『いつかの夕べ -祈り-』 ... ジャンル:未分類 未分類
作者:PAL-BLAC[k]
123456789101112131415161718192021222324252627282930313233343536373839404142
穏やかな夕べの祈りの声が風に乗って流れてくる。
低く高く、朗々と切々と。いろいろな表情を見せる調べだ。
この辺りは、まだまだ敬虔な信者が数多いのだろう。
どんな日でも、夕方になれば、いくつもの声の重なりが響いてくる。
何百年を経ても、この時の流れは変わらないのだろうか?
いや、不変の時など存在しない。現に、私は祈りを捧げなくなっているのだから。
数年前のあの日、事は起こった。
遠く、遠く離れた国から、何百人もの人間がやって来た。
砂埃をあげ、荒々しく突き進んでくる戦車
洋上から禍々しい炎を吐きながら飛来するミサイル
散発的に鳴る銃声、断末魔の悲鳴
土地の者は、皆、手に武器を持ち、立ち上がった。
先祖伝来の生活を脅かすものに立ち向かうために。
出来そこないの、手製の猟銃
都会の軍から横流しされた手榴弾
豊富なのは空元気と怒りだけ
勝敗は、誰の目にも明らかだった。
装備と頭数の揃った訓練された敵に、ばらばらの弱い抵抗が何になろうか?
奴らは、大威張りで通りを行進していった。
そして、自国流の「正義」と「文明」を我々に押し付けだしたのだ。
『未開の土人に理を教えてやろう』と、恩着せがましく。
あの日の夕べ、我々は誓った。
自分達が自分達である権利を取り戻す、と。
私はさらに誓った。
我々の国を取り戻すまで、御名を崇め奉るまい、と。
2004/03/12(Fri)23:29:18 公開 /
PAL-BLAC[k]
http://www.smat.ne.jp/~pal
■この作品の著作権は
PAL-BLAC[k]さん
にあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
久方ぶりに投稿します。
文字数を少なく、いかに表現できるかに挑んでみました。
語り口は、淡々とさせてみようと挑んでいます(汗)。
さて、この話の主人公はどこの国の…
作品の感想については、
登竜門:通常版(横書き)
をご利用ください。
等幅フォント『ヒラギノ明朝体4等幅』かMS Office系『HGS明朝E』、Winデフォ『MS 明朝』で
42文字折り返し
の『文庫本的読書モード』。
CSS3により、MSIEとWebKit/Blink(Google Chrome系)ブラウザに対応(2013/11/25)。
MSIEではフォントサイズによってアンチエイリアス掛かるので、「拡大」して見ると読みやすいかも。
2020/03/28:Androidスマホにも対応。Noto Serif JPで表示します。