『ナナナン星人の異常な愛情。または如何にしてナナナン星人を心配するのを止めシチューを愛するようになったか。5%直したよバージョン。』 ... ジャンル:未分類 未分類
作者:トロサーモン                

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 前説 

この作品は作品集9のカレーの歌の続編でありますの、それを読めばもっと楽しめますが、ストーリーは全く繋がっていないので、これ単体でも読める事は読めますよ。
 


「カレーかシチューかッて聞かれたら、俺はシチューって選ぶね。何故って?うまい以外に理由はあるのかい」―――スプーン無き戦い。組長代理戦争より
 
「何でか知らへんけど、一人で頭の中で喋ってたら、何か悲しくなってきてなあ。ほんま何でかしらへんねんで」―――井上トモキ著 ネジ式カフェより

「Donnnnnnnnnnnnnnnnnnnn’t!!!」映画SAWより。
 


 ある朝の事。僕は家で寝ていた時、まだ彼女は飲み会から帰ってきて無くて。外は痛いぐらい晴れていた。街では、アメリカからの留学生ケビンが自転車のチューブに空気を入れていて。その街の、とある高層ビルの13階のとあるIT会社では、そこに勤めている佐藤が椅子に座った瞬間突然、隣りに座っていた、上村は手に謝って画鋲を刺し、十三日の金曜日に出てくる人のような叫び声で叫んでいる時。街の真ん中のとある広場で、青年が女性に告白をし、成功して2人は幸せな気分に浸っている頃、その真裏にあるコンビニでは強盗事件が発生し、犯人が銃を構えていると、後ろの客がその犯人にタックルして犯人が怯んだスキに犯人を捕まえている時。とある病院の一室では赤ん坊が生まれ、とある一室では、おじいさんが89年の生涯に幕を閉じた時。ナナナン星人が僕の家にやってきて、ドアにノックしだしたのだ。
コンコン





ナナナンの異常な愛情。または如何にしてナナナン星人を心配するのを止めシチューを愛するようになったか。

 


 ナナナンと名乗るタコみたいな体をして、頭は三角形で、目はドングリまなこで、口はへ文字で、やたらと敬語を使う、自称宇宙人が家にやってきたのはついさっきの事だった。僕がドアをドンドンと叩く音で布団からはい上がり、ドアを開けると奴が立っていたのであった。
「こんにちわ」そいつは僕に向かって喋りかけてきた。声は柔らかい声で、擬音で喩えれば、ほにゃへにゃふにゃむにゃ声である。
 僕も寝起きだから「おひゃひょうごじゃいまじゅ」と言ってしまった。こっちの声は何だか物で喩えれば、スライムである(ドラゴンクエストじゃないよあの黄緑の何かキモイ方)。
「あの、ご飯くれませんか?」と奴は突然、僕にそう言った。奴のからだを僕は見る。足が9,10本ぐらいある、それをくねくね、にゅるにゅる動かしながら、僕に問いかける。
 僕は頭を掻きながら、「今、晩ご飯の残りのシチューしかないねんけど」と言った。
 奴は「あっ、お願いしますわ」と言った。

 奴は僕に自分の名前はミヒャエル・シューマッハ・ナナナン・二世と言った。ナナナン星から来て、おなかが空いたので僕の家に来たとかどうとか。
 僕はその話を聞きながら、シチューを煮込んでいた。くるくる、ぐつぐつと煮込む、回す。シチューの表面が泡立つ。いい匂い。
 あれ、そう言えば、彼女は何処へ行ったんだ?まだ仕事か?いやどこかで飲みつぶれてるかもしらへんしな。この前は、警察署の前で飲みつぶれてたな。じゃあまた僕が引き取り人?うわ、マジでめんどくさいなぁ。しんどいな。くるくる、ぐつぐつと煮込む。
「ナナナン星では今、選挙をやっているんですよ。ナナナン星は結構狭いんで、なんせ、大陸が一つしかないもんですから。それでも昔、内戦があったんですよ。まあ、その時はまだ生まれてないですけどね。ナナナン」
「ナナナン星って何処にあるん?」
「宇宙の果てです。まだまだ。先です。多分、結構遠いですよ。本当に遠いんですよ。ええ。びっくりするくらい。宇宙船でも一週間かかりましたから相当遠いですよ。そうだ!」ここでナナナン星人は手を叩いた。しかし手がにゅちゃにゅちゃしているのでパンと叩いてもにゅにゃと湿った音しかでず。しかも手を離すと何かが糸を引いている。にゅにゃーと。にゅにゃーと。
「宇宙食食べてみます?ナナナン」
 僕は頭で変な異星人から宇宙食を貰う事についての危険性を考える。

