『酒酒酒酒酒酒酒 序笑』 ... ジャンル:未分類 未分類
作者:髪の間に間に                

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酒酒酒酒酒酒酒

貴方とお酒をあおりたい



no.0  水によって台を治めよ



 機械によって動いている船の中、私は操縦席に座り座標の微調整をしている。
 目の前には現在地を示す液晶大画面、キーボード、赤色のボタン、緑色のボタン、その他機械的なものばかり。
 ここは第一宇宙観察艦『ひまわり』のコントロール室、私の持ち場だ。観察艦だからそれなりに小さいのだが、私は隊長を務めている。ごめん、ちょっと自慢したかった。
「隊長〜、あと何時間で着くのでございますかって聞きたかったんですが〜」
「そこまで言うなら聞け」
 不自然に間延びした声と供に男乗組員のジャン・レノンが部屋に入ってくる。正直私はコイツが嫌いだ、更にぶっちゃけると大嫌いだ。
 びこうず! この宇宙船で生活して1年と9ヶ月、その間私は何回コイツに殺されかけた事か。数えるのも馬鹿らしくなっているのが現状だ。
どんな事をするかと言うと、私が宇宙服を身につけていない状態で『大事な話があるので・・・』と呼び出され排出口近くの宇宙調査予備室という頑丈な扉を6枚開けるとそこはもう宇宙空間になってしまうという場所で20分ほど待たされた上に、がチャっウぃーんという無酸素の神様の足音が聞こえてきたりした。
 それが初めての私への大きな反乱だったような気がする。それまでは確かにトゥシューズに画鋲を入れられたりしたのだが、殺意まで抱いているとは。
 ちなみにそれに対して私は目から何か涙ではないものを垂らしながら必死に暗号コードを解除して脱出し、口から胃液を出しながら他の隊員にアイツイカレチャッテルアイツイカレチャッテルと訴えたのだが『え、うゎ何ですか隊長汚い』『そんな訳ないでしょうっていうか隊長汚い』『大丈夫ですか!? というか隊長汚い』等の反応が。
 あの時は何でこんなにも私って人望が無いんだろう。と本気で考えた。
 だめだ、どんどんネガティブになっていく。ポジティブしんきんぐぽじてぃぶシンキング。
「隊長〜、何か物凄いどんよりオーラが体からにじみでていますが〜?」
「へいYO! そんなわけないだろうYOU!」
「隊長疲れてるんですねぇ、無理やりテンションを上げようと頑張っても無駄だと思ってます〜」
「で? あと何時間で到着か聞きに来たんだろう」
「急に普通のテンションに戻ると虚しくありません?」
 だめだ、どんどんテンションが下がっていく。ハイテンションカモンハイテンションカモン。
 ちなみに私は認めないのだがジャンの中々の男前な顔を見たくないので画面を見たままで喋ることにしている。
「だから、到着予定時間を聞きに来たんじゃなかったのか」
「何がだからなのか分かりませんがそうです〜」
「いちいち突っ込まないでくれ。到着は32時間ほど後だ、それまでゆっくり休め」
 はいよぉ、と気の抜けた返事、もうちょっとハキハキした声を出せないのだろうか? 生理的にコイツは嫌いだ。
 ウィン、という扉が開く音。よしこれで座標補正に集中できると思ったのだが、帰り際にジャンが私に向かって言う。

「では隊長、28時間後までに覚悟しておいて下さい」

 ハキハキとした声、私が初めて聞いたまともな声、一体どうしたのかと問う前にウィン、という音が聞こえ、ジャンは去ってしまっていた。
 28時間後? 一体何があるというのだ? 後味の悪い去り方だ。いくら冗談にも程がある。
 というか正直、泣きそうだ。
 いや、まじで。

 
 あれから27時間57分が過ぎた。馬鹿め、何も起こらないだろうがハッタリ太郎め。
 私は安心して一旦手を休める事にした。コーヒーはどこに置いたかな、見つからん。周りを眺めるも見当たらず、手元にあったマッチを何となく右ポケットに入れた。で、コーヒーはどこだ? 探す為に立ち上がった時、悪魔の声は聞こえてきた。
『あぁ、只今マイクのテスト中、本日は曇天なり、本日は曇天なり〜』
 血の気が引いていく。憎たらしいジャンレノ似の顔が目に浮かぶ。そういえば私は妻がいないのにジャンは日本の美人と結婚したとも聞いた。あぁ、ひがみとか言わないで。
 艦内放送がジャックされたのだろうか、放送官は一体何をしている。
『只今より本艦は切り離し作業に移る。繰り返す、あ、やっぱめんどいから繰り返さない』
 言葉を理解するまで23秒、私は事の重大さに気付いた。切り離し作業とは文字通り艦を切り離す、非常時の場合の荒業脱出法なのだ。大体この艦には同じ機能を有す場所が2つある。片方を切り離してももう片方で操縦できるという考えらしい。片方はω号もう片方はΘ号と名づけられている。
『切り離し作業完了まで後8分、乗組員は速やかにω号側に移ってくださいね〜』
 ちなみに私がいるのはΘ号側のコントロール室。ふざけるなよジャン、わがままも言いすぎだ。ふざけている。
 私は出口へと歩を進める。一発、いや、二発、ぶんなぐってやる。
 ……………………………………………
 あれ? 扉が開かない。おい、扉開けよ、ほらウィンってウィンって。
 不吉な予感がする。恐る恐る扉にてを掛けるも動かない。これは、もしや。
『後5分、隊長、もう気付いてますよね〜。今やみんな私の味方です。あなた人望ありませんから、ってか嫌われまくりですから』
 決定的な一言。
『あ、後4分になりました。ずっとこの計画を立ててたんですよ。今までも色んな計画を立てたんですけど、さすが隊長で中々くたばってくれませんでしたからぁ』
 切り離された艦は宇宙の藻屑へと消える予定。そしてもうすでにコントロール権はあっちに移ってしまってるようだ。
『後4分待つのもめんどいんで、今切り離します』
「え、ちょっとまってよ。いやまじで、心の準備が」
『後7秒…5 4 3 2…投下ぁ! 隊長、無線が届かなくなる前にこれだけは言わせてください。なぜ、私があなたを恨んでいるか』
 今、私のいるΘ側が切り離された。私は混乱のあまり変に冷静になってしまっている。一体私がジャンに何をしたというのか、ここまでする理由、私は何をした?
『あなたは言いましたね。私の大好きなものを罵倒しました、私はそれが今でも傷にのこっている。今でもあれを直視できないでいる』
 何だ、一体何なのだ。私が何を罵倒したのだというのだ!

『あなたは! あなたは納豆を見て、うわぁ何だそれ汚ねぇなぁ、鳥のウ○コか? と言いましたね! 今でもトラウマで大好きだった納豆が食べれません! しかも日本食である納豆は有名じゃぁないからそれを聞いて同僚が、うゎお前○ン○食ってんの!? とか言われて私は、私は!』

 そんな理由かい。
 冷静に突っ込みながら、段々とジャンの声が聞こえなくなっていったなぁと思った。




 Next no.1   水を治める王が門の中に佇む、潤いの大地がそこにはある




2004/07/02(Fri)16:48:00 公開 / 髪の間に間に
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■作者からのメッセージ
ぇえとまず一言、本当にお目汚し失礼しました。色んな意味で。
卍丸さんのリクエスト小説なのですが、SFでノンストップギャグ設定を頂きました。
今回笑いを狙いにいったのですが・・・・・・結果はどうなんでしょう?
でわ、批評感想をお願いいたします。

※誤字訂正の為更新

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