『RPG 第一章〜第五章』 ... ジャンル:未分類 未分類
作者:風時
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第一章
「美弥――!」
四方八方から聞こえるノイズ。飛び交う情報や雑音、映像。そして沢山の人。そんな雑踏の中、彼は人をかきわけながら必死に走っている。頭の中に浮かぶのは恐怖で顔を引き攣らしている一人の少女のことだけ…。他のことは一切考えず、ただ走った。
「わざわざ美弥を連れて行かなくてもいいだろうが…」
と、小さく独り言を呟き、さらにスピードを上げ拓耶は走っていた。
やがて中心街をこえ、人もまばらになったころから…聞こえた、少年の声が「拓耶」の名を呼んでいるのを。そして少女がただ一途に「来るな」と言っているのを。拓耶はその声に向かってただ、ただ必死に走った。そしてその声の先に…、いた。探していた少女、美弥と日本人離れの美しさを持つ少年が。
「待っていたよ。遅かったね。浅野、拓耶」
人間にはありえない銀色の髪、薄紫色の瞳を持った美少年、ルイスは拓耶にそう言い放った。手には銀色に光る刃。それを恐怖に顔を引き攣らせる美弥の首筋にあてながら。
「き、来ちゃ駄目! あたしのことは放っておいて逃げっ…ツッ!」
ルイスは首筋に当てたナイフを少し動かす。ただそれだけで彼女の首筋にはたらりと深紅の血液が伝う。
「煩い、闇の娘」
切れ長の鋭い瞳で銀の彼は美弥を睨む。
そしてまた、言葉を紡ぐ。
「拓耶、君はこの女を見殺しにするのか…?…まぁ、そういう判断はお前に備わっていないな…!」
ルイスはナイフを美弥に衝きつけながら、挑発的に一笑する。そしてまた、彼女の声にならない悲鳴と共に紅い血液が流れる。
「黙れ、翠櫂 婁慰簾(スイカイ・ルイス)…。……とにかく美弥を離せ」
「…素直に離すとでも?」
「離さないのなら…、方法は一つしかない」
赤目紺髪の少年・拓耶は髪を一本引き抜き、指で手に呪印を描き叫ぶ。
「我は死神…、ここに剣を願う!」
すると拓耶の手にあった髪が変化し、黒紅色の剣が現れた。
「そうこなくちゃな…。
我は聖神…、我に剣を!」
すると彼は美弥を放し、自分の銀髪を一本引き抜き、指で手に呪印を描き叫ぶ。
彼の手にも銀紫色の剣が握られる。
拓耶とルイスは剣を構え、お互いの隙を値踏みするかのように走り寄って…
ブチンッ
「何すんだよ!」
映像が映る箱の前に座っていた少年がその電源らしきボタンを押した女に叫ぶ。
「ほら、夜ご飯の手伝いをしなさい! 豚汁作るからジャガイモと人参の皮むいて」
「たくっ…、いいところだったのに…」
異議を唱えた少年の名は浅野 拓耶(あさの たくや)。ゲーム好きの少年だ。彼は今、最近中古ショップで購入したゲームにはまっていた。ヒロイン、主人公、全てのキャラに名前をつけなければいけない(主な人物のみ)、結構面倒なゲームなのだ。だが設定し終わり、ゲームを始めてからは本当にはまってしまった。細かく言うと何百種類の中からキャラの声を選び、自分や知り合いの声にあわせることができる。キャラの服装、顔立ち、体形なども本当に事細かに設定できるのだ。その代わり、ものすごく面倒だが…――拓耶もこの作業に2週間はかかった――やり始めてからは、知り合いが本当に似ている姿で出てくるわけなのだから本当に面白い。その上、主人公が行く村や町での会話は、キーボードで言いたいことを打ち込むと、その聞きたい人からその聞いたことの返答が返ってくるのだから本当に自分が冒険しているかのような気持ちになれる。
だが、このゲームを手に入れることができたのは本当に不思議だったとした言いようがない。本当に不思議だった。たまたま中古の本・ゲーム・CDショップに行き、マンガを立ち読みしていた時に見つけたのだ。本棚の端に隠されるようにして置いてあった。
そのゲームには「――RPG――」と書いてあり、他には何もなく。ただのCD―Rのようだった。そんなこんなでためしに買おうと思ったのだった。しかし、店員には
「このようなゲーム、本当に当店にございましたか?」
と聞かれ、理由を聞くと
「登録されていないゲームなのです」
といわれたのだ。
それでもそのゲームに惹かれていた彼は必死に交渉した結果、無料で提供されたのだ。
「あ〜…、続きが気になる…」
彼が先ほどやっていたゲームはそのゲーム、「RPG」だ。システムだけでなくストーリーも中々面白く、切られた続きが気になっていた。
「こら、皮むきの手が止まってる」
ジャガイモの皮をするするとむきながら母親が彼を制した。
「はいはい」
再び手を動かすが妄想の世界に入り込んでいて皮むきのスピードは遅い。
「ちゃんとやりなさい。それと返事は一回だけ。わかった?」
「はーい」
一度頭の中からゲームのことを抜く事で素直な少年らしく母の手伝いに没頭する事ができた。
