のその歌は余りにも衝撃的だった…
翌日私は逃げるように村を出た
その途中私は異臭を感じた
原因を突き止める勇気も無かった
ただ私が禁断の果実を口にしてしまった事は確実なようだ
平成XX年X月X日」
その日、杜堂寺 幸助、小説家だった友人崎村 邦弘の最後の作品である「呪祭日記」を少しだけ読んで深い溜息を膝に落とした
「ふぅ…読むだけでも疲れる、それに単語一つ一つの語意は解らなくもないが情景がまったく理解できない、この文章力であの男は何で小説家なんてやってたんだ…まぁ売れなかった理由はここに有るんだろぅなぁ。」
思ったことが躊躇無く口に出てしまうのが幸助の悪い癖である、頭の回転は速いが速すぎるゆえに会話を飛躍させすぎ周囲を混乱させる事がしばし有る、そして幸助はそれを悪いと全然思ってない、そこが問題なのだ
どうして幸助が読みたく無い本を読みその不健康そうな唇から深い溜息を落としてるのか
原因は2日前の夜の事だった、
いつも通り本屋で汗水ながして働いた帰り(本屋とは実は肉体労働なのだ)
携帯から知らされた友人の死、そして数年振りの旧友との悲しい再会、その相手が他ならぬ小説家 崎村邦人だった、お母さんから聞かされた話では自殺だったらしい、練炭を炊いて眠るように逝ったとの事だ
そして遺書には俺の名前が書いて有った
「この手紙が読まれてると言う事は私は死んでしまったのですね、思い残す事が無いかと言えば嘘になります、一つだけお願いを聞いてください、杜堂寺 幸助さんに 私の作品である呪祭日記を読んでもらってくださぃ、きっと私が死んだ理由を彼なら見つけてくれるはずですから 崎村 幸助」
正直幸助は何のことだか良く解らなかった、ただ泣きつかれるままに本を受け取り家路に着いた
勿論旧友の死の悲しみは幸助にも有った、どうしようも無いぐらいに悲しかった
しかし
その友人が残した手紙の意味、そして趣味の悪い謎々みたいな文章で軽いパニックを起こしてしまい
落ち着いて本をもう一度手に取るまでに2日間も要してしまったわけだ
冷静に読めば読むほど不可解な文章ではだと幸助は感じていた
勿論確信した訳ではないが
ご先祖様をお迎えせねば、丑寅の方にお供えを
この一文が前後の分を不気味にしているキーワードな気がしてならなかったのだ
幸助の記憶が正しければ、丑寅の方それは鬼門を表しており縁起が悪い方角の筈だ
間違っても有難いご先祖様をお迎えする方角ではない、では何にたいしてのお供え物なのか
そんな鎮魂の意を込めた思案も睡魔には適わなかったのかだんだん瞼が重たくなってきた幸助は
睡魔に身をゆだねる事にした
これから何が起きるのか
何もおきないのか、これから面倒な事に巻き込まれるだろうと心の何処かに確信をいだきながら眠りについた
夢を見る
杜堂寺は代々夢で災難を予兆してきた歴史の有る家柄だ
幸助も勿論その異端な力を持っている、血も薄くなり滅多に見ない夢
その夜は見てしまった、こぅ言うトラブルの前兆は必ず見ないはずの夢を見る
見ないはずの夢、知らない筈の風景、知らない筈の出来事、過去に起きた点と点を線で結び
幸助の夢は完成する、…嫌な夢であった
暗闇の林の中血まみれの口を此方に向けて涙する誰かの影
そして子供の悲鳴、動物が焼けた匂い、そして燃える山
きっとこれが呪祭日記に憑いた過去なのだろうと冷静に判断し幸助は夢も見ぬ深い眠りの闇に身を落として言った
子供の頃は怖い夢を見るたびに嘔吐を繰り返してしまい自分の力を疎んだ時期も有ったが、30年も生きていれば流石に慣れるのだ
勿論不快感は感じるが起きて嘔吐を繰り返すより更なる深い闇に意識を落とせば熟睡できると気がついたのはもぅ20年以上も昔である
しかし幸助にとって意外だったのは、その夢に邦弘が出てこなかった事である、大体こぅ言う時は当事者が夢に出て何かを教えてくれても良いものなのだが
