『退屈という武器からは、誰も逃れられない』 ... ジャンル:ファンタジー 異世界
作者:寝緋魅                

     あらすじ・作品紹介
 退屈。それは、地位、名誉、何とも関係せずに、誰にでも、絶対に逃れられないこと。戦争と同じ。戦争だって、どうもがいても避けられない。 私は、退屈という武器に、開放されることは無かった。だから、私は――

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――T―― いろいろな人

 私、つまりルウという名前の私は、姫である。幼少時代、町へ出たとき、横を通ると「お姫様の生活、いいね。」とか、言ってくるけど、私は、「普通の生活しているの、いいね」と、問い返したくなる。いつもは、「そうですか?大していい事ないですよ」それで済ませる。
 私は、姫であるけど、本当につまらない、生活。外出ていいのは、日光に当たりに行くとき、それだけ。昔は、町へ出て行っても良かったのだけれど、隣の国では姫を盗み、金を目当てに脅す人が出てきた。
 だから私は、外の町に憧れた。普通の人に、憧れた。本当はいけないことだけど、押さえきれない、衝動。だから、私はやってしまったんだ。本当でも、もし、嘘だったとしても、言ったとしたら、いけない事を。世界中の何処の誰に行っても、いけない事を。

 此処は、ルウの居る町の、とある兄妹の居る場所。いわゆる、とある兄妹の、家である。
 辺りはもう日が昇っていて、いつもの風景になっている。もう、学生は皆学校へ行っていて、遅刻しそうな顔で走っていく人しか見当たらない。
「ねえ、まだ行かないの?」
「はは、ちょっとまってね。あと少しだから。」
「笑い事じゃないよ!本当に遅刻しちゃうよ?初日からこれでいいの?」
「大丈夫だって。睦は心配しすぎなんだよ。」
「阿ヰ真兄は遅すぎだって。もういい。私、一人で行ってるから。」
「ちょっと……」
 睦は、歩きながら、考え事をしていた。
 私は、いつだって単独行動をしていた。よく考えると、小学、幼稚園からかもしれない。グループ行動、と言うのは、実際学校ではしているが、作り笑いが多い。学校では、存在は濃い。皆から、頼りにされている。誰も、私の愚痴を言う人は居ない。と、友達は言う。でも、私は、そんなのを望んでいないと思う。私は、虐めとか、そういうのが好きではない。でも、やる人は、どんどん出てくる。止めることなんて、私が一緒に虐められて、相手が虐められなくなったときにだけ、初めて止められる。
 世の中なんて、どうせそんな道理なんだ。こう、一人で考えている時は、とても怖く思えるが、これは、私の中の話。外の私こそが、本当の私。思い込みであっても、そう、思いたかった。だから、私はいつもと変わらないで
「おはよう。元気してた!?今日さぁ、寝坊しちゃったんだよね。昨日、休みだったじゃん?だから、今日も休めたら……なんて思って!!」
「え!?睦が休んだら嫌!!」
「はは、よっぽどのことがないと、私は休まないよ!」
 此処は、いつもの教室。一人で、難しい考え事をしていた睦は、もう、何処にも居ない。

 此処は、この町の路地裏。一見、路地裏と聞けば汚いイメージがあるが、此処はそうでもない。ただ、場所がいいだけか、そういうことは、一切分からない。路地裏は、誰もが、入りたくない場所だからだ。
「おい、姫が逃げ出したそうだぞ。トペ、一緒に探して、大金を手に入れないか」
「悪ぃ、俺は、そういうことに興味はないんだ。本当に悪いな。アル」
 姫がどうのこうの、ってハナシが裏ではしてあるが、俺は実際、そんなことに興味はない。今、アルが話しかけて来たので、聞いたのは14回目だ。俺が興味のある事は、ほかの国にある、黒魔法の書。でも、この国から出るには、もの凄い努力をして、<通行所>を手に入れるか、悪魔に魂を売って、悪魔と一緒に、悪魔が居ることに苦しみを味わいながら、国の外に出、苦痛に耐え茂垣ながら一生を過ごすか。まぁ、誰もこんなこと、両方したくねーから、やんねぇけどな。俺は、維持でも外に出てやる。絶対に。でも、どうやろう……

