『死後/彷徨える反転理想』 ... ジャンル:未分類 未分類
作者:Town Goose                

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プロローグ   生前=矛盾→死後

死んでみよう。
自殺願望など無い、ただ、そういう衝動は突然自分の内から溢れ犯す。
彼の名は、佐々木峰(ささき みね)そこらにいる学生その1、個と言う考えを持たず、大衆に流されるただのその1。
自己主張がしたかった訳ではない。あえて言うならば、「その1」と言う肩書きを外したかっただけだ。
−−−−苦笑、結局は自己主張である。可能性として、自殺と言う手段をとったに過ぎない。例え彼が自殺を行おうと「その1」という肩書きが取れるわけでもないのに。彼は気付かない。
「やるなら、一気に…・だ。」
 彼の声は震えていた。「やめればいいのに」誰かがそんなことを言えば、即座に彼は中断しただろう。
多分、その言い訳は
「誰かがやめろって言うから…・」
戯言甚だしい。結局は佐々木峰と言う存在は矛盾、自己のあやふやな単なる弱者。
「…・行くぞ!!」
 何度その言葉を発しただろうか?だからだろうか?やはり彼は自分の意思でなく、他の意思によって運命を決めることに成る。

ーーーーーー唐突の風

「…・・あ」

絶対的な他の後押し…いや、決定
体は落ちる、墜落ではなく堕落、
結果、その佐々木峰と言う存在は破壊され「自殺者その1」
矛盾と皮肉、肩書きが変わろうと結局は「その1」と言う存在がついて回る事となる。
そして、意識も、回る −−−−−反転   /
    世界も、回る ーーーーー堕落   / 内包するは死後の世界
    肩書き、回る −−−−−理想   /


落ちる、落ちる落ちる落ちる落ちる落ちる落ちる落ちる落ちる落ちる落ちる落ちる落ちる落ちる


佐/々/木/峰

体は輪切り、残るはビルの下に広がる官能的な朱赤色の海、

ぼ / く / は / ど / う / な / る/ ?

思考も輪切り、残るは一語としての思考、様々な反転、

理想の反転、彼の望みは果たして理想だったのだろうか?

−−−−−否(そうだ)

ならば死後の世界も反転なのだろう…・・

−−−−−−数秒後、彼の目に映ッたのは、反転理想、そう、ここは死後の世界、ここから、彼(矛盾)が始まる…・・

 
第一輪 鎮魂歌、死後の世界


「……・」
なんだ、ここは…・?
目の前に広がる光景、そこにあるのは、東京か?…・・知らない町並み、なにか色々な首都の道やビルを模造したような風景…いや違う、そこにある風景は模造などではない。総てはオリジナルで、完成された町並みであるからこそ模造と感じただけの事。

ーーーーー記憶は、ある。

我ながら馬鹿なことをしたもんだ…・と自嘲的に彼は笑う。何故、自分はここまで冷静なのであろうか?分からない、
 いや…・多分、自分が大衆に流されるだけの存在であるからだろう。ならば自分は現状(それ)に合わせるだけ。
ならば、いま必要なのは、周りを知ることだ。
気温は、分からない、多分長袖のTシャツを着ている自分が適度だと感じるので、22度前後であろうか?
記憶は、死んだ時を鮮明に思い出せる。
ならば、ここは死後の世界…・と言うことでよいのだろうか?
「それが…一番適当だ。」
しかし、それにしても、死の実感がわかない世界だこと、体は透けないし、思考はクリアー、おまけに五感は逆に冴え渡っているぐらいだ。
俺は少し、この街(死後)を歩いて見ることにした。
そこにあるのは

子供用滑り台のある小さな公園、
      一流企業のサラリーマンの働いていそうな大きなビル
              中流の一軒屋
                    6階建てのマンション
                      ポチの家

そう、あえて言うならば、果てしなく正常、ただ違う街に来てしまっただけのような錯覚。
「幻想…・だったのか?」
そう…・・なのかもしれない。
しかし、それこそが幻想、脆くもその幻想は崩れ去る。

ーーーーブェ〜ン

なにか頭の中で怪奇音がした。
             いや、違う!!それだけじゃない!
                 眼に文字が浮かぶ!
「こんばんわ、死後へようこそ!!」
耳に在りえない声が反響する。
「貴方様は、14歳ですので、初期ボーナスとして13G進呈します。
 試練は15段階、平均として皆様はレベル3を御利用に成りますがどうしますか?」
不明爆発、なに言っているんだこの人(?)は、訳がわからない。
「なお、今回の「試練」は「盗む」です。共犯者を買うには必要金として4G、なお、初心者アシストは1Gです。なお、初心者アシストは初回のみ御利用慣れます。」
状況判断は完了、意味分かった。つまり、そういう事である。死後の世界、よく分からないが、試練を受けなければ成らないらしい。ならば、やることは決まっている。
「皆とおんなじやつでお願い。」
「試練、開始。
 初心者アシスト追加、共犯無し、レベル3 残金12G 
 制限時間60分13秒

