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『~Team Rock~』 ... ジャンル:未分類 未分類
作者:FLY
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あんたは、音楽は好きかい?
僕は、大好きだね。
特にロックを聴くと背筋がゾッとするんだ。
それが、うつくしいロックなら、なおさらにね。
【Team Rock】
200374
僕の名前は佐藤ギア、(漢字はそっちで適当に考えてくれ)うちの親が、かの有名な映画俳優
~リチャード・ギア~の大ファンで、結婚したときから「この名前にしよう」と決めていたそう
だ。無責任な親、こっちの気持ちも考えずに……と言いたい 年頃なんだけど、実はこの名前、
結構気に入ってるんだ。なぜ って、こんな名前のやつ日本中で、僕くらいしかいないぜ
それってサイコーだろ?
こんな僕が最近ハマっていることは、ロック。ロック、ロック、ロック・・・ハマったってい
っても、ハマったのはつい最近の事、なんか今すぐに始めたくなってきて、ギターを買おう 、と思ったんだ、でもすぐに問題発生……そういや僕~金欠病~だったんだ―――。
ここで少し、僕の目指すRock Musicについて話しておこう。まだ、ギターすら持っていない僕
だけど、理想くらいはある。
それは、うつくしいロックだ、TVに出ているロックグループなんかは、ガチャガチャしてい
て聴いていられない。僕はもっと、うつくしい『音』をエレキギターで表現したいと思っている。
僕が今から話すのは、僕のバンド~Team Rock~の一夏の、うつくしい、ロック・ストーリーだ。
【Team2】
カチカチカチカチカチ………………
「残り2分か……」
とつぶやき僕は鉛筆を机に置いた。
「はい、終わり」
と担任の大林が言った瞬間に教室のあちこちから、10年分の幸せが逃げてしまいそうなほど
のため息が聞こえてきた。みんなテストの事で頭がいっぱいなのだろう。
しかし、僕はテストではなく、ロックのことで頭がいっぱいだった。
「ギター、ギター、ギター……」
この事がどうにも頭から離れない、テスト中も、どうすれば手に入るかばかり考えていた。
おかげでテストは最悪、平均点の半分もいかないだろう。でも、今の僕にとってテストなん
てクソみたいなものなのだ。
僕は部活をしていないので、そのまま、すぐに家に帰った。家に着いてすぐに自分の部屋に
上がり服を着替える。着古したジーパンにブランドもののTシャツ。僕はおしゃれにはうるさい。そして、自転車に飛び乗り街の方へこいで行った。
【Team3】
ギアが向かった先は、楽器屋だ。楽器屋に着いたとたんにイヤな予感がした、カギをかけて後
ろを振り向く……見事的中、昔からイヤな直感だけ鋭い。そこにいたのは、学年一の悪(と言
っても悪ぶってるだけ)の金沢がいた。明らかにサイズ 違いのメンパン、上に羽織っているス
カジャンにはデカデカとドクロの刺繍が施されている。おまけに首からは、超特大のネックレ
スがキンキラキンに輝き、そのネックレスには、『Bad boy』
と派手な主張をしている。もし、金沢がピーコのファッョンバトルにでも出演したら泣きなが
ら帰ってくる事だろう。
金沢は、僕を見つけるとすぐに、ニヤニヤしながら近づいてきてこう言った。
「なにしてんの?」
体中から香水の臭いがプン プンする。僕は、ありがちな返事をした。
「別にー」
金沢はま だニヤニヤして僕を見ている。
「もしかしてー、ギター↑とか やってんの?」
ほら来た……こいつはいつでも必要以上にカ ラんでくる。僕 は、また答えた
「別にー」
こいつには、この言 葉が一番効果的だ。
「もし、やってんのだったら、うちのバン ド入れよ、ギターがいなくて困ってんだよ。」
金沢が思いがけ ない事を言って来た。でもゴメンだ、こいつと一緒にバンドや るなんて、考え
られない。悪夢だ。
僕はキッパリと言った。
「嫌だよ、お前となんか」
金沢は、 一瞬、残念そうな顔をしたあと、急に態度が変わった。
「はっ、何だよ、人がせっかく誘ってんのによー、もうヤメたお前なんて、絶対入れてやんね
ーからな。まっ、佐藤のバンドなんて誰も入らねーだろうけどな。」
ここまで言うと、金沢は 何かを思いついた様な顔をして言った。
「そーだ、10月の文 化祭で勝負しようぜ、オレのバンドとお前で、それぞれライヴ して、どっちのバンドが良かったか全校投票で決めるの、負け た方は…うーん、そうだなー…楽器、全部取り上げな いいだろ、乗るか?」
僕は、思わず言ってしまった。
「……いいよ……」
よし、決まりだ、と金沢は言って、来たときと同じニヤニヤしたムカツク笑みを浮かべてこう
言った。
「まあ、精々頑張れよ。リチャード君」
また、出た、ヤツは何かある度に『リチャード』を出してくる。
つくづくムカツク野郎。
