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『PROTECTER 2』 ... ジャンル:未分類 未分類
作者:sena
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正行は拳銃の安全装置を外しながら、ゆっくりと穴の中を覗いた。
そして、彼に映ったものは爆風によって伸びた先ほど出会ったばかりの仲間たちと煙のよって姿を隠している少年だった。
「あんただけ?生き残ったのは」
少年の目が自分をあざ笑うかのように揺れている。
しかし彼はそんなことにも動揺しなかった。ただ感じたことは2つだけで、それは直ちに体が実行してくれた。
君ががみんなをやったんだな、君は俺たちの敵なんだな。
ベテラン女性テレビリポーターで一人の子供を持つ和泉恭子は静かに特殊隊員が突撃するのを見守りながら報道していた。彼女らは決してPTのことを知らないわけではなかった。ただ名前を聞いたことがあるぐらいだったが。
「まもなく特殊部隊が突撃をする模様です」
マイクに向かってベテランらしく堂堂と言う。
「ただいま新東京駅で凶悪犯が立てこもっており、現場は大変膠着状態に?!
・・・ただいま隊員たちが突撃した模様です」
前触れもなく、いきなりの爆音にマスコミがざわつきながらも報道をする。
そして集まったマスコミにはそのこともしっかり見られたことも言うまでもない。
彼らは目の前の特殊部隊が一名を残して、爆発によって視界から消えたことをしっかりとカメラに捕らえた。
「スクープよ!!」恭子がいち早くディレクターに叫び、報道を続行する。
”彼女こそが報道官だ”誰もが思ったに違いない。
「作戦は見るからに失敗した模様です。繰り返します。ただいまの爆風によって作戦は・・・」
残った一名が穴に向かって、拳銃で数発発砲し中に入っていくのが目に入る。
そして彼は顔を穴から出し叫んだ。まだ幼いしかしみんなに聞こえるように。
「犯人確保!!」
〜現場・駅前広場〜
正行は少年に向かって動揺することなく発砲したことに驚いていた。
俺はもうすぐで殺人をしそうになったのではないか?
辺りを見回すと少年は消え、盾となった2メートルもある何かが吹き行く砂のように消えつつある。
「おい、大丈夫か!!」
上から山口さんが降りてくる。ほかの人も一緒なところを見ると、彼らは安全だったらしい。
「なんとか・・・」
ペタとその場に座り込んでしまう。体から力が抜けるのを感じながら。
視界がぼやけるのを感じながら。
気がつくと正行は道に寝かされていた。周りには先ほど伸びていた数人がいまだに伸びていた。
「気がついたか?」
弘樹がスポーツドリンクを持ってくる。
”よくやったな”と言って正行の頭をなで、その場から静かに去った。
「いきなりにしてはすごい成績だね」
シュナイダーが頭の包帯を気にしながら隣に座る。後ろに憲正もいた。
そこから何を話したかわからない。ただ頭がボッーーとして気が付けば、”自分の住むところとなる寮だ”とシュナイダーや石井たちに教えてもらっていた。
「今日は疲れた!!早く寝よ〜ぜ」
憲正がなぜか伸びをする。それは朝起きた時にするものじゃないのか?と思いながら自分もつられて伸びをした。
「正行は603号室だ。おまえだけ一人で俺たちは同じ部屋なんだよ」
”可哀想に”とでもいいたそうに憲正がからかう。
「野郎4人と一緒に暮らして何が楽しい」
正行は彼らをどん底に落として、別れた。
さすがにきつかったかな?くつ脱ぎながら反省する。
「キャァアアア!!」
突然の叫び声によって正行の疲れた体はドアにへばりついた。そしてその叫び声が自分の目の前だと気付いたのは聴覚が戻ったころだった。
「このか?!」
目の前の着替え中の女子中学生は和泉このか、正行の幼馴染で元彼女。そんな彼女が目の前で”正行?”と裏声で尋ねた。
〜603号室〜
結局正行は数十発の蹴る殴るの暴行によって、瀕死の状態になっていた。
こちとら疲れているんだ!!早く寝かせろ!!
