『決断(ショート)』 ... ジャンル:未分類 未分類
作者:高師                

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 二人の男がいました。
 一人は背が高く、堂々とした少年でした。
 一人は背が低く、オドオドとした少年でした。
 二人はとても仲が良く、正反対の性格ながら長い付き合いをしていました。
 
 堂々とした少年は言いました。
「君はオドオドしすぎだよ。もっと一貫性を持って堂々としなよ」
 それに発言に対して、オドオドした少年は反論します。
「僕がオドオドするのは、先が見えないからだよ。ちゃんと指示されたことは出来る」
 正反対の性質を持った少年達は、時々口論もしますが、それでも親友でした。

 あるとき、オドオドとした少年が、堂々とした少年のアパートを訪ねました。
 オドオドした少年は、チャイムを鳴らしても親友が出ないことに不信に思いました。
 ドアノブを回してみると、鍵が掛かってませんでした。
 少年はドアを開けて、親友の自宅に足を踏み入れました。
 そこには血まみれで倒れている、少年の親友がいました。
 少年は急いで親友の傍らに移動します。
 脈を取ってみると、親友の脈は無いように感じられました。
 しかし素人が脈を取っても、死んでるかは判断できない可能性があり、少年にも親友が死んでるかどうかは判断できませんでした。
 血まみれで倒れている親友の横には、包丁が落ちていました。
 強盗に入られたのかもしれません。
 
 少年は警察は後回しにし、救急車を呼ぼうと電話をしました。
 数秒のコール音の後に、相手が出ました。
「どうしました」
「僕の友達が、血まみれで倒れているのです」
「わかりました。落ち着いてください。お友達の様子はどうです」
 この言葉に、少年は少し動揺しました。
「死んでるのかどうかはわかりません」
「落ち着いてください。まず生きているのかのかどうか確かめてください」
 少年は言われたとおり、親友の心臓や脈を聞こうとしました。
 冷静さを欠けている少年は、生きてるのか死んでるのかまったくわかりません。
 相手の救急隊員は、苛立たしげに言います。
「どっちなんですか? 生きてるのですか? 死んでいるのですか?」
 少年は非常に焦りました。
 死んでるのかどうかは、自分にはわからず先行きが不透明だったからです。

 少年は傍らに落ちてる、包丁に目を向けました。
 その包丁を親友の心臓目掛けて、振り下ろします。
 いやな音が響き、少年の体に親友の血がかかりました。
 少年は何度も何度も、親友の体に包丁を突き立てました。
 何回か刺したところで、再び救急隊員が待ってる電話に耳をつけました。


「間違いなく死んでいます。次は何をすれば良いのですか?」


                            -END-

 
  

2004/10/10(Sun)20:18:23 公開 / 高師
■この作品の著作権は高師さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
またもやショート書きました。
暗い話ですが、自分はこんなストーリーが大好きな人間ですので^^;
不快感を感じられる方には申し訳ないです。

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