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『短編 ダブルマインド』 ... ジャンル:未分類 未分類
作者:疾風
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ひゅうう、と風が吹いた。
大地には砂煙が起き、視界を砂で覆っていく。
その中を、少年は歩いていた。
少年はその小さな体に砂を受けながら、ひたすら歩きつづけている。
褐色の肌に黒い頭髪。そして、その暗色とは対照的な真白な眼。
身に付けている服は所々が破れ、そこからは少年の肌が露になっている。
そして、この少年の異常は足にあった。
少年の華奢な足には、鎖が繋がれていた。その鎖の先には少年の拳ほどの鉄球が付いている。少年はそれを引きずって歩いていた。
突然、一際強い風が少年に降りかかった。
砂が舞い、容赦なく少年に吹き付けられていく。
少年は遂に倒れこんでしまう。
やがて風が止むと、少年は砂に埋もれ動かなくなっていた。
少年が立ち上がることは無かった。
/1
目が覚めると、自分はベッドの上に居た。ぼんやりした目で、天井を見上げている。背中には、柔らかい感触。ベッドに横になるなんて、何時ぶりだろうか。
そんな事を考えながら、上半身を起こして辺りを見渡す。
自分が居る場所は、ベッドが一つあるだけの木造りの質素な部屋だった。目の前には、同様に木で出来た扉がある。
(ここはどこだろうか)
まだまだはっきりしない頭で考えてみる。しかし、ここに来るまでの記憶が無い。仕方が無いのでベッドから降りると、足に違和感があった。
(……あれ?)
足に着けられていた鎖が無い。
……鎖? 鎖なんて着けていただろうか。
いまいち記憶がはっきりしない。とりあえず、自分の名前を思い出してみる事にした。
……いや、名前を思い出す必要があるのか? 名前なんて、自分がよく知っているじゃないか。そんなことよりも、今は自分が置かれた状況を把握すべきだ。
ふらつく足で扉まで歩くと、その取っ手を掴んだ。
すると、この扉の向こうに、二、三人の人間が居る事に気付いた。
しかし、今自分の手元には何も無い。どうするべきか。別段、素手でも十分に対処できると思
……? 今、自分は何を考えていたんだ?
片手で頭を掻きながら、扉の取っ手に力を入れた。
最初に目に入ったのは、部屋の三分の一は面積を取っているであろう大男の姿だった。その大男はこちらに背を向けるようにして、それは大きい椅子に座っている。
その大男の影から一人、顔を出した。
「あ、起きましたか。どうです、気分は? いや、無理して喋る必要は無いですよ、疲れているのは一目瞭然なのですから。とりあえずそこで立っているのも何ですからここへ座ってください。いや、強要はしていませんよ。僕は『君がここに座ってくれたら話がしやすい』と思っただけですから。しかし君が立って話すというのなら僕はそれに従おう。僕は他人の主張を尊重する。どうかな?」
その男の第一印象は度の強そうな眼鏡を掛けているということだが、それ以上に話の長さが印象的だ。
とりあえず立っているのも疲れるので、眼鏡を掛けた男の指し示した席に座ることにした。丁度この位置だと、眼鏡の男と向かい合わせになる。
この部屋には自分以外に三人居た。一人は最初に見た大男。一人は話の長い眼鏡の男。そしてもう一人は黒装束を着た、陰湿な感じの人間だった。フードをして顔が見えないので、男か女かは分からなかった。
「あの……」
「ボウズ! お前は運が良いぞ! あの大平地で倒れていて死ななかったんだからな!」
自分の声を遮って、大男の声が耳を突き刺した。
「ムスタフ。声量を下げてください。彼は病み上がりなのですから。あなたは普通に喋っているのでしょうけど、あなたの発声器官は他者よりも多少違うのですから。そもそも人間の発声器官とは……」
