「ここにおいておくからね」 私はそういうとさきほど買って来た下着を脱衣所に置いといた。というより元々着ていた服を洗うのは私の役目なのだろうか? ……それは困るな……。 そんな私はこのとき異様な光景を少なからず見えたはずだった。しかし全然気付かないでいた。ある異物ののような存在を……もっとはっきりとした何かを……私は気付いていなかったのだ。 私はひといきつくために冷蔵庫に向かった。取り出したのはギンギンに冷え切った麦茶だ。麦茶を飲むコップには数個の氷を入れる。ヒンヤリ冷えた氷を手につかんだ瞬間の爽快な気分がなんともいえない、氷は夏にはというよりはこの世の中になくてはならない、欠かせないものだろう。そういえばカキ氷なんていう食べ物もあるほど氷は日本人の夏には必要不可欠なものだ。カキ氷はシロップをかけることでただの氷を色々な味で楽しめる。ちなみに私はメロン味が大好物である。 私は氷が数個入ったコップに麦茶を注ぎそれからちょっと待つ。ちょっと待っていると氷が溶け出してきてより冷えていくのだ。私は麦茶を口に含ませながら今日のことを思い出していた。 「はぁー」 ため息が漏れる。本を読みたいために図書館に行ったのにその帰り道、記憶喪失という男つまりはグレーに出会った。しかし彼は病院が怖くてしょうがない人間……。私は近くにあるMDコンポに私のお気に入りの曲を流した。 その曲はDay After Dayの『Daybreak』っていう曲で私がかなり気に入っているものだ。カラオケでも良く歌ったりする。Day After Dayの意味は毎日毎日という意味で、構成は男性二人に女性二人。ボーカルはMET(メイ)って言う人でその歌声は”歌姫”っていうにふさわしい声で日本中でかなりブームになっている。Day After Dayの中でも『Daybreak』は特に人気が高かった。なんていうか、大袈裟に言うと人生における切なさ、どんな闇の中にいてもきっとそこに光は差していくって感じで本当にすばらしい曲だ。 「綺麗な月 一人で会うことが切なくて」 曲が鳴り響く。私はこのフレーズが一番好きだった。一番最初の出だしだが、この部分私は自分もそう思ったときがあった。外にキラキラと光り輝く星の中を一人歩いていく。神秘でてな感じだが、それを一人であることはさびしいものなのだ。この曲は日本中の女性をとりこにした。この曲によって女性からの支持は完全なものになった。来週には新曲も出すらしい。もちろん私はその曲を買うつもりだ。 そんなこんなで曲は最後のフレーズを歌い終わると次の曲へ入った。Day After Dayの一番最初のリリース曲、『Passion』が流れ始る。意味は”激情”っていうもので、自分の中で抑えていられない”恋”という激しい感情を歌っている。これは先に述べた切なさというよりは、強引に抑えられない感情を思いっきりぶつけた歌詞。そんな歌詞がいっきに人気を集め3週目にしてオリコン一位に輝いた。人々は彼女、METの歌声聞き入っている。私もそんな人々の一人である。 Day After Dayのことを言えば、その曲その曲でボーカルが変わる。それでもメインはMETなのだが、他の三人がメインボーカルになるときもある。いつもはピアノを弾いているもう一人の女性は、METに比べて柔らかい声の持ち主、時にベース、時にギターを弾いている男性はかなり低い声の持ち主、そして最後の一人は時にドラム時にギターだが先ほどの男性よりも色々なものを弾いている男性で、声は男性にしてはかなり高いキーを出す。彼ら四人は女性にとっても男性にとってもかなり人気があるのだ。そして四人それぞれに曲の特徴が変わる。まぁー聞けばわかることではあるが、彼らは本当にそれぞれが天才的な声を持っているために、人気はかなり高いのだ。