 此処は、この町で唯一魔法が使える男の子が住んでいる家。
「陸……そろそろ……やめたほうが良いんじゃないかしら?今日も昨日も、やりすぎなんじゃない?」
「うん……分かったよお母さん。」
「分かったなら……やめたらどう?いつも言ってるけど、お母さん、魔法、あまり好きじゃないのよね。」
「うん……分かってるよ。一日に、耳にたこが出来るほど聞いてるよ」
「分かったらやめたらどうなの!?いい加減にしなさい!」
「五月蝿いなぁ!!だったら僕なんか生まなきゃ良かっただろ!?どうせお母さんには魔法のよさが分かるわけないよ。そんなに嫌なら、どっちかが出て行くしかないだろ?お母さんは幸せに暮らしていれば良いさ。<嗚呼……今日もアイツが居ないから、良いなあ!>って、のんびり言ってれば良いじゃないか。僕は、もう我慢できない。出て行くから。」
「ちょっと……そういう意味で言ったんじゃないのよ!!」
「アロケラ!!」
「ちょっと―「じゃあね、お母さん。どうか、お幸せに!!!」
 その声は、涙が混じっているのか、単に皮肉だったのか、本人でないと、分からない。
「嗚呼……どうしましょう……うぅ……」
 魔法使いが居なくなった子の部屋には、<お母さん>のすすり泣く、今にも消え入りそうな声が、ずっと続いていた。

 此処は、この町の城のすぐ近くの、路地。そこには、上品そうな服を着た、一人の少女がいました。
「私は、どうしてここにいるの?名前も覚えていない……どうしよう……」
 女の子は、とりあえず、近くにあるものを見てみました。どうやら、この国の言葉・文字は読めるようです。
 女の子は、順に、ポスターを見ていきました。
「エメラルドのお買い得……メロンはいかが……ロイター版はこちらがいいですよ……イルカサーカス!……アイスを買うならアイスマン……スイミングスクール……」
 女の子は、しばらくいろいろなポスターを眺めていました。そして、俯いて、考え事を、ほんの少しの間、していました。そして、ぱっと、顔を上げたとき、何かいい事を思いついた様な顔をしていました。
「私の名前、ポスターで決める!最初に読んだのは、エ メ ロ イ ア ス……
私の名前は、エメロイアス!でも本名と危険そうだから……エメ・アス!これに決めた!そうしましょう。私の偽名はエメ・アス」
 少女は、もしかすると、頭がいいのかもしれません。
 しばらくすると、少女はまた、当てもないまま 歩き出しました。

 その頃、城では、
「姫様が居ない!どうする?隊長!また、城下を探しましょう!」
「全く、どうしてこんな良い生活をしている人が逃げるのか、見当が付きませんね。どうしてしまったのでしょう。もっと沢山の応援を呼びなさい。そして、一刻も早く、姫を捕まえ、あの汚らしい町を好きにならない様、十分注意させなさい!」
「ハイ!!」
 この城の、隊長、エレナは、女性でありながら、短期間で隊長まで上り詰めた、とても凄い人。エレナは、今は亡き、元・この国の女王のプアルの写真を見つめていた。
「貴女も、沢山逃げ出しましたね。私は途中から入ってきましたが、ルウ様も沢山逃げ出しておりますよ。よく考えると、貴女様のおかげで、私は昇進できたのかもしれませんね。貴女様が沢山逃げ出してくれたからこそ、私は沢山移動し、上の方々に気に入られたのかもしれませんね。有難う御座いました。だから、私はあの時と同じ様に、ルウ様を、全力で見つけ出しますね。たとえ、この命、尽きようとも。」
 そういって、エレナは去っていった。

――U―― 出会い

 そのとき、エメロイアスは、裏路地を歩いていた。何せ、なにも覚えていないから、裏路地がどんな場所か分からない。その為、エメロイアスは、わけも分からぬまま、入っていた。
「うわぁ……なんだか、さっきと風景は違うわね。どうしてかしら?それに、なんだか薄暗いし、誰も居ないわ……」
「誰だお前ぇ?見慣れない顔だな……しかも、まだ餓鬼じゃねぇか。どうしたんだ?」
 エメロイアスに話しかけたのは幸運にも、先程の、トペだった。
「分からないんです。私も、どうしてここにいるのか。」
「そうか……だったら、俺と一緒に、町を出てみないか?」
「町を出るんですか?なんだか、面白そうですね。良いですよ。お願いします。名前、なんて言うんですか?私は、エメロイアス……」
「名前は覚えてたのか?俺はトペ。変な名前だろ?」
「いえ。私だって、自分でつけた名前ですもの。十分、変だと思っていますよ。トペさんの名前、とてもいい名前じゃないですか?」
「今は言い合ってないで、此処を出よう。エメ、腹減ってんじゃねぇのか?」
「エメ?何ですか?」
「エメのあだ名。長ぇから。」
「そうですね。行きましょう」
 こうして、エメとトペは、一緒に出かけることになった。この二人が会ったのは、この二人の今後の人生に、大きな影響を起こすことを、まだ、誰も知らなかった。
 そして、トペは、少しだけ、エメを、どこかで見たことがあったから、話しかけた、ということを、エメに隠していた。

