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『スクールアドベンチャー(後編)』 ... ジャンル:未分類 未分類
作者:海風 海里
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最終章〜Last School Adventure〜
『あ〜、気持ち良いなあ……』
嶺は空をとんでいた。死んでから身も心も軽くなったようだ。
『はぁ〜………ん?なんだありゃ…』
嶺は霊王の神殿を見つけた。
『なんだろ〜……いってみるか…』
神殿の中はまるで西洋の城みたいな雰囲気である。
『うわ〜、どこぞの王様でもすんでんのかなぁ…』
ここは霊界なのだから住んでいるのは霊王なのだが、嶺は死んだショックでいろいろな事を忘れていた。
ここはどこなのか…自分がだれなのか…なんで自分は死んだのか…自分の名前さえも。
ただ一つわかることは、「自分は死んだ」という事実だけだった。
『お…ありゃ王様だな、なんか女の人2人と話しているみたいだが…盗み聞きでもしてみるか…』
「そうか…嶺が死んだか…」
「申し訳ありません、王様」
「あの…王様、嶺をなんとか生きかえらさせれないでしょうか…」
「うむ…この切り傷はの…ゼンの剣、暗黒魔剣で斬られておる。
あの剣は呪を持っておっての…儂でも生きかえさせれないのじゃよ……せめて霊体でも見つかれば…」
『ん〜、嶺?なーんかどっかできいたことあるなぁ…あの死体って…俺?』
嶺は死体に近付いて、自分自身の死体をよくみた。
霊界では霊感のない人でも霊感が極限にまであがるので当然槍龍達に丸見えなのだが嶺は気付かなかった。
『れ…嶺!どうしてここに!?』
『ん?』
嶺は蓮の方をみた。
『……俺の事…みえるんですか?』
『あたりまえでしょここは霊界なんだから!』
『失礼ですが…どちら様でしたっけ…』
嶺は完全に記憶を失っていたので、いまでは姉の蓮も赤の他人にしかおもえないのだ。
『どちら様って……王様!嶺なんか変ですよ!?』
『うむ…やはりこうなっておったか…実は即死したものはな、ショックで記憶をなくすことがあるのだ。
おそらく嶺は暗黒魔剣で殺されたのだろう、あの剣は刃の部分に触っただけで死ぬのだ。』
『主殿の記憶を戻すにはどうすれば…』
『うむ、それはあることをすればもとに戻す事はできる。それはお前達で見つけるがよい。』
霊王は一瞬にしてきえた。
「ガチャ」
『あ、おねーちゃんどーだった?』
紗饗は外で待っていた。その手には大量の菓子パンや、おにぎりがあった。
『生きかえさせることはできないらしいけど、一応主殿は見つかったぞ』
『あの…さっきから俺の事を主殿って呼んでるけどなんでおれが主なわけ?』
『それは…300年前、ゼンがうまれた、ゼンとはいわゆる悪の帝王みたいなものだ、
ゼンはこの霊界を乗っ取ろうとし、それを食い止めるべく刃瀬一族がなんとかゼンを封印した。
しかし300年しかその封印のききめがなかったので、300年後、つまり去年復活した、
それを食い止めるべく私は霊王の命により刃瀬一族の子孫をさがした、それが主殿や蓮殿だよ。私は学校にいた刃瀬一族、主殿を見つけた。
しかし刃瀬一族がもっている能力を確かめるために、試したのだ。そして主殿は見事のりこえた。
私はそれからさらなる能力の向上のため試練を与えると嘘をつき、ゼンに勝つための修行をさせていたのだ。』
『へぇ…俺が刃瀬一族…旧姓は刃瀬 嶺か…』
『おねえちゃん…嶺様どしたの?』
『いや、死んだショックでいろんな事を忘れているのだ。ひとまず家にかえろうか…』
『そうだな、家にかえったら思い出すかもしれない』
槍龍は時輪円と移輪円を同時に使い、霊界に来た日に戻ると同時に、家の前についた。
『すごい…』
記憶をなくした嶺がいった。
嶺達は久しぶりの我が家に入った。
『……………』
嶺は家の中を見回した。
『全然…思い出せないや…』