 僕の癖についての話。僕の癖は頭の中で一人で喋る事である。

 僕の頭の中。
 会議

 僕の頭の中には7人いる。
僕「これから会議をします。あの宇宙食食べてもええと思う人」
3人、手が上がる。
僕「じゃあ何で食べてええか言って下さい」
一人目。
一番ヤンキーな僕。
「いや。やっぱここは男気ッしょ」
一番プラス思考な僕。
「まあ、喰うて不味かったら吐いたらええやん」
一番凶暴な僕。
「喰う?いや貪りつけ。宇宙人をくっちまえ」

僕「じゃあなんで手を挙げなかった人は食わないか言ってください」
一番幸せな僕
「食べて腹壊したら、あかんやろ〜」
一番、マイナス思考な僕。
「十年前にあったやん。賞味期限切れのコーラ飲んだ時みたいになるから止めとき」
一番、知能派な僕。
「仮にも、宇宙人ですよ。手から粘液ですよ。もしかしたらそれで殺そうとしているかもしれないんですよ?分かっていますか?」
一番、目覚ましテレビに出ている二本足で立つ白ネコみたいな僕。
「あのねあのね。今日ねボクの家にね。宇宙人が来たのニャ〜。しかも、ご飯も進めているのニャ〜。怖いのニャ〜。しかも天井のシミも顔にみてきたのニャ〜。怖いニャ。」

僕「多数決により、食べない事にします」
食べるの賛成派からヤジが飛ぶ。
食べんの反対派から拍手。
 
 現実に戻るぜ。

 時間にして5秒間の現実逃避が終わった後、僕はナナナン星人にこう言った。
「あの〜。やっぱり喰うのは止めといていい?」
 ナナナン星人は黙る。
「…どうしてもですか…」

頭の中の住人カモン!

僕「えーとこういう場合、何て言えばいいんでしょうか、一番幸せな僕どうですか」
「……うん。無理」

OK。それで行くぜ!

