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『ムーンスターコンビ』 ... ジャンル:未分類 未分類
作者:クローズ
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あらすじ・作品紹介
星野優と、月島朱雀のバッテリーを二人の対照的な性格を小説で表しました。星と月でムーンスターという分です。
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単純に、打って、走って、守って…
そんな野球はつまらない。やるならもっと自分らしく
これが野球少年、星野 優の全てを表すものと言っても過言ではない
日園第二高校(ひぞのだいにこうこう)野球部
「カーブ!? ダメダメ。そんな単純な球はさ」
「じゃあ何だよ? シュート? シンカー?」
「俺はさ、誰も投げられないものを投げたいんだよ」
「ようするに、またあれ投げたいんだろ?」
「やっと分かったのかよ。大会までに仕上げないといけないんだから、気合入れて捕れよ!」
彼らこそ後にムーンスターコンビと言われる天才バッテリー、星野 優(ほしのゆう)と月島 朱雀(つきしますざく)である
「ふう… 実際完成しかけてるんだよな。優、絶対甲子園行こうな…」
「なんか言った? 集中しないと怪我するぞ」
「大丈夫だよ。そっちこそ、キレが無くなってきたぞ!」
「言うねぇ〜。朱雀! 見てろ〜!」
再び朱雀のミットに吸い込まれる優のウイニングショット
「うむ。今年は良い! 守り抜く野球が出来ているな!」
彼は村田監督。日園野球部を二十年見ているベテラン監督で、非常に保守的で、礼儀作法に厳しいのが特徴。本来なら優と対立しそうなものだが、上手くいっている。というのも、優の父親が学校の理事長であるため、何も言えないのだ。上手くいっている、というよりは、機嫌を損ねないようにしているとも見受けられる。
「明日は公明(こうみょう)高校と練習試合だ。各自、準備しておけ!」
「ウィス!!」
選手が一斉に返事する。この辺が礼儀絶対主義の高校球児といった所だろうか
「よし。先発は… 星野! 堅実なピッチングを心がけよ!」
「はいはい。ったく、監督は固いんだよな…」
「優、よせって」
優の言葉を良くないものと見るや否や、すぐに止める。バッテリーはこの対照的な性格から成り立っているのだ
翌日、監督から先発オーダーが発表された
「以上だ! 全員で守りぬけ!」
「ウィィス!!!」
「皆さん、熱いねー。俺がピシャッと締めてやるよ」
というやりとりをしている内、アッという間に試合開始の合図が鳴った
先発オーダー
一番ショート 真田
二番レフト 新山
三番ピッチャー 星野
四番キャッチャー 月島
五番ファースト 滝口
六番サード 中村
七番センター 高崎
八番ライト 宇治原
九番セカンド 布施
「プレイボール!」
試合開始。先攻は公明高校
「よっし。まずは初回、頑張りますか!」
余裕の優に敵チームの監督は薄笑いを浮かべていた
「全く… 所詮こういう奴は大したこと無い。さっさと決め…」
ズバーン!
「な…? 速い!」
「ストライクアウト!」
「ヘッ! 簡単に打たれてたまるか!」
「ちょっと待て、日園にこんな投手がいたのか!?」
驚きを隠せぬ敵チーム。試合は予想以上の事態を呈した
「七回終わって0対6? マズイ! 島野を出せ!」
監督の言葉に反応した一人の男。大柄で鋭い目つきが特徴である
「監督、見る限りは彼の球は直球だけ… 僕が打ってきます」
「そうか! 頼むぞ島野」
ここでアナウンスが流れる
「公明高校、選手の交代をお知らせいたします」
「交代? いや、今日の優ならどんなバッターでもいける!」
朱雀の確信は敵ベンチからの島野の気迫により、圧倒される
「七番、原田君に代わりまして、島野君」
「でかいな。まずは外側に一球…」
とりあえず朱雀のリードに従い、外側に一球放った
「ストライーク!」
見逃してきた。勿論一四〇キロくらい出ているのに、余裕で見送る。改めてただ者でないことを認識する
「もう一球、外。慎重にいこう」
また外に良い球が来た。しかし…
チュィーン!
「しっかり当ててきたな。しかし、次はインコースで終わりだ」
内側に一球。さらに優はスピードを上げる
パカーン!
「くそ! 俺の球に二球も当てやがった! しかも、良い当たりだ」
精神が乱れていく優を、誰もが感じていた
「落ち着くんだ! 一球外そう」
しかし、どんな球も当てられ、いっそう優の表情が曇る
「星野。その程度か… 次でスタンドに入れてやる」
相手は余裕の表情。優は精神が崩壊しそうな状態。まさに絶体絶命である
「まずい。優の状態が… 優! 六点差だぞ! 一発でも五点差だ!」
「そんなんじゃねぇ、初めてだ。こんな気持ちは。打たれる! それが怖いんだ」
「く… チームの皆も励ます様子が無い。かといって僕の言葉も意味ないし…」
「来い! 星野。俺が打ってやる」
「打たれる! どこに投げればいいんだ? 分からない。くそ!」
「ヤバイ。優の不安が極限状態だ。しかし、打開策はみあたらな…」
その時、朱雀の脳裏にいつもの練習風景が思い浮かんだ。あの球… きれいに決まったことなんか無い。この状況では危険すぎる。しかし、朱雀は決めたのだ。そう思ってタイムをかけ、マウンドに向かう。
「優、アレしかない。投げるんだ」
「アレ? 無理だよ。決まったこと無いじゃん。それなら、敬遠でも…」
「敬遠? お前は、そんな奴だったのか? そんな練習を積んできたのか? 違うね! まっすぐに、自分という信念を貫いてきたんだ! だから僕はついてきた。そして… これからも。」
「朱雀…」
「すみません。長くなりました。もういいです」
審判にそういうと、再び座る。しかし、もうマウンドにあの弱気な優はいない。
「朱雀。そうだよな! 投げるよ。宇宙で輝く星と月。ムーンスターボールを!」
次の瞬間、優からボールが放たれた。ほんの一瞬の出来事だった。月のようにホップし、その球は星の如く鋭く、優雅に宙を舞った。
「ゲームセット!!」
長い練習試合は、二人の天才によって幕を閉じた。しかし、これは甲子園の前の余興に過ぎない。ムーンスターコンビは、まだまだグラウンドを凌駕するのだ
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2007/01/29(Mon)22:58:09 公開 / クローズ
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■作者からのメッセージ
何分未熟なもので、全然直す点があると思いますが、温かいアドバイスや、感想をいただければ嬉しいです。野球をしらない人のため、専門用語を無くそうとしましたが、やはり難しかったです。分からない用語があれば聞いてください。とりあえず管理人様。この場をお借りさせていただきまして、ありがとうございます
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