『過去と今 第4話』 ... ジャンル:未分類 未分類
作者:風間 リン
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桜が舞う4月の中ごろ。私立咲倉高校(さきくらこうこう)。
長い髪…。膝裏まで伸びたその髪を軽く三つ編みにして束ねた美少年。
一目見たら美少女と思わせるほどのその美貌は男でさえときめくとさえ言われた。
「ここですか…。虎がいるのは…。」
担任がクラスの皆に軽く紹介され、教室に入った瞬間、クラス中の女子がその美貌に驚き、叫びまくった。
そして一人の男子の声。
「は!?竜!?」
「何だ?夏目、春日と知り合いか?」
担任が聞く。
「春日竜(かすが りゅう)です。よろしく。夏目虎とは…知り合いです。」
その笑顔の美しさにクラス中がため息をする。
休み時間になると、学校中の女子が竜を見に教室にきていたので竜の席の周りは女であふれていた。
昼休みになってもその数は減らなかった。ついに虎がキレた。
「うるせぇんだよっ!てめぇら!くだらねぇ用事で入ってくんなっっ!」
虎もその男らしさとは裏腹に繊細な顔のつくり、鋭い目、竜とも並ぶ綺麗な肩にかかる髪。性格もとてもクールでそれでいて優しいのでとても人気があった。
そんな虎が怒るとは誰が予想しただろう。
女達はもういなかった。
「虎、ありがとう。」
竜が虎に礼をいいに立ち上がった瞬間、虎も立ち上がり竜の手をつかんで屋上に連れこんだ。
「おい竜!何しに来た!俺達がどういう関係かわかってるのか!?」
「わかってますよ…。ただおじい様に強く迫られましてね……。」
「……ったく。あのじいさん何考えてんだ。俺達の家の歴史、わかってんのかぁ?」
屋上からみえる大都会を眺め、ため息をついた。
「他人に知られたらまずいですからね。僕達はあと一年で殺し合いをはじめなければいけないのですから…。」
ガタン
屋上のドアが開く。
「誰だ!」
虎は今の会話を聞かれたのでは…と振り返った。
「誰って。唯だけど?」
そこには真っ黒の髪を白いリボンで止めている少女が立っていた。
春日唯(かすがゆい)。竜の従妹だ。といっても同い年。
「唯もこの学校だったんですか。面白くなりそうですね。」
ニコニコ笑いながら竜が言った。
「おじい様の話聞いてたの?私も今日からここの学校なんですけど…。」
虎、本日二回目のプッツン…。
「何言ってるんだ!!来年で丁度1000年だぞ!?」
「そうよ…。あなたの父は、今の春日家の長で、あなたは跡取。来年は1000年前から続く戦いを終らせなければいけないのよ。」
「…わかってますよ。楽しく行きましょう。楽しく。」
にこやかに告げると竜は教室に戻っていった。
「唯、竜はなんであんなに笑えるんだ?」
「知らないわ。ていうか私に聞かないでよ。」
「あぁ…すまん。」
実力テストがあった。
上位20名の名前が張り出される。
一位 春日竜 499点
一位 夏目虎 499点
三位 春日唯 497点
「転校してきた、あのすっごく綺麗な人!」
「あー春日君?」
「そうそう。虎君と並んで実力一位だって」
「もう一人の春日さんも2位だって!」
実力テストの結果は、竜の名を学校中に広く轟かせた。
春日家、本家。
「お姉さま、あのお話してください」
小さな女の子が唯に寄り添ってきた。
「いいわよ。
時は平安、1000年前。私達のご先祖様の黄子(おうし)様はある天皇の血筋の殿様の後妻として、春日家に嫁いだの。
黄子様は若くて美しいこともあって、とても愛されていました。でも、黄子と同じくらいに愛されていた女性がいました。それが、今の夏目家の先祖、夏目実(なつめ さね)様。実様は殿様の妾で、たくさんいる妾の中でも飛びぬけて美しかったとか…。
ある日、正妻の我が祖先黄子様のお子が生まれました。
同じ時期、妾の実様のお子も生まれました。どちらとも、皇子で、跡取の問題が出てきました。
本来ならば正妻の黄子様のお子が跡取となるはずですが、殿様は実様のお子でもよろしいとこぼしてしまい、黄子様と実様の戦いが始まりました。」
今回は勝ちを譲りますわ、黄子様。
…えぇ。でも終わってないわ。
1000年後、あなたのお子と、私の子の子孫の決着を約束しましょう。
1000年後…。
実、私の子孫は必ず勝つわ、今回のように
わかりませんわ、そんなこと
第3話
「実の局は子供に虎と名づけ、虎は夏目家を大きくし、中将の位につく。その子孫が俺…。」
「黄子は子供に竜という名をつけ、竜は後に宰相と名乗り、その将軍家をより大きくした。その子孫が僕。 つまり虎は僕よりも格下なわけだ。」
竜はいじわるそうな顔をして、虎を見つめた。
「だまれ。お前はよく平気でいられるよな。」
昼食のパンをかじりながらため息をついた。
もし、自分が負ければ長く続いた一族が決裂するかもしれない。しかも二人のうちそちらかは死ななければならない。
まだなにも知らない子供のころは竜、虎、唯、虎の妹の紫(ゆかり)とよく4人で遊んだ。
