『Lost Heart 1-2 [暫定版]』 ... ジャンル:未分類 未分類
作者:覆面レスラー
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1
俺は登校してからずっと、机に突っ伏していた。
そのまま時が過ぎなければ良いと思った。このまま世界が静止していれば良いと願った。だが、その空想を無情にも打ち破る、朝の始業ベル。これで、嫌が応にも現実だ。
俺は顔を上げると黒板を睨み、にへらと薄ら笑いを浮かべた。そのまま遣る瀬無く座席に沈み込む。ここは現実から切り離された、まるで夢の様な世界だ。日常茶飯事に聞こえていた、遠い様で近い様な生徒が教室に駆け込むときに立てる、廊下のざわめきすら聞こえ無い。
プツリと電子音が途絶え、始業ベルが鳴り終わる。
俺はホームルームに備えて、教師から注意を受けないように、裾から食み出させたカッターシャツをもそもそとズボンに押し込んだ。
それすら無駄な行為だ。
カーテンを全開に開いた窓からは、盛夏の日差しと疎らな木々の陰り。残された命を焼き尽くすように必死でがなりたてる蝉の鳴き声。
今日は、夏休み突入の一日前。
要は、一学期の終業式だ。
けれど、正確には、一学期の終業式だった――と言うべきか。
なぜなら終業式をしようにも、俺の周りの席には誰も居ないのだから。
今朝、玄関先で新品のバッシュの踵を鳴らしながら見上げた空は、清々しい底抜けの晴天で世界を包みこんでいた。眩しくて太陽の光を隠しながら、掌の隙間から仰ぎ見た洗い立ての青空には南から運ばれてきた高気圧によって齎された分厚い積雲が乗っかっていた。
これほど晴れたのは久しぶりだ。
ラジオは半年ぶりだと言っていた。
先週で半径200kmに及ぶ、放射能の電磁雲が南海上に発生した高気圧気団の力に押されて、北西に去っていったせいだ、とも。
俺はコンビニの袋を提げながら、通学路を予鈴に間に合うペースで歩く。青臭い道端の雑草、遠方から黄色がかり始めている田園に包まれた長閑な風景。親父譲りの携帯型プレーヤーから垂れ流す、俺が最も敬愛する一世紀前に活躍したバンドの曲はそんな風景に良く似合っていた。 聞きながら蝉の鳴き声に炙られ、踏み切りに差し掛かった。
警笛すら鳴らないオンボロの踏み切りを挟んだ向こう側で、路面電車が間抜けな音を立てながら、立ち止まった俺を追い越して行く。耳に突っ込んだ曲が途切れがちに聞こえた。
腕時計を見る。
――8:05
いつも通りだ。
でも、いつも通りなんかじゃない。
通学路に佇んで、遠くまで前も後ろも右も左も余さず見渡す。
俺の前後に続く一本道には誰も居ない。
ここから200メートル隔てた左右両隣向こうにある幹線道路には通勤ラッシュらしく、様々なスーツを着込んだ政府勤務の公務員や会社員が流れていた。
たくさん、生活を営む存在が在った。
なのに、たくさん、在るのに――制服を着込んでいる学生は、俺だけだった。俺の友達も、俺の友達ではないそれ以外の生徒も――もう居ないから。
それらとの関係は全て、昨日で終わった。
合わせて100にも満たない教師も生徒も、全員死んでしまった――昨日の『蝿の王』による市街爆破テロ事件によって。
ただの偶然。
たまたま俺以外の全員が、政府直営の美術映画公開に参加していただけ。俺は風邪を引いて行けなかっただけ。皆と俺の違いは、一本道のYesかNo。違いはそれだけ。なのに――
「う……うぁぁっ」
額を、机に押し付けて泣いた。一人で。
命を沢山奪っていったこの季節は、妙に生命力に満ち溢れていて、一層暑い。
そんな気温が30度をゆうに越えた誰も居ない教室で、俺は泣いて――涙と汗で、シャツの胸元がどんどん不快に濡れていく。けれど、涙が止まらない。
俺だけしか生き残れなかったせいで、俺の涙を止めてくれる存在は何処にも無かった。
俺はそういう時にどうやって涙を止めればいいのか、分からなかった。
『不幸中の幸い』
そんな生温い言葉で、この感情を焼き切る事は出来ない。
焼ききれそうになっても、もう一人の俺が、焼き切らさせてはくれないのだ。
机の縁にぶつけて割れた額から血が伝っても、
鉄パイプを殴った握り拳の指の付け根が痛みに歪んでも、
焼け付き焦がれる心臓の熱動が治まらないほど世界が、
――憎い
世界は、俺に途轍もなく惨い。
俺以外の全てにも惨い。
自ら死にたがる存在などないのに、平気で殺し――「死なせて欲しい」今更俺がそんな風に願えるはずもないのに――「なんで俺も皆と一緒に死ねなかったんだ」という想いを、俺に刻み付ける。
