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『受け継がれし印』 ... ジャンル:未分類 未分類
作者:柴田 芳孝
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これは、4人の特別な能力を持った選ばれし者達の出会いと冒険のお話である。
第一話、グルダの町(上)
「クロスーまだ次の町に着かないのかよー」
真夏の猛暑の中バロンは、イライラしながらクロスに聞く。
「そうですねー、もう着く頃だと思うんですけどねー」
クロスが地図を見ながら答える。
この地域では、一年の内の一週間だけ40度を超える時期があり
バロン達は、運悪くその時期に当たってしまったのだ。
辺り一面に同じ景色が広がっていて、飽きを感じさせる。
幾度となく同じ会話が交わされる中、やっとの思いで、町に到着した。
「やったー、町に着いたぞー」
町に着くなり、バロンは元気を取り戻し、そう叫びながら酒場に走っていった。
「まだ、元気じゃないですかー、ってバロンちょっと待ってくださいよー」
慌てながらクロスはその後に続いた。
町は、けっこうな賑わいで、露天商達が軒をつらねていた。
そんな中、クロスはいつの間にかバロンに追いつき
一軒のみすぼらしい店の前に立ち止まった。
「よっし、クロス、飯はここで食うぞー」
と言うなり、バロンは店の中に入っていった。
外装のわりには店の中は、綺麗でたくさんの客が昼食をとっていた。
「いらっしゃいませー」
店の奥から、店の者と思われる女の声がし、こちらに歩いてきた。
「テーブルがあいてないから、カウンターで良いかしら」
ちょっと、うわずった声で女が尋ねてきた、
かまいませんよとクロスが言うと、すぐに席に着いた。
「ご注文は?」
と女に聞かれハンバーグ定食2つと、クロスは答えた。
注文を聞き終えた女はそそくさと店の奥に入っていった。
「バロン、ここに3人目がいるって言う話本当なんですかね」
クロスは疑わしそうな顔で聞いた。
「お婆が、占ってくれたんだから大丈夫じゃないの」
バロンは、クロスの話よりも飯の方が気になるのか
店の奥を見ながら、空返事で答えた。
ところでバロンの言っている、お婆とは、大陸一当たると評判で
連日客が絶えないと言う売れっ子占い師のことである。
そもそもグルダの町にくるのには、それなりの事情があった
それは一年前にさかのぼる当時バロンは、14歳でまだ自分の村に住んでいた。
ある日の午後バロンはお婆にこう告げられた。
“バロンよ。これは、定めじゃ16歳になりし晩この村をで
手の甲に刺青のある者を探し出すのじゃ、そしてここに連れてくるのじゃ”と。
それから一人目クロスに出会う間のお話は後ほど話すとして
そんな理由でここにいるのだ。
こんな話をしている間に、バロン達は食事を終え店の外へ出た。
店を出ると外に人だかりができていた。
「何でしょうねー」
と言ったものの、バロンはすでにいなくなっており、人だかりの中に混じっていた。
「あぁーもー、まったくどうしていつも勝手に行動するのかなー」
そんなグチを言いつつ人だかりを見ると、
「けんかみたいだぞ」
とバロンが言っている。
「そんなこと、どうでもいいから早く3人目探しましょうよー」
とあきれながらクロスが言うと
「あーーー!」
とバロンが叫んだ、
「次は何ですかー」
イライラしながら聞くと、
「けんかしてる奴の右手!」
とバロンが叫んでいる、クロスが男の右手を見てみると、そこには黒の刺青があった。
(第一話 了)
第二話 ゲルダの町(中)
「あー!黒の刺青」
クロスが叫んだ瞬間、けんかを見ていた人達に一斉に怪しい目で
みられたがクロスは、何事もなかった用にしてそこを回避した。
「それにしても、よく見つけましたねー」
クロスが、感心しながらバロンに聞いた。
「それほどでもーあるな!って、そんなことじゃなくてどうするんだよ。あの男」
バロンが真剣に聞いてきた。
「そうですねー」
といってクロスが考えていると、バロンが何かひらめいたらしく、耳打ちをしてきた。
『俺が、ゴニョゴニョゴニョ………………という作戦だ。』
「本当に大丈夫なんですかー」
と、クロスは言ったがバロンはおかまいなしに、作戦の準備にとりかかった。
「どうなってもしりませんよー」
と言いながらも、クロスはそれに従った。
「準備は、いいか」
とバロンがいうと、
「いつでもオッケーですよ」
とクロスが答えた。
バロンは、手袋をはずし
『我、精霊の印を持つ者なり、今こそ力になりて砂塵を巻きあげん・・』