その夜、自分が皮をむいた人参の豚汁を美味しく食べ、夜遅くまで「無題」のゲームをやり、ついに明け方、全クリしたのである。
次の日のことだった。
「美弥!お前の名前を貸してもらったヒロイン、見事に俺が助けたぞ」
ここは公立菫高校の2年4組である。拓耶はウキウキとした表情でなかなか美形の少女に話し掛けていた。但し話し掛けられている少女は少々機嫌が悪そうだ。
「……人の名前勝手に使って…、許可してないのに。それでまぁ、助けたなら許すけど、もしそれで私の名前のキャラが殺されたのなら、私絶対許さなかったよ。ま、今回は助けたことに免じて許す」
そういうと美弥と呼ばれた少女はにっこりと微笑む。美弥は拓耶が買ったゲームに登場した少女のモデルだ。まぁ、ゲームの中でも外見的特徴は全く変わらないのだから一瞬見れば誰でもわかる。モデルではなく、元、といったほうが正しい。
「で、どんなエンディングだったの?」
自称ゲーマーだという彼女は眼を輝かせながらそう聞いた。
「昨日クリアしたところまでは言ったろ?」
「え、あのルイスがあたしのことをさらってくところ?」
「あぁ、それを俺が助けるために人ごみ溢れる雑踏の中を走るんだ…」
「で?!」
「俺はルイスの所に追いつくんだ。するとルイスは『遅かったな。』って言う」
「うんうん!」
「お前はそこで『あたしのことは放っておいてもいいから逃げて!』って言うんだ」
彼と美弥は仲いいのかよくわからないがこういうときはことのほか仲がよい。
「……へぇ…、そのゲーム面白そー…」
「あ、貸さねーぞ」
「え!? なんでー!?」
「あれ、一回違う設定にしちまうと俺が時間かけてやった設定が消えちまうから」
「…。一回クリアしたんならもういいじゃん」
「ダメ、あれは何十回もクリアする」
舌を出して茶目っ気に拓耶は答えた。美弥は対照的にご機嫌斜めって感じだ。
「おい、いつまで話してる気だ」
美弥は後ろからパコッと叩かれた。
「…早坂センセー…、チャイム鳴ってないじゃないですかぁ」
振り向いた美弥は頬を膨らまして担任、早坂を見つめた。
「そうだー。別にまだ良いだろ?」
拓耶もぶすっとした顔で美弥の後に続く。但し敬語じゃない分だけ生意気だ。
「おまえら…、チャイムはもうとっくに鳴っているぞ!」
早坂先生は時計を指しながら二人の頭を丸めたノートで叩いた。
「ゲッ!マジだ…」
「……うわー…、気付かなかった…」
「…お前等…、それが馬路だからなぁ…」
早坂先生は頭を抱えて教卓に立った。
「あー…、家に帰りてー…」
屋上で美弥と共に弁当を取りながらの拓耶の一言である。ちなみにこの二人、付き合っているわけでは無い。但し拓耶が美弥を好きなことは公然の事実だが。(彼女の友達間では美弥も…、との事だが本人は否定)
「あと二時間あるでしょ。国語と社会」
美弥が自習用の教科書を広げながら弁当を食べるところを見て、拓耶は大きなため息をついた。
「……お前、よく弁当食いながら勉強ができるな…。それも文系。理数系ならまだしも文系の勉強は嫌いだ」
それを聞いてため息をついたのは美弥である。
「……あたしにはそっちの方が理解できません。文系ならともかく、あたしには理数系の勉強なんてできませんね」
不思議な敬語で答えた。そんなの理解できませんね。と、言う口調だった。
しばしの沈黙を破ったのは拓耶だった。
「……やっぱり俺たちって正反対だな」
「……ホントにね……」
お互い大きなため息をついた。そして時間は刻一刻と過ぎていく。これが運命の時まで後三時間の時の話だ。
第二章
「ただいま……」
家についた彼はソファへと倒れこんだ。部活をやっていない拓耶は放課後すぐに帰れるのだ。いつもならここで重いカバンを背負うことえできる疲れを取る為ぐったりしているところだ。しかし今日はそういうわけにも行かない。美弥が来るのだ。
「いくらあのゲームが見たいからって部活まで休んで遊ぶやつなんて珍しいよなぁ…」
親父臭くよっこらせ、と言いながら起き上がり、着替える為に二階へと足を進める。
「あ、今日母さん仕事だっけ…。ま、丁度いいか」
部屋につくといつもの普段着に着替える。深い蒼色のジーパン、黒無地のティーシャツの上に灰色のパーカーを重ねる。まぁ、普通の男の子の服装だろう。
着替えが終わると部屋の片付けを始める。男の子にしてはなかなか整っている部屋で、片付けの必要もさほど感じない。数本散らばっている本を棚に戻す。その散らばっている本はゲームの攻略本が基本だがちらほらと歴史的文学も見ることができる。小説なども本棚にならんだ所から見ると、意外と本好きで真面目な少年なのかもしれない。
片付け終わると今度は階段を下り、菓子と飲み物を準備する。すると
――ピンポーン…。――
インターホンのベルが鳴った。
「あいつ、来たのかな?」
インターホンの受話器を取り、耳に当てる。
「はい」
「あ、椎名ですけど」
「お、美弥か。入れ」