「わ、分かった。分かったからもう良いだろ」
このムスタフと言う男は、体はでかいがこの眼鏡の男には敵わない様だ。下手な事は言えないな。こんな風に説教されるのは避けたい所だ。
「それで……あなた達は一体?」
「ふむ。その問いをする前にまず自分の紹介をしたらどうかな? 僕は君の事を『君』と読んでも別段構わないのだが、とりあえず名前があるのなら聞いてみよう」
名前……ここで明かしても良いのだろうか? 後々面倒に
……何故面倒になるんだ? 別に自分の名
「……カサス、と言います」
「カサス君か。ふむ、ではカサス君。順を追って説明しよう。まず君は僕達が何者かと言う事を知りたいんだね? うん、『何者か』と言うと僕達は何か大層な存在に聞こえるね。しかし、僕達の素性を明かす事は少々躊躇う所だ」
その言葉に割って言葉を挟んだ。「どうしてですか?」
「ふむ。どうしてだと思うかな?」
「おい。今はそんな事は良いだろうよ。お前の長い前置きは良いから本題に入ろう」
大男――ムスタフと呼ばれていた――が口を挟む。それはもっともだ。こちらとしてはなるべく本題を聞きたい所だ。
「我慢が足りないね……。まあ、良いだろう。それで、『我々は何者か?』だったね。ふむ、その為には君に約束を一つして欲しい。僕達の素性を聞いたら、僕達の計画を手伝ってもらう。もし聞かないのであれば……この近くの街まで送ろう。どちらを選ぶのかは君次第だ。強制はしないよ」
今ここでこいつ等から離れるのは惜しい気がする。しかし、既にこいつが何なのかと言うことをこいつ等は知っているのだろうか。どちらにしても、面白い展開だ。……予測していた範囲だが。
「……分かりました協力します」
「協力、感謝するよ」
その時、策にはめたつもりだった者が、策を上回る形ではめられていることを知る由も無かった。
/2
カサスが接触した人物達は、反政府組織、いわゆるレジスタンスの組員だった。眼鏡の男――リュナンが言うには、レジスタンスは最近発令された異端狩りの影響で、痛手を負っているらしい。ネオグランドの住民にとって、外の人間は全て異端なのだ。
ネオグランドとは自然の永久循環機関を確立させた場所で、それは特殊なドームによって覆われている。ネオグランドが出来た事によって、未来永劫続く社会体制が出来上がったと言ってもいい。
しかし、ネオグランドに住める人間の数は限られている。一部の社会的地位の高い者だけが、住む事を許された。それと同時にドームの外の世界は荒廃の極みを具現し、あらゆる生命は死滅した。
だが、人間の生存能力は醜くも他を圧倒する。良い意味でも、悪い意味でも。
結果、ドームの外の人間は荒廃した大地でも生き残る事が出来た。
だが、ドームの中の人間はそんな外の人間を恐れた。中の人間と外の人間の人口比はおよそ前者が三、後者が一だ。いつ、中に攻め込んでくるか分からない。
だから中の人間は頑なに外の人間を嫌った。
そして、異端狩りという形で殲滅作戦があちこちで展開された。
結果、レジスタンスと言う組織が出来上がった。
レジスタンスの隠れ家である建物の見張り台にリュナンとカサスは見張り役としてそこに居た。
「僕はね、もともとは中の人間だったんだ」
リュナンが唐突に口を開いた。その眼鏡の奥にある目は、悲しそうにしていたが、カサスはそれに気付かなかった。
「どうして、レジスタンスに?」
こう言ってからカサスは少々後悔した。彼に質問をするのは禁忌だ。
「僕の最愛の人を奪われたからさ」
リュナンにしては簡潔な言葉だった。しかし、その声色には重みが感じられた。
「彼らは異端を排除するためなら何事にも躊躇しない。そういう奴等を僕は許せなかったんだ。……ところで、君には大切な人は居るかい?」
リュナンは質問を多くする男だな、と思いながらカサスは素直に考えてみる。
大切な人?
