『恐怖の大魔王』 ... ジャンル:お笑い お笑い
作者:山ハチ                

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「あ〜ぁ……なんもやる気しねぇ……」
 それは布団から起き上がった俺が最初に吐いた言葉だった。
 空は夕日に染まってオレンジ一色。カラスがカーカー鳴いて飛んでいる。
 俺はボリボリ寝癖のついた頭を掻きながら半分睡眠状態で部屋にかかっている時計を眺めた。
 時計の針は午後5時をぴったり指している。
「ふぁぁぁ……23時間熟睡か……新記録つくっちまった……」
 意識が半分睡魔に飲み込まれている中、俺はなんとなくテレビのリモコンを手に取った。
 力の無い指でスイッチオン。
 次の瞬間テレビには日本列島にお日さまのマークやら傘のマークが乗っかっている図が映し出された。どうやら天気予報らしい。その図に棒を指して気象予報士がいろいろと説明している。
「……東京の明日の天気は晴れ。静岡の方は夜雨を伴うでしょう。神奈川は……あっとすいません。どうやら最新ニュースが届いたようです。」
 女性の気象予報士は説明をやめてこちらにおじぎする。
 突如、テレビは切り替わり一人の男性アナウンサーがこちらに向かって座っている映像が映った。
 男性アナウンサーはどこか難しい顔で記事を読み始めた。
 「えー日本時間の今日12時に恐怖の大魔王様が新たに新しい法律をお作りになられました。映像をご覧ください。」
 アナウンサーの難しい顔を見て俺はいやな気がした。きっと俺だけでなく今テレビを見ている人々誰もがそう感じたことだろう。
 アナウンサーがそういうと突如画面が切り替わる。
 切り替わった画面には変な帽子を被り変な眼鏡をかけている青い色の太っちょの男の顔が映った。
 「はぁ〜い、世界のみなさ〜んこんにちは〜恐怖の大魔王だよ〜」
 その怪しい男はペロペロキャンディを美味そうに舐めながら楽しそうに言った。その男の両側には美しい女性がドレスを着て立っている。
 俺が呆気にとられているのを他所になおも男は喋り続ける。
 「今日は〜この世界を〜もっといいものにするために〜新しい法律を作ろうとオモイマ〜ス。」
 男がそういうと隣に立っている美人の女性がなにやら大きな紙を取り出す。
 美しい女性はそれをバッと勢いよく広げた。
 その紙には日本語で力強く「必ず毎日私に向かって40分間祈れ!!」と書いてある。
 もはや法律などあったものではない。
 「ドウデ〜ス?なかなかの達筆でしょ〜う?最近私は習字にはまっているので今回はこんな感じに発表してみました〜あっそうそう約束を守らない人は当然……し・け・いですから」
 男は愉快そうに不気味な顔をして言い放つ。
 その言葉を最後にテレビは怪しげな男との通信を終了し男性アナウンサーを映し出した。
 俺は無意識に力の無い指でテレビを消し布団に倒れこみ呟く。
「くだらねぇ夢だなぁ……」
 夢であって欲しかった。

2005/04/07(Thu)20:26:49 公開 / 山ハチ
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■作者からのメッセージ
初めまして山ハチと申します!
小説書くの初めてで駄文ですがどうぞご指摘の方をお願いします!
ちなみにこの話はプロローグに当たります。
どうかよろしく!

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