「はーい」
インターホンの受話器をおき、玄関の扉を開ける。
「おっじゃまっしまーす」
「いらっしゃい。二階だからな。部屋、わかるよな?」
「もち。あ、お菓子持ってきたから」
「お、サンキュー!」
家に上がり美弥は階段をなれた足取りで上がっていく。拓耶は用意していた菓子に美弥からもらった物も増やして二階へ持っていく。
「あ、早速発見したか」
部屋に入った拓耶は無題のゲームカセットを見ている美弥を発見した。
「うん。…これ?」
美弥はキラキラと目を輝かした。拓耶は少し呆れた表情をしてCDをゲームハードにいれ、電源を押した。
いつもと同じコンティニュー画面が出た。そこで、キャラクターの説明画面がでる。いつもはSKIPしているのだが、今日は美弥がいるので説明することにした。
「あ、美弥は…」
「これだよね!あたし!」
自分の姿を発見したのはさすがと言える速さだった。
「で、これが拓耶で、これが泉でしょ? それから…、これが遠野だね」
「当たり。な? 本当に似てるだろ?」
そうこうしているうちにキャラクター説明も終わり、前回の続きからになった。とはいえ一回クリアしてしまったので前の場所なのだが。
美弥は黒目がちな大きな瞳を見開かせ、ゲームをまじまじと見つめていた。
拓耶は何か背筋がぞくっとする感覚を覚え後ろを振り向いた。
「どうしたの?」
美弥は心配そうに声をかける。拓耶の目に入るのはいつも見ている本棚とそこの横にかけてある制服。
「いや、なんでもない」
気のせいだと思い、拓耶はコントローラーを操作した。
『美弥――!』
テレビから拓耶の声がし、そして拓耶は必死に走っている画面が映っている。
拓耶は中心街を走り抜け、ついにルイスと対面する場所になった。
『待っていたよ。遅かったね。もう来ないかと思ったよ。そして…、君はもうそっちの世界の住人じゃなくなる・・・』
「えっ…?」
拓耶は驚いた。確か前はこんなこと言っていなかったような…。
「ど、どしたの?」
拓耶のあまりの驚きように美弥は慌てて拓耶の顔を覗き込む
『消して! 今ならまだ間に合うから…、ゲームを消して!』
画面の中の美弥は拓耶に向かって叫んでいる。
「やっぱり違う…」
「ねぇ、本当にどうしたの…? しかもなんか…、ゲームを消してって…、あたしたちに言ってるような…」
『拓耶。…タイムリミットだ。来い…!』
美弥が言い終らないうちに、ルイスは手に呪印を描き
『聖神の命を聞き、異世界への扉を開け!』
テレビの中のルイスがそう叫ぶと白い波動のような物が二人を包む。
その途端、部屋が一瞬白く光り、そのまま拓耶と美弥は…、その場から消えていた。
第三章
「ん…っ」
意識を失っていた彼女は木下で、黒目がち瞳をこすりながら目覚めた。瞳に入る自分の髪の毛が金髪なことにも気付かないほど、彼女は動揺していた。
「…どこ…? ここ…、って拓耶!?」
彼女――美弥――は自然に拓耶を探した。が、彼はいない。彼女の記憶は的確だった。
「拓耶の部屋にいたはずなのに…」
とりあえずキョロキョロと辺りを見渡す。が、見えるはずの彼はいない。その上見覚えの無い町並みが目前に広がる。
「拓耶、拓耶!?」
彼女は裸足のまま、拓耶を探しに街へと足を進めた。
そのころ彼は――
「ってぇ……」
目を覚ますも覚まさないも、まず意識を失っていなかった。白い波動に包まれた後、異次元に包まれたような胃に悪い感覚に教われ、その後、この部屋のこのベッドに落とされるようにしていたのだ。
「っていうかここはどこなんだ?」
天井を見上げたその時、異変に気付いた。髪色が変わっているのだ。
「紺!?」
あわててベッドから立ち上がってキョロキョロと周りを見渡す。そして一番近くにある鏡を覗く。やはり髪は紺。もう一つ異変があった。この世にあるはずの無い瞳色、血のように紅い瞳が見えた。
「赤目…、どうなってるんだ…?」
なんとか心を落ち着かせ、窓が開くことを確認すると窓をあけ、そこから下を覗き見る。高さの感覚的に今いるのは2階らしい。下を見下ろす事ができる。なんとなく見覚えのある景色だったが、思い出せずにしばらく町並みを眺めていた。すると
「おいっ! いつまで寝てるんだ! そろそろ起きろ!」
いきなり窓の下から怒鳴りつけられた。視線をおろすと、そこには父親がいた。…ただし、黒いはずの髪は赤くなっているが。
「父さん!」
いきなりの知り合いの出現に慌てて拓耶は部屋を飛び出て落ちるようにして階段を下った。
「うるさいよっ」
今度は母親だった。ただし記憶にある母よりは少しばかり痩せているが。
「母さん!?」
「何?何か用?早くご飯を食べて学校いきな。テストなんだろう?魔法の」
「あぁ、あかった。…って…!?!?」
いつもどおりの口調に流されそうになったがやっぱりおかしい。先ほど学校から帰ってきたはずだ。それに聞きなれない単語があった。テストの後、なんていった?
