『夕暮れ』 ... ジャンル:未分類 未分類
作者:PAL-BLAC[k]
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遅くまで遊んでいては駄目ですよ。
ママは、あたしが遊びに行くときに必ず言う。
いつも訊いてしまう。
遅くまでって何時までを言うの?
暗くなる前に帰ってきなさい。
いつもその言葉が嫌だった。
もう幼稚園生じゃないんだから、そんなこと言わないでよ。
そう言うと、ママは必ず言う。
まだまだは小さいのよ。
いやんなっちゃう。
お友達と遊ぶのはとっても楽しい。
だから遅くなるのに。何でも決められているみたいですごく嫌。
あたしは、ママの言うことに逆らいたくなる。「ハンコウキ」って言うのかな。
だから、この前もお友達と遊んでいて遅くなってしまった。
そんなあたしに、ママはがみがみとお説教をする。
いい?夕暮れ時はとっても危ないのよ。
鎌を持った怖い死に神があなたを狙っている。
ギラギラ光る鎌で、あなたのかわいい首を狙っているのよ。
ママは、あたしのことを馬鹿にしている。
そんなバカバカしいお話を信じるなんて幼稚園生だけよ。
あたしはもう大っきいのよ!
そんなおとぎ話は信じちゃいないわ。
だから、今日も日が暮れだしてから帰ることにした。
これで無事に帰ってきたら馬鹿なことを言わなくなるかしら。
夕暮れの街中ってとっても不気味。
赤い夕日も沈みかけで、お日様を見ると、少しだけ緑がかっている。
いつも見慣れている街灯も、チカチカ点滅してなかなか点かないし。
ゴミ箱のそばでごそごそと黒いものが動いている。
なんか怖くなっちゃった。
早く帰ろう!
あたしは、駆け足でお家を目指した。
なんかすごく怖くなっちゃったから。
そのとき、あたしの横でつむじ風が起きた。
なんだろう?風なんてふいていないのに。
不思議に思って横を向いた。
見ちゃった。
大きな大きな鎌。
ギラリと冷たく光る曲がった刃。
足のない、黒いマントが浮かんでいるのを。
なんだろう?
すごく怖い。けど、すごく知りたい。
立ち止まったら、黒いマントも止まった。
まじまじ見つめたら、マントのフードの中が見えた。
青白いガイコツ。
マントよりももっともっと暗い2つの穴。
ガイコツがニヤッと笑った。
鎌が上に振り上げられた。
殺されちゃう!
あたしはとっさに思い、必死になって走った。
ママ、ママ!
怖くなって叫んだかもしれない。
涙が出てきて、道がぼやけて見えた。
ママ!ママ!!
もう、自分でも何を言っているかわからないかすれた声だった!
ほっぺたに落ちる涙が暖かい。
あたしの横の空気がまた揺れた。
ガイコツがヒヒヒ、と笑うのが聞こえた気がする。
ママ!ママ!!ママ!!!
あたしはお家のドアを開けて飛び込んだ。
背中で、ガイコツが何かを叫んだ。
そして、ガイコツの姿は無くなり、あたし1人だけになった。
ママがびっくりしてお台所から飛んできた。
ごめんなさい、ママの言うとおりだったわ。
2003/12/30(Tue)23:29:05 公開 /
PAL-BLAC[k]
http://www.smat.ne.jp/~pal
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