時間という名で焦がして。
現実という名で突きつけて。
運命でという名の手を借りて。
様々な方法で。
血を流しても、俺の周囲に居た筈の彼らはもっと血を流し、
痛みを覚えても、俺の周囲に居た筈の彼らはもっと深く痛み、
涙で溢れても、俺の周囲に居た筈の彼らは溢れさせる涙を二度と持つことが出来ない。
唐突に時間の鎖を千切られる理不尽を、受け入れる間もなく、死んだ。
「うぅぅぅっっっ――!」
俺は許せない。
腹の底から、吐きそうな、どす黒い感情が食道をせりあがってくる。
俺は許さない。
手当たり次第に殴りつけていたい衝動が、心臓に早鐘を撃たせる。
世界は到底許容できないモノの連続で完成している――俺はそれを理解した。
故に、俺は立ち上がる。
炎を灯して。
脳髄に。
眼底に。
内臓に。
魂に。
ありとあらゆる自分を取り巻く全ての情報の海を怨嗟、憎悪、復讐――その三元素で大別して生きるだけだとしても良い――言葉になど在り得ない。言葉に摩り替えることすら赦せない、この感情で
俺は、
「俺は、世界を――」
護りながら毀してやる。
毀しながら護ってやる。
どちらにしろ。
「どちらにしろ――」
席を立った俺は、二度と訪れることのない教室を後にする。
青春に佇んでいた、自分ともさよならだ。
これから胸に宿し続ける感情は――絶望と焦燥感。
その感情に呼応して、手に入れなければならないそれは――絶対的な力。
――だから俺は、哀れみの甘い言葉を投げ掛けながら巧妙に接触を図ってきた政府軍から差し出された悪魔の右手を、臆することなく受け入れた。
「君は、殺された友達のために戦いたくありませんか?」
俺を動かすために汚い切り札を切ってきやがった科学省参謀長官を名乗ったクソ野朗の提言を受け入れた。
『大量殺戮兵器製造計画最終実験要員』――孵化計画における被検体<プロトタイプ>という役割を、喜んで受け入れた。
そして――手に入れたんだ。
望み通りの力を。
脳を、肉体を、隅々まで弄くり倒され<在らざる者>に再構築され、最早後戻りはできない戦略に利用されるだけの兵器(モノ)に成り下がってしまったけれど。
精神はあくまで俺のモノだ。
政府軍が、
どれだけ鎖に繋ごうと、
どれだけ律で縛ろうと、
俺は壊しながら生きる道しか選ばない。
これが、俺の始まりであり衝動の原点。
全てを滅ぼすまで終焉は無い復讐劇の幕開け、弱者だった自分を捨て去った消失地点だった――
†††
耳に押し込んだ携帯型無線に軍事衛星から情報放送が雑音ノイズまじりに送られてくる。
「――ガ……ガガッ……<F-line>に『蝿の王』と…ザー…思しき敵熱源を探知……ガ……ザ…現在…先遣隊が戦闘に当たっているものの…ガガガッ…著しく劣勢…ザ…若しくは全滅と推測される……ザー…は直ちに敵…ガッ…移動予測ルート上のポイントに向かって……ザザッ…下さい」
放射能を程よく含んだ風が、俺の髪を流して、遠くで消える。
そのまま暫く雑音リスナーを続けるが、依然それ以上の情報は流れてこない。
「チッ、相変わらず役に立た無ぇな……政府軍は――」
奥歯で苛立ちを噛み殺す。ここからどれだけ最短ルートで急いでも、500secは経過する。
その致命的なタイムロスの間に、現在、もう一組の先遣隊に撤退命令が出ていない以上、更に四人、確実に死者、若しくはMIA(行方不明者扱い)が発生するのは想像するに容易い。先遣隊とは名ばかりの体のいい捨て駒部隊もも、一個小隊選抜試験に置いて一人に良いように翻弄されていた。そのインブィジブルでさえ撃破してしまうような奴等に、取り合えず四人寄せ集めて小隊という体裁を整えられただけで戦場に放り出された彼らが生き延びられる筈が無い。
生存確率は試算するまでもなく0%だ。
「俺達はただの軍事兵器ってか……幾らでも生産が効く計算――もとい壊されるのを前提で物量策を練ってやがる……――不甲斐なさの尻拭いを全部俺たちに押し付けやがって――」
敵を全て殲滅したいのは、俺達の存在を後世に残すためじゃねぇのかよ――
切り捨ててまで望んだ平和が、そんなに欲しいのかよ――
「最後の最後に上の世代が生き残って一体、どうしようってんだよ」
そう吐き捨てながら、額のゴーグルを下ろし、灰の雪から目を遮る。 八つ当たり気味の乱暴なキックバックで、Custom-Ducatiのエンジンを吹かしスロットルを全開に回す。遅れながらついてくる景色に、凶悪なエキゾーストをぶっ放すと、初速200km/hで荒地の岩を跳ね上げながら獰猛に駆け抜ける。背後に巻き上がる狂暴な砂塵煙をサイドミラー越しに眺める俺は――ほんの少しで良いから間に合えば良いと――祈った。