  指令、25万円を盗み出せ!!!!」

ーーーーーブェ〜ン

その音と共に、街から人が現れる。
 今気付いた矛盾だが、いつの間にか自分は長袖になっていた、たしか、俺、学生服を着ていたはずだ。今は黒い長袖。まあいいや、皆がやってるなら、俺もそうしよう。
「アシスト、金を奪うベストポイントは、コンビニ、二十五メートル先左、女性店員26歳、カウンター15万6257円」
なるほど、これがアシスト機能か!なんとも便利な事。俺は駆け足でそのコンビニへ向かった。
「いらっしゃいませ!」
女性店員が営業スマイルでこちらに微笑む。
しかし…・どうしたものだろう。いざという時に体が緊張をして動かない、やばい、畜生、駄目だ!!
「アシスト、これより45メートル先に金物屋、包丁が有ります。」
「うるさい!!」
その声に店員は大丈夫だろうか?と言う目でこちらを見ている。

行け!!           −−−−−−−−無理だ。
行け!!           −−−−−−−−出来ない
行け!!           −−−−−−−−無茶だ
行け!!           −−−−−−−−…・
行け!!           −−−−−−−−出来るか?
行け!!           −−−−−−−−行けるか?
行け!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

思考と言動の一致、俺は店員へ駆け寄る!

距離は約3メートル       「アシスト4メートル30センチです。」
 

−−−−−−−−−−−−−−3
 
−−−−−−−−−2

0(零)

脅す手順が分からないなら、強奪するまでだ!!そう思った俺はレジを無理やり引き剥がそうとする。
しかし、それは予想をはるかに上回る重さで、どうにか成りそうにも無い。
「誰か!!!警察を!!」
女性店員は咆哮する。
俺は咄嗟に女性店員の頭を強打する。

−−−−−ぼぐぅ!

撲苅的な音が響き渡ったがそこまで強くは殴っていない。なんとかるだろう。
「アシスト、人が約1分後に来ます。」
くそ!くそ!くそ!
何をやっているんだ俺は!早くレジを開けろ!
どうにもレジの開け方が分からない。引けば開くんじゃないのか?違うのか?くそ!

「アシスト 54秒」−−−−−限界−−−−−−−−−−レジを持ち上げる

 
 畜生!!−−−−−−−−焦惣−ー−−−−−−−「アシスト45秒」


「アシスト40秒」−−結果−−−−−−−−−−−−−−−−叩き落す。

 
 糞が!−−−−−強奪−−−−−−−−−−−−−「アシスト27秒」 
                     
  −−−−−ガシャン!!!!−−−−−−−−−
 
鈍器が床に落ちる、擬音。
 
 外に散るは、鈴の音色、それに重複する乾いた枯葉のような擦れ音。

意識はもはや、それを確認するだけの単調な機械と化す。

……やって……やった!!
……盗った!盗んでやった!

心に創造される、初めての達成感

しかし倒錯的な世界を崩すのは、またも倒錯的な存在

「アシスト17秒」

その矛盾(こえ)によって意識は急速に仮想(げんじつ)に戻される。

「そうだ!お金を盗まないと…・・」

俺は、素早く近くに錯乱している紙幣のみを、ビニール袋に詰め込む。

「アシスト15秒」    詰める

      ・


「アシスト10秒」    積める

      ・

「アシスト 8秒」    摘める
「アシスト 7秒」    逃避、逃げろ!


俺は、一目散にビニール袋を持って、その倒錯(コンビニ)から抜け出した。

走る、走る、走る走る走る走る走る走る走る走る走る走る走る走る走る走る走った走った走った走った

息が切れる。
高鳴る心の臓、不確定なリズムを刻む体の煽動。已むことの無い興奮感、
なんに対してのものなのか、そんなこと如何でもいい。
ただ、体を蝕む麻薬のような快楽。

 −−−−−−−気持ちいい!!−−−−−−−−−−

多分、それは達成感によるものでは違(ない)、汚いものに触れた、焦燥感。それが反転し、快感と成る。

快楽反転=精神の反転、狂気

「アシスト 現在所持金額13万1000円 残り11万9000円。
  残り時間56分17秒」

精神の昂揚はもはや止まらない、俺はアシストを無視して工事現場へと向かう。

ガシャン!

「何してやがる坊主!!」

精神の反転、故に聴覚も反転、音を拾うものではなく吐き出すものと成る。

何も聞こえない、聞こえる訳が無い。

雷光一線、彼の視線の先にあるは、唯一つ、


トラクター…・であった。

躊躇という感情は反転し、決定となる。
トラクターに乗っている男を、強引に蹴堕とす。

「………!!」    何を言っていたのか・・聞こえない

動かし方など分からない、ただ直進が出来ればいい。獲物は手に入れた。
目指すのは、■■■だ!!

「アシスト、コンビニまで、56メートル」

「アシスト、コンビニまで、10メートル」

「アシスト、コンビにまで、 1メートル」

「アシスト、コンビにまで、−2メートル!」

−−−−−−ガイン!!

見事命中!ATMは破壊される、溢れる万札、溢れる中身、人体に喩えるなら複雑骨折全治六ヶ月!

「アシスト 試練完了 残り時間50分54秒
 与えられる金額は9G
 所有金額21G 
 これより、牢宅へ強制転換いたします……・

第二輪へ続く






2005/02/22(Tue)22:40:02 公開 / Town Goose
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■作者からのメッセージ
ここまで、乗りで書いてしまった作品は初めてだ…(危 
初めてのリアルワールド?とでも言うのでしょうか?伝奇ではなくサイコと言うジャンル、まさに手探り状態です(泣  初めてのジャンルなので、批判、批評、感想はとても励みになります。どうか、読んでくれたならば、書き込みよろしくお願いいたします!  

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