『そうか…』
蓮がうなだれた。
『ところで、ゼンは今頃どうしてるのだろう…』
『霊界でまだ私を探しているだろうな…見つかるのも時間の問題だ。』
「ピンポーン♪」
家のベルがなった。
「ガチャ」
ドアがあいた。
『誰だ……?』
『嶺ー!!!お見舞いに来たぞ〜〜!!』
家に入ってきたのは、クラスのみんなだった。
家を出る時、一応嶺は学校に風邪でやすむといっていた。
『あれ?槍龍ちゃん嶺は?まだねてるの?』
『あ…ああ、ちょっと今気分悪いらしくてね…』
『ふーん、あれ?そこにいるの…誰?』
鐸楼が紗饗に気付いた。
『ああ紹介するよ、私の妹、紗饗だ。』
『へぇ〜可愛いねぇ!』
そばにいた鈴薫がいった。
『よろしく!』
紗饗がいつものハイテンションぶりであいさつした。
そのとき、クラスで一番霊感のあるたかしが言った。
『嶺…が浮いてる!?』
『…………?』
視線がたかしに集まった。
『いま…なんて?』
『そこで…嶺が浮いてる…』
『なにいってんの?なにもないじゃん』
『いやホントにいるって!』
『目がおかしいんじゃない?』
『おかしくなんかないって!ホントにいるんだよ!』
『あ…とりあえずもう遅いし、これくらいで…』
槍龍が話を切った。
クラスのみんなは帰っていった。
『たかしと鐸楼、鈴薫ちゃんはちょっと残ってくれ。』
そして、家の中には鐸楼、鈴薫、たかし、槍龍、紗饗、蓮、嶺がのこされた。
『主殿は…風邪でやすんだのではない。』
『じゃあなんで……?』
『それは…これをみてくれ。』
槍龍は霊王からうけとった手紙をみせた。
『霊界オリンピック…』
『私と主殿は、これに参加した。そして…大会の途中、ゼンが現れ、主殿は殺された…』
『…じゃあ、そこにいる嶺は…』
『そう、霊体だ。』
『しゃべれる方法はないのか?』
『通常、霊体の言葉は極度に霊感が高いものでなければしゃべれない。しかし、方法がないわけではない。』
『それは………?』
『だれかに乗り移るのだ。』
しばらくの沈黙が流れた…
『よし、実際にやってみよう。主殿、ちょっとこっちに来てくれ』
槍龍は嶺の頭の中に手を入れた。
一瞬槍龍が光り、嶺は槍龍に乗り移った。
「成功したみたいだな」
嶺の頭の中に槍龍の声が聞こえてきた。
『うわ、びっくりした!』
嶺の声が槍龍の口から出てきた。
『嶺……になったの?槍龍ちゃんの格好だけど…』
『みたいだな、さっきの声は嶺のだし…って槍龍ちゃんはどうなったんだ?』
『私はここにいる。』
槍龍の声が槍龍から聞こえてきた。(当然の事だが)
『私に主殿が乗り移っても、別に変わった事はない、体を私と主殿で共存しているだけだ。』
『へぇ…あ、嶺ってどうやって殺されたのかな…』
『えと…よくおぼえてないんですけど…』
『てかなんで嶺敬語やねん…いままでんなことばつかったことないだろぉ〜!』
『え…いままで?俺、あなたにあったことありませんけど…』
『え?』
たかし達が固まった。
『あったことないって…どゆこと?』
『あ…じつはな、主殿は死んだ時のショックで記憶をうしなっているのだ。』
『んじゃここにもどってきたのは…』
『そう、記憶をとりもどしにきたのだ。』
『小説みたいやな〜』
(小説なんですけどね…by作者)
その後、たかし達は嶺に昔あった事を話してみたが、すべて嶺はおぼえていなかった
『あ!』
いままで鈴薫と話し込んでいた紗饗がなにかに気付いた。
『お姉ちゃん!ここにいたらあぶないよ!』
『ん?なんで?』
『だってゼンは嶺様の次はお姉ちゃんをねらってるんでしょ!』
『なんだそんなことか…霊王の屋敷は大丈夫って前にも……………って』
『ここは霊王の屋敷じゃないからお姉ちゃんゼンに見つかったらお終いだよ…』
沈黙がながれた…
『ど、どうする?槍龍ちゃんが死んだらいっしょに嶺も…』
「バリーン!!!」
家の窓ガラスが全て割れた
『ふんきたか、上等だよ、返り打ちにしてやる。』
『槍龍の口調がかわっとる………』