丁度、バイクを降り立った地区はF-04とF-05の境目だった。
地上に突き出した通気口ダクトの大型ファンをぶっ壊し、ぽっかりと開いた穴から地下通路へ飛び降りる。
奈落に続く入り口のようなそれを縦に20m抜け切ると、赤いランプに仄暗く照らされた鋼鉄通路の床に、膝で衝撃を殺しながら着地する。遠くからは既に激しい戦闘音が鳴り響いていた。
脳内タスクを起動し、警戒センサーのレベルを<強>に引き上げることで判明した距離――反響音、残響音、壁面を反射して速度を削がれた音の速さから、おおよそ1000mと推定する。
銃撃、怒声、罵声、爆撃、鍔鳴、悲鳴――
俺は足音をなるだけ消しながら、それでいて全速力で駆け出すが900m地点で目標設定ポイントは完全に沈黙。
も全滅――政府軍から齎された情報は圧倒的に遅かった。ここからは救う者の無い、自分のためだけの戦いになる。ゴーグルを額に上げてソバージュの前髪が視界を悪化させるのを防いだ。
「…………」
まだ見ぬ死体に、俺は十字を切り、半世紀前に失われた宗教の作法で弔いの祈りを捧げる。捧げながらも、集中は途切れさせない。地盤金属を僅かに微震させながら迫り来る二つの足音が聞こえたからだ。
おそらく『蝿の王』からチーム選抜された二人組み(ツーマンセル)――まさか、奴等の団長が直接出向いてくることは無いだろう。俺は一度脳内に補完された政府軍から齎された作戦情報ファイルを洗い直す。
インヴィジブルを使ってまで政府側作戦司令部が達成したかったこと。それは『蝿の王』から奪ったメンバー<エンゲ>を誘拐したインヴィジブルが意図的に残したF-line上の足跡を辿らせ、少数人数に絞られ派遣された『蝿の王』捜索隊と俺を鉢合わせること。俺は政府軍にとって最終兵器で、それ以上以下でも無い。三体作成されたの内、一番戦闘向けに特化された俺は、単独で少なくとも二人以上叩けるだけの戦力を満たしていなければならない。そうでなければ、政府軍は確実に敗退、苦肉の策として戦略核による骨を切らせて骨を絶つ作戦を選ぶだろう。今持ちうる手駒手元に残っている兵士のほとんどを『蝿の王』の全団員を足止めするために無駄駒として使用したとしても。
これは、俺の戦闘テストも兼ねた上で、結果次第で明日の展望が占う極めて特殊性、重要性の高い戦闘。そういった作戦なのだ。
だから、俺は必ず政府軍が定めた標準値以上の結果を残さなければならない。兵士は、俺と同年代の奴等ばかりだ。俺が不甲斐ないせいで、奴等が無条件に死を選択させられてしまうというのなら、それだけは避けたい。
この身がどれだけの苦難を背負おうとも。
なんとしても――それだけは。
暗闇の通路に等間隔で配置された赤い非常灯の下で踊る影が二つ。
足音どおりの人数で、俺は幾分胸を撫で下ろす。数は少ないに越したことは無い。圧倒的な視界の悪さに、ゴーグルを下ろし、暗視スコープモードに切り替え、ゴーグル越しに目を凝らす。
右前方に腰に黒塗りの太刀を差した桃色の着物姿の少女。着物姿という条件のみで、固体を判別するのは危険だが、可能性的にはかなりの高確率で彼女がサクラ。少女の右目の眼帯は外されており、噂通りの紅い瞳が猫のように縦に割れていた。彼女を追うように、左後方からはサイズの釣り合わない漆黒のコートに身を包んだ少年。腕が完全にコートの下に隠れている。彼は――ジンゴか。
俺は、隙を消すために徒手空拳のまま身構える。距離にして既に20メートルを切っているために、ナイフを抜くだけの隙さえ見せるわけにはいかない。その僅かな動作でさえ『蝿の王』相手では――
一瞬、視覚の死角を生まれてしまう。
気づいた時には、右前方の少女の姿が消えていた――が、加速しただけ――ブレながらも全体を捉えれば、まだ見えている。そして、俺は判断する。その距離なら、俺の身体には届かない――
少女が腰元の鞘から逆手で鮮やかに解き放った抜き身で、俺の空間を両断しようとする。それは、有無を言わせぬ、綺麗な一掃。純粋に必殺の意志だけが込められている――が俺はこれを躱せる。躱せるだけのスペックが与えられている。躱せるだけの計算が成立している。模擬演舞の様に美しい、少女の刀が描く弧からギリギリ抜けるように半身を捻ってずらし、もう一人の少年に意識をやる。
彼も当然、臨戦態勢に移行し、コートの袖内に隠すように覗かせた銃――確認しづらいがバレルの長さ、無骨なフォルムからマグナム=オートマティックと判断――でこちらに狙いを定めていた。
中距離戦と接近戦のコンビネーション。