 睦は、友達と一緒に、通学路を帰っていた。
「昨日の――あれ?あの子、どうしたのかな?」
 その一言で、友達は、全員、そっちを向いた。睦は、ただ、友達の高感度UPのために、その男の子のほうに向かっていった。
「うわー!!睦、優しい!やっぱり睦は凄いね。」
「そんなことないよ!!ただ、かわいそうなだけだから。」
 また、えらいね、という声がする。ヤッパリ、出向いたのは正解だった。
「どうしたの?こんな所で。座ってたら、服が汚れちゃうよ?」
「…………関係ないじゃん」
「でも、心配なの。」
「じゃあ、泊まるとこ、一緒に探して。」
「泊まるとこ……?でも、一人じゃきっとホテルの人も泊めてくれないから、私のうちで良いよ!真上におにいちゃんが居るけど……」
「分かった。……ありがと、お姉ちゃん。」
「どういたしまして。」
 このとき睦は、きっと一日すればかえると思っていた。でも、それはあたることは無かった。
 男の子は、何日経っても帰ろうとはしない。
「どうしたの?何で帰らないの?」
「……」
 このことに触れると、いつも何も話さなくなる。
「いい加減にしてよ!!」
 とうとう、睦が吹っ切れた。それは男の子もびっくりした。今まで、ずっとやさしかった彼女が、いつも起こらないから、ずっと同じ態度をとっていたら、いきなり……だったからだ。
「どうしていつまでもそうなの!?信じられない。彼方、本気で私がこんなに優しいとでも思った?私は、こっちが素、今までのは嘘なの。私は、こんなに優しいお人よしじゃないのよ!だから、いい加減教えなさい。何処から来たの?どうして此処に来たの?名前は?」
「……名前は陸。家から来た。家出した。」
「どうして家出したの?」
「…………何聞いても僕のこと嫌いに成らない?追い出さない?」
「うん。だから教えて」
「僕は、生まれつき白魔法と黒魔法が使える人で、お母さんが魔法が嫌いで、いろいろもめて、喧嘩になって、ランダムでどこかにいける呪文を唱えて、此処に来た。だから、何処でもお母さんから離れられれば良かったから、別に此処じゃなくてもよかった。ただ、魔法で来ただけ。」
「へぇ……魔法って、本当にあるんだ。」
「信じてくれるの?」
「だって……辻褄合うし……」
「有難う。さっき、怖いのが素っていったけど、絶対お姉ちゃん優しいよ。名前、なんていうの?」
「睦。なんか、男の子みたいな名前でしょ?」
「ううん。大丈夫。」
 睦は、一人暮らしの家から、二人暮らしに変わった日だった。

 人は、どうして、こう自分しか責めないのだろう。もちろん、私だって他人を攻めたことは無い。高感度をあげるためには、そうできなかった。今までは。でも、今は違う。自分の気持ちに、正直になれる。それも、すべて陸のおかげだ。もう、私を<いろいろなことが出来て、頭の良い、優しい人>と思っている人は、友達なんかじゃない。ただの、クラスメイトだ。私を<友達>と思ってくれる人で無いと、私は、もう、友達とは思わない。
 そうだ。紹介しようか。「私の一番の友達。」いや、親友、かな。名前は、陸――――

――V―― 企み

 此処は、外の世界に一番近い、通行書を見せて外に出ることの出来る場所。名前を、エリナスという。場所は、誰も居ない、町外れのような場。ゴミも散乱してあり、血痕の後のようなものもある。よく見ると、白い固い石のようなものも落ちている。もしかすると、骨かもしれない、という予想もつく。とにかく、誰もが、寄りたくないような場所だ。
「嗚呼……今日も誰も来ないな兄弟!!」
「そうだね兄弟!!」
 人気のないエリナスから、同じ様な声が聞えてくる。反響しているから、1人で言っているのか、2人で言っているのか、よく分からない。
 だが、やはりそこは、汚い場所でしかない。
「誰もが、通行書を探しているんじゃねえのか?そう思わねえか兄弟!!」
「俺も同じ事を考えていたぜ兄弟!!」
「「やっぱ俺らってサイコー」」
 ギャハハハハ、という声が、また、反響している。今の会話で2人で話しているものだと思われる。
「通行書なんて、名前だけなのにな兄弟!!」
「あるわけないのにな兄弟!!」
「毎日必死こいて、全員が全員、探しているんだろうな兄弟!!」
「そうだったらめっちゃウケるな兄弟!!」
 ギャハハハハハハハハハハハハ という声が、ずっと聞えていた。
 汚いゴミ山の中で、ずっと、途絶えることなく――――