「は…?」
「だから今日は魔法のテストだろう?」
「魔法って、母さん俺をからかってんの?」
「なに寝ぼけてるんだい。ほらお食べ」
釈然としないままされるがされるままになれない机といすに座る。やっぱりおかしい。どこなんだここ? そしてなんで父さんと母さんがいるんだ!?
拓耶はそんなことを考えながらも出された料理を食べていく。出される食べ物なんかは全く変わらない。いつもの朝食だ。
「ほら、遅刻するよ。学校へお行き」
追い出されるように家を出される。問いただす暇も無いまま。外に出てみたが全く知らない町並みが広がっているのみ。学校に行こうとも思うが行く道さえもわからない。
「…どこ行きゃいいんだ…?」
拓耶は何もわからないまま、わからないなりにうろついてみた。
「…拓耶、拓耶―!」
美弥は裸足で街の中を走っていた。足を石で切ろうと、ガラスの破片で足が血に滲もうと構わずに彼を探して走っていた。
「拓耶―…、どこ…?」
遂には目に涙を浮かべて座りこんでしまった。
人は美弥を哀れそうに見て去っていく。
それがまた孤独を感じさせ、涙の手助けをする。
「美弥?」
後ろから声をかけられて彼女は後ろを思いっきり振り返った。
「たく…。」
笑顔で振り返った彼女の表情は、一瞬で凍った。
首には銀の刃。
そう、それは拓耶ではなかった。太陽と風に輝くその銀髪。一度見ただけで忘れないその容貌。聖の烙印を腕に持つその人、ルイスに他無かった。
「拓耶―!」
後ろから急に背中を叩かれた。
「美弥っ!…………じゃねーか」
「…何よ。私じゃ不満でしたかー?」
彼の背中を叩いたのはクラスメートの泉こと佐藤 泉だった。
「今日は美弥ちゃんと一緒じゃないの? いつもそばにいるのに」
「ついさっきまでは一緒にいたんだけどな」
「はぐれたの?」
「よくわからねー。お前も訳わからずここにいるし」
「まぁ、確かにここらで会うのは珍しいかな。でもいつも学校で会ってるでしょ」
「ところで学校ってどこだ?」
「はぁ? …頭いっちゃった? あっちに決まってるじゃない」
泉の指差す方には王宮のような建物が見える。いつもの見慣れた風景ではない。でもなぜかその王宮には見覚えがあった。
「…見たことある」
「だーかーら毎日来てるじゃない。さっさと行くよ、今日は魔法のテストなんだから」
泉につれられ、拓耶はなんとなく見慣れた道を引きずられていく。
「…僕の顔に覚えがあるようだね、美弥。一応始めましてかな?」
美弥の表情は引き攣っている。当たり前だ。首には刃。それに敵だとわかっている人だ。笑顔になどなれるはずが無い。
「…こ、ここ、どこ」
少年の質問のような物には一切答えず、全身をガタガタに震わせながらも聞いた。
「ここか? 一番的確な答えはバーチャルの世界ってところかな」
少年はナイフをしまった。不敵な笑みを口元に浮かべつつ、瞳だけは率直に殺気を帯びながらだが。
「バーチャル?」
彼女は首に触れた。少し濡れた感触。思ったとおり指には少量の紅がついている。
「拓耶のゲーム、覚えてないか?」
「覚えてる、それがどう…」
そこまで言った美弥は身体を震わせた。まさか、そんなことがあっていいの?