おそらくは、今回『蝿の王』が選択した組み合わせは接近戦担当が戦闘担当、中距離戦担当が索敵担当――なら、まずは――
俺は、俺の背後へと居合い抜きの要領で通り過ぎた少女を無視し、先に少年を潰しに掛かる。掛かりながら、政府軍の極秘ファイル内容を思い出す。
確か、コートの少年、ジンゴと呼ばれる彼のロスト・ポイントは<脳>。から齎されるロスト・リンクは<全六感>。それによって得られるロスト・ワードは<立体把握>――周囲半径100メートルにおける全ての状況を球状に把握できる能力。彼のロスト・ワード自体が大した戦闘能力を持たない可能性は極めて高い。どちらかというと能力的に、権謀術数向きだと思われる彼が今にも撃鉄を解き放とうとしていマグナム・オートマティックになんらかの改造を加えているか、の可能性。それも低い。結論として、彼自身にあらゆる戦闘パターンに置いて圧倒的な攻撃力があるか。答えは不安要素は残るものの確率的には『NO』。
――後方支援の思考戦が主体の存在は、本人の肉体、思考スペックに被害影響を与えるリスクを負ってまで、破滅的な威力や速度は引き出そうとはしないのが定石――から、推測。
俺は脳内タスクのチャンネルを弄り、戦闘メインプログラムを<ノーマル>から対サクラ用に設定。保存のため、脳内タスクを一時終了し、即座に再起動。タスク使用率が50%を切っているのを確認してから、物理干渉強制終了システム<キャンセラ>を起動発生<ブート>させ、肉体<ハード>が感覚<ソフト>で捉えている重力の重みを一定値まで解き放つ。それだけで、肉体は稼働率を向上、使用率が70%にまで引き上げられる。それは、感覚五感器官にまで及び、今まさに少年の手元にあるマグナム=オートマティックから放たれる弾丸が、銃口を重苦しく抜け出す瞬間さえ目で追える様になる。
地面のスチームタイルがウェスタンブーツの踵に填め込んだ蹄鉄と擦れあい、不快な摩擦音と共にに弾ける火花の一粒一粒でさえも見切れる。俺はそのまま少年の背後に回りこみ、ふりかぶると同時に腕を十字に交差させ、連続動作で左肘のツナギから抜き放ったナイフで一閃を仕掛ける。
――決まった。
俺は繰り出したナイフの斬撃が少年のコート背面に描かれた赤い血の十字架をなぞる様に切り裂く――完全にそう思い込んでいた。
が――
ナイフはあえなく横Gに弾かれる。Gが掛かってきた方向を見やると、着物姿の少女の手元には刀が無かった。
パートナーの窮地に躊躇わず獲物を投擲したか――
少女の判断によって、見せることを余儀なくされた俺の隙。
――に、少年は無駄の無い動作で流れるように身体を反転させ、銃口を再度こちらに向ける。
幾ら弾丸の速度が見えるとは言え――数十センチの間隔で放たれれば避けきれない。速度こそかなり落ちて見えるものの、威力が落ちるわけではない。触れれば致命傷になるそれの威力に、変わりは無いのだ。
脚部の筋力バネに物を言わせ、予備動作0のバク転で飛び退き、壁を踵で蹴りあげて少年との距離を一先ず置く。マグナム=オートマティックが発射されても、ギリギリ回避できる圏内の着地地点。その背後から、少女の殺気が一直線にヒシヒシと突き刺さってきている。おそらく、最短直線距離で俺に攻撃を仕掛けようとしているのだろう。肉体と切り離した思考で、それの把握はできている。が、俺の肉体が、減少したとは言えきっちり衝撃負荷として加わる縦Gに引かれ、傾いだ体勢が立て直せないラグに捕らわれる。
このまま、重力方向の流れに逆らっても躱すのは無理――
そう判断した俺は、そのまま身体を背骨から反らせ掌を床に突き――少女の脇差が俺の在る空間を貫くそのまえに腕力だけで身体を浮かせて、少女の頭上を飛び越え、攻撃中の彼女の無防備な背後に着地する。
今度こそこちらの好機――と思ったのも束の間、視界に黒く小さな影を捉え、慌てて少女の背後から軸をずらすように飛び退く。
距離にして15m。
少年――ジンゴは少女――サクラの一撃が外れそうだと判断するや否や、すかさず撃ってきた。
厄介だ――コンビネーションが意志の疎通を越えたレベルで統制されている。
『蝿の王』――餓鬼同志による殺戮集団だとは聞いていたが――という二つ名に恥じない程、冷静で計算高く、隙が無い。これで戦闘を専門にする奴が二人組めば――
冷や汗が一筋、背中を流れたその時だった。地下に居るせいで余計に酷くなった雑音ノイズが軍事衛星放送を耳元で垂れ流す。