薄れる意識の中で「あの男は最後まで俺と顔合わせるのは嫌だったのか頑固者が」と少し悲しくなりながら意識を失っていった
第二話 なんでも屋は輪廻も破る
幸助が重い腰を上げ火村祭を行っている村「桐生徒村」に行く準備を整えたのは本を読み夢を見てからさらに一ヶ月がたってからだった
別に何をしてたわけでもなく生活の為の仕事をしていたのだ、勿論仕事の合間を見てインターネットで色々と情報を検索してたりもしていた
このようなゴシップ的な情報を検索するには某大型掲示板が便利で有る、その結果
炎村祭は実在する、村人以外の人間がその祭りを目撃するとたこ殴りにされ村外へ捨てられる、落ち武者の村だ
まぁ良く有るネタ情報が沢山書き寄せられている中に一つ
外の人間が祭りを見ると自殺するらしい発狂したりはしないらしい、ただ普通に生活をして数年の間に自殺するらしい
と言う書き込みが幸助の好奇心を刺激した、祭りを外の人間が見たら自殺する?それも発狂したりしないで普通に生活をして最後は自殺する
それは何よりも怖い事だと思った、狂うわけでもない実感も無く私生活を過ごす中での約束された自害、幸助の中で確実に点と点が結ばれてた瞬間だった
そして長期休暇を店から捥ぎ取り旅を決意したのだった、仕度に少々時間がかかったが今回の予想される旅の内容を考えればまだまだ足りないぐらいである
むしろ本当に行って大丈夫なのか、君子危うきに近寄らずの方が良いのでは無いのか、と一人悶々としていた
そんな不安な気持ちを知ってか知らないでか約束の時間に能天気な塗装をした車が家の前に律儀に到着し更に能天気な髪の毛をピンクに染め上げた男が車から降りてきた
「おはよう幸ちゃん!今日の何か不幸そうな顔してるね〜☆本日は有限会社弥勒なんでも屋をご利用くださって毎度ありがとうございますって事で、ちゃっちゃと行かない?
まだ暗い顔してるねぇ〜…お腹痛いのかな?正露丸飲む?トイレとか酔い止め薬とかは先にすませてね、お熱は無いよね?」
この怒涛の勢いで登場して言いたい事言いっぱなしの男は弥勒 魁 きっと絶対100%確実に偽名だ、俺が働いてる本屋に誇り塗れで並んでる民俗学やら宗教儒教仏教真道真言と多岐に渡る個性的な本を買ってくれる唯一の客だ、そして毎回領収書の宛名は「有限会社弥勒なんでも屋」かなりの確率で頭が危ないやつだとは思っていたが、ある日万引き少年をドロップキックで捕まえてくれると言うファインプレーを見せ付けてくれそれからの付き合いだ、頭は悪いが人間性は悪くない、常識は崩壊してるが愛想が良く人付き合いが上手、
そして事態を把握する集中力と瞬発力だけで生きている変人だという事ぐらいは理解できたが中々一般的に理解しがたいジャンルの男である事は間違い無いと思う
「依頼の内容確認させてくれるかな?」
あいてのペースを遮るように幸助は言葉を発した、こうでもしないと先に進まないし、本当に弥勒が自分の依頼を覚えてくれてるのか不安だったからだ
しかし返答は早くスマートな物だった「勿論!幸ちゃんを桐生徒村に送り届ける、そして3日後に行われる火村祭りの情報を仕入れて自然植物のサンプルを入手して祭りの1日前には村から帰るって算段だよね、たしか経費はしめて13万車代込みの友人価格なり〜」
この質問は藪蛇だった、基本的に物覚えが弥勒は良い…どんな危険な仕事でヘマを打った事が無いのが自慢らしい危ない仕事が何なのか幸助は聞かないがリスクを背負ってこその「なんでも屋」の美学と言う独特の哲学が弥勒には有るらしい
2人は桐生徒村へ車を走らせた、車内での会話は尋問みたいで幸助には居心地の良い物ではなかった、なんでも依頼人と依頼は別物で考えないと痛い目に会うから依頼の内容、依頼に至った経緯をもう一度確認したいと言う言い分だった
楽しい会話ではなかった、弥勒の最初の質問はこうだ