自分にとっての大切な人とは自分がずっと想い続けたあの人。
しかし、誰だっただろうか。
思い出せるのに、それが誰だったか分からない。
「……居る、と思います」
「『思う』とは随分曖昧だね。……ふむ、まだ記憶がはっきりしていないのかな? ここに来てもう一週間となるが、まだ調子は戻らないのかい?」
「そう、みたいですね」
そう言ってカサスははにかんでみせる。そうやって、自分の内心を悟らせないようにしていた。とりあえず今は相手の思惑に乗ってやる。
そういう判断をしてから、カサスは自分の中にある『何か』に気付いていた。しかし、明確にはそれを把握してはいない。
自分では無い、『何か』。それが何なのかと考えると、何故か思考が途切れるような気がする。
突然、リュナンが身を乗り出して遠くを覗いた。目を細め、何も無い大地の向こう側を睨むようにして見つめる。
「あれは……黒騎士団?」
「……よく見えますね」
「ああ、僕は視力が良いんだよ。それよりも、奴等が何であんな所に居るんだ?」
視力が良いのならなぜ眼鏡を掛けているのか聞こうとしたが、それはやめておくことにした。
「黒騎士団……? 何なんです?」
「……特別武装制圧集団、通称『黒騎士団』。政府を裏で動かしている、いわば黒幕さ。僕達の真の敵はあいつらだ。もともとはドーム内の治安維持を目的とした集団だったんだけど、ある男が来てから変わった」
「ある男?」
「そいつが『黒騎士』って呼ばれている奴さ」
「へぇ……」
突然、カサスの背後に気配が現れた。突然出てきたようなその気配に不気味なものを感じ、振り向きざまに後方に跳躍する。
「シグか。どうしたんだい? わざわざ空渡りを使ってまで……」
後ろの気配の正体は黒装束の人間だった。思えば、あの時からこの人物を見ていないような気がする。
「黒騎士団が動きました」
シグの中性的な声がフードの奥から聞こえる。
「ああ、それはここから見えた。しかし、一体何のために?」
「……マリアンヌ様が、脱走を試みたらしく、その捜索と捕縛を」
「マリアが……? 一体どうしてだ……?」
珍しく、リュナンは動揺していた。そんなリュナンの問いに、シグが答えた。
「マリアンヌ様は、ラグナロクキーを持ち出したのです」
「な……、馬鹿な! 何故今になって……!」
リュナンはもはや落ち着きを無くし、額に多量の汗を滲ませていた。そんなリュナンにカサスは戸惑い、困惑した表情で視線を外に移す。
「二十四時間以内にラグナロクキーを探し出せなければ、政府は大規模な掃討作戦を展開させるようです」
シグは淡々と話を続ける。もはやリュナンの表情は蒼白と言って良いほどに青ざめていた。
そして、小さく呟いた。
「聖戦が、始まるぞ……!」
/3
聖戦。それは聖なる戦いの事を指す。人々は何かを大義として掲げ、戦争と言う行為を正当化し、聖戦と称す。
だが聖戦の歴史は貴族による、『遊び』だったのだ。
貴族はその力を見せしめようと外界の村を襲い、無抵抗な人々を惨殺した。
今でも異端狩りとして外界の村を襲う事は少なくはないが、それは全て黒騎士団の行っている事だ。『聖戦』は、政府が軍隊を動かし、『大義』の為に外界の人間を殺戮する。
しかしそれが滅多に起きないのは、内界の人間の反感を買ってしまうからだ。
だが、『ラグナロク』がかかっているとなるとそうも行かない。
『ラグナロク』それは世界の終末を表わす。だがそれは古の言い伝えで、世界の終末がどういうものなのかは実際分からない。
しかし、『ラグナロクキー』の存在は、ラグナロクと言う現象を裏付けるような物だった。その物自体に膨大な魔力が漂い、何重にも魔道結界が張り巡らされたそれ。
それの結界を解いたらどうなるか。それを試みた者は、世界の終末の瞬間を精神に直接見せられた。それが『ラグナロクキー』と呼ばれる、『鍵』に見せられた物だと分かったとき、誰もこれを開放しようとはしなかった。
鍵を開けてはいけない。そうやって鍵は政府が厳重に保管する事になった。
「それを、マリアが……」
