『あなたのhomeはどこですか・・・?』 ... ジャンル:未分類 未分類
作者:トロり                

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エピソード

時は2056年。地球はテロリストが支配していた。
人々はその恐怖に怯えて暮らしていた。

昔は平和だった日本。
けれどももう平和なんて文字はない。
けれどその日本に希望が現れた。
とある科学者がある兵器を作りだした。
その兵器の名は俗に言う     
       「生体兵器」
見た目も中身もほとんど普通の人間と同じ。
けれどもその力はどんな兵器をも越した。
その兵器は兄妹として生まれ、兄妹として育った。
兄の名は蓮。
妹の名は翡翠。
しかしその兄妹はやがて至上最強にして最恐のテロリストへと変貌してしまう。

「誓い―――日常」

「蓮〜。」
「呼び捨てにするな。」
2056年の日本は世界では被害の少ないほうではあるが少なからずテロリストの被害にあっていた。
そんな日本のかつては長野と呼ばれた場所にこの兄妹は住んでいる。
「いいじゃん、別に。そんな困ることもないでしょ。」
「お前は妹。俺は兄。その辺の立場をわきまえろ。」
「関係ないって。」
「ったく、お前とはなしてると疲れる。
で、用件は何だ。」
「忘れてた。父さんが呼んでるよ。
修行。蓮の番だって。」
「はぁ・・・。お前もうちょっと長引かせろよ。
ゆっくり本も読めん。あと呼び捨てにするな。何度いえばわかる。」
「ハイハイ。気をつけますよ。兄さん。でも早く行けば??
今日は父さん機嫌が悪いから。」

この二人の父親・・・日下 守は以前は無名の科学者だった。
ところがある日長年の研究が実を結んだのか蓮が―というより生体兵器が―生まれた。
見た目は普通の子供だったがその身体能力、頭脳は何に対してもヒケをとらない。
そしてNo.01、蓮に特殊能力が備わっている。
土と火を操りその筋力はどんなものをも超す。
そして何よりも耳がいい。
千里離れた場所でも蓮の耳はどんな音も聞こえるのだ。
普段は制御してはいるがそれでも常人よりも上に行く聴力だ。
そしてその5年後、翡翠が誕生した。
翡翠は蓮のDNAを改良し、多少の改造を加えて生まれた。
もちろん身体能力、頭脳ともに何に対してもヒケをとらない。
そして蓮と同じく、翡翠にも特殊能力がある。
翡翠の場合は水と風を操り、その速さにはたとえチーターでさえ追いつけない。
そして何より目がいい。
たとえ山があろうとも透かしてみることが可能だ。
蓮と同じく普段は制御している。
そして二人とも共通しているのは反射神経と回復力。
普通の攻撃はまず当たらない。あたったとしても擦り傷などなら数時間で治る。
この兄妹は世界に希望を、テロリストに始めての恐怖をそれぞれもたらした。
そして二人は武器といっていいほどの容姿とスタイルが備わっていた。
蓮は17才。細身だが鍛えられた体に、ちょっとキツメの目つきの顔。
翡翠は12才。まだ幼さの残る顔に、細く長い手足。
まず敵はこの容姿で動きが止まる。
そう考えたらしい。
一言で言えば戦いの申し子。そういっても過言ではない。

「親父、あんた翡翠の修行は軽くしてるだろ。」
ドキッ!
「ん?なんのことだい??」
「ふざけんな!!俺が12のときのあんたは鬼のようだったぞ!!」
修行が終了し、二人でスポーツドリンクを飲んでいるときだった。
「だって、翡翠は女の子だし・・・。」
「ほざけ。生体兵器に性別は関係無いっていったのアンタだろ。」
「・・・・これは翡翠には言うなよ。」
蓮のしつこさに守は折れたのか話し始めた。
「蓮・・・お前はまだ脳が能力を制御できた。
しかし翡翠は100%制御できる保障はない。
翡翠を作る時私は能力ばかりに目がいき脳の問題に気づかなかった。
そして翡翠が3歳のときにはじめて気づいたんだ・・・・。
だから激しい修行をして疲労がピークを超えたとき、脳が制御しきれなくなり翡翠は暴走する。
そんな可能性もありうる。だからできないんだよ。
けれども何もしていないわけじゃない必死にいま解決策を探している。」
「ふーん。アンタもミスしたりするんだな。だが責任はもてよ。」
「あぁ。わかってる。杏と今探している。」
杏というのは二人の母親だ。
守の助手も勤めている

