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『赤いネイルをいますぐはがせ』 ... ジャンル:未分類 未分類
作者:るり
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赤いネイルをいますぐはがせよ
おまえの、その手の先にある目に悪い赤いネイルをいますぐはがせよ。
あなたの、その目の先にいる知らない女をいますぐ見えなくしてちょうだい。
赤 い ネ イ ル を い ま す ぐ は が せ
はやくしろ 空が燃え尽きる前に、だ
空 は 二 酸 化 炭 素 で ど す 黒 く 燃 え る。
知っているか。その燃えた煙が立ち昇って空の青をつくるということを?
だから今日も空はどす黒く燃えるあなたと車が出す二酸化炭素でそして青を作るの空の青を。
「この次、アヤになんかしたら おれ、おまえを許さないから」
アヤに当たるんだったらおれに当たれよ。 とか言い出すものだから
ああ わたしは、
そこまでその後ろにいる女をかばうあなたを見たくなくて。
あなたの細い指がわたしの首に回ってあなたはすこしだけ力を入れた。
息が苦しい、 これはきっと彼がわたしの首を絞めてるだけが理由じゃないはずだ。
だから思わず目を閉じた。 どす黒く燃える空が風をわたしに吹き込む。
ぬるりとした生暖かい風と風と風と風と風と風と風と風と、
ああ 気持ち悪くて 吐きそう。
「わたしも、」
わたしはよろよろする脳をふりしぼってあなたを見る。
そしてあなたは後ろにいる女を心配そうに見ながらもわたしの言葉に耳を貸す。
「わたしも、あなたを許さないよ」
体は心よりも正直で、
わたしの指は彼の首を絞めていた。
至 近 距 離 。 ほら あなたの息がかかるぐらい。
あなたの赤いネクタイが見える。白い制服も見える。
ネクタイに示唆してわたしのネイルも見えた。
赤いネイルはまるで血かと思うほどの色合いで、
彼の首から血が出たんじゃないかとわたしは本気で心配した。
「わたしは、あなたがわたしを好きだと思ってたよ」
彼は今日初めてわたしの目を見る。彼の黒い目が、そう、カラスのように黒い目が。
「いまはおまえを好きじゃない 」
あなたの率直な言葉にわたしは戸惑って心臓が跳ね上がった。
好き、だの、嫌い、だの、嫉妬、だの、元カノ、だの、思春期だよね、ホント、定番って感じ、とわたしの耳の横で心のわたしがささやいた。
それでもあなたの黒い目はかわらずわたしを見ていて、
そしてあなたごしに見えるあなたの現在の彼女は心配そうにあなたを見ているよ。
悲しくてどうしようかと思った。目からしょっぱい水が出そうになった。
目の奥が熱くてどうしようもなくて、
あなたの目はどうしようもなく真っ黒だし、
後ろにいる彼女はどうしようもなく美人だったし、
あなたの首を絞めてるわたしはどうしようもなく
穢 れ て る まるで空を燃やす 二 酸 化 炭 素 みたいに
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2005/08/07(Sun)13:59:24 公開 / るり
■この作品の著作権はるりさんにあります。無断転載は禁止です。
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■作者からのメッセージ
赤いネイルはうそつきの象徴だそうですね。
つられて書いてしまいました。
文のスジがなんとなく曖昧なので、ご指摘ありましたらお願いします。
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