「…。どちらかが死ななければあの呪縛から抜け出すこともできないのですし。 だから、僕達の両親も、おじい様も1000年間苦しんいたんですよ。勿論、1000年前の竜も…。」
「お兄ちゃん!!」
屋上のドアが勢いよく開いた。そこにいたのは虎とよく似た女の子。
「あぁ、紫。久しぶり。」
「えーっ本当に来てたんだ!リュー兄!」
紫はこの学校の中等部の2年で、虎の妹。もし、虎が生まれなかったら竜と戦うことになるのは紫だった。
竜はそんなことを考えていた。
「……?あれ?もし生まれたのが紫みたいな女だったら名前どうするんでしょう?流石に女の子に虎は…。ははは。」
紫はもう昼休みが終わると、中等部に戻っていった。
その日は天気もよく、唯が作った弁当を3人で食べていた。
「虎。私の弁当まずいのかい?」
唯の一言。
「は?別にうまいけど?」
「じゃあ、何でパン食べてんのさ。」
「まずいって思ってるんじゃないですか?僕は慣れてますけど。」
「え?あ!…へへ。」
番外編
これは虎の曽祖父にあたる忠臣(ただおみ)18歳の時の話。
大正初期。明治維新の流れで栄華を誇った日本の都東京。
夏目家の長男として生まれた忠臣。代々続く美形、血を薄めぬよう親類同士で行われる血縁。
忠臣には生まれたときからの許婚がいた。その娘は忠臣の父の従兄弟のひとつ年下の娘。
忠臣には心に決めたひとがいた。呉服屋の末娘八重チカゲ。忠臣は近くチカゲと駆け落ちしようと話していた。
しかし、チカゲが妊娠した。忠臣の子を…。
子が出来ては両親も許してくれると思った忠臣はチカゲのことを家の者に紹介した。
忠臣の両親も祖父母もニコニコ笑っていた。
「チカゲさんはあの八重呉服のお嬢さんだってね。」
「かわいらしいお嬢さんじゃないか。」
会話が弾む。
日も暮れ、チカゲは帰っていった。忠臣は両親に呼び出された。
深刻な顔をした忠臣の祖母が重い口を開く。
「忠臣さん、悲しいことだけれどきっとチカゲさんはもうすぐ亡くなります。」
「そ、それはどういうことですか?おばあ様。」
母は悲しそうな目をしている。
「なぜか知らないけれど、今まで夏目家以外の者が夏目の子を作ってしまうと、そのものは男、女関係なく謎の死を迎えているのです。」
「実際、あなたのおじ様の恋人、葉子さんがなくなっていっているのは知っていますね…。あの方も…。」
忠臣はその場に固まってしばらく何も話そうとしなかった。
一週間後、チカゲは体中切り傷が出来、血まみれになって死んでいた。
遠縁の娘と結婚したのはその次の年。
第4話
「唯、竜は?」
虎は少し大きめのおにぎりを食べていた。
「知らない。最近ファンクラブが出来たみたいだけど…。紫は?」
「紫は友達と食べるんだと。」
「……そっか。」
その時、屋上に一瞬強い風が吹いた。
「やっ…髪の毛がっっ。」
「大丈夫かよ、おい。」
虎が唯の髪の毛をかきあげた。
「ちょっとぉなにすんのよ。」
「あ…ごめん。」
唯の顔が赤くなった。虎はもっと赤くなっていた。
「あのさ…唯…」
そういいかけたとき……。
「あっれぇ?お邪魔でしたかなぁ?」
竜が帰ってきた。
((いいところだったのに!!))
「べ、別に邪魔じゃないけど?ねぇ」
「あ、あぁ。飯食おう!」
静かにもくもくと弁当を食べていた。
「二人ともしけた顔しないで、楽しくお弁当食べましょうよ。」
竜が話し掛けても二人はあまり話さなかった。
その夜、唯は両親と祖父に呼ばれて、祖父の部屋にいた。その部屋は200畳をかるく超えるとてつもなく広かった。
「唯、あなたの結婚のことだけれどね…。」
唯の母がしゃべりだした。
唯の父は祖父の4人目の息子。(竜の父は長男ということは言うまでも無い。)そして母は散り散りに別れた50を超える春日家の分家のお嬢様で20年前に本家入りした。
竜以外の孫達がめったにあえない祖父が口を開いた。
「お前は本家の人間だ。本家に女が生まれるということはめったにないのに、吉弥(5番目の息子)のところの美弥の二人が生まれた。美弥にはもう嫁の貰い手が見つかっているが、お前はまだ決まっていない…。」
「唯、お前は竜さんの所に行くのがいちばんいいと思っているの。」
3人の顔を見るとさわやかな顔をしていたが、唯は最悪というような顔をしていた。
「血を薄めてはならないからね。勝つのは我が家だ。」
父は勝ち誇ったような顔をしていた
「考えさせてください…。」
「んー?唯?どうしたんですか??」
竜が唯に話し掛けたが、頭の中が真っ白だった唯はそのまま部屋にこもったきり、次の日の学校も休んでいた…。
2004/09/22(Wed)14:58:50 公開 /
風間 リン
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■作者からのメッセージ
あーーっ!!くさくなってきた!!
ごめんなさい!
そうだよっ!ラブ米だよ!
アイだ!!…すみません
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