 エレナは、なるべくなら、自分で姫を探し出すことは、したくなかった。なぜなら、自分の意思で、「御免なさい」と、言える人になってほしかったから。連れ戻したとなると、自分の意思関係なく、強制的なので、「御免なさい」は、嘘でも言える。それは、自分で帰ってきても嘘で御免なさいはいえるが、自分で帰って来るとなると、城にいない辛さが分かるはずだからだ。
 でも、エレナの期待は、永遠に、叶うことはない。
 エレナは、信用する部下が居た。何でもテキパキやるし、屁理屈など言ったことがない。名前はエドラ。女性です。また、エレナは、エドラに対し、自分に近いものを感じていた。女性でありながら、短期間で、自分は隊長に、エドラは上等兵に。まだ、入ったばかりだから、さらに昇進するという噂があった。
 エドラは、エレナを、とても尊敬していた。
 それは、エレナを、隊長としてではなく――――

――W―― 出会い

 トペは、常日頃から、情報を仕入れるために、図書館へ行っていた。どうして図書館かというと、無料で入れて、いろいろなことが出来るからだ。大して無い金のことを考えると、そうするしかなかった。
 パソコンを調べるうちに、新聞である重大な事を見つけた。それは、自分にすると、ありえないほど、うれしいのか、悲しいのか、分からないものだった。見出しはこう。
「○×町の 唯一白魔法、黒魔法が使える 男の子 脱走」
 トペは、黒魔法が常日頃からやりたいことだったから、居場所を見つけようかと思った。見つければ、もちろん大金が手に入るが、そういう問題ではない。黒魔法を教えてもらえる、ということだ。
 今から早速行こう、と思ったが、駄目だ、と意見を切り替えた。
 今の住処には、エメが居るのだ。あんな、12〜5歳位の女の子が、長旅に付き合えるはずが無い。自分は、まだ20だが、お金が無かったため、いろいろな所を歩き回った。だから、嫌と言うほど体力と精神力は付いている。
 ―エメに話してみようか―
 甘い考えが頭を過ぎる。駄目だ、自分の野望や夢のために、女の子一人分の命を無駄には出来ない。同じ新聞で、見出しが出ていた。
「この国の皇女、ペットランド・ルウ姫逃げる」
 また、誰かが逃げたのか。そう思って、先ほどの問題を忘れようとしていると、もっと重大なことを見つけしまった。さっき、甘い考えに負けて、図書館を出ていたほうがましだった。内容は
<先日いきなり城から消えたルウ姫は、現在行方不明。まだ、場所が分からない様子。町の者によると、ルウ姫らしき女の子が路地裏に入っていった様子。ただ、服に少し違いがある。本当に姫なのか、見間違いだったのか。路地裏に入っていった女の子は、誰かと話していた様子。
 ルウ姫は、両親共々居なくて、途方に暮れてしまったのかもしれない。
 ペットランド・プアル女王は、一年前に何者かに殺害されて死亡、ペットランド・アル国王は何者かに連れ去られて消息不明。現在も何処に居るかは分かっておりません。少ない可能性にかけて、お父様を探しに行った、という噂も早くも流れております。>
 そんな……どうして……路地裏と言えばエメとあった場所じゃないか。しかも、エメが入ってすぐに、話しかけたことも事実だ。
 もしかしたら、エメが、ルウ姫なのか……?
 どこかで見たことあるといえばあるが、くそ、どうしてルウの写真が載っていないんだ……くそっ。もし、父を探しにいったんだとしたら――――
 もういい。俺は、エメを連れて、この町を出る。ほかの町に行くしかない。

 そして、俺は住処に行ったと同時に、エメを連れて行ったんだ。エメは、まだ、幼いというのに、エメにはまだまだ早すぎる、闇の世界へと、引きずり込んでいってしまったんだ。
 エメ、ごめん。俺が――――
 とりあえず、魔法の少年を探すフリでもしてれば、怪しまれないかな。エメは、頭が良いから。あって間もないというのに、もう、知恵を借りている。
 俺は、なんて無力なんだ。なんて、非力なんだ――