「…ガガ……ギギギッ……に……ガッ……報告……ザザッ…肉体負荷計測…ガ……値が限界地点………ガガガッ……80%を超えまし…ザ…た…ただちに……ガガッ……帰還を命令し……ザッガガッ…ます……ザザザザッ……繰り返し…ガッ…ます…ザザ……ただち……ギギッに…帰還を命……ガガ……令します…」
「ここまでか――」
限界値まで20%を残すものの、危険を侵してまで今回の戦闘で叩かねばならないわけでも無い。殲滅された先遣隊には悪いが――この作戦は奴等に政府軍がこの通路で待ち伏せをしていたことから、この通路に何らかの秘密が隠されていると思い込ませ、暫く、この手がかりが皆無のF-lineを探索させるのが目的だ。
よって全てのカラクリを把握している俺の無事帰還によって陽動作戦は成立、成功する。そうして時間を稼いでいる間に未成熟のは孵り――新たに誕生する残り二人と組めば、戦闘特化型の俺ももう少し上手く立ち回れるだろうという寸法だ。
俺は物理干渉強制終了システムを緩やかに解き放ちながら、右ポケットから安全ピンを抜き放ったスタングレネードをダイレクトボレーの要領で『蝿の王』の二人に向かって蹴り放つ。爆発系のボムの危険性を考慮したのか、二人共、咄嗟に大きくバックステップを取り、距離を離す。それを振り返り際に確認すると同時に踵を返し、先程開けたダクトの大穴の空に向かって飛び移る。追い討ちを掛けてくる、直射日光のように視界を焼き尽くす閃光を背中にあびながら、垂直の壁を三角跳びの要領で蹴りあがり、地上に降り立った俺は手首に填め込まれたナビを見て、愕然とする。
戦闘モードに移行してから、600secしか経過していない。
「なんて――」
奴等だ。俺をここまで磨耗させるなんて――そして、なんて不便な肉体だ。600secで切り上げなければならないようなら、この先にまた幾度と無く在るだろう『蝿の王』との戦闘に若干の不安要素が残るが――まぁ、良い。新たに生まれる二人と組めば、また状況も変わるだろう。
俺は奴等が追ってこないうちにcustom-Ducatiに飛び移ると、F-04ポイントを後にした。政府軍の飛行部隊と事前に合流地点をG-05と決定してあるので、行き先には迷わない。俺の生き先もそんな風に簡単に決めることができたなら――と馬鹿げた想いを込めながらスロットルを全開に回す。
速度を加速させる度に響くにエンジンの凶暴な振動だけが、やたらと肉体に堪えた。
2
「殺す」概念の正当化。それは「悪」にしか為り得ない。
†††
突発的な聴覚情報に、浅い眠りから呼び戻される。自室のベッドに横たわっていた俺は、瞬時に脳内タスクを起動させながら室内を見渡した。天井に備え付けられた蛍光灯のランプは消え、代わりに『警戒態勢』を知らせる赤いシグナルランプが、暗室内を明滅させていた。耳を劈く断続的な警戒音声アラーム。
センサーで部屋の周囲に敵が居ないことを一通り確認してから、耳に押し込んだままのチャンネルを<待機モード>から<軍事放送>に切り替える。
「――緊急警報、緊急警報、B-09区画<神の卵>孵化装置保管研究棟『under ground Σ』に侵入者。個体識別照合「人型unknown」により――『蝿の王』だと思われます。現在侵入熱源数は3」
3――か。
中途半端な数字だ。気に喰わない。
ともあれ『蝿の王』団長はこちらが掴んでいる情報通りなら、まだA-00地点に潜伏しているだろうから他の団員達――サクラ、ジンゴ、タキ、ミライ、レン、ライから三人――俺と既に接敵しているサクラとジンゴは襲撃メンバーに含まれる可能性が高い――残りの一人は、インヴィジブルが瀕死の重傷を負わせたタキを除いて――ミライ、レン、ライの内から一人、か。
その三人なら、誰が来たところで大したコトは無い。
俺は勿論、産まれたばかりのアイツでも十分殺れる。
俺は、薄手の防護ジャケットに袖を通しながら、脳内ネットワークでコトリにコールを入れた。
『コトリ、聞こえるか』
『うん、聞こえる。こっちは大丈夫だよ。運良くメンテナンスルームに居たお陰で、戦闘準備は万全』
頭蓋骨内に響く、コトリの声。
唄を歌う様に流麗な口調が脳を震わせる。その振動に、ふと――聴覚情報から復元された視角情報視野の奥底に、彼女の艶やかな栗色のセミロングヘアーが舞うが――俺は慌ててそれを振り払った。
――どうもこの感覚にだけは慣れないな。
自嘲気味に呟く。
彼女は直ぐに慣れたと言っていたが――今はそんなことを気にしている場合ではない。
頭を振って、気を取り直す。
『『蝿の王』相手だが――初めてのミッションだ。可能な限り適当にやれ。無茶だけはするなよ。具体的に言うなら『蝿の王』は各個撃破しろ。二人以上で組んでいるようなら、尾行と報告だけにしろ。始末は俺がする』
