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『『ありがとう』と言わせて』 ... ジャンル:未分類 未分類
作者:玲音
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『ありがとう』といわせて
大親友だった彼女が死んでしまってからもう1ヶ月が経った。
あの頃私は中学3年の春休みだった。
やっと受験が終わって、彼女と同じ高校に受かったと喜んでいたあの頃。
1ヶ月後の今、高校1年生となったが、あの頃とは何もかもが変わった。
あの時、私が彼女を呼び止めていたら、彼女は死ぬことなどなかっただろう。
今私の隣にいてくれるはずだった。
いつも一緒だった。
家が近所で、保育園の頃から一緒だったのに、
私は彼女を、『私の一部』を失った。
後悔しても、彼女は戻ってこないのに私は何度も悔やむ、彼女を救えなかった事を。
私のせいで死んだわけではないけれど、あの時彼女を救えたのは私しかいなかった。
その私が彼女を助けられなかった。
1ヶ月経ったけれど、隣がさびしい。
彼女が死んだのに私だけ生きていていいの?…・
「ただいま 」
家に帰ってきても何かが足りない。足りないものはなんなのかわかっているけれど、
どうにもできない…。
「おかえり、荷物が届いているわよ。あなたの机の上に置いておいたから 」
「わかった 」
私に荷物など、なぜ届いたのだろう。きっと手違いでもしたのだろう。
机の上には確かに小包があった。
確かに私宛だった。
差出人は…名前がない。
でも私は何かがあるような気がして開けた。
箱の中には、カードと懐中時計…なんなの、悪戯?
『あなたには、行きたい゛時がありますか?
たった1度だけ、3分間だけその行きたい時に行けます。
ただし時を変えることはできません。
さあ、懐中時計の針を戻したい、行きたい時にあわせてみてください。
不思議の国の時計うさぎより 』
ダメもとで今から1ヶ月前のあの時のあの別れの時へあわせてみた。
行って何ができるのかも、何をしたいのかもわからないけど、
もう後悔したくないから、もう悲しい思いをするのは嫌だから…。
懐中時計が光を放つ。
そして、目を開けるとあの百合の死亡事故の前の別れたときだった。
過去の私がいて手を振っていた、そしてあの時と同じように去っていく。
見えなくなったら、私は駆けていった、彼女の元へ。
「百合! 」
とっさに呼んだ、彼女の名前。ゆっくりと振り返る姿はあの時の百合だった。
「あれ、帰ったんじゃないの? 」
あの時のままの元気な明るい百合が目の前にいた。
『行ってはダメ! 』そう言いたかった。
でも、いきなり横におとぎ話の世界にいるようなうさぎが現れ、それを止めた。
(時を変えてはいけない! )
その言葉でわれに返った。
(変えたら、その人に関する記憶を消去する )
幻だと思った。だって、周りの人は、止まらずに歩き続け、私の横を通り過ぎていくから、
何事もないように。
(あなたのしか見えない。声もあなただけにしか聞こえない。私は不思議の国の時計うさぎ )
「えっ 」
私は驚き、何がなんだけわからなくなった。
「記憶を消すってどういうこと? 」
(時を変えた場合、変わった事の中心人物の存在を消す。あなたの場合は友人自体の存在を消す )
「それは嫌!! 」
今まで彼女といた記憶、彼女のいた事を忘れたくない。
(早くしないといけない。あと2分 )
無情にも時は過ぎていく。
私がしたい事ってなんだろう……
「どうかしたの? 」
「ううん、別にどうもしないよ 」
何も言えないまま時間は過ぎていく。
(あと1分 )
悩んでいたらいつの間にか時間が迫ってきていた。
「変なのー、何か変よね今日のあなた。それじゃあ、バイバイ 」
手を振り帰ろうとしている。私に背を向け歩き出してしまった。
(このままでいいんですか? )
私は彼女に向かって叫んだ。
「百合、ありがとう 」
「彼女の去っていく背を見て、最後の言葉を言った。
彼女は振り返り、声は聞き取れなかったけど、
『こちらこそありがとう 』って言っているようだった。
目を開けると、自分の部屋だった。
あれは夢?
机の上にカードが一枚。
「あなたはとても素敵な旅をしましたね。
あなたの身に起こったのは、幻でも夢でもありません。
不思議の国の時計うさぎ 」
私はこのカードを見てうれしくなった。
もう後悔などしないだろう、絶対に……。
感謝と思い出のお礼を伝えられたから。
たった一言だったけれど、きっとあれでよかったのだろう。
私の思いを伝えるのに一番あっていると思った言葉だから。
明日から皆にありがとうって言ってみよう。
とっておきの言葉をあなたに……・
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2005/02/24(Thu)00:45:00 公開 / 玲音
■この作品の著作権は玲音さんにあります。無断転載は禁止です。
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■作者からのメッセージ
初めて書いたものを人に見てもらいます。
私は、この作品を通して皆さんに
私が何を言いたいのかわかってもらえたらと考えています。
初めてなので読みづらいところが多いでしょうが、どうぞよろしくお願いします。
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