『地球の終わりまで……♪』 ... ジャンル:未分類 未分類
作者:hiko                

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「ぶっちゃげると、地球って後十日でお終いなんだ。そう、なくなっちゃうの」

「だから僕は地球の生物にご褒美上げるんだ。良く繁栄したで賞なんてね」

「望みを叶えてあげようかななんて……」

                  *

「だぁー!! なんだ今の夢っ!!」
 
 勢い良くベッドから半身を起こした少年、小さな顔にボサボサ頭。寝起きだからしょうがないか……。チェックの寝間着を着ており、見た目は見るからに真面目そうだが、実際のところはそうでもない。今の時代に良く見られるぶりっ子だ。人前ではきっちりとしているが、家や安心できる人の前ではだらしがない。典型的な見た目だけ優等生。

「五月蝿いなっ!!」
 
 ガシャン。先ほどから鳴り続けている目覚し時計を勢い良く叩く。そして止まる。
 いや……。

 ヂリリリリリ!!
   ヂリリリリリ!!
  
「んぁ、壊れたかな?」

 ヂリリリリリリ!! ヂリリリリリ!!鳴り続けるベルの音。
   ヂリリリリリリ!! ヂリリリリリ!! ガシャンッ!! ジジッ……。
 停まった。

「……」

 この少年、見た目に寄らず暴力的だったりもする。先日も自室のドアの鍵が壊れて開かなくなり、その日は仕方なく窓から外に出るなんというなんとも面倒くさいことが起きた。その次の日、ドアがあった場所には風通しのよい吹き貫けが自室と廊下を繋いでいた。
 日本人は血液型なんてものを気にする。それによるとA型は几帳面なんていう常識があるようだが、それは間違いじゃないかと思う。一蹴でドアを取ってしまうことを几帳面とするなら別の話だが。

「はぁ、また買ってこないとな……」

 壊れた時計を片手に少年は起きた。それとほぼ同時に地球上に不燃物が増えた。

                  *

「……ガタガタン ガタガタン ガタガタ……」

 少女は電車に乗っていた。今日も早朝から始発に乗り、学校を目指す。少女の通っている高校は都心にある。が、自宅が随分と離れた郊外にあるため、電車の乗り継ぎ三回、バスで一時間という道のりをへて我が校へとやっとの思いで着く。合計で三時間とちょっと、これを毎日である。
 それだけの時間があれば朝食もその間に採れるわけで、高校に入ってからというもの家族と朝食を採った覚えがない。
 いつもと同じように、コンビニで買ったサンドイッチをほおばる。美味いとも不味いとも言えぬ大量生産品なのでとりあえず、

「おいし」
 
 ポジティブに生きることをモットウとしているらしい。
 長い座席に一人きり、いつものことである。自分で望んで受けた高校なのでこのちょっとした電車の旅も嫌とは言えない。いいや、中々電車の旅もいいものだ。流れていく景色、いろんな人にも会えるし、この揺れも心地よい。といつも座っていられる早い時間はそう思うのだけれど、乗り継ぎと時間が過ぎる度に増える乗車客。やはり嫌になる。
 そんな少女に関係なく電車は走る。まだ、学校までは遠そうだ。
 
「……ガタガタ ガタガタ……」

                  *

 風が頬をかすめる。規則正しく小さく体が上下する。景色が眼の端へと消えていく。視点はただ一点を見つめている。変わり続けている景色の中、見ているところは一点なのだ。

「ハッハッハッハッハ」

 公園の周りを五周。距離にすると八.二kmくらい。正確に測ったわけではないが、公園の隅にあった全体図を縮尺で目測した。計算は得意な方ではないので自信はないが、それ以上知ってもどうというわけでもなく、その結果を信じている。  八.二kmだ。流れ行く景色の中、規則的に体を上下させながら、公園の周り十.二kmを走っていく。
 人気はない。

                  *

 暗く、何もない小さな部屋の中でぴちゃぴちゃ音がする。規則的にそれは繰り返されて止むことがない。電気も付けずに少年が部屋の真ん中でペタンと床に座っていた。少年のお尻の下は水溜まりのようになっている。
 部屋の中は生臭い空気が溜まっていて、こもった空気が少年の周りを漂っていた。
少年はただ座っているだけではなく、腕にバスケットボールくらいの丸い物を抱えている。それは……人の頭だった。
 その頭は体から切断され、本来体にくっ付いていた方が上にされている。その頭を少年は大事そうに抱え、首のところをまんべんなく舐めていた。服は首周りから血に染まり黒く固まっていた。口の周りには舐め回している時間が長いからか、血の塊がこびり付いていた。それでも少年はぴちゃぴちゃと首の切断面を舐めている。気道、脊髄、肉、血管。丁寧に大事そうに壊さないように舐め続ける。
首は少女の物だった。閑静な顔立ちで、生きていたらさぞかし美人であっただろう。しかし、今その美少女は少年の腕の中で白目をむいて、恐怖に筋肉が引きつっている。生前こそ美少女だったそれは、今となってはとても普通の精神で凝視できる代物ではなかった。それでも少年はそんなことは関係ないといわんばかりにひたすら舐め続けるのであった。まるで宝物のように、少年は少女を抱きかかえていた……。

                  *

「正直言って、悩んでいるんだ。誰にしようか。」

「何せ地球には生き物が多い。今一番繁栄している人類だってその中にはネグロイドやら、モンゴロイドなんて種類に分かれている。その中から五人見つけ選ぶなんて悩むよぉ」

「でも、決めていることはあるんだ。それは……子供さ、僕は地球の未来は子供に托そうと思うんだ」

「何故かって? そりゃ決まってるよ。夢があるじゃないか。それにこれから生きていくはずだったのにあとちょっとで終わり。なんてかわいそうだしねぇ」

「んん、決めた。決めたよ僕は」

「モンゴロイドにしよう。その中の日本人だ。あの種族は中々根が真面目だからねぇ。んんいい、そうしよう。そんでもってその中から子供を五人っ!!」

「じゃあ、決まったし始めよっかな……」

 そう言うと神は水かめの中を手に持っている枝切れでかき回した。
 かめの中の虹色に輝く液体はぐるぐると渦をまいて中心でのみ混ざっていく。中心に流れに動じぬ物があった。大きな林檎だった。

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2004/11/06(Sat)22:37:57 公開 / hiko
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■作者からのメッセージ
えーっと、中編です。
何はともあれ中編を書きたかったんです。
これも一つの経験になればと思いとりあえず書きました。
なので、少しまとまりがないようになってしまいました。
練習作としてみてもらえればいいと思います(なんだそりゃあ;)
ゆっくり長くしていきたいと思うので感想がありましたらお願いします。作者でした。

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