カサスは色々と疑問を持った。まず、『ラグナロクキー』とは何か。次にシグの言っていたマリアンヌという人物の事。
そして聖戦。
しかしそれらの疑問を抱いても、質問する気にはならなかった。何故か、初めて聞いたハズなのに知っている気がしていた。
「シグ、皆に伝えろ。良いか『逃げろ』と。僕達に政府と戦う戦力は無い。無駄死にはしないほうが良い。そして、僕はマリアと接触する。……マリアなら、鍵を開けかねない」
「……」
シグは返答もせずその場から消えた。シグの『空渡り』は空間を歪めて移動する魔術の一つで、自分の知っている場所ならいつでも移動することが出来る。
「カサス君。君も早く逃げた方が良い。ここより南方に秘密基地があるんだ。リュナンの名前を出せば入れてくれると思う」
「はあ」
自分でも妙に気の抜けた返事をしたものだ。カサスがそう思った時には既にリュナンの姿は無かった。
マリアンヌ、もといマリアを見つけるのにそう苦労はしない。マリア特有の魔力を頼りに探せば直ぐに見つかる。
空渡りの最中で、リュナンは一つの馬車を見つけた。それが黒騎士のものであると分からなかったのは、両者にとって幸いであった。
(あれは……)
マリアの魔力の近くに、もう二つほどの強い魔力を見つけた。しかも詠唱中に見られる淡い色の魔力だったので、どうやら戦闘をしているらしい。
その事を確認すると、リュナンは空渡りの速度を上げた。
馬車は倒されており、騎手は馬が暴れた際に踏みつけられ、地に伏して事切れていた。
中に居たマリアに幸い怪我は無かったが、外に出れば攻撃を受けてしまうだろう。さっき馬車が受けた攻撃の方法はどうやら魔術師によるものだ。厄介な者が追撃してきたものだ。
マリアは内心苦笑すると、横転した馬車の中から外の様子を窺った。魔力源が二つ。しかしあまり高位の者でないと直ぐ分かった。熟練した魔術師ならば、魔力源を断つくらいするだろう。
しかし不用意に攻撃は出来ない。自分の魔力が手元にある『鍵』に間違って反応すれば、何が起こるかわからない。そういった点を考慮すれば、自身は今窮地に陥っている。
一方、外にいる魔術師は、後方からくる同業者の存在に気付いていた。
「援軍か?」
政府軍正規の魔術服に身を包んだ一人が後方に目を向けた。
「馬鹿な。この事は正規軍直属の者しか伝えられてない。援軍などありえ……」
言い終わる前に体が膨張し、そして炎を巻き上げながら内側から爆発した。炭も残さないその炎はやがてその場で消える。
「ひっ……」
「動くな」
もう一人の男の背中に掌をつける。それだけで、男は失禁しその場で気絶した。
「……マリアはこの中か」
リュナンは横転した馬車の中にマリアの魔力を感じた。そして、それ以外の何かの魔力も感じられた。
(ラグナロクキー? これが……)
一見普通の魔力に感じられるが、どこか違う。具体的に言えば魔力が内包している生気が感じられない。
「マリア……迎えに来た」
その言葉に反応して、マリアは方目だけを馬車の扉から覗かせた。
「ルークハルト!」
その姿に気がつき、少女のようにはしゃぎながらリュナンの方に駆け寄っていく。途中で自分が大人気ないと赤面しながら。
「マリア、無事だったのか」
「ルークハルトこそ」
「ああ、その名前は……懐かしいな」
「え?」
「いや、何でもない」
誤魔化すように別にずれてもいない眼鏡を直すと、はにかんで見せた。
「ところで……何故『鍵』を?」
「……知ってたのですね。これの事」
マリアが鍵を取り出す。鍵にしては大きく、まるで一種のアクセサリに見えるそれの中心には、大きい宝石が埋め込まれていた。
「これが……はじめて見るな」
興味深そうにその宝石の中をリュナンが覗き込む。赤く光っているそれの中心には、深い闇が広がっている。
「……これを手に入れたのは一昨日の晩の事でした。突然あの男がやって来てこれを……どうやら封印を解けと言う事らしいのです」
「あの男……黒騎士め」
「一体、これは何なのでしょう? この魔力は異常です。まるで死んでいるような……」
「……これはかつての大賢者達があるものを封印したときに作った鍵なんだ。そのものの封印を解くにはこれが必要なんだ」