 「うん。無理」僕はそう言いながらシチューをコツンとテーブルに置いた。時計の針は10時を刺している。ナナナン星人は僕の顔をずっと見ている。コツコツと時計の針が進む音だけが響きわたる。
 コツコツコツコツ。聴きようよればッグッグッグッグとも聞こえる。ギュッギュッギュッギュッギュとも聞こえる。
 ナナナン星人は僕のシチューに手を付けた。じゅるじゅっじゅと飲んでいく。そして全部飲み干すと、僕にこういった。
「お前、こんなもん。シチューっていわねえよ!」お椀を僕に投げつけた。次の瞬間、お椀は僕の額に当たり、お椀は割れ、僕は額から血を流しながら倒れた。あれ、俺何で怒られてんの?えっシチューってアレで合ってるよね?うわーん。やべえよ。かなりナナナンさん怒っているんですけど。
 ナナナン星人の怒りっぷりはすさまじい物であった。僕は頭を押さえながら、ナナナン星人にごめんなさいと言い続けている。
「オメエなんだオラ!」そう言って奴はテーブルを蹴飛ばす。テーブルは一瞬にしてただを木片となった。
「オメエ!なんやあれ!あんなもんシチューじゃねえんだよ!ただのミコロプリスグリテインじゃねえのかよう!」
 ミコロなんやそれ、ミコロって何?僕の脳みそがミコロから始まる語句を検索中である。
「それに何だよあの態度!お前、いい加減にしろや!」相変わらず柔らかい声だがそれがかえって今では怖い。怖い。マジホンマすいません。僕はあわあわあわあわと口を開けて叫ぼうとする。しかし恐怖の余り声が出ない。
「異文化交流だろうが!NOVAだろうが!この日のためにどんだけ頑張ったと思っているんだこのびふはさいいっじいいいじさじ!!」
「ほんまにごめんなさい。そんなにお気に召さないとおもわかったんです」
「死め」奴は死ねと言わず、死めと言った。そこにどんな意味が秘められているのだろうか分からないが、奴はそう言った。そして僕に妙なプラスチックの筒を僕に向けた。それはお祭りとかで売っているような銃だった。
「あわわわわ。ほんまにちょ、ほんまにちょ、ごめんすいません。いやマジですこれ冗談じゃなかとです。いまやじまじまじ、こちょ、ごめめんごめん」僕は何度も噛みながらそう言った。しかし銃口(とんがっている。マーズアタックでこういう銃が出てきたような気がする)は僕の方を向いている。
「あああわわわわ!」
「ぴすこるふふはま!」奴は叫んだ。その時、ガチャとドアが開いた。
「ただいま〜」そう言って彼女が帰ってきたのである。いつものようにロックフェスのようなTシャツを着て、頭にはまだバイクのヘルメットをしているけど、帰ってきたのである。
 俺は思わず叫んだ。「今こっちにくんなー!」
 ナナナンは銃口を彼女の方に向けようとしている。
 彼女は状況が読み込めず、半分口が開いている。
「ドオオオオオオオオオオオオンント!!!」僕は映画SAWのラストシーンのように叫んだ。何故かこのセリフが口から出たのである。
 ナナナンは引き金を引こうとしている。僕は決死の覚悟でナナナンに飛びつこうとした。その時である。突然ナナナンが奇声を発した。そして。爆発した。
 爆発というよりかは破裂である。
 そんな事はさておき。ナナナンの内蔵はそこら辺に飛び散ったのでした。
 彼女はまだ口が半開きだった。僕は奴の血を沢山浴びていた。
 彼女は僕に向かってこう言った。「これ?冗談?」
「いや、宇宙人侵略物」


 1週間後の話。

 ナナナン星。

 とあるナナナン星人はこう言った。
「地球に報復しに行くのさ」

その頃ナナナン星からは何千の灰皿型円盤が飛び立っていて、地球に地味に向かってきているのであった。

THE END?


 


2005/08/19(Fri)02:46:07 公開 / トロサーモン
■この作品の著作権はトロサーモンさんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
やってもうた。初めて勢いに任せて書いたら、麻薬でもやってそうな小説になってしまった事をここでお詫びいたします。いや、麻薬やってないよ。ちょっと気分が高ぶっていただけです。絶対書き直すと思う。ラスト急すぎるのはすいません。と言うかこれは続編です。タイトルはキューブリックの映画のオマージュ。ちょっと精神的に高ぶっているとこう言うのを書きたくなったんですわ。
実験作ですけど。どうっすかね。個人的には大満足です。
何か誤字、脱字、等が見つかりましたらお知らせ下さい。感想があれば、下の感想フォームへ。でわ。


今日の一曲
アナーキー・イン・ザ・UK
セックス・ピストルズの名曲にして、パンク史、ロック史に残る大名曲。今聞いても感情が高ぶる。大好きです。この曲。


まだまだ直します。

作品の感想については、登竜門:通常版(横書き)をご利用ください。
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MSIEではフォントサイズによってアンチエイリアス掛かるので、「拡大」して見ると読みやすいかも。
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