『了解』
『合流地点は<神の卵>が在る、研究棟under ground Σ中央最下層。奴等が具体的に何処までこちら側の情報を把握しているかは判断しかねるが――奴等の中に捜索に特化した個体(ジンゴ)が居る。おそらく今回、三人小隊の一員として参加しているだろう。そいつの手にかかれば神の卵の場所がバレるのまでに、そう時間は掛からない。比較的、急を要している。作戦の許容時間は今からジャスト700sec。それまでに最下層に辿り着き、防衛兵と協力、神の卵が孵化するまでの時間――なんとしても護りきる』
『もし、途中で『蝿の王』と戦闘になっちゃって辿り着けなかった場合は?』
『救出信号(SOS)を出せ。可能な限り俺が助けてやる。お前を無碍に殺させたりはしない』
『それって、愛の告白だったり?』
『冗談――無駄口を叩いてる暇はない、とっとと行け』
『じゃ、under ground Σ中央最上層で一旦確認連絡入れるねー』
バツッ――と音を立てて向こう側からネットワークが切られる。
俺は脳内タスク上に警戒センサーを常駐させながら、防護ジャケットの関節部ツナギに隠した仕込みナイフと、膝上のホルスターに仕舞った銃の有無を確認する。
ナイフ――オーケー。
12mm口径デザートイーグル――オーケー。
サブマガジンストックもオーケー。
ナイフは常日頃から刃渡りの手入れを入念にしてある。実戦において信用に足る。
銃の方も昨日の射撃訓練終了後にメンテナンスをしてある。バレル、ホルダー、トリガ、シリンダー――他箇所も金属疲弊による消耗は無し。誤作動や弾詰まりを起こすことはない。マガジンに弾薬がセットされているのを最終確認してから、安全装置を外しておく。
こちらの準備も整った。傍らのテーブルに載せておいたゴーグルを填める。
ゴーグルの視界右隅にタイムリミットである700:00から30sec差し引いた表示をスクリーンアップさせる。669:99にカウントダウンされ始めるのを確認してから、俺は部屋を飛び出した。
「外部電源を切断した――か」
廊下は静寂と闇に包まれていた。明かりは、施設内部の非常電源を利用した緑色電灯の光が、仄暗くリノリウムの壁面に反射する程度。一昨日、『蝿の王』と接敵したF-lineの状態に酷似している。一寸先は、肉眼では把握しづらい。
連絡手段を断つ為か。
「予想より浸透が早い――」
俺はゴーグルを暗視モードに切り替えると、闇を睨む。この施設は電力の供給が断たれると、瞬時に内部電源に切り替わり、まず実験施設の最低限稼動のために電力を割く。研究棟として研究保存に電力を使用するのが最重要条項というわけだ。次に、この施設は密閉空間に近く外部からの自然照明を取り入れる機能が皆無に近いため、内部人員用に照明に電力を割く。最後に外部連絡手段を持つ端末に電力が回されるのだが――そこまでシステムを復旧させるのに一時間近く掛かる。今回の様に警報装置が作動している状態なら、尚更だ。警報システムの沈静化までの時間を計上すると、更に三十分、復旧は遅れるだろう。短時間にしてはやけに素早く錬度の高い策戦だ――それとも、セオリーを重視しているだけなのか。
廊下を中央に向かって突き進むが、依然、敵影は確認できない。脳内タスクの警戒センサーを自走モードに切り替えて、周囲の状況を洗わせるがこちらにも敵影反応は無し――あくまで周囲20mにおいての話、だが。
俺の自室は研究棟under ground Σ中央を中心として丁度コトリの居るメンテナンスルームの対極に位置する。現在俺とコトリの距離は直線距離にして約1200m。このまま途中、『蝿の王』との戦闘が無ければ――当然周囲を警戒しながらなので無防備に走り抜ける事はできないが――200sec以内には辿り着くことができるだろう。
しかし、それでも敢えて700secにしたのはやはり『蝿の王』と遭遇してしまう可能性を懸念してだ。設定時間には、極力『蝿の王』の気配を察知し、隠れてやり過ごせ、という意味を込めてある。コトリは産まれたばかりだ。『蝿の王』との戦闘は成る丈避けさせたい――
†††
――240secが経過。
ゴーグルのリミットが430:00を切ったところだった。
俺はふと、立ち止まる。
立ち止まって、突き進む闇の奥を見据える。
つい先ほど、コトリから脳内無線ネットワークを介した連絡が送られてきた。俺と合流する筈だった地点に着いた――という連絡。俺は、『蝿の王』の突破に対して防御力を強化するために武器庫に寄って行くから先に行け、と彼女を促した。
できるだけ、自然な態度で。