ソファーに這いながら登ろうとする。
「ごめんね、こっちもビックリしちゃって」
このかがお茶を持って台所から出てくる。こんな状態でも思考回路は動いておりエプロン姿がきれいだなと見惚れる。
「正行は何か食べたの?」
”いいや”と顔を横に振り昼から何も飲んでいない喉に潤いを取り戻す。
「生き返った〜」溜め息がこぼれる。
「ほんとごめんね」
彼女は真剣に謝っている。なにしろ数十発だからな。
「大丈夫だよ。それより」
正行がこのかを抱き寄せる。距離はあと数センチ。
「それより?」
”なにかするの?”とでもいいたそうなカワイイ瞳を見つめながらいった。
「ご飯作ってくれる?」
「何それ!!せっかく良いムードだったのに!!!」
このかは正行をポカポカと殴ると、台所に向かおうと立ち上がった。
「ピザでいい?」
作る気になってくれたのか、ありがたい。”それでOKと嬉しそうに頷いてみせる。
ピザを作りにかかって20分ほどしたころだった。
ドアが思いっきり開き、一人の少女が洗面道具を持って入ってくる。必然的に正行と目が合う。
「どうも、お邪魔してます」
ぺこりと頭を下げ、”女性キラー”の笑顔を向ける。
「誰?」
案外冷静なんだ、この人。初めてこんな人とであったかも。
このかが台所から返事をする。
「転校生よ。ほら先生が言っていたじゃない」
その瞬間彼女の態度が激変した。いつもの笑顔を食らった少女のように。
「キャ〜〜可愛い!!」
少女は洗面道具を放り投げ抱きついてくる。
可愛い?カッコいいじゃなくて、可愛い?
戸惑いながら、彼女の名前を聞く。
「私は相田奈津美、このかの親友よ」
そして疲れ切った思考回路が今日最後の働きをした。
女子二人と同棲は憲正たちに言ったら死刑だろうな。
正行はひっそりと部屋のドアを閉め、”宴会”から脱出に成功した。
「どこにいくんだ?」
シュナイダーが壁に手を突き、先ほどまで聞き耳を立てていたようすで聞く。
「君に会って話したいことがあってね」
「そういう関係はごめんだぜ」
”それはこっちも”といいたそうに空を見上げた。寮の隙間から見える月がとても美しい。
「俺達は何と戦っているんだろうな?」
「えっ?!」
思わず聞き返してしまった。自分の言おうとしたことを彼から話すとは思ってもいなかった。
「まるで孤独な月のように、たった100人の少年たちが銃を手にこの世界の後ろでひっそりと戦っている。なぜ俺達は戦っているのか?」
”わからない”そう言ってシュナイダーは視線を落とし、続けた。
「君はPT初の保護者と信頼関係がある人から選ばれた人だ。けど、俺達は違う、ただ銃を手に一度取ったことのある者達。ある奴は犯罪者、ある奴は何処かの軍人。・・・俺はどっちだと思う?」
彼の目は自分の人生を冷笑していた。いや嘆いていたのかもしれない。
「軍人?」
「そう、俺はドイツの軍人で正式に言えばドイツのPTだ。俺の友達もそうだった・・・あの日までは・・」
正行には彼の目が何を訴えているのかすべてを悟ることができた。
彼の目はもう絶望という二文字が書き込んであることを悟った。
「俺の友達は、マルクスは、全員俺の手の中で死んだ。俺だけが生き残ったんだ。上の誰かも知らない人が彼らを・・あの訳の解らないあいつらが殺したんだ・・・」
彼は泣き崩れていた。彼は友達を誰かも知らない高官によって、”鬼”によって殺されたのだ。正行はそう感じた。
「畜生!!今日もおれは・・・畜生!畜生!!」
正行が話したかったのは、自分たちが現場に来る前のいた戦闘不能者が死んだというメールを貰ったためであった。
”これは、PTは、命にかかわる仕事なのですか?僕達は死ぬのですか?”