「あるもの……ですか?」
「ラグナロク。世界の終末といわれるそれさ」
「まさか……」
マリアもこれがどういうものなのか大体分かっていた。しかし、それが何を引き起こすと言う事までは分からなかった。
「では、分かった所で。姫様、よろしく頼みますよ」
突然、何もない所から声が聞こえた、ような気がした。気付くとその声の主はリュナンの背後に回り、剣をリュナンの首筋に当てている。
「賢者ルークハルト。流石は我が同志。良く調べている」
頭から足まで黒い甲冑に身を包んだその名は、
「黒騎士……ガルド……!」
黒騎士はリュナンの首に剣が当たっている事をマリアに良く見せた。それだけでマリアの顔が青くなっていく。
「姫様。王家の血を引く貴方なら鍵の封印を解けるはずだ」
「い、いや……ルークハルトを離して!」
「その鍵の封印を解けば、解放します」
「……!」
マリアは目を瞑り、集中を始める。
「止めるんだ……マリア」
「ルークハルト……お前も気になるんだろう? 世界の終末がどんなものか」
だからこそ二人は同志。認めたくはないが、リュナンは鍵を調べていくうちにそれに惹かれていった。
しかし、それはいけない事なんだ。
「ガルド! お前が見るのは自身の終末だ!」
剣を当てられている首に魔力を集め、剣を分子解体していく。剣は先から粉状に雰散していく。
「マリア! 止めろ!」
「邪魔はさせん!」
ガルドの拳から、波動が放たれる。リュナンはそれを巧みにかわしながら、詠唱を始める。
詠唱を常人とは比にならない速度で終え、発動させる。
破裂魔法(バースト)。内面から爆発を起こすそれを避ける術をガルドは持ってはいない。
四肢が膨張し、まずは腕が破裂する。次に脚。そして体が膨張していく。
「ぐ、おおおおお……ルーク……貴様がぁあああ!」
ばぁん、という音と共にガルドは破裂した。
「ルークハルト!」
「マリア……」
もはや鍵も投げ出し、マリアはリュナンに体を寄せてくる。あまりにも勢い良く抱きついて来たので、その場に倒れこんだ。
そして、二人は顔を見合わせて笑った。
この瞬間、二人は幸せだった。
幸せは、永遠ではないから尊いもの。
だが、もう幸せは舞い降りない。
「お前も、甘かったんだよ」
深々と剣を突き刺しながら、黒髪の少年は笑った。
その白い目にはもはや暗澹とした闇が渦巻き、それを具現した形でそこに存在していた。
「こいつの精神を乗っ取るのに苦労した。……やはり一つの精神に二つの身体は釣り合わない」
「ガルド……ぉぉっ!」
「俺の精神に乗っ取られつつある少年の命を救ったために自らの命を失うとはな。所詮この身体の少年は最下級の民族だと言うのに……。じゃ、そろそろ飽きたから死ね」
剣をそのまま上に上げる。
「いやああああああっあぁあっっっ!」
鍵は、開かれた。
その後に何が起こったか知るものは居ない。
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2004/07/22(Thu)21:36:11 公開 / 疾風
■この作品の著作権は疾風さんにあります。無断転載は禁止です。
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■作者からのメッセージ
二作目です。今回は暗く終わらせてみたかったので、こういうオチになりました。
前作にコメントを下さった方、ありがとう御座いました。それを参考に、より良い物ができるように頑張りたいと思います。
それでは、ありがとうございました。
作品の感想については、登竜門:通常版(横書き)をご利用ください。
等幅フォント『ヒラギノ明朝体4等幅』かMS Office系『HGS明朝E』、Winデフォ『MS 明朝』で42文字折り返しの『文庫本的読書モード』。
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2020/03/28:Androidスマホにも対応。Noto Serif JPで表示します。