『ラグナロク 〜世界を救う英雄達〜』 ... ジャンル:未分類 未分類
作者:シリウス                

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<プロローグ>
『ヴィスト』、この時代に存在する怪物の総称。
奴等は、突然地上に現れ、国を滅ぼし始めたのだ。

言伝えによれば、その昔、『ラグナロク』という聖なる力を秘めた剣を神が精製したと言う。
その剣を使えば『ヴィスト』を全滅させることができるはず。
そう思った人類は、その剣を探すことに・・・・・

そこから一人の男の旅は始まる。



第一章「眠りし力」



第一話 ++旅立ち++


「ふあぁぁあ・・・・・」

ある家のベッドの上で、大きなあくびをして起きた男。
彼の名はヨムト=ディーヴァ。
髪は銀髪の長めのツンツンで、瞳は純粋な青。
服は、丈夫な青色の絹で出来た服。そして上半身に鎧を装備し、下半身は青の腰巻、そしてブーツをはいている。手には、指先がない手袋をしている。

「おーい、ヨムト〜。起きろよ。面白いとこ見つけたんだ」
この威勢の良い元気な声の持ち主は、クライ=メーヴァス。
短い髪は青色で、瞳の色は火の如く、情熱の赤。
服は、ズボン付きのローブにその上から、短いマント状の物をはおっている。
片手には鉄の槍が握られている。
「まったく、こんな朝早く呼び出しかよ〜」

この家は木の上にあるツリーハウスになっている。
ヨムトは窓からクライの事を見ると、ベッドの横に立掛けられている鋼の剣を取ると、腰に吊るした。

「父さん、行って来るよ」
そう言うと、ツリーハウスから梯子を使い降りた。
「面白い所見つけたんだ、行こうぜ」
クライはヨムトの手を取り走った。
ここは、ネルビス城の外れにある森。
ヨムトは小さいころ、『ヴィスト』に両親を殺され、孤独状態の所をアクハ族と呼ばれる眷族の者に引き取られた。
両親を殺された所を目撃し、信じられない事実にその時の記憶を失ってしまった。
だから、今はアクハ族の父のことを本物だと思っているのだ。

二人は走っていると、綺麗な池に辿り着いた。
そこは、魚が伸び伸び泳いでいて、水も透き通っている。
奥深くには人魚でもいそうだ。
「な、面白いだろ?」
クライは常に笑顔だ。
しかし、ヨムトに笑顔は無い。

「いや、この気配・・・・『ヴィスト』だ!!しかも中眷族だ」
二人は武器を構える。
神経を集中させ、隙を一切見せない。
『ヴィスト』は四種に分けられており、下眷族、中眷族、上眷族、秘眷族となっている。
秘眷族とは、まだ解明されてなく、謎が多い種類のことを指す。
ヨムトは、両親を『ヴィスト』に殺された所を見て、記憶は無くなったものの、その時の気配は神経にしみついている。そのため、早く危険を察知できる。
その時、池から気配の主が現れた。
「ユールングだ!!」
姿形は海蛇だが、巨大でかつ、賢い。そして口の中には猛毒が付いている牙がある。
少しでも擦れれば死に至るだろう。
「クライ、牙には気をつけろよ」
「分かってるよ」

まずはユールングが攻撃。やはり噛付く攻撃で来たか。
モーションが大きいため難なく避けた。
そしてお返しとばかりにカウンター攻撃。
「ノヴァブレイク!!」
ヨムトの必殺剣技が炸裂。
それは、爆発の一撃。
ユールングの腹部は見事に抉れており、中から内臓が飛び出でいる。
そして止めとばかりにクライの攻撃。
「ウィザードリッパー!!」
横に大きく斬る攻撃。それは瞬速の技。
ユールングの首が飛び、根元からは血が噴射している。
この綺麗な池が赤く染まって行く。

「ふぅ、中眷族ならもう楽勝だな」
「ああ」

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―次の日

ヨムトはまた朝早く呼び出しをくらった。今度はクライと一緒に、ネルビス城の王に呼ばれたのだ。
城下街は、中央の広場から十字廊に通りが分かれている。
広場の中心には噴水があり、いつも水が出ている。
その広場から真っ直ぐ進むと、城がある。
左右の通りには、鍛冶屋、武具屋、装飾屋、ホテルといったいろんな店が出ている。
城の入口付近には進育屋がある。
進育屋とは、『ヴィスト』を倒してから行くと、その種類に応じてお金がもらえる。

「戦士、ヨムト=ディーヴァ」
「戦士、クライ=メーヴァス」
「只今参りました」
二人が同時に言うと、城の門が開いた。
中は赤い絨毯が引いてあり、正面には上へ上がる階段がある。
かなり広そうだが、探検などしている暇はない。
二人は階段を上り、王の間へ来た。
「良くぞ来られた、戦士ヨムト、クライ」
二人は静かに御辞儀をした。
王の間は正面に王座があり、この国の王フロレス=カタラビュットが座っている。
その王座の横には王の使いが立っている。

「お主達に来てもらったのは頼みがあるからだ。それは、この世界を回って聖剣『ラグナロク』を入手し『ヴィスト』の源を解明し、撃破してもらいたい」
王フロレスは真剣な眼差しで二人を見つめる。
これはおふざけとは誰も思わないだろう。

「はい、分かりました」
二人は異口同音に答えると、王がパチンと指を鳴らした。
すると、別の使いが宝箱を二つ持ってきた。
「それを使いなさい、私からのほうびだ」
中には、新しい武器と、『アークレッド』が入っていた。
「使い方は分かるな?」
二人は頷き、この城から去った。

そして自分の家ツリーハウスに着くと、早速準備を始める。
『アークレッド』は装備すると力がみなぎる。あともう一つ、この中に武器の魂を注ぐと、武器を装備したい時に念じるだけで装備できるのだ。
「ヨムト、王様から話は聞いているよ、これを持って行きなさい。それと王様から受け取った武器は、昔・・・・・・いやなんでもない」
父は弓矢を差し出し、何かを言い掛けてから、無言で部屋を出てった。

「・・・・・・・」

実はヨムトが王から貰った剣は昔、ヨムトの実の父親が使用していた武器なのだ。
今の父は、それを言っても無意味だと思い途中で言うのをやめたのだ。
その武器の柄をよく見ると【ハルトムート】とこの時代の言語で掘られていた。
ヨムトはその二つの武器の魂を注ぐと、いつもより早く布団に入り寝た。

―そして翌日

「父さん、行ってくる」
ヨムトはハウスを出るときに一言挨拶をして、クライとともにこの街を後にした。

2004/12/19(Sun)23:06:22 公開 / シリウス
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