『思い込みでも、その一瞬が。 【プロローグ】』 ... ジャンル:恋愛小説 恋愛小説
作者:河山 宏                

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『思い込みでも、その一瞬が』 


【プロローグ】


 『脳』というのは何とも嫌なものだと思うときがある。
 自分が「駄目だ、もうおしまいだ」とかなんとか、マイナス思考すると、脳は敏感に働いて、本当にマイナス傾向になってしまう。
もちろん、プラス傾向もありうるわけだが……。
 それが、俗にいう『思い込み』というやつだ。だから、俺は『脳』の働きにある意味、関心を持ったり、嫌気がさしてしまう。
だけど、あのときは、その『脳』の『思い込み機能』が、なんとなく幸運な気がしてならなかった。
いや、その思いも……『思い込み』に過ぎないかもしれない。

 中学三年生は、卒業間近、同時に高校入試……とか、色々と騒がしい時期なのは、つらいものだ〜といつも思う。
それは、今、机に向かって勉学に励んでいるからだろう。勉強に抵抗力があるからこそ、その勉強が嫌になってしまう。
「あ〜! めんどくさい!」
俺は、声を張り上げて、数学の問題集を見ながら、そんなことを言った。
 問題集には、数学ならではの問題、そして、嫌気が何度もさす文章問題。数学の苦手な人なら逃げ出したい気分だ。
それを脳裏に感じながら、「めんどくさい!」と叫んだのだ。
 しかし、今更、そんなこともいってられない時期にさしかかってしまった。
なぜなら今は、部活も引退して、三年の三学期だからだ。三学期といえば進路のこととか、とてつもなく精神力を伴う。
勉強のストレス対しての精神力や、遊べないとかいう自由気ままな生活を送れないことに対しての精神力や、いろんなところで、
自分を妥協しなければいけないんだ。
 だけど、そのストレスも学校の中では、消えていた。学校の勉強は自学自習ではなく、先生の話を聞く。黒板の文章をノートに
書き込むなどと、それなりに頭を使わなくても、学習というものはできるからだ。
 しかし、こんな理由は、ちっぽけなことである。これよりもっと絶大な理由があったのは事実だ。

 「おはよう」
こんな、さりげないことから、なぜか身近に感じたのはなぜだろうか。いや、俺が言いたいのは、ただ「あいさつが大切だよ」と、
言いたいんじゃない。俺は、同じクラスの女子から、「おはよう」とあいさつをされたんだ。
 自分からいえないのは、分かっていたが、相手のほうからあいさつをされると、『思い込み』が働く。
理解できる人は理解できるかもしれない。俺は、その女子が俺に興味があるのかと思い込んでしまったんだ。
別に、その女子が誰にでも積極的なら、俺はそんな思い込みをしない。彼女は、静かでそんなに御転婆な女性ではない。
そんな彼女には、特別な魅力があったのは確かに覚えている。にこやかな笑顔が印象に残っているのだ。
にも関わらず、俺だけに……もしかしたら、他の男子にもあいさつをしているかもしれないが、俺にあいさつをした。
 俺は2秒ほど、彼女を見て、
「あ、お、はよう」
と一言、真面目に言ってのけた。
 あのとき、彼女がなぜ僕に、あいさつをしたのか、分からない。
良く考えると、俺には、あいさつを言いやすかったのだろうか。いつも俺は、友達と会話をして、相手を喜ばせようと笑いをとる。
一種の会話術と言うべきなのか、俺はいつも笑いをとろうと幾度と、『ボケ』を考えた。
 それを機会に、女子とも仲良くなろうかなと、考えていたからだ。会話がうまくなれば女子とも合うようになるかと……思った。
 そして、俺は廊下ですれちがった彼女の後姿をじっと見ながら、学校の正面玄関へ向かった。
僕はいつも学校に来るのが早くて、ほかの友達は遅かった。なのでいつもは、教室にかばんを置くと、
すぐに廊下を二つ通って、正面玄関へと友達が来るのを待った。
 そのとき、ちょうど彼女が教室の前の廊下でばったりとすれちがったわけである。
ただの偶然によって、俺は彼女を意識し始めた。もちろん背後には、「彼女が俺に興味を持っている」と思い込んで……。

2005/08/01(Mon)16:52:55 公開 / 河山 宏
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■作者からのメッセージ
 河山宏≪かわやまひろむ≫
まずは名前の読み方から……。
 第一発目の小説投稿でいきなり恋愛小説です。が、読みやすいものだと思います。読んでいて、作者の体験話だと勘違いしないよう御願いします。これはフィクションですぞ。

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