「じゃぁ確認させてくださいねん、まず幸ちゃんの友人が桐生徒村の火村祭りを見てそれを小説に書いた、んで自殺しちゃったんだよね?」
「あぁ…」
面白くない話題だ、だが弥勒の確認は終わらない、そして明らかに弥勒の眼つきが違う事を知っている幸助は逆らえないのであった
「で幸ちゃんがインターネットで色々と情報を集めて、桐生徒村を見つけたんだけどその情報が余りに危険な匂いがしたもんだから僕に依頼したんだよね?車件調査助手って言う名目で自分の護衛として、でしょ?」
「その通り、俺の推理が正しければ相当この村はヤバイんだ、正直命の危機を感じる、だから依頼した、これで良いかな?」
思い切った返答をしたつもりだったが弥勒の顔色は変わらなかった
「それで、呪だと思う」
「何が?」
「小説家の崎村邦弘さんが死んだのは」
幸助は崎村の事、そして死んだ友人は小説家だった事そこまで話してなかった、何処でどうやって幸助と邦弘の関係を探ったのか疑問には感じなかった
なんせ相手は弥勒だ「なんでも屋」は何でも出来る屋だと口癖のように言ってる男である、そんな事より今幸助に必要なのは確実に睡眠であった
この先の展開を少しでも予見するために、ヒントを少しでも拾うため幸助は眠りと言う作業に入った、隣で弥勒はつまらなそうな顔をして鼻歌を歌っていたが見ないふりをして
サイドシートで眠りについた
第3章 ROCKと異界の門
幸助が夢から覚めた時、車は丁度山道に差掛かっていた、そして車を支配していた一昔前に流行ったROCKバンドの何処となく優しい8ビートが幸助の寝起きの脳を覚醒させた
「ん〜、ん…っとこのバンドは何だっけ、あれだよな、だれ」
「メビウスRだよ、曲名はYour and my samsara(君と僕の輪廻)、おはよ〜幸ちゃん!良い夢は見れたかな?」
相変らず弥勒は能天気な声を出していた
「あぁメビウスか、確かボーカルが失踪したんだよな…自殺だっけ?」
「うぅん、失踪が当り、きっと彼はファンの夢を裏切ってしまう可能性が有る自分を許せなかったんだろうね、そして自分の影響力とか自分の作品を通して語りかけてた可能性と未来への希望とか、色々考えて導き出した答えは死ではなく失踪と言う名の逃避だったんだよ、かくして英雄になりそこねた男の話」
やけに饒舌だった弥勒にたいして勢いの飲まれた幸助はマニュアルどおりの疑問をぶつけた
「ファン…だったのか?」
「うん、メビウスRのファンだった、人生賭けるぐらい好きだったよ幸ちゃんは?」
「学生時代つきあってた彼女がファンだったってだけだよ、だから俺も聞いてた」
「純粋だったんだね幸ちゃんは」
「だろうな、彼女と一つでも多くの趣味とか話題とかを共有したくて必死だったさ」
「でも嫉妬もしてたんだろ?」
「そりゃまぁ、自分の彼女が自分以外の男の歌声を聞いてうっとりしてる、それを心底共感して感動を共有するなんて、自分以外の男の居場所を相手の心に認めてるようなもんだろうよ、今でも無理だよ俺にはさ」
それを聞いた弥勒は少し子供みたいな笑い方してから口を開いた
「男ってのは意識しててもしてなくても心の奥底に支配欲が有るからね、好きな女の子が自分以外の異性を褒めるって事を100%認める事なんて出来ないさ、子供だからね」
「そぅだな男なんて所詮子供だ、女に苦労をかけて生きてる生き物だからな」
車の中で少々自虐的だが愉快な笑い声が響いた
外の風景はじょじょにビルが消え何処にでも有るはずのコンビニが消え人の姿が消え都会とは言えないまでも簡素なベッドタウンで育った幸助にとっては幼少期に何回か参加したキャンプを思い出させるような風景になってきた、街を賑わす人の声は消えて変わりにカラスの物悲しい鳴き声が聞こえ始めた
友人の死とこれから立ち向かう謎の祭りの事を一瞬忘れ幸助は丸で子供のように胸が高鳴っていた