でも、今年の夏は
熱くなりそうだ。
【Team4】
7月10日
期末テストも終わり、徐々に本格的な夏が訪れようとしている 夏休み10日前、ギアは悩んで
いた。
10月の文化祭まであと3ヶ月、ただでさえ時間が無いのに、メンバーもいない、楽器も無い、
どうしようもない。
せっかく熱くなってきた夏が、だんだん冷めてきた。でも、冷ますわけにはいかなかった。な
んてったって今年の夏は、中学校生活最後の夏なのだから。
翌日、僕が当ても無く駅前を歩いていたら、ケンさんが前からやって来た。
本名、岸田健 別名、PCケン。
子供離れしたオヤジ顔のケンさんは、~ウルトラパソコンオタク~で、「パソコンで知らないこ
となどない」と自称して、クラスのみんなから別の意味で恐れられていた。
ケンさんは僕を一直線に見つめて、真っ直ぐに僕の前へ来た。
【Team5】
僕は、無視して通り過ぎるつもりでいた。多分ケンさんもそうするだろうと思っていた。だっ
て、ケンさんと僕は友達でもなんでもない。話をすると言ったら、
「佐藤君、明日数学あるの?」
「うん、あるよ」
くらいなもんだ。
ところが、ケンさんは、僕の前でピタリと止まった。
おい、ウソだろ、勘弁してくれよ。と、心の中でそう思った。ケンさんは周りの人を気にしな
がら、小声でつぶやいた。
「この辺りからスグはなれた方が良いよ」
全く、意味が分からない。何で、僕がここにいちゃいけないんだ。そう思っていると、ケンさ
んは、ジェスチャーで周りを見るようにと、僕に言っていた。
「うわ〜、マジかよ」と、思わず声が出た。
ケンさんに感謝。
駅前周辺には、D.Gのやつらが、うろちょろしていた。D.Gと言うのは、~デーモン軍~のイ
ニシャルで、この辺りの中学生の間では「禁句」になっていた。
デーモン軍、名前は、かなりダサいが、僕の住んでいる市では、中坊最強だ。あの金沢でさえ
も、D.Gのメンバーには敬語を使っている。
どう切り抜けようかと考えている時にケンさんが話しかけてきた。
「良かったら、家に来ても良いよ、良かったらの話だけど…」
と言い終えると、下を向いてしまった。
僕は、少しためらったが、その方法が一番安全だと思い、ひとまずケンさんの家に、避難する
事にした。でも、実は、PCケンと呼ばれる程のケンさんの部屋を見たい、と言う興味心が、
半分以上あったのだけれど……。
【Team6】
ケンさんの家は、駅裏にある「ハピータウン大山」と言う、ふざけた名前の住宅街にあった。
典型的な、積○ハウス型の家は、僕の家の2倍はあった。
金持ち。
ケンさんは、ドアを開けて僕を招き入れてくれた。家の中はシーンと静まり返っていて、人気
(ひとけ)が無い。
「誰もいないの?」
と聞いてみた。
「うん、お母さんは、大学の講師だから、大学の近くにマンション買ってそこに住んでる。お
父さんは、何してるのか良く分からないけど、何処かの商社の営業マンらしくて、いつも帰っ
てくるのが夜中なんだ」
気になったので「兄弟は?」と聞いてみた。
「兄がいるけど、2年間くらい行方不明、もう帰ってこないんじゃない」
と、平気な顔で言った。
「そんな、事よりもさー、部屋行こうよ。」
「そうだ、そうだ、それが目的だったんだ。」と思い出した。
ケンさんの部屋は、階段を上ってすぐにあった。ドアには、「勝手に入るな!!」のプラカー
ドが下げてあった。
音も立てずにドアが開いた。
その瞬間、何かがチラリと見えた――――――――――――――
【Team7】
僕は一瞬、唖然とした。
その時、僕が光景はあまりにも衝撃的だった。その光景は、今までの『ケンさん伝説』を根本
から覆すほどの衝撃的光景だった。
今まで、みんなの想像では、部屋はパソコンだらけで、床には各種PC雑誌、大量のCDR、な
どなど、勝手な想像をしていたし、みんなそれが事実だと信じ込んでいた。その、『ケンさん
伝説』打ち崩す光景が僕の目の前に広がっていた。
部屋には、想像していたものは90%無かった。勉強机、本棚、ベッド……
「何も無いじゃないか!」
と、心の中で嘆いていると、ケンさんが僕の顔を覗き込んでいた。
「どうかした?」
と、ケンさんが心配そうな声で言った。
「別に……」
僕は、まだショックから立ち直っていない、震えた声で言った。みんな、大げさとか思ってる
かも知れないけど、『ケンさん伝説』がガセネタだったとなると、そりゃあもう大事だ。
僕は、恐る恐る部屋の中に入った。
六畳ほどの、部屋の中には、机とベッド、オーディオ機器にテレビ、まあ、今時の中学生の部
屋だ。
しかし、見つけた…
机の上には、電子レンジを横に3つと縦に2つ積み上げたくらいの大きさのパソコンが勉強机
を支配していた。
「何じゃ〜これ?」
と、あまりの迫力に、僕が呆気に取られて言った。
「あー、それスゴイでしょ。自分で作ったんだ」
「パソコンを自分で作る……、そんな事があって良いのか?やっぱりコイツはPCケンだ!!