「…今、思いついたことがあるだろう?それが正解って所。ここはあのゲームの世界。完全に元の世界とは違う。そうだな、異世界って言葉が近いか」
美弥は愕然とした。予感が的中した事に対して喜びなど感じない。唯、少しの失望感と大きな絶望感を受け取っただけだ。元の世界とは大きく離れた世界、異世界に飛んだという事実に対し。
「…生きたまま戻る方法は無いさ。まぁ、死んだら自動的に元の世界に身体が送られるだろうけど。…生きたまま戻る方法があったとしても拓耶と美弥に見つける事はできないだろうね。…不可能だよ。ま、せいぜい頑張って僕に殺されるのがいいね」
銀髪の少年はそういうと髪の毛を一本抜きとり、宙に投げた。
「翔」
彼は一言だけそういうと、笑みを消さぬままその場から去った。
「…どうしよう」
唯一人残された彼女は、一人そこに佇んでいた。
「ここか?」
「だーかーら、毎日来てるでしょ」
泉と共に学校への道を歩いていた。着いた時、ここがどこなのか勘付いてきていた。
――ここ、あのゲームの世界だ。そうでしか考えられない。それにこの展開…、ゲームのスタートと全く一緒じゃねーか…。
心中でそう呟くと、ゲームの展開を辿り、学校内へと足を踏み入れる。後戻りはできないストーリーが、今始まる。
第四章
「どうすればいいんだろう…」
木下で座りこむ少女はどうしていいかもさっぱりわからないまま、半時もそこにいた。
やっと平静を取り戻してきた美弥は、拓耶に聞いていたストーリーのスタートを思い出した。
「そうだ、拓耶と美弥は確か一度はぐれ、学校で出会うんじゃなかったっけ…」
そういうのが早いか行動に移すのが早いか、裸足のまま、美弥は走り出した。
「やっぱりそうだ…」
「ん? どうしたの?」
「いや、なんでもない」
拓耶は教室に入るなり、余程近くにいなくては聞こえないような微かな声で呟いた。が、余程近くにいた泉にはなんとなく聞かれてしまっていた。やはり拓耶の思っていたことは正しかったらしい。どう見てもここが現実ではない事だけはしっかりとわかる。異世界だ。それもあのゲームの世界だ。
「そうだ、あれは朝いつも一緒に登校してくるはずの美弥と一緒に学校にこれなくて、途中で出会った泉と出会う。…美弥とまた会えるのは…、しばらく後、か」
なんとなく納得しつつ、ゲームを思いだし自分の席と思われるに座る。席に着くが何も言わないことをみるとその場であっているらしい。
「はよー」
「おっす」
「おはよー♪」
彼は見覚えのよくある顔ぶれを見ながらも安心感は少しも得ることができなかった。知り合いに似てて当たり前だ。あの世界の設定は誰よりも自分がそうしたんだ。…違うはずがない。
するとその時、教室はざわめいた。
「御早う御座います」
そこには美女が立っていた。見覚えの無い女性だった。あれだけ美しい知り合いは絶対にいない。
美しい銀髪の長髪、不思議に輝く蒼銀のくっきりとした二重、整った顔立ち、すらりとした手足、薔薇色の頬、透き通りそうな白い肌、バランスの良いスタイル…。まさに麗人そのものであった。
あんな美人が現実にいたとしたら騒がれるに違いない。だからといってあの設定にこんな美人を入れた記憶は無い。ゲームに出て来た記憶すら無い。
しかしその人間離れ美しさは、拓耶の頭に誰かを過ぎらせた。
「誰、あれ」
「あ、そっか、拓耶はあの子がいるとき何故かしらいつも休んでたよね」
「…だから誰?」
「レイラ様。翠櫂レイラ様。容姿端麗・頭脳明晰・運動神経抜群! 女子のあたしでも惚れ惚れしちゃうくらいの美しさだよね。」
拓耶は首を傾げた。ルイスの登場シーンの似たところを見、翠櫂、という名字を聞いて、だ。
…毎回ストーリーが変わる、か。敵キャラも変わるよな。
ルイスは拓耶の設定したキャラではない。敵キャラは勝手に機械が選ぶのだ。だからストーリーの変わることで敵のキャラも変わる。しかも翠櫂。
あいつの名字と一緒じゃねーか…。
「…そゆことか」
「何?」
「イヤ、なんでもない」
拓耶がレイラ、否、レイラを見ていると、彼女は視線に気付いたらしく拓耶の方を見、目が合う。拓耶は鋭い瞳でレイラを見据える。彼女は目元と口元に笑みを浮かべ、そっと近づく。
「誰?」
彼は表情を変えず、答えた。
「拓耶。浅野拓耶」
彼女はにやりと笑いながら髪の毛を触り
「…この紺色の髪、紅い目…、君ね」
手を振り払うようにして逆に質問する。