そして弥勒がそれを察したかのように口を開く
「これで今から行く所がオカルト板で有名な呪祭りを行う凶器の村じゃなけりゃ楽しい楽しいドライブなんだけどね、後…そうだもう少し行った所のバス停で僕の相棒と合流するんだけど、物凄いテンション高い娘だから覚悟しといてね〜」
一瞬幸助は自分の耳を疑った、相棒?合流?そんな事は初耳だった
「おぃおぃ、俺とオマエだけで合流するんじゃなかったのかよ?」
「ん〜なんでも屋はねぇ元々彼女が始めた物だからねぇ…大丈夫大丈夫、幸ちゃんならすぐ仲良くなれるからさ、あ〜っとでも手は出さないでね」
「でも打合せのときは居なかったな?」
もろに動揺してる幸助を見て弥勒は物凄い楽しそうだった
「ど…どんな人なんだ?」
好奇心ではなく動揺を質問に変えた苦し紛れの一言だった
そして返答は明るい声で、そしてそっけなく一言
「…オタクだよ」
混乱する幸助を横目に車は山に向かって走っていった
その相棒が待つというバス停まで止まる事も無いだろう
外の景色は夕暮れの燃えるような紅い空に包まれ、聞いた事も無い鳥の声がこだましていた
そぅ境界線も踏まないままに異界へ突入した、そんな感じであった
異界の門は何処だったのだろう、幸助はふとそんな事を考えてしまった
第4章 空の音は爆音の音色
弥勒の一言「…オタクだよ」の返答に悩んでいるうちに車は交流場所として指定されたバス停に到着した
「さてと、あそこに彼女がいると思われる、幸ちゃん覚悟はOK?」
何の覚悟だか理解できなかったが幸助は頭を縦に振った、車はゆっくりとバス停の正面に止まった
外に立っていたのは笑顔で迷彩服、髪を二つに結んでる背の小さい女性だった、背に背負われてる余りにも巨大なリュックが彼女をさらに小さく見せてるのかもしれな
車の窓を開け弥勒が普段と変わらないトーンで謝りの言葉を口から出した
「ごめんごめん空音ちゃん待ったかな?」
「えぇ、おかげさまで戦争に必要な情報を充分用意できましたわ」
彼女は弥勒の挨拶に嫌味で返しながら幸助を注意深く観察してるようだった、
「そっか、それは良かった、幸ちゃん紹介するね、彼女が僕の相棒で弥勒なんでも屋のオーナー件戦争担当の久遠 空音さん」
「どうも、お初にお目にかかりますオーナーの久遠 空音です、今回の戦場が余りにも面白そうでしたので参戦させていただく事にいたしました、いやぁ楽しみですね閉ざされた村でのドンパチは」
「え…えぇ、はじめまして、杜堂寺 幸助です」
「さっ、空音ちゃん乗って乗って♪」
人間余りにも唐突すぎる会話は理解するのに時間がかかるものだ、今の幸助も必死に頭を回転させ現状の少ない情報で致命的におかしい情報を理解しようと必死になっており、
気のきいた挨拶など返す余裕が無かった、ただその後の弥勒と空音の会話で幸助の頭は更に混乱を起こした
「空音ちゃん、頼んだ物は用意してきてくれた?」
「もちのロンだよ〜、暗視ゴーグルに防毒マスク、それからそれからカラシニコフ人数分でしょ、それから色々とオマケモ用意したからさ、こんだけ有ればアフガンだってピクニック気分でお出かけできると思うよ〜むしろドイツ軍万歳って感じだよね〜☆」
「はっはっはっ、本当空音ちゃんはドイツ軍好きだね〜、どう幸ちゃん僕が言ったとおり、空音ちゃんってテンション高いでしょ」
幸助はショートした頭から搾り出した疑問を凝縮した一言を口にした…
「カラシニコフって…カラシニコフって何ですか!!!」
必死の抵抗のつもりだった、どの用な理由であれ今は自分が依頼主なのだ、確かにお友達価格で頼み込んだ仕事では有るが幸助は作戦とかそれにかかわる人間を把握できる権利が有るはずだ、なのに現状はどうだ?幸助一人置いてけぼりである、その怒りを一言に込めた積もりで有った、しかしその悲鳴に近い言葉は空音と名乗る女性の顔から満面の笑みを産み出した