「そろそろ、家に帰ったら?お母さん、心配してるんじゃないの?」
「……いいの。お母さんは、僕を嫌いなんだから。」
「そうやって、お母さんの気持ちを勝手に決め付けることしない」
「だって……いつも、僕に怒ってばっかりなんだよ?」
「それは、いつも陸を心配していたからだって。いつも、魔法いっぱいやっていたから 注意したんでしょ?よく考えてみなよ。そんで、よく思い出してごらん。例えば、自分が何時間も魔法やってたときだけ怒ったとか……ね?」
「うん……」
 それから陸は、部屋から丸一日出てこなかった。たまに、うめき声が聞えた。

 明日、陸は、家に帰る、といった。でも、悲惨な出方をしたし、ずっとお世話になってたから、一緒に来てっていわれた。学校は、サボることにした。イケナイコトだけど、親友のために、仕方なく、だ。電話もした。風邪だ、って。
 私は、正直、うれしいのか楽しいのか解らなかった。それは、親友が家に帰って、お母さんと仲良く暮らすのは、毎日願っていたことだ。でも、私は、普通に生活して行けるだろうか。絶対に、イキケはいけない。だって、いつもご飯とか量多く作っちゃいそうだし、布団だって二枚しいてないと安心出来なそう。
 どうしよう……
「どうしたの?睦?僕……何かした??」
「え?」
 築くと、私は涙を流していた。どうしてだろう……
 ――強引にでも帰すなよ―― ――帰した方が良いんじゃない?だって、陸の幸せのためなら――

「ううん。なんでもない。玉葱が眼にしみただけ。」

 天使と悪魔――本当に考えると出てくるよね。どうしたら良いの――

 次の日は、容易く来た。誰も、今日がどんなことが起こるのか、まったく予想もしていない。たとえ、今日、交通事故で死ぬとしても、会社で昇進するとしても、誰も、そんなことは、「願望」でしかない。後は、「こんなことがおきませんように」という、願い。やはり、願望でしかない。「予想していない出来事」が起こる事だって、ある。ただ、「奇跡」なんて有る訳がない。だから、私は「奇跡」は、頼らなかった。どうしても、どうあがいても、奇跡なんて無いことを知っているのは、私だから。今まで、奇跡なんて無かったんだ。奇跡は、自分を不幸にするためにしか、無いものなんだ。いつも、そう思う。だって、両親が死んだのだって、「奇跡」が起きてくれなかったんだから。もし、「奇跡」が有ったのなら、それは、両親を殺した、トラック運転手が生きていたことくらいだろう。結局、どうしても、「奇跡」は無いのだ。
 だから、私は、「願い」も、「奇跡」にも助けを求めず、ただ、自分に助けを求めた。
 結論は、「陸が決めたんだから」
 そう。それで、おしまい。私は、これからどうやって生きていこうか……陸がいない、この世界で、どうやって、生きていこう。だったら、陸の居る町に、引っ越そうか。ストーカーに思われるかな?嫌われるかも。フフ……いっそのこと、死のうか。自殺?どうでも良いけど、死ぬなら、安楽死が良いな――

 と、くだらないことを一人で考えていると、突然、光に部屋が囲まれた。
「何!?何なの!?――」

 そこで、睦は意識を手放した。
 最後に言った言葉は、人の名前だが、陸では無かった。それ以上は、何も――


 光が消えた後、睦の部屋には、誰も、居なかった。

 誰も。





「いったぁ……ここは何処なわけ?あたしを此処に連れてきた奴誰だよ!?出てこいよ?」
「やっとお目覚めですか?目覚めの悪い姫さまだ事。」
「誰?何が目的なの?身代金?悪いけど、私両親いないよ??」
「そういうことではない。陸 に一番近い存在が、お前、だったからだ。」
「は?」
「だから、我々【クリケプチ】という組織には、陸の存在が必要なのだ。」 

2007/01/06(Sat)19:06:33 公開 / 寝緋魅
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■作者からのメッセージ
まだ書き終わっていない、途中物です。御免なさい……
今後、いっぱい増やしていく予定です。
初めて書いたので、まだまだな所が沢山ありますので、いろいろ教えていただけると光栄です。
単純なハナシなので、先が読めてしまうかと思いますが……Orz
では……

作品の感想については、登竜門:通常版(横書き)をご利用ください。
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