「…その銀髪、まさか兄弟そろって?」
彼と彼女の間で数秒、無言の目の戦いがあったのかどうかは二人にしかわからないことだ。ただ、お互い同時に目を逸らすと彼は泉の元へ、彼女は取り巻きらしき女男子の元へ、それぞれ戻った。
拓耶の側では泉がわいわいと騒いでいる。
「た、拓耶―っ!レイラ様と知り合い!?」
「嫌、あいつとは初対面だ」
「じゃあ何? 今の会話っ」
「…あいつの兄貴だと思う奴と知り合いなんだよ」
「レイラ様のお兄様と!? やっぱり綺麗なの!?」
「人間離れしてな。それでいて性格は最悪。表情は兄弟そっくりだ」
「………レイラ様のお兄様……一度でいいから会ってみたい…」
どうやら性格は最悪、という言葉は完璧に泉の頭から消去されているようだ。
カランカランカラン
鐘の音が学校中に響き渡る。すると扉が開き、見覚えのある教師が入ってきた。あの早坂だ。
「コラ、チャイム鳴ったぞー、何時まで立ってるつもりだーっ!」
早坂が教室に入ってくる。そんなシーンまで現実と変わらない風景で少し怖くなるくらいだ。
焦り座る者達が全員座り終えると日直が号令を掛ける。そんなシーンまでちっとも変わらなくて怖くなってくる。
――しばらくは何も起こらない…
そんなことを拓耶は考えながら学校生活を過ごしていく。
「痛ッ!」
裸足の美弥は激しく転んだ。足元に石でもあったのだろう。指先を見ると爪がはがれかけていた。
「…痛いに決まってるよなぁ」
そう呟きながら、とにかく城のようにも見える建物を目指し走る。…まるで引きよせられるように。ただひたすら走った。
第五章
「翠櫂、やってみろ。呪(じゅ)言(げん)で炎だ」
早坂が偉そうにレイラの名を呼ぶ。彼女はスラリと立ち上がり、教室の前へと立った彼女は長く美しい髪の毛先を数センチ切り呪文を呟く。
「燃」
ただそれだけを呟くだけでレイラの手には球状の炎が握られていた。
「良く出来た、次は水だ。変化させろ」
「はい。…流」
二度目も同じく、手には球状の水が握られている。似たようなことを何度か繰り返す。結局レイラは、難なくテストをクリアした。
「うん、素晴らしい。じゃあ次は浅野」
拓耶は無言に席を立ち上がると教室の前に立ち、一本の髪を抜く。
「炎」
たったそれだけだった。炎をイメージし、頭に浮かんだ言葉をただ口に乗せただけだ。
しかし、髪を乗せたその手には確実な熱さがあった。球状では無い炎が握られていた。
「…凄い…この段階まで炎を育てられるのか、お前は…」
感嘆の声で早坂が拓耶を見る。一番驚いているのは拓耶だがそう想われないように次の早坂の言葉を待っていた。
「では水だ」
じっくりと水をイメージする。すると不意に頭に言葉が流れ込んでくる。
「…溶」
すると手にあった炎が音を立てて消えていく。手にあったのは、無重力状態に投げ出された水のようだった。が、色は真っ赤で、其の中にはなにやら炎が燃えているように見えた。
「…溶、か。悪くない。では次は雷だな」
次々と言われる言葉に合わせイメージを続ける。拓耶も失敗無く、というより完璧な出来で終えた。席に戻るまでも、戻ってからも手はずっと震えていた。ありえるはずの無い、現実離れしたことを自分が行ったという一種の恐怖に脅かされていた。
「拓耶凄いねぇ…」
拓耶が正気になったのは泉のこの一言だった。
「あたしできないよあんなのー、具現化とか難しいのにー…」
上目使いでいかにもずるいー、といったような目で拓耶を見つめる。拓耶が「たいした事ない」と、言おうとしたその時だった。
――来た…
誰かの声が彼の頭に直接流れ込んできた。その声の主を探そうとする前にレイラが立ち上がっていた。
「先生、少しばかり体調が優れないので保健室に行って来てもいいですか?」
全員の目がレイラを見る。拓耶もその独りだった。
「先生、俺もちょっと…」
考えるよりも先に身体が行動をしていた。レイラを放って置くのは拙いような直観が働いたのだ。
「おお、二人ともテストは終えてるしな。行って来い」
早坂の言葉が終わるか終わらないうちに二人の男女は教室を飛び出ていた。拓耶は何かに突き動かされるように階段を下っていた。その前にはレイラがいた。もちろん保健室の方向とは全く違うことはわかっていた。レイラについていっているわけではなかった。
――この先に、誰かいる そんな直観だけが拓耶を突き動かしていた。唯ひたすらに階段を駆け下りる。拓耶の足はかなり速いはずだがレイラを抜かせずに居た。