「おぉぉ、流石面白い戦争を持ってきた依頼主だけ有って良い質問だねぇ!カラシニコフってのはミハイル・カラシニコフを筆頭に開発されたアサルトライフルだよ、この銃の魅力はねぇ何と言ってもこの外観でしょ、これぞ銃って感じだよね〜、それに頑丈だから多少乱暴に扱っても壊れない♪カラシニコフ銃とかカラシニコフ突撃銃って呼ぶ事も有るけどカラシニコフはカラシニコフだよね、どれだけ愛情を込めて呼ぶかが大切だと私は思うんだ、カラシニコフ万歳だよ!」
衝撃的だった…何が衝撃的だったかと言うと自分の必死の抵抗が無駄だったから…せめて何で銃が必要なのか聞きたかったのだが、どんな銃なのかを説明されてしまい、しかも銃の説明をまるで女性が好きなアイドルを説明するような否、オタクが自分の好きなジャンルを嬉々として説明するような、そうだ…オタクなんだよな、
「弥勒、村についたら起こしてくれ」
考えるのを放棄して幸助は再度目を閉じた
「また寝るの?やっぱ夢見は寝るのが仕事なんだね〜、おやすみ幸ちゃん」
弥勒の言葉は頭に入ってこなかった、いや違ういちいち反応しても仕方が無いこと
自分が夢見だと弥勒に話した事は無かったはず、
弥勒は何処まで知ってるんだ?
弥勒は何を考えてるんだ?
弥勒は本当に俺を守ってくれるのだろう…
幸助は夢を見た
これは本当にヒントなのだろうか
夢の始まりの内容は珍しく幻想的だった
綺麗な花が咲き誇り
まるで極楽のようだった
陶酔しきった自分に防毒マスクをした男が迫ってくる
それを切欠に色んな人の怒声が聞こえ始める
自分を探してるみたいだと幸助は気がつくも防毒マスクをした男に取り押さえられ記憶が途切れた
次の記憶はやはり山が燃えていて血まみれの口で誰かが泣いている
耳元ではじける鋭い銃声
そして完全に意識が落ちる最後の瞬間に落書きのようなイメージが頭に流れ込んできた
上も下も無い世界で足が地に根を下ろした人々が自然と対話をしながら生きていく
苦しみから解放された空間、人々が生を再認識するために行うものが祭り
熱さ、痛み、吐き気その苦痛となる全てが人々に生きている感覚を植え付ける
そして地に根をおろした人々は苦痛も苦しみも感じない日常に戻って行くのだった
そぅそれは丸で物語を読んでいるような夢だった
そして深い深い深遠の闇へ、友人の死の謎を解くのなら、嫌でも危ない橋を渡るのだろぅ
だったらせめて、その瞬間まで身体と意識を眠らせて休めようと幸助は思った
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2007/08/03(Fri)23:59:43 公開 / 鬼
■この作品の著作権は鬼さんにあります。無断転載は禁止です。
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■作者からのメッセージ
はじめまして鬼堂寺と申します
色々悩みながらここに投稿させていただきました
仕事の関係で旅行に夏休み期間行けなくなりそうなので
小説の中で旅行を楽しもうと思います
プチホラーな旅行です
皆様が読んでくださった後に旅行に行きたいと思ってくださったら幸いです
作品の感想については、登竜門:通常版(横書き)をご利用ください。
等幅フォント『ヒラギノ明朝体4等幅』かMS Office系『HGS明朝E』、Winデフォ『MS 明朝』で42文字折り返しの『文庫本的読書モード』。
CSS3により、MSIEとWebKit/Blink(Google Chrome系)ブラウザに対応(2013/11/25)。
MSIEではフォントサイズによってアンチエイリアス掛かるので、「拡大」して見ると読みやすいかも。
2020/03/28:Androidスマホにも対応。Noto Serif JPで表示します。