この――俺の居る場所に今、彼女を近づかせるワケにはいかない。此処で俺が先んじて遭遇できたのは、全くもって――不幸中の幸い、だ。
彼女と連絡が付く前に遭っていたら――戦闘に夢中になっている俺に、彼女からの通信は俺に繋がらなかっただろう。そのせいで、連絡が取れないことを心配した彼女を巻き込み、運悪ければ死なせていたかもしれない。所詮、初ミッションの彼女は、俺にとって足手まといでしかないのだ――
が――本当、遭遇したものにしか分からないな。この感覚は――まさに、笑うしかないという奴だ。
ここまで圧倒的――かよ――。
気配だけで――
雰囲気だけで――
存在そのものだけで――他者を圧倒する
さすがは――
俺は、震える肩を掌で掴んで押さえる。
警戒センサーには視認する前から、引っ掛かかっていた――出来る事なら、敵前逃亡を試みたかった。だが、出遭ってしまえば決して逃してはならない敵というモノは存在する。自分だけでは無く、誰かの事も守ると決め俺自身の定義に逆らわないとすれば――彼女は、後々のために、必ず叩いておかねばならない――絶対の敵。
暗闇の向こうから、徐々に姿を現す白いサンダル。白いワンピース。黒すぎる黒髪。あどけない顔立ち。足取りがゆらゆらと揺れて薙ぎ頼りない幽玄の少女。今にも儚く瓦解してしまいそうな少女は――出来れば、インヴィジブル同様の作戦を用いることが出来ない今、最も会いたくはなかった――最悪の敵。
インヴィジブルはこんな奴を相手に――
正直、賞賛に値する――
「こいつが――」
奥歯で噴出す汗と震えを噛み殺す。
<破壊の女王><底無し沼>を前にして俺の肉体が、理性を無視して本能的に危険を訴えていた。途轍もなく、逃げたい。
この高さ2.8m幅2mしかない一本道の通路で――自らの死さえ厭わない<破壊の象徴>を、どう斃す。
しかも、俺のセンサーはもう一つ、熱源反応を捕らえている。
コツリと仄暗い照明の影から這い出した革靴が、床を鳴らす音がする。
「政府の陽動策戦はいささか茶番劇めいていたな――インヴィジブルの喪失後、F-lineに拘り続けていた事や、待ち伏せをしていた兵士の質、あの互角の状況下に置ける手前の撤退の早さ――まぁ、この程度の不確定要素なら幾らでもあったが――やはり決定打となったのは、あの直後――新たに<神の卵>が一体誕生したという情報だ。そこまで明白な行動を示されればこちらとしては、動かざるをえないだろうが」
ワンサイズオーバーの黒いコート姿の少年――ポケットに両手を突っ込んだジンゴがタキの背後の闇からゆっくりと姿を現した。そして、俺に向かって嫌らしい笑みを浮かべる。
「まぁ――だからこそ、こちら側も策を立てやすかったと言えるのだが――まさかまさか瀕死の重傷を負ったタキをこのタイミングで実戦投入してくるとは、手前の上等な頭脳を最速で回転させたとしても予想の範疇外だろうよ――ええ、策士君」
成る程、そこまで読まれている……か。
確かに――彼女を今回の戦闘に持ち込んできたのは予想外も予想外、最早既知外の沙汰と云わざるを得ない。全く、厄介な代物を持ち込んでくれた。己への諸刃にならないとも限らないリスクを背負ってまで――。
俺はゴーグル越しに、少女に視線をやる。
彼女の全身からは絶えず白い虚無のイメージが発し続けられているだけで――殺気といった類の気配は感じられない。その気配が故に、胸に渦巻く追い詰められたような不安感が拭えない。
この感覚は――不味いな。
殺気が読めなければ、いつ攻撃態勢に移るか――必ず視認しなければならない。その視認が瞬発的思考のノイズとなり、致命的な隙を作り出す。
兎に角――殺るしかないが――。
俺は目の前に立つ、隙だらけの二人組みに向かってツナギ肘辺りのフォルダーからナイフを抜き放つと、水平に構える。構えながら、じりじりと距離を詰めつつコトリの状況に気を拱く。
急襲を掛けてきた人数は情報通りなら三人――二人組みがこちらに居るという事は――あと一人。
一人――か。
一人――ね。
ジンゴ――彼の思考パターンから推測すると――やはり三人という情報は認識を改めざるを得ないな。
急襲を目的とした指揮を執るのならば、少なくとも二人、一人に分けて敷地内に侵入はさせない。急襲に必要なのは迅速も必要だが、それ以上に徹底的な突破力と任務遂行のための自立思考が必要だ。あのサクラという少女――突破力だけなら群を抜いているが――そのために自制となるべき「鞘」の存在も必要だろう。でなければ彼女は敵陣の中で、力に溺れ力尽きてみすみす犬死するタイプだ。それは、初めて『蝿の王』と戦闘したあの時と――インヴィジブルから送信されてきたファイルによって予め把握してある。