修行のあと部屋にもどると蓮は翡翠にこのことを明かした。
「なるほどね〜。そんじゃあそれみつけてもらえない限りはあんま暴れちゃだめなんだ。」
「そーゆーことだ。あの計画もそれまで先送りだな。」
「倒産も厄介なミスしてくれたなぁ。」
だな。と蓮も同意しながらも自身も解決策を探していた。
「ねー兄さん。父さんよりも私達のほうが頭良いんだよね〜??」
「そりゃな。はじめのDNAが違うからな。」
「そんじゃあ私達で作れないかな?その解決策。」
「俺も考えてたところだ。だか思い浮かばん。」
「今のところ分かってるのは疲労がピークに達したときに暴走するってことでしょ?
だとすれば思考が回らなくなったときが危ないんだよね。」
「そーゆーことだな。」
その後二人は数時間ほど悩んだが答えは出なかった。

夕飯が終わり、外の見回りをしていた翡翠の下に一羽の巨大なワシが飛んできた。
人一人が乗れるほどの大きさだ。
そのワシが嘴に挟んでいた手紙のようなものを受け取ると、またワシは去っていった。
手紙を開くと内容は、
「時は近い。」
と一言だけ子供の字で書いてあった。








「始まり―――誓い」

「時は近い。」
よみがえるあの約束のとき。



日本はちょっと前まで平和だった。
世界はテロリストによる被害を受けていた。
それでも日本のような島国はほとんど無事だった。
日本が被害にあったのはほんの23年ほど前だ。
それまで翡翠や蓮は普通の学校生活を送っていた。

翡翠が3年生の時からクラスにちょっとした不良グループが出来上がった。
校則で禁じられていることを普通にやってのけては先生やクラスの真面目な奴らのこめかみを引きつらせた。
翡翠は結構真面目な方だった。
目立ち過ぎる事は兵器としてあまり好ましくない、そう守に言われていたからだ。
けれども翡翠の友達はそのグループに入ってしまった。
悩んだ末翡翠も入った。理由は1つ
ここで入らなければ裏切り者と称されイジメられる可能性があること。
イジメられるほど目立つことは無い。たとえクラス中に無視されてもそれは一番目立つことになる。
それだけはどうしても避けたい。
不良グループに入る時にいろいろ条件があった。
髪を染める、先生の指示に大抵は従わない、一日一時間は屋上でサボる等、ほかにもいろいろあった。
髪のことは翡翠は生まれた時から薄い緑っぽかった。
杏の母親はイギリス人で色素の影響で生まれつき緑の髪だった。
染めなくてもいいということになった。ほかはまぁ適当にやるか、と思い翡翠は入った。
しかし入ってみたがあまり不良という感じではなく駄々をこねてる子供という印象を受けた。
しかも能力を隠している翡翠にとっては特につまらないものだった。
けれども友達は結構楽しそうだったためまぁ付きやってやるか、という感じでいた。
それでもメリットはあった。
授業をサボるのが当たり前なのでその間に本を読みふけることが出来た。
守により心理学を学ぶように分厚い本を渡されていた。
授業中にはさすがに読めないし休み時間に読むのも限度がある。
これは結構いいな、と思う数少ない機会だった。


いくら本が読めるからといってずっといたいと思うわけではない。
このグループは人数が多く、それに根が真面目な上能力も出せないとなればつまらない。
それに心理学を学んだおかげで役にたつことは多かったが逆に人の考えていることがわかってしまい、
欲望と憎しみが否応なしに目に付き、精神的に嫌になる。
翡翠の心理学は動物にも通用し、動物達の人間に対する恨みがよくわかった。
それは蓮も同じだった。蓮も心理学を学び、翡翠と同じ感情をもった。
それに生まれた時から親に兵器としてみられ自身を認めてもらえない周囲の人間に恨みを持っていた。
その決断にいたるのには十分な理由だ。


