『僕と私と僕は犯人』 ... ジャンル:ショート*2 ミステリ
作者:Town Goose                

     あらすじ・作品紹介
僕は麻薬などやっていない。しかし、僕も私も僕が麻薬をやっているという。だから、僕は麻薬などやっていなかった。(犯人の日記)

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 日記、   私

 面白い小説を借りて読んだ。最後のあとがきのところに「空白はメモ帳に使ってください(笑)」などという文章が残されていた。
 無論、私は書き込んだ。びっちりと。
しかし、それを僕に返すと何故か私は殴られたのだ。憤慨する。この作品を最後まで彼は読んでいなかったのだろう。
 そんなおっちょこちょいな僕だが、その本を返した翌日よからぬ噂を聞いた。なんでも僕が麻薬に嵌っているとかなんとか。麻薬と言うものがどういうものなのだか私は知らないが、とりあえずそのことをそれとなく注意しておいた。

日記、   僕

 今日、私に貸した小説が戻ってきた。私は面白かったと言っていた。僕の買った小説の中でも素晴らしい作品だったと思っている。しかし、なんということだろう、その最後に落書きがされていたのだ。僕は憤慨し、私をたたいた。
 翌日、僕は私にこんな話をされた。「麻薬はやめなさいよね。危ないらしいわよ?」なんのことだろうか、僕はそんな話は知らなかった。

日記、  僕

 今日、僕が貸した小説が戻ってきた。僕は面白いと言って、僕はつまらないといった。ただ、私の起こした事件はかなり笑えるもので、僕は彼女を叩いた僕に注意をしたかった。僕はユーモアというものをもう少し勉強するべきだ。しかし、どうやら僕は私に麻薬をするな、と注意をされたらしい。だが、僕は麻薬をしていない。では、私の言っていることはなんなんだったのだろうか?私の聞いた噂とは、誰から聞いた噂だったのであろう。

日記、  私

 今日、僕から「僕は麻薬なんてしていないよ」というメールが届いた。なるほど、たしかに僕は麻薬をしていなかったようだ。でも、私は正しかった。きっと僕はちゃんとこの作品を読んでいたのだ。そして僕は麻薬をやっていた。でも、私に麻薬と言うものはいまひとつどういうものなのか分かっていない。でも僕は私を叩かなかったのだから、そんなのは些細な問題なのだと思う。

日記、  僕

 私からメールが届いた「僕が麻薬をやっているならやめたほうがいいよ」何度も言うようだが、僕は麻薬などやっていない。しかし、どうしたものだろうか。私は新しい本を僕に渡した。すぐにその本を読もうと思ったが、それはかなわない。僕は数日後にその小説を読むことにした。お返しとばかりに僕は本の最後に落書きを。
 だが、それはシッパイだった。僕は私に叩かれた。いいさ、別に僕は叩かれない。小説をちゃんと読んでいたのだから。

日記、  僕

 昨日、私に僕は叩かれなかった。だが、僕は叩かれた。
 そして、今日、僕は重大な事実を知った。なんと、僕は麻薬をやっていたのだ。悲しくなった。なぜ、僕は麻薬などやってしまったのだろうか。悔し涙があふれてきたが、どうしようもなかった。私は麻薬がどういうものだか分かっていないらしい。はやく、僕を止めなければ=B


日記、  僕(犯人)


 僕たちの回答
 僕から僕へメールが来た。でも僕は麻薬をやっていない。
僕と私は麻薬をしている奴をやっとわかったらしい。だから僕はやっと自由になれる。最後に皆さんに聞かなければ。麻薬をやっていたのは誰だろう。
 もしや、私が麻薬をやっていたのだろうか?
 もしや、僕が麻薬をやっていたのだろうか?
 もしや、僕が麻薬をやっていたのだろうか?
 犯人は3人のうち誰かだ



―――だけど、どの日記も、ウソは書いていない




2006/04/07(Fri)03:34:36 公開 / Town Goose
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■作者からのメッセージ
どうも、ショートGooseです。この作品は規約に引っかからないかびびりびびり投稿したのですが、もし駄目ならば紅堂さんに謝らなければ(汗
 さて、この「僕と私と僕は犯人」ですが、胸の辺りがむかむかしてむず痒くなれば自分の狙い通りです。そして、なんだこれ?削除対象作品じゃね?と言われたら見事自分の狙いははずれています。
 犯人は一人、回答は一つしかございません。ショートショートゆえの遊び心と挑戦、ご感想をお待ちしております。

作品の感想については、登竜門:通常版(横書き)をご利用ください。
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