『CHILDREN』 ... ジャンル:未分類 未分類
作者:夢幻花 彩
123456789101112131415161718192021222324252627282930313233343536373839404142
時計が午前十二時になった事を知らせた。辺りはなんの音もせず、即ちそ
れは大人も子供も眠りに着いたことを意味している。
それとも、星も月も見えぬ闇夜が、不気味なほどの静けさを感じさせるの
だろうか。
しかし何にせよこんな夜にしか彼らは姿を見せてはくれない。人間を、い
や、大人を恐れているのだ。
人間とは身勝手で傲慢な生き物である。特に大人ともなると、時に彼ら
の尊き命を奪い去る。
彼らは醜い大人のせいで死んだのだ。
しかし、彼らには出来なかった。憎しみを抱く事も、ましてや大人たちを
呪い殺す事も。ただ彼らは自らの欲望を満たすためだけに帰ってくる。
昔、遊んでいた懐かしきこの世界に。
そろそろ聞こえてくるはずだ。彼らの屈託の無い笑い声が。
なんの穢れも無い。
ある者は夢の中にその姿を見た。またある者は眠りの合間にその声を聴き
何故だか胸を熱くした。
朝日がさしてきた。夜明けだ。
人間たちが起きだす頃にはいつの間にか彼らはあるべき場所へ帰ってしま
っていた。しかし、そこには確かに暖かなぬくもりが広がっているような気
がする。そして、その中にいるとこれからの毎日を大切に生きていかなけれ
ばならないような気持ちになる。
―これは彼らが残してくれたのだろうか。
END
2004/05/05(Wed)08:16:54 公開 /
夢幻花 彩
■この作品の著作権は
夢幻花 彩さん
にあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
一部改正いたしました。
え?彼らが誰かわからない?タイトルをもう一度よくご覧ください。
作品の感想については、
登竜門:通常版(横書き)
をご利用ください。
等幅フォント『ヒラギノ明朝体4等幅』かMS Office系『HGS明朝E』、Winデフォ『MS 明朝』で
42文字折り返し
の『文庫本的読書モード』。
CSS3により、MSIEとWebKit/Blink(Google Chrome系)ブラウザに対応(2013/11/25)。
MSIEではフォントサイズによってアンチエイリアス掛かるので、「拡大」して見ると読みやすいかも。
2020/03/28:Androidスマホにも対応。Noto Serif JPで表示します。