感じた誰かは、階段を下り終わった先、すぐに居た。
「…ハァハァっ…いたっ…、たくや……」
肩で息をする少女を見つけた。足元は傷だらけで、しかもいつも濡れたように艶やかだった漆黒の髪は純金のようなブロンドになっていた。が、見慣れた大きめの瞳に黒目がちな瞳は、間違えるはずもない、拓耶が大切な唯一人の彼女、美弥だった。
拓耶は美弥に駆け寄るのも忘れ、その美しい金髪の彼女に見入っていた。
「…見つけた…、私の巫女(みこ)…」
拓耶が美弥に見とれていた隙に、拓耶の側にいたレイラが美弥の髪に触れていた。
「…っ!」
金髪の少女は金縛りにあったように動けなかった。術などの力ではない。圧倒的なその存在感によるものだった。
レイラの指が一瞬震える。何かの拒否にあったかのように、反射的に髪から手を離し、また触れる。
「…あら、兄さんも目をつけていたのね…、兄さんに会ったでしょう」
髪から頬へ。冷たい指先はゆっくりと流れるように彼女に触れていた。美弥は瞬きもせずにレイラの瞳を見つめていた。
「…兄さん…、まさか美弥、お前、ルイスに会ったのか!?」
拓耶はレイラから美弥をかばうように、美弥を強く自分の方へ引っ張った。
美弥は金縛りが溶けたようにその場に座りこんだ。
「おい、大丈夫か!?」
拓耶は慌てた様子で美弥と同じ視線まで腰を落とす。
「あ、あたし…、ルイスっていう人に会った…」
「会ったのか!? 何か言われたりしたか!?」
「え、何も…。こっちの世界は、バーチャルだって言われて、とにかく拓耶に会わなきゃ、って思って…」
美弥の瞳は力なく、緊張でこわばらせ、額には冷や汗をかいていた。
「……飛(ひ)…、閉(へい)…」
真後ろで澄んだ静かな声が、その静かな空間に音を響かせる。
声が美弥の耳に入るのが先か後か、美弥の体が宙に浮く。
「………っっっっっ!!!」
美弥が上げるかと思った悲鳴はその場に響かなかった。何かに口をふさがれている。
「美弥っ!!」
まっすぐレイラの元へ運ばれる美弥の体を見て、拓耶は考えるよりも先に髪を抜きつつ、言葉を放っていた。
「…消(しょう)…」
宙に浮いていたその体は拓耶の呪言と重力によって勢いよく地面に落下しようとする。拓耶が間一髪で美弥の体を救い上げる。
「大丈夫か?」
美弥の瞳にはまだ十分に脅えの色が残っていた。
「…拓耶、邪魔するの?」
決して拓耶の名前を呼ぼうとしなかったレイラが、その澄んだ声で拓耶の名を呼ぶ。
「邪魔も何も、俺から美弥を奪わせない。逆に聞く、お前は何故に美弥を欲しがる?」
瞳に殺気を帯びさせながら、血のように赤い瞳でレイラを睨む。
「私の巫女になるべき人だから。兄さんが狙うのもそれが原因…」
「巫女…?」
そのときだった。拓耶が巫女という言葉を呟いた途端、レイラからは今までの殺気とは比べ物にならない程の強い殺気を感じた。
「闇の娘を渡しなさい。その髪色、すぐにでも聖姫に変えられる…。渡しなさい」
おもわず一歩足を引いてしまう。その分レイラが一歩出す。
「…渡さないの…? 渡さないのなら…、力ずくでも奪うしかなくなるじゃない…」
そう一言呟くと笑みが瞬間的に消えた。空気は刺さるように冷えた。そして、美しい銀髪を一本抜く。
「妾(わらわ)は聖姉…、妾が望みし弓を!」
声は空気と同じくひんやりとした声だった。
声と同じく、美しく冷たい銀の弓がレイラの指にはあった。もちろん矢も背中に背負っている。
拓耶は美弥をそっとその場に座らせると、拓耶も髪を一本抜いた。
「我は死神…、ここに刀を願う!」
声に反応し、髪が次第に形を変え、紺色の刃を授かりし刀がその場に現れる。
「…遠距離に対し近距離、殺傷力を求めた、というところかしら」
レイラの瞳がすぅっと細くなる。拓耶は殺気に殺されないようにと必死に刀を構えた。
レイラの指が矢に伸ばされる。
…拓耶はその瞬間に、レイラに向かい走り出した。
「燃…!」
彼が髪を抜きながら一言そう呟くと、一瞬で刀が炎に包まれる。そしてそのまま、レイラに斬りかかった。
「水!」
刀がレイラに触れるか触れないかの間に彼女は髪を抜き、刀と自分の間に水の結界を作る。そして弓を引き、拓耶に撃つ。
「結!」
彼の言葉に反応し髪が石壁と変貌する。壁は矢に破壊されながらも拓耶の身を守った。
「…私が予想したよりも遥かにできるじゃない」
「弱いとでも思った?」