と呟いた、そういった瞬間、風がバロンを中心に渦巻き砂塵が舞い上がった。
すると
「「「「なんだ、これはー」」」」
といって人々がさわぎ始める。
クロスは、この混乱を利用し刺青の男をつれだした。
男は、抵抗したが地面自体が動いているので抵抗できず、町の外れまで連れて行かれた。
男は、何が起こったか分かっておらず周りをキョロキョロ見渡している。
「「こんにちは、重力使いさん」」
とバロンとクロスが声をそろえて言うと、
男は警戒しているのかこちらをにらみながら「お前ら何者だ」と言ってきた。
「俺たちは、怪しい者じゃない君を捜しにきただけだ」
と言ってバロンとクロスは手袋を外して男に見せた。
すると男は驚いたように自分の印とバロン達の印を見比べながら
「どうして、俺と同じ刺青があるんだお前らはいったい誰なんだ」
と言ってきた。
「それは、順をおって話そう、どこか人がいない所はないか」
とバロンが言うと男は手招きをした後、裏路地に入っていった。
「行くぞ、クロス」
バロンが言うと
「もしかしたら罠かもしれませんよ」
とクロスがいったが、
「そんなんじゃ先に進めない」
と言って路地に入って行った。
クロスは、大きな溜息をつくとバロンを追った。
そこは、日が少しも入ってこず、薄暗く少し湿っていて
いかにも何か出そうな雰囲気をかもし出していた。
しばらく行くと、男は地下への階段を下りていきバロン達も後に続いた。
降りていくとそこには、みすぼらしい机と椅子があるだけで
廃墟としか思えない状態になっていた。
ここで良いだろうと男は言うと、椅子に腰掛け葉巻を吸い始めた。
「それじゃあ、話を始めろ」
と男が言うとバロンはゆっくり話し始めた。
「まず、自己紹介からだね、俺はバロン・ジョージ“風を操りし者”
そして、こっちがクロス・レドウェイ“大地を操りし者”だ、次自己紹介どうぞ」
バロンは男を見ながらそういった。
「俺は、グロック・カーソンだ、お前らが、なぜ俺と一緒の刺青を持っているか教ろ」
グロックはせかすように言った。
「まぁそんなに焦んなってそれはクロスが話すよ」
とバロンがクロスに話をふった。
「それを、話すにはまず昔の話をさせていただきます
これは、300年前のある王国の話です…………………」
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【300年前、この世界はアルベリア王国という、国に治められていました。
当時の王国には秘宝と呼ばれる物がたくさんありましたが、
その中には一つ人間が手にしては、いけない物がありました。
それは、“ルシファーの宝玉”と言われる物です。
ルシファーの宝玉は、手にした者が必ず最強の力を手にすることができる。
といわれていて、それを悪魔が手にするのを
おそれた先代の王が宝玉を隠し封印したと言われていました。
ですがある日、どこから聞きつけてきたのか、悪魔が王国を攻撃し始めました。
初めは、抵抗していた人々も殺され、一夜にして王国は崩壊しました。
ですが、王は自害し宝玉の隠し場所と封印の解き方は、
永久に分からなくなってしまい、宝玉は発見されることなく
悪魔は撤退していきました。】
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「その、話が俺たちの刺青とどう関係してるんだ。」
しびれを切らしたグロックが問いかけてきた。
「グロック、俺たちが関係しているのは、ここからだからもう少し聞けよ」
バロンは、グロックを黙らせると、話をするようにクロスに指示した。
「先代の王が何処に宝玉を隠しどうやって封印したのか、“永久に分からなくなった”と
言いましたが、実のところ王は4人者の浮浪者の子供に秘密を残したと、いわれていま
す。それが、僕たちの先祖なんです。」(第二話 了)
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2005/04/02(Sat)01:32:16 公開 / 柴田 芳孝
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■作者からのメッセージ
この作品は、お風呂に入っている時に思いつきました。まだ、第二話までしかありませんが、きっと完結させますのでよろしくお願いします。
作品の感想については、登竜門:通常版(横書き)をご利用ください。
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