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『スモール レジスタンズ2幕 儚い理想と現実の区別 』 ... ジャンル:未分類 未分類
作者:nerv
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1...
大人達は、今なお男女差別を続ける。
スチュワーデスがスチューデントになっても。
看護婦が、看護士になっても。
女の子はおしとやか。
男の子は力強く。
ケンカは駄目だけど、受験では、「あの子より上の高校に入るのよ!」
と、闘争本能むきだしに。
黙って着いて行く人もあれば、反抗していく人もいる。
「お前はお兄ちゃんと違って出来が悪いな!」
そんな言葉も良く出てくる。
十人十色という言葉を知ってるだろうか?
2005年。反抗が始まる―
2....
時は、2004年大晦日。あと、3時間ちょっとで、2005年の始まりだ。
受験に近づいてくる。
「コウキ!テレビ見てないで勉強は?」
僕は、後ろからの、怒鳴り声を完全にシカトする。
怒鳴るだけの母親は、ウザイだけ。
「かおり、言って分からない奴は、殴らなきゃ駄目だ。」
殴るだけの父親はもっとウザイ。
「はぁ…」
僕は、しぶしぶ立ち上がり、チェ!っと舌を鳴らした。
「何だ!その態度は!?」
父親は、殴ってきた。こんなことで。
僕はいさぎよく殴られる。壁に当たって背中が痛い。口に鉄の味がする。
僕はすくっ、と立ち上がり、仁王立ちして、並んでいる両親に問い掛ける。
「何故、妹のことは、殴らないし勉強もしないでテレビを見ていても怒らないの?」
「それは、お前と違って出来がいいからだ。」
父親は妹を見ながら、少し笑いながら言っている。
「双子なのに、どうして先に生まれたあなたは駄目なのかしらね?」
母親は言っている。
そう僕たちは、双子。一卵性の双子。
「でも、さやかは、全然スポーツが出来ないじゃないか?」
サヤカが、僕を睨んでいる。
「特別入学が無い今は、スポーツが出来るより、料理や手伝い、勉強が出来る方が良いに決まっているだろう!」
そうですか。そうですか。そうですか。そうですか。
些細なこと、つまらないこと、他人から見れば、バカなこと。
しかし僕は、キレテイタ。家を出て行こうとする。
だっだっだっ、と。わざと音を立てながら、玄関へ向かう。
前に父親がいる。僕は生まれて初めて、親を殴った。
「ガッ!」
歯が、折れるような…そんな音がして、父親は、倒れこんだ。
妹と母親に、僕を止めることはもう出来ない。
玄関に置いてある自分のバッグをつかみ、家をあとにする。
「おい、待て、何処に行くつも―」
ここまでしか、僕には聞えなかった。
「何処へ行こうか…」
金はたくさんある。
東京にでも、行ってみるか…
2005年まで、あと1時間―
3...
ガタンゴトン、電車は揺れている。
12時までには東京に着けそうだ。
恐い。それが僕の今の感情の全てを支配していた。
今まで、親に認められようとすることしか頭に無かった僕は、友達と渋谷や、新宿など行ったこと無かった。
よくニュースで、事件を伝えたりしている。
しかし、家に帰るほうが嫌だった。
ジリリリリ!東京駅についたようだ。
駅に降りて、いきなりのことだった。
知らない人にいきなりボディーブローされた。息が出来ない、そして、遠のいていく意識の中で僕はどうなったの―
2005年まで、アト30分
to be continue
4...
うっ。
気がつくと、僕は下水道のような―ジメジメした、薄暗い部屋のようなところに、横たわっていた。
「おっ?お目覚めかねぇ?憎たらしいいじめっ子さん。」
暗くてよく見えない。腹には、まだ不愉快は感じが残っている。
気持ち悪い、汚い、涙が出てきそうになるのを必死でこらえて喋る。
「あなたは、誰ですか?僕は家を出てきたんです。誰かを救いに来た訳じゃありません。それに―僕は男です。」
「えっ?あれぇ、おかしいなぁ12時30分の電車でくるって行ってたのになぁ?」
「僕の質問に答えてください!」
強い調子で、目の前の人をまくしたてた。
しかし、目の前の誰かは一人でぶつぶつ喋っている。
「こうしちゃいられないぞぉ、サヤカ。ファイトォォ。」
サヤカという名前を聞いて、初めて目の前の誰かが、女だと解った。
彼女?は、何処かに走って行ってしまった。
一人部屋に残された僕は、いい加減この汚い床から立とうと思い、足に力を入れる。
ぐっ。ぐっ。ぐっ。あれ?立てない?
暗くてよく解らなかったが、手と足はロープのようなものに縛られている。
あぁ…どうしよ…。
2005年マデあと10分
サヤカのカン違い1...