「ええ。だって魔法を使うのは初めてのはずでしょ? 今までの人だってこんなに使えた人はいなかった」
「今までの奴らと比べてもらっちゃ困る、それなりに運動神経はよかったつもりだ」
そういいながら刀を握る力を強める。そうでもしなければ、レイラの有り余るほどに殺気に耐えられないと思ったからだ。
「……まぁいいわ。ただ、私の巫女だけは渡してもらわなくちゃ困るのよ」
彼女も矢に手を伸ばす。
「巫女…、それ、一体何者なんだ」
「言えるはずが無いでしょ」
「……力ずくでも奪っていく気?」
「当たり前…でしょ?」
レイラの構えていた弓から矢が飛ぶ。拓耶の頬に血が伝う。頬を掠めていったのだ。
「…次ははずさないわよ?」
次の矢をもう構えている。拓耶は無言で刀を構えなおすと、走りだした。
レイラの右横腹を斬りにかかった。が、レイラは弓でそれをはじくと、
「木!」
と叫び、コンクリのはずの床から木が生えだし刀に絡みつく。
「氷!」
彼女が間髪をいれずそう叫ぶと鋭い氷の矢が拓耶に向かって飛び出す。
「焔!」
彼はそう叫ぶと自分の周辺を炎で囲む。熱い空気で氷は解け、燃え盛る炎で木も燃えかすと化す。
そしてその炎を利用し、炎を手の中で球状に丸め、レイラに向かって投げる。
彼女は素晴らしい身のこなしでそれを避ける。
「絶(ぜっ)黒証(こくしょう)!」
彼は間髪いれずに今度は髪を二本抜き、黒の先ほどよりも大きな球体を手の上で作り、それをレイラに向けて投げる。
「………黒証!? ……結界方陣!!!」
今まで見た中には無かった、彼女の脅える表情だった。 しかし彼女が呪言を言い終えると彼女の周囲には方陣が引かれており、その方陣に入った黒い球体は何度もその中でバチバチと暴れていたが、少しずつ勢いは衰え、終いにはその場に消えてしまった。
「…私一人じゃ相手にするのでいっぱいね…、殺せない…、巫女はそのうちまた取りに来るわ。それまで…、勝負はお預け…」
肩で呼吸しながら、レイラはそう言った。彼女は迷わず後ろに振り返り、階段を上っていった。
彼女が見えなくなったところで、彼はくたぁ、と地面に座り込んだ。
「た、助かった…」
彼は震えた自分の指先を見て、それから美弥を見た。美弥は彼以上に震えていた。
「もう大丈夫だ、安心しろ」
そういうと、美弥の体をそっと抱き寄せた。
「大丈夫だ…、大丈夫だ…、大丈夫だ…」
言い聞かせるように彼女の耳元で囁く。すると、彼女の体から震えがゆっくりと止まっていった。
「ありがと…、もう大丈夫」
美弥はそっと立ち上がった。
「ん、大丈夫そうだな」
拓耶もそれに習って立ち上がる。
「ねぇ、あのレイラって人、何者? しかも拓耶も変な技みたいの使ってたけど…」
「レイラはルイスの兄。それでいて俺が使っていた技はあのゲームに出てきたとおり…、って、お前殆ど見てないんだよな」
「……あの人があのルイスの!? 兄弟そろって超美形…」
うっとりした表情をしている。先刻、その兄弟の妹に殺されそうになったことなど頭に無いかのような振る舞いだ。
「そこが問題かよ…」
拓耶は少し呆れたようにため息をついた。
「悪い? 美形は女子のアイドルだもんねー。で、あの技ってあたしも使えるの?」
「どーだろーなぁ…、やってみろ」
「…やり方知らないんだよ」
「イメージするだけ、ホントただそれだけ」
「ふーん、やってみよう…」
頭の中で炎を思い浮べる。しかしそれ以外は何も浮んでこないし、何もならない。
「…ん? 出来ない…」
何度も何度もイメージするが、何も起きない。何も感じないのだ。
「…できる奴と出来ない奴がいるのか?」
結局拓耶のそんな一言で、この話題は終わりになるのだった。
2004/12/14(Tue)08:03:25 公開 /
風時
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■作者からのメッセージ
第五章のUPです。予想外に早くUPできました。…うわぁ!!しょぼい戦闘シーンだ…!…一度自分で読み終えると少しばかり恥かしく思えてきます。…あぁ、ヤバイ。
卍字様、その部分、治しました。修正点教えていただき、有難う御座います。
影舞踊様、はい♪よくあるファンタジーです♪(待 綺麗な印象と褒めて頂き、ありがとうございます。
作品の感想については、
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