〜廊下〜
コツコツと誰もいない廊下に響き渡る音に楽しみを覚えながら、正行はシュナイダーからもらった資料を手に目を通していた。
「なるほど・・・・俺たちは国連軍の士官になっちゃったわけね〜・・・ふぉ!!月給500万!!すっげ〜・・・」
ちなみにっと正行は腕時計に目をやる。時刻は11時を過ぎていた。
「やべぇ〜早く寝なきゃ、って・・・このか?」
603号室のドアにはこのかがうずくまって寝ている。俺を待っていたらしい。
「可愛いな〜この寝顔」
一瞬このかの横にしゃがみ、寝顔を見て満足している自分を軽蔑する。
「あっ、正行!!どこにいたの?せっかくパーティの主役なのに・・・」
「ごめん、ちょっと学校の用事で・・・ほら明日から学校だし」
慌てて資料を背中に隠し、このかを部屋の中に押し込もうとする。
「じゃ〜そのかわり今日は一緒に寝ようよ。それで許してあげる」
いきなり頭を殴られた、いやそんな軽いものじゃない重い物が殴ったような気がした。
「一緒に寝る?!何もしないでよ」
”セリフが違うよ”とこのかが笑う。ただ正行はそういうことについて言ったのではなく、ただ寝相が悪いだろ、そういいたかった。
「今日は怖い映画見ちゃったんだから」
案の定、正行はこのかの強烈な抱きつきに見舞われ、寝れずにいた。また、同室の奈津美が身動きが取れない正行の隣で間違って寝ているため、美女に挟まれて寝れなかった。
「ちょっと誤算だったな」
小さく舌を打ち、なんとか腕を解放させようと、腕を彼女の巻きつきから引き抜く。
月がその滑稽な動作を眺めながら、きれいに輝く。
「孤独な月か・・・」
シュナイダーの言葉がそっと心をよぎる。彼の友達は死んでしまった。今日の第4と呼ばれていた人たちも死んでしまった。
俺も死ぬのだろうか?このかの頭を撫でながら、静かに月に問う。ただ帰って来ない答えを待ちながら。
〜学園・中庭〜
この学園は国内有数の大学園であり、教員までもが全員女子という女一色の学園に4人の少年たちが座って、弁当の自慢をしていた。
「見ろ!!俺は3つだぜ」勇が目を輝しながら、”LOVEと書かれた弁当を3つ見せる。
「何を。俺は一日目にしてみろ5つだぞ!!」
今日は憲正と正行の初登校日であった。しかし正行の姿は見当たらない。
「正行は?」治樹が弁当を上品に食べながら誰となく尋ねる。
しかし3人の顔はただ横に振るしかなかった。
「どこ行っちまったんだよ」
当の本人は今日一日を振りながらみんなの待つ中庭へと走っていた。確か・・・。
「やばい!!遅刻だ」
まだ眠そうな奈津美を担ぎながら正行は超人的な人間技をこなそうとしていた。
”後三分”遅れるこのかを待ちながら、計画を立てる。
「近道は?」
このかが息を弾ませながら、塀を指差す。
「これを越えたら・・・間に合うと思うよ」
”よし!!”正行が人間技を越えた、超人技をすることに決める。
「摑まれよ」
言う事と反対についこのかの柔らかい腕をつかみ、一気に地面を蹴った。
一人なら十分越えれるこの塀がやけに高い。だけど・・・。
気が付くと正行は二人の美少女の下敷きになっていた。
「重い・・・けど・・・間に合った」
微かに聞こえるチャイムを聞きながら・・・・。
「畜生!!」
まだ疲れている体を奮いながら、二人の少女を担ぎ校内へと駆け込んだ。
これが俺のこの学校での初登校だよな?自問自答しながら今朝聞きだした!3−D”の教室に駆け込む。
「間に合った・・・」
このかが驚いている。無理もない。二人を担いでチャイムが鳴り終えるまでに教室に着いたのだから。
その一方、クラスはしーーーんとしけた状態が続いていた。
「誰?このか」