ある夜のこと――
「ねぇ兄さん、人間って醜いね。」
「あぁ。」
「それにこの世界もツマラナイし・・・・・。」
「無くても困らんなこれは。」
「じゃあ壊しちゃお。」
「はぁ!?」
「元々私達は人を殺すために創られたんでしょ?
ならいっそのことみんな殺しちゃえばいい。」
「面白そうだな、それ。」
「でしょ?ならやろうよ。あいつも巻き込んで。」
「あいつ?」
「私達に弟が出来るんだよ。なんか改造人間みたいなのだって。」
「改造?手に爆弾でも仕込んでるのか?」
「じゃないの?でも生まれるのはずっと先。今は製作の途中だって。」
「そんなに時間かかるのか?お前は俺の3年後に生まれたのにそいつはその9年後?しかもそれでもまだ途中?」
「改造人間だし一から作らなきゃならないんだって。」
「ふーん。」
「でもきっと未完成のまま生まれちゃうなぁ。」
「何で。」
「3年後にはもうここは地図から消すから。99%まだ出来上がってないよ、たった三年じゃ。」
翡翠は能力はもっとあげることが出来た。
けれども杏の提案で残っている脳をすべて戦略などに回すことにした。
能力は蓮に劣らないが体力はさすがに男の蓮には劣る。
だから実戦を想定した修行では戦略は翡翠、肉体労働は蓮がやっている。
三年では出来上がっていないという計算もその頭脳あってこそ。


やがて歴史は狂い始める。
希望と呼ばれた子供が絶望へと変貌する。
テロリストにとっての最恐が人類の最恐へとかわる。


―かつて世界は白一色で―


      ―神は光と闇を創り―


―水を上下に分け天と地を創り―
      
       
      ―大地と植物が創られ―

   
―神は宇宙を創り―


      ―命を創り―


―世界が創られた― 


      ―神の箱庭たる世界はいずれ―              


―いずれ破滅の一途をたどる―


      ―世界は創られ壊されまた創られる―


「はじめあるものには終わりがある・・・・・・。
育んで(はぐくんで)くれてありがとうございました。」
希望が生まれ、育った場所は希望が壊して絶望が誕生した。

「行こう、兄さん。」
「あぁ。」


歴史は狂い光は消し去り暗黒の時代が始まる。


「―――始まり」


ゴォゴォと燃える自分たちが生まれ、育った場所を見つめながら次の行動を計画する。
「で、どーする?」
「だから今それを考えてるんでしょ。」
「いい加減決めないと『制』が起きるぞ。」
「はぁ・・・皮肉な名前つけたもんね・・・。」
制というのは翡翠たちの弟、一応生体兵器だが完成前にだされたこともあり少々不安も残る。
おまけにまだ赤ん坊。どうしても住む場所は必要だ。
制という名前は「自分の能力を制御できる。」という意味で守がつけた名。
「自分の名前は制」とプログラムされてるから名前を変えようにも変えれないという欠点付きで付けられている。

「しょうがないね・・・。一度市街地で泊まるとこさがそう。」
ほかにいい案も出ないため翡翠と蓮は交代に制を抱きながら市街地―今の秋田―までの地下通路を歩いて進んでいる。
日本の首都であった東京はテロリストによりとっくに破壊されている。

「そういえばさぁ、研究所爆破する前に見たんだけど私達って父さんが自分の意思で作ったんじゃなくて国の指示で作られたらしいよ。」
「へぇ。でも上も何考えてんだ?当時無名の科学者だった親父にそんなでけぇこと頼むなんて。」
「ん〜何かねー無名の科学者ってのは表向きだったらしくて実際は国のお抱え科学者の一人だったんだってさ〜」
「あのタヌキ親父がねぇ・・・・。だめだ想像つかん。」
「私も無理。想像できないや。」