サヤカは東京駅へと走った。
俺を虐めた、アイツラの復讐のために。
名前がサヤカだから。のどぼとけがないから。女の子と良く遊んでたから。
こんな、下らない理由で、友達だったヤツラも、俺のことを虐め始めた…。
フトウコウニナリ、オヤカラミハナサレテ。
モトはと言えば、中学の時の先生が、俺のことをオカマだとか、言ったからだ。
それから、言われ始め、虐められた。
大人の勝手な偏見で、子供達は大人達の影響を、少なからず受けて。
今日、俺を虐めてた教師や生徒達がここに、同窓会をするために、年越しもかねて集まるそうだ。
そのうちの、一人を拉致って、居場所を吐かせ、復讐するつもりが。
15歳の少年を間違えて捕まえてしまった…。
しかし、これが運命の始まりだったようだ…。。。
2005年マデあと15分
サヤカのカン違い4...
とりあえず、少年を、俺の作った、ラチ部屋に残して、もう一度、東京駅に来た。
イタ!今度こそ見つけた!俺はおそるおそる近づき、当時の旧友の腹を殴ろうとした。
バンっ!!うっと声をあげて倒れこむ。肩に、全体重がかかり、倒れそうになる。
そこで、俺が目にした物は―
2005年マデあと5分と30秒
そいつは…何と。
不良だった。
ピアスして、自慢そうに金髪の髪の毛をツンツンに立てている。
俺はすぐ逃げ出した。
ドサッ。
不良の倒れる音がする。電車に乗っていた人たちが、俺を睨んで指差している。
「こうしちゃいられない!さっさと逃げなきゃ!」
僕は隠れ家へと走った。
2005年マデ あと 3分
5...僕は、地下室という悲しい世界から、いっこうにぬけだせずにいた。
どうしても立てない。
たったとしてもドアをあけるための「手」が、後ろに縛られてて使えない。
「せめて、2004年は道頓堀に飛び込んではじめたかった…。」
「うぉぉぉぉぉーーーー」
「どーとんぼーりーーー」
どうせ誰にも聞こえない。
僕は少し錯乱していたようだ。
でも。少し気が晴れた。
あのサヤカとかいうバカ女ももうすぐ帰ってくるだろう。
気長に待つことにして、僕は目を閉じた―
2005年まであと5分
サヤカ―...6
走って。
走って。
走りまくった。
後ろからさっきの不良は来ていない。
まだ気絶してるんだろうと、自分の心に言い聞かせ、隠れ家へと走った。
BARの間の、人一人通れるか通れないかぐらいの狭い道を、走り。
奥のマンホールを開けて、中に滑り込む。
ん?声が聞こえる?なにやら、あの少年が叫んでいるらしい。
「どーとんぼりーイエェー!!」
「どーとんぼりーイエェー!!」
繰り返し叫んでいる。
なぞだ。ここは東京だ。
大阪じゃない、俺のせいで頭がおかしくなったのか?
心配になり、地下室のドアをあけてみた。
2005年までアト3分
7...
眠れない。こんなに真っ暗なのに。
こんなに夜遅いと思ってるのに。
「しょうがない。道頓堀への夢を叫ぶか。」
僕は、アタマが本当におかしくなったのかもしれない。
僕は、自分に。「誰か気づいてくれるかもしれないから叫ぶんだ!」
と言い聞かせた。
「どーとんぼりーイエェー」
「どーとんぼりーイエェー」
「どーとんぼりーイエェー」
「どーとんぼりーイエェー」
「どーとんぼりーイエェー」
5回ほど叫んだとき、ふいに上から音がした。
ドタドタと走るような音。
その後、ガバッという音と、コツンコツンという音がした。
誰か来たのか?サヤカとかいう女なら縄を解いてくれると思い。
期待に胸を膨らませた。
さらに声を張り上げ、叫んだ。
「どーとんぼりーイエェー」
「どーとんぼりーイエェー」
2回叫ぶと、コツンコツンという足音のあと。
ドアの開く音がした。
キィー
2005年まであと3分
to be continue
8...2つの運命が出会うにあたっての、2005年
ドアを開けると広がっていたのは、当然の闇。
少年がどこにいるのかはわからないが、俺が部屋に入った瞬間から、叫びは聞こえなくなった。
「あのぉ…サヤカさんですよね?」
「はい。そうですけど?」
「あおぉ…縄解いてもらえますか?」
「あ、良いですよ」
少年が俺を怒らないのが不思議だったが。
俺が、どうしても聞きたいことをまだ聞いてはいなかった。
「どーとんぼりーイエェー。って何のことですか?」
聞いてしまった!少年が顔を赤くしている。
やっぱり聞いちゃダメだったか…。
「いや、2004年の始まりはどーとんぼりに飛び込んではじめたいなー。と思って。」
俺は言ってはいけない気もしたが、その言葉を口にしてしまった。
「ここ、東京ですよ?」
「あっ!!そうだった…」
「それよりどうです?2005年までもう1分ぐらいだけど、俺と出かけない?」
