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『現代蜘蛛用語』 ... ジャンル:リアル・現代 ショート*2
作者:rathi
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――世間は、ちょうど蜘蛛と蝶々の関係にある。
皆さんは蜘蛛を知っているだろうか? 読めないのなら失敬、『クモ』を知っているだろうか? あの八本足があって、木々やら家やら所構わず巣を張る輩のことだ。
冒頭でも告げたとおり、世間はちょうど蜘蛛と蝶々の関係にある。弱肉強食という意味ではない。蜘蛛という生態と蝶々という生態の違いなのだ。
最初に蜘蛛を説明しよう。
蜘蛛とは、知ってとおり肉食である。巣を作り、そこでジッと獲物を待つ狩人なのだ。
次に蝶々を説明しよう。
蝶々とは、知ってのとおり菜食家(ベジタリアン)である。幼虫の頃は葉を喰らい、羽ばたく頃には蜜を吸う。
違いは何か?
簡単に言えば、捕食するモノと捕食されるモノ。肉を喰らうモノと葉を喰らうモノ。羽ばたくモノと羽ばたけないモノ。そんな感じだ。
これでは少々分かりづらい。だから、例え話をしよう。
もっとも分かり易いのは、蜘蛛が政治家で、蝶々が農民という例えだろうか。
なぜ蜘蛛が政治家なのか?
それについては、まず蝶々から説明しよう。
蝶々とは、前述にも書いたように幼虫の頃は葉を食べて成長する。これを農民に例える、大根飯かお米ということになる。やがて成虫になり、都会を目指して彼らは育った元を飛び立つ。甘い甘い、蜜を求めて――。
さて、今度は蜘蛛の説明をしよう。
蜘蛛は、その種類にもよるが生まれたときから蜘蛛の姿で生まれてくる。そして、これも種類によるが生まれてすぐに母親を喰らうという。別に政治家がカニバニズムというワケではない。単に蜘蛛の生態の話なので、この辺はあまり気にしないで欲しい。それから成長し、彼らは巣を張る。これは、税金ともとれる。なぜか? 彼らは日本のためだ日本のためだとよく謳ってはいるが、結局は自分達の保身のため、自分達の『エサ』を確保するための常とう手段なのだ。そしてその『巣』に引っかかった『蝶々』達は、哀れにも『蜘蛛』達のエサになる、と。
これだけなら、単に弱肉強食の話だろう。しかし、まだ続きがある。
蜘蛛の話を続けよう。道路は蜘蛛の巣のようだと例えたミュージシャンが居る。多分、まるで蜘蛛の巣のように張り巡らされているという意味合いで使ったのだろう。しかし、もっと面白いことに気がついたのだ。道路を作るのは誰か? 工事現場のオッちゃんという答えは無粋なので止めてもらいたい。そう、政治家だ。細かく言えば、道路公団なのだが。
もう一度蜘蛛の生態に戻ろう。
蜘蛛は、エサを捕獲するために蜘蛛の巣を作る。そして、捕獲したエサを食べてその蜘蛛の巣を作るのだ。皮肉なことに、蝶々という犠牲があるからこそ、蜘蛛の巣(道路)は作られているという結果になる。ただ、蜘蛛の巣を作る理由は何もエサを捕獲するだけではない。自分達の生息範囲を広げるために(移動するために)作っているという話もある。事実、まるで映画スパイダーマンのように空を飛ぶ蜘蛛も居るそうだ。もっとも、一生に一回とかそのぐらいらしいが。
さて、こんな話をしたが、ある矛盾点が生まれてくる。それは、蝶々も巣(道路)を使っているということだ。
蜘蛛は、エサを保存するという知恵がある。平たく言えば、非常食なワケだ。これを念頭に置き、次の文を読んで欲しい。
蝶々は自分の羽を使ってあらゆる場所に行くことが出来る。しかし、それは昔の話だ。現代の蝶々は、自らの羽で飛ぶことを止めてしまっているのだ。早い話、自らの足ではなく車を使ってという意味なのだが。昔の蝶々は自らの手で、自らの羽で自分達の領地を開拓していった。しかし今では、蜘蛛があらゆる所に巣を張り巡らし、それすらも出来ない有様だ。代わり蜘蛛は、巣の中でなら領地を開拓していってよいと言った。蝶々はそれならと了承し、偽りの領地開拓を今でも続けているのだ。その度に自分の血肉を喰われ、やがては朽ちていくということも知らずに……。
他にも例え話はある。
蜘蛛が会社で、蝶々が女優。
蜘蛛が白人で、蝶々が黒人。
蜘蛛が大人で、蝶々が子供。
蜘蛛が出版社で、蝶々が小説家。
蜘蛛が宗教で、蝶々が信者。
蜘蛛が医者で、蝶々が患者。
最近では、新しい巣も出来上がりつつある。もっとも範囲が広く、もっとも巨大な巣だ。
蜘蛛が管理者で、蝶々が登録者。
蜘蛛が女達で、蝶々が男。
蜘蛛が作者で、蝶々が読者。
――蜘蛛の巣は今も広がり続けている。世界を一周しても飽きたらず、今度は何処へと生息範囲を広げようとしているのだろうか……?
【了】
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2005/11/08(Tue)18:23:25 公開 / rathi
■この作品の著作権はrathiさんにあります。無断転載は禁止です。
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■作者からのメッセージ
ども、突発的にSSを書いたrathiです。
ほとんどSSは書かないので、私的にも珍しく思います。
さて、なんでか知らないけれど昨日の深夜、寝る前にボケーとしていたらこれが思い浮かびました。
私の価値観や思想が強く出ているので、受け付けないに人には受け付けないだろうなぁーと思ってみたり。
最後の「蜘蛛が〜」は分かる人には分かるかと。こんなの分からねぇよ! という方は遠慮なく感想の所に意味が分からないのを書いてください。持ち前のスキルである、裏話をたっぷりと説明致します故……。
ではでは〜
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