二人で大声で笑っていればただでさえ声の響く地下ではかなり反響してしまい当然制は起きてしまった。
「流石に泣かないね。そのほうが楽だけどさ。」
「でも可愛げねぇな・・・・。泣かない赤ん坊って。」
「泣いて世話すんの私じゃん。泣かないほうがいいよ。」
そんなことを話しながら歩いていると分かれ道にでた。
「秋田ってどっちだっけ?」
「俺が覚えているとでも?つかお前眼、使えよ。楽勝だろ?」
「あ、忘れてた。」
あきれる蓮をよそに翡翠は視力を開放し右と左、道の先を見てみる。
「わかったよ〜。右が秋田で左が新潟。」
「そんじゃあ右行くか。って今何時?」
「さぁ?6時ごろじゃない?」
「ヤバいな・・・・。今は大体新潟との県境らへん。山形に着くのは今日中には無理だろ。」
「うーん走れば私はすぐだけどね。でも制はともかく兄さん抱えては無理だよ。
兄さんほど怪力じゃないもん。」
「ならお前制つれて先行け。」
「兄さんは?」
「走る。お前よか遅いけどな。」
「りょーかい。」
そんじゃ行ってきます。そう残して翡翠と制は消えた。
「相変わらず速いな・・・。っと俺も急ご。」
そういって蓮も翡翠ほどではないがかなり速いスピード走り去った。




――日本の現在都市秋田

「ふぅ。結構早く着いたなぁ・・・・。兄さん来るまでに宿でも探そっと。」
かつての東京ほどではないがここは結構にぎわっている。
地下といえどもここは広い。探すといっても結構大変だ。
「今後のことも考えて安いとこにしよーっと・・・・って兄さんもう着いたの?」
「地面に手伝ってもらった。」
「ふーん。でさぁどーする?宿。」
「ん?あこでいいじゃん。」
そういって蓮の指差したのは民宿。だいたい建って15年前後くらいの建物。
値段も結構安い。
「いいじゃん。でも空きあるかな?」
「ある。結構少ないらしい。」
「何で分かるのよ。」
「耳。」
私は、納得。というように手をポンと叩いて民宿の入り口へと進んでいった。




「結構いい部屋だね〜。一休みしたら今後の計画立てるよ。」
「へいへい。」
ヤル気のなさそうな声だけど多分私よりヤル気あり。
まぁとりあえず一休み。
―30分後
「で、どーするんですか?司令官。」
人をバカにしたような言い方にちょっと顔が引きつる。
でもここで討論起こしてる暇はない。早くご飯食べてお風呂入ってそのあと厨房しのびこんで食べ物と布団失敬したらトンズラしなきゃ!
別にお金がないわけじゃない。むしろかなり持ってる。
でもこれはあくまで計画のため。こんなとこで無駄にはできない。
「とりあえず私たちの目的は人類撲滅・・・と言いたいとこだけどそんなことするよりか私たちの見た闇を世界に知らしめる、ってのも良いかなぁって。
どうよ?」
「ふーんいいんじゃない?作ったあいつらが悪いんだし。」
「そんじゃ決まり。とりあえず手始めにここを消す。」
「どーやって?」
「とりあえず日にちはおいといて、やり方だけいっとくね。
まず私がこの町を酸素だらけにする。ちゃんと火の近くには窒素を残しとくけど。
そんで兄さんが火をつける。最後に制に爆弾ほうりこんでもらって終わり。」
「ま、制にもいい練習になるしな。そんでいつやるわけ?」
「うーんあんま長くここにいるわけにもいかないし三日後でどう?」
「決まったんなら飯食いに行こうぜ。腹が減っては戦ができんってな。」
だろ?といって笑う蓮とそれを見て苦笑する翡翠。
普通の兄妹にしか見えない。


ふたりが生まれてみたものは闇。
そして世界は闇に埋まる――



2004/11/03(Wed)14:38:14 公開 / トロり
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■作者からのメッセージ
更新遅いなぁ・・・・。
頑張ろ。

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