『ケンさん伝説』はガセネタじゃ無かったんだ!!」
と、馬鹿みたいに喜んでいると、ケンさんが僕の顔を覗き込んで言った。
「なんかあったの?、佐藤君ヘンだよ…さっきから急に凹んだり、今度はなんか嬉しそうだし
なんかあったの?」
心配そうな顔でケンさんは聞いてきた。
「いや〜別に…… それよりもさーパソコン見せてよ」
と、笑いながら言うとケンさんは笑顔で、「いいよ」と言ってパソコンの電源を入れた。
運命の出会い@
【Team8】
何かの音が聞こえる。何の音だろう、ピン球が落ちる音だ。それも大量に。
あー、雨か…。
寝ぼけて分けの分からない事を考えている内に、脳が動き出した。1階から母さんの声がする。「何を言ってるんだろう」と体を起こした。
「ギアー、岸田君が来てるわよ。下りてらっしゃい」
と、母さんが言っていた…… え!?、僕は一瞬で眠気が吹き飛んだ。あわてて服を着替えて「なんでケンさんが家に来るんだよー」と考えながら階段を駆け下りた。
ケンさんは玄関の隅のほうにもたれていた。頭には、ほんの少し水滴が付いている。
「どうしたんだよ、急に」
僕は、再び眠たくなってきた目をこすりながら聞いた。
「あのさー、今日の朝9時過ぎに金沢が来たんだよ」
「それがどうかしたの?」
金沢がケンさんの家に行くことは珍しいけど、わざわざ僕に報告に来るような事ではない。
「それがさー、なんかあいつバンド組んでるらしくて、ギターがいないから僕に入れって言うんだ。それで僕が、嫌だって言ったら『入らねーと痛い目にあうぞ』って言うんだ」
僕は、ケンさんの言いたい事がいまいち分からなかった。
「まあ、とにかく入れよ。詳しいことは中で聞くから」
と言って、ケンさんを家の中へ入れた。
「で?」
ケンさんは、真剣な顔になった。
「だから、お前から金沢に言ってくれよ」
「なにを?」
ケンさんはため息をついた。
「僕がギターやってるのは知ってるよな」
「え!?お前ギターやってんの?」
「お前、何にも知らないの?」
そんな話は聞いた事もなかった。
「で、どうなの、腕の方は。かなり上手いの?」
「話変えるなよ」
「あー、で?」
「だから、お前が金沢に言ってくれっていってんだよ。ケンはあきらめろって」
「ちょっと待てよ……(一人言)金沢が誘ってると言うことは、かなり上手ということになる……」
心の底から喜びがこみ上げてきた。
「ケンさん、いや、ケン、金沢にはオレが言っておいてやる。その代わり……」
ケンさんが唾を飲み込んだ……
「オレと一緒にロックやろうぜ!!」
「…………………………………………」
「なんて?」
「だから、オレと一緒にロックやろうぜ!!」
「なんで?」
僕はケンさんに金沢との約束を話した。
「あー、そういう事だったの、やっと意味がわかった。…で?」
「だからー、オレと一緒にロックやろうぜ!!」
【Team 9】
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2004/07/24(Sat)00:08:46 公開 / FLY
■この作品の著作権はFLYさんにあります。無断転載は禁止です。
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■作者からのメッセージ
お久しぶりぶりです!!
覚えててくれたかな?
2ヶ月ぶりくらいの更新です!
短いけどよんでチョw
作品の感想については、登竜門:通常版(横書き)をご利用ください。
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