一人の少女が、いや可愛らしい女性かな?変な考えが頭をよぎる。
「センセーが言ってた転校生よ」
先ほど駆け込んできたドアから大人の女性がもたれ掛かりながら、誘惑してそうな声で言う。
「キャァアアア!!カワイイ!!!!!」
”カワイイ”と重なるように憲正の声が聞こえる。
「ごめん、遅れた」
ちょこんと地面に座るしぐさが、同姓の頬をも赤くするほど愛くるしい。
「いきなり捕まってからというもの、ものすごい捕縛呪文にかかってね。あれは魔法と呼ぶのにふさわしい」
いきなりとんちんかんなことを言われて、戸惑う4人。
「弁当は?」
治樹が寡黙に自分の弁当を食べながら正行に尋ねる。
「それが、まだ開けていないんだよ」
うれしそうに、どう見ても女の子のものと思われるナプキンでこれまた女の子のものの弁当を包んだそれを出す。
「開けてみろよ」
憲正がせかすのを、反面自分のより愛情がたっぷり入っているのではないかとあせっているのを横目に開ける。
「やるね〜」勇がうなる。
開けた弁当にはいきなり大きく”I LOVE YOU”しかもOがハートマークまでなっていたのは彼の分でしかない。
「いっただきま〜す」
4人の視線を感じながら、口に運ぼうとしたとき。
「正行〜バレーしない?」
遠くから美少女の集団が正行に声をかける。その中にはもちろんこのかも。
「ごめん、これも仕事だろ?」
返事を聞くまもなく、正行は背中に鋭い殺気を含んだ視線を浴びながらこのかのもとへ走っていった。
正行は呼ばれたほうへと走っていくと、このかと奈津美と他数人がいた。
他の数人は朝自分を抱きしめて”カワイイ”といった人たち以外彼女たちについてそれほど知っていなかった。
そのことを察したのか、あちらのほうから自己紹介をし始める。
「私は北条亜沙子、亜沙子ってよんでね」すらっとしたルックス満点の美少女が笑顔で練習していたかのように言う。
どう対処しようかと悩んでいるといきなり抱きつき、耳元で囁いた。
「このかに飽きたら、私はフリーだから」
”ヘッ!!”と奇妙な声を出して驚き、それが面白かったのか正行以外は爆笑する。
「あちゃ〜、一本とられたわ。うちは西岡明日香。こちらはフリーちゃうからね」
こちらも前者に負けないぐらい、って何を考えているんだ!!と心で自分をしかる。
最後は長身の長い髪の毛がきれいな少女が俯きながら言った。しかし正行には俯いたというより自分の顔を見ていってくれた感じた。
「桐生麻美、よろしく」
「石井治樹の彼女でしょう?」
麻美の自己紹介が終わった、その瞬間、なぜか口が暴発した。正行も驚いたが一番驚いたのは、後ろで先ほど静かに弁当を食べていた治樹だ。
「そうなの?」
シュナイダーが味気のなさそうなパンを食べながら尋ねる。
「用事が・・・」
彼はそういって弁当を置き去りにして、その場から赤くなった頬を隠しながら、正行には見えていたが、走り去った。
当の彼女も顔が赤い。やはりそういう関係だったのだろう。
「正行〜そんなこと言っちゃだめでしょ」
亜沙子が優しく自分をからかうかのようにしかった。
みんながしょんぼりした正行をなだめる。後ろの3人は先ほどよりも満ちた殺気を向ける。
そんなひと時は正行にとっては、PTの隊員にとっては楽しかった。
心の中ではまたいつか戦場に駆り出されるのを恐れながら。
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2004/08/03(Tue)17:13:29 公開 / sena
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