それに、『蝿の王』は様々な策戦行動に置いて、残された資料映像から常に二人組み(ツーマンセル)で行動を遂行しているというデータもある。
どう考えても、あの軍事放送の情報は、誤報――
若しくは、時間差で新たに一人が侵入し、二人組みが二手に分かれて棟内の探索に当たっている――
クソったれ――検問員は何故こうも容易く侵入させた――厳重警戒体制が敷かれていたんじゃなかったのか。
どのみち俺は――迅速にこいつ等を撃破、若しくは突破するしかない。
ナイフの柄を今一度、しっかりと握り締め直すと、物理干渉強制終了システムを90%まで解放する。脳内タスクの使用率は限界近い83%、精神や肉体に掛かる負荷は計り知れないが――この戦闘、長引かせれば展開はこちらが不利な流れだ。一か八か――短期決戦に賭ける――。
「――――ッ!」
俺は前衛の少女――タキまでの距離が10mを切った瞬間、風を切り裂きながら彼女の胸元へナイフを突き立てるイメージと共に一直線に駆け抜ける。心臓を抉る行為だけが目的の必殺の所作。
しかし、少女は余裕の――
余裕の眠たげな目で俺を一瞥すると――すっと腕を差し出した。
「――死んじゃえ」
一瞬で、俺は直角に跳ぶ――
そこまでは理性が跳ばせた――
そこまでは計算通りだったのだ――
前衛の少女を狙うと見せかけて、後衛の少年を先に潰すという計画が成立していたのだ――
だが俺の本能が理性を否定する――
一瞬で、俺が直角に跳んだのは――
――本能が跳ばせた。
そして――本能は正しかった。
感覚野が解き放たれたことにより精度が100%、相対速度が200%上昇した動体視力ですら、避ける事を前提にして置かねば避け切れない速度で俺が居た一瞬前の空間に――突如として闇の塊が根こそぎ空間の全てを奪って生まれて――弾けた。
其処には「無」しか残っていない。
反応も、衝撃も、影響も、何も無く――闇の塊が出現して消滅した位置には、ぽっかりと奈落の闇だけが口を広げていた。
最初から、少女の手前で直角に壁に向かって跳び、後衛のジンゴに攻撃を仕掛けるつもりだったが故に避け切れたものの――。
もし、最初から無防備な少女の心臓を抉ろうとしていたのならば。
天井近くの壁面を蹴り上げて、彼らの死角に回り込む瞬間に見た少女の横顔には、無表情以外に何も無く、その普遍性に心臓が麻痺しそうな恐怖に襲われる。
ヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバ、い――
さっさと――
一方だけで良い――
殺らなければ――
最早俺の思考は――
思考というカタチすら為してはくれなかった。
跳び退った壁を蹴って、宙空に躍らせた身体。
自然、少年と少女を見下ろす形となる。
少女は圧倒的だ――
だから――少年を先に叩いておく。
「だから――後衛の俺。そうくると思ったよ。F-lineに似せたシチュエーション作りをしておいて正解だ。シュミレーションは――完璧だったようだ」
何事かを呟く後衛の少年を上空から袈裟斬りにしようと俺を壁面を思い切り蹴るが――。
少年のコートの裾から覗く黯い瞳が見つめ返しているのを見て、やっと理性を取り戻す。黯い瞳――それは、コートの裾から覗いた銃口で――余りにも余るほど――なんて具現化された絶望。
終った――大概そう気づいた時にはもう遅い。
遅れて聴こえる銃声――俺の眼前には、鋼鉄の弾丸が迫っていた。
2004/12/22(Wed)18:37:27 公開 /
覆面レスラー
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たまには義妹やら幼馴染やら年上やら年下やらネコ耳やらネコミミモードやら萌えやらゆんゆん電波やらが満載の小説も書いてみたいなぁ……と。そんなカンジで最近はなんだか曲がり気味です。暖かい御飯のせいかもしれません。「お兄ちゃんが悪の道に染まらないようにするのは妹の義務だもん」とか「違うよ。お兄ちゃんだから好きなんだもん」とか、ほどよく架空の甘さとほろ苦さが表現されてて妹って実は良いモノのかもしれないなぁと思ってしまったりするのもそのせいなのでしょうか――ってマジで何を言ってるんでしょうか。やっぱりちょっと壊れ気味なのかもしれません……。こんな馬鹿げたコメントまで読んで下さった方に感謝と謝罪を。
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