槍龍は立ち上がり、星輪円をにぎりしめて玄関のドアを開けて外に出た。
外にはゼンがたっていた。
『よぉ槍龍、久しぶりだな。主とやらはどうした?』
『お前が殺したくせによく言えるもんだ…』
『さっさとすまそうか…もう霊王はじじいだ…すぐにころせる、俺にとって一番厄介なのはお前だからな、霊王の隠し子の槍龍さん?』
『そのことを知っているのは父と紗饗だけだとおもっていたがな…全霊招来!全霊合体!』
(精神合体や全霊合体はえらばれた刃瀬一族しか使えないのだが、槍龍は嶺と体を共存しているのでこの能力がつかえた)
槍龍を鎧がつつみ、刀がでてきた。
槍龍の周りは光りかがやいている。
『いくぞ!』
声がハモった。
そして死闘が始まった…
死闘が始まってもう一時間、玄関のドアから蓮達は顔だけのぞかせていた。
『槍龍大丈夫かな…』
『槍龍ちゃんならきっと大丈夫だと思う……よ』
『思うってなんなんだよ…』
始まってから5時間がたったころ、槍龍の刀に変化がおきた。
「パキィ…ン」
刀が折れ鎧と一緒に光になって、星輪円の中にすいこまれた。
『くそ………』
『これで…俺の勝ちだな…』
ゼンも槍龍も、息があがっている。
『槍龍、覚悟!』
ゼンは飛び上がり、槍龍の頭めがけて暗黒魔剣を振った…
しかし、槍龍の顔は笑っていた。
「ザシュッ」
槍龍はそこにいなかった。
かわりに暗黒魔剣は地面に刺さった。
『どこだ!』
ゼンは振り向いたが、どこにも槍龍はいなかった。
『ここだ』
ゼンは声のした方向…上をむいた。
そこには移輪円を左手に持った槍龍がいた。
そして、右手にもっていた自輪円で…
『聖なる光よ、悪を消し去れ!』
自輪円からとんでも無い量の光があふれでて、ゼンは消えた。
あとには何も残っていなかった。
『やった〜〜!!!』
蓮達が槍龍にかけよってきた。
「モワ……」
変な音とともに、周りの景色がかわり、学校のグラウンドになっていた。
『いままでのことって…学校でのことだったの……?』
『……そうみたいだな』
『ところで嶺は?』
『それが…いないんだ…ゼンを倒す直前まではいたのだが…』
『俺はここだよ』
嶺は光とともにあらわれた。
『ゼンを倒したから、記憶ももどって、いきかえれたよ…』
『…………心配かけやがって』
そして、皆家に帰り…
『あ〜あ、槍龍と紗饗ともこれでお別れか!』
『ああ、でも機会があったらまたくるよ』
槍龍は必死に涙をこらえているみたいだが、紗饗は泣いていた
『主様…私の事わすれないでくださいね…』
『………絶対わすれないよ!』
『じゃあ、また………』
槍龍と紗饗は光に包まれ、霊界に帰っていった。
次の日…
「ジリリリリリーン」
『ふわ〜あぁ、もう朝か…』
嶺はベッドからでてきて、カレンダーの昨日の日付けに、バツをつけた。
『………あれ、なんで三日間あいてるんだ……?』
嶺は霊界オリンピックに出る前の事を思い出した。
(『でもさぁ…3日も無断で学校休んだらヤバいんじゃないの?』
(槍龍は紫に輝く星輪円の色が違うものを取り出した。
(『これは時輪円といって、時をさかのぼったり進めたりできるものだ。霊王が一ヶ月前に送って下さった』
『まさか…時間もどすのわすれてるんじゃ…』
嶺は蒼い顔で固まった。
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■作者からのメッセージ
全6章の内、最終章です。
第1章から読んでくれた方、ありがとうございました。
作品の感想については、登竜門:通常版(横書き)をご利用ください。
等幅フォント『ヒラギノ明朝体4等幅』かMS Office系『HGS明朝E』、Winデフォ『MS 明朝』で42文字折り返しの『文庫本的読書モード』。
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2020/03/28:Androidスマホにも対応。Noto Serif JPで表示します。