「あ!いいですよ。でもどーとんぼりがないんじゃなぁ…」
俺が、外へ出ようとした、その時。
後ろから、声がした。
「あ、ちょっと俺ってなんですか?あなた女なんじゃないんですか?」
また来たよ。
この質問。
「のどぼとけとかないけど一応男だから。」
ちょっと怒って言う。
「へぇーそうなんですか。大変ですね。」
俺はずっとこの少年と話していて思ったことがある。
目だ。
俺が殴ったときとは、目の色が違う。
好奇心の満ち溢れた目、とでも言えば良いのか。
少年は気づいてはいないだろう。
それにしても、彼は純粋だ。
ここがどこか。
何故殴ったか。
俺が何でこんなところにいたのか。
全て聞かない。
聞きたくても、聞けないのか。
まぁ、今は彼の名前だけでも聞いておこうと思った。
「少年よ。名前は?」
見詰め合ったまま動かなかった彼が俺の傍までやってきて言った。
「近藤!近藤コウキ」
「そうか・・・コウキいい名前だな。」
「サヤカだっていい名前だと思うよ。」
「ありがとう。」
マンホールの蓋を開けて。
夜の空気に包まれた、繁華街へと2人で歩いていった。
2005年マデあと ほんの数秒
to be continue
9...
コウキは思った。
たった1時間のことでこんなにもドラマがあることを。
ゲームして過ごす一時間よりも。
テレビ見て過ごす1時間よりも。
殴られたことも、部屋に入ってきたサヤカの気配を感じたとき、水に流そうと思った。
不思議な感じだ。
自分が自分では無いような気分。
今までなんとなくいきてきたが、こんなにスッキリした気分は初めてだった。
「ありがとう。サヤカさん」
「んっ?コウキ君何が?」
「いや、何でもないよ」
すこし前を歩く青年を見て、彼も苦労したんだろうな。と思った。
そういえば…妹の名前ってサヤカだったよな?
あぁ…今ごろ、両親と妹は何してるんだろうな…。
いけない…また考えてしまった。
あれほど、むかついて家を飛び出してきたのに、家のことを考えてしまう。
ざわざわ。
ざわざわ。
気がつけば、もう2005年も始まっていたようだ。
そして、繁華街に来ていたようだ。
しかし、様子がおかしい。
歓喜より恐怖の声が聞こえる。
「サヤカさん?」
サヤカさんを呼ぶが、サヤカさんも遥か頭上の巨大モニターを見て、顔を引きつらせている。
僕も、そのモニターを、見た。
不良。
が、モニターで演説している。
ピアスをして、自慢そうに金髪をツンツンに立てている。
そして、モニターの男が話を始めた。
「我々、未成年は、家庭の事情。親からの仕打ち。世間の目。男か女か。兄弟、姉
妹の劣等。
見た目。先生からの仕打ち。などによって未成年の人権を害された
未成年は、2005年から反乱を起こしたいと思う。子供から、大人への抵抗だ!すでに仲間はたくさんいる。これからも募集だ!仲間になりたいやつは○○県○○市の工場跡に来い!以上だ!」
1...
サヤカは戦慄した。
駅で殴った、不良がモニターに写っている。
見間違えるわけが無い。
コウキ君は下を向いてぶつぶつと何か喋っている。
そして、不良は喋り始めた―
―――――――――――
2...
演説?が終わったあと、僕とサヤカさんは顔を見合わせて笑いあった。
すぐに、警備員が来て、その不良を取り押さえていってしまった。
「なんだったんだろうね」
僕は、サヤカさんに尋ねた。
「ホントだね!面白かった。ある意味」
きっとサヤカさんも同じことを考えていたんだろう。
―反乱が起これば、きっと僕たちは工場跡に行くだろう―
と。
がやがやと。さっきの映像を見て、ぞっとする人もいれば、笑う人もいる。
「コウキ君、どこにも行くとこないんだろう?それだったらウチに来ないか?」
「あっ!君なんてつけなくて良いですよ。」
「そう?じゃあ、コウキで良い?」
「いいよ。そのかわり僕もサヤカって呼んでいい?」
「当たり前!」
「でも、家ってあの下水道?」
「なわけないじゃん!」
二人は歩いていった
続く
2005年に突入!!
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2004/05/28(Fri)23:35:18 公開 / nerv
■この作品の著作権はnervさんにあります。無断転載は禁止です。
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■作者からのメッセージ
ここから、また事件が起こっていきます!
暖かく見守ってください!
作品の感想については、登竜門:通常版(横書き)をご利用ください。
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