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『SECOND*読みきり*』 ... ジャンル:未分類 未分類
作者:未央
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2番目でもいいなんて、嘘。
「甘利(あまり)さん」
少し。
ううん、かなり上へ目線を上げる。
視線の先には。
あなたがいるから。
「ご注文は?」
笑顔で言われると。
こう・・・へなっとしてしまう私。
すぐに視線をしたにおろして。
「フィレオフィッシュひとつ・・・」
情けないなぁ自分。
これじゃだめ。
だめだってわかってはいるけれど。
「お持ち帰りですか?」
固定された会話のようで。
嫌になる。
「・・・いえ、ココで食べていきます」
しゅんとした私を。
みかねたのかあなた。
「あー・・・種(たね)チャン」
種岡 歩(たねおか あゆみ)が。
私の本名。
「種チャン今いくつだっけ」
「は・・・?じゅ・・・17ですけど」
「へぇ」
「??」
レジの置いてある台に。
ひじおいて体支えて。
体乗り出して。
「じゃあ17歳の種チャンにクイズです」
そういうあなたはいくつですか。
聞きたいこと。
いっぱいあるよ。
私より年上だけど。
ホントはいくつ?
「クイズ・・・ですか」
「そ。クイズ」
『ある少年の日記に。
こんなことが書いてあった。
僕はおとといまで17歳だったんだ。
でも来年にはお酒が飲める年になるんだ。
ヤッターッ!
お酒が飲める年というのは。
もちろん20歳(ハタチ)のことだ。
この日記に書いてあることも本当。
だとしたら―――』
「・・・だとしたら?」
聞き返す私。
「この少年の誕生日と、少年が日記を書いたのはいつでしょうかっ」
にっこりと言う甘利さん。
なんて難しいクイズ。
頭がおかしくなりそう。
「えと・・・ヒントは・・・」
「ハイフィレオフィッシュ」
トレイを渡された。
仕方なくお金を払う。
「ありがとうございましたーっ」
しぶしぶあいている席を見つけて座る。
頭の中は。
さっきのクイズのこと。
ややこしい・・・
ありえないでしょう。
どうして3歳も年を飛び越えるかなぁ。
3歳の年、か。
甘利さんと私の年の差は。
いくつなんだろう。
数ヶ月前から。
ココマクドナルドでバイトを始めた甘利さん。
フルネーム、甘利 愁(あまり しゅう)さん。
ハッキリ言ってひとめぼれだった。
一方的な。
それでもすごく。
すごくすきで。
すぐそれを行動にうつす私は。
1週間前に甘利さんに告白した。
彼がバイトを終わる時間まで待って。
想いを告げた。
それを聞いた彼はヒトコト。
「ゴメン。忘れられない人がいるから」
そう言って去っていった。
残ったのは。
寒くて凍りそうな涙と。
複雑な気持ち。
急いで彼を追いかけて。
「甘利さん!」
「んー?」
「私・・・2番目でもいいよ!だから・・・」
「思ってもないこと言っちゃだめだぞ。じゃあなー」
さらりと交わされ。
それでも諦めきれぬ想い。
残り、募る。
忘れられない人。
どんな人だろう。
綺麗な人かな。
可愛い人かな。
どうしても、私じゃだめですか。
+++
それでも・・・
「通っちゃうんだよなぁ」
マクドナルドに。
自然にむかう足。
彼がいつバイトなのかわからなくて。
とりあえずほとんど毎日通う私。
バカみたいだけど。
しょうがないでしょ。
マクドナルドに向かう途中。
花屋の前でたたずむヒトリの男の人を見つけた。
あれは・・・
私の視力を甘くみないでほしい。
いや自慢してる場合じゃなくてね。
「あま・・・りさん」
色々な種類の花を。
花束にして、花屋からでていく甘利さん。
花屋・・・花・・・・・・
「お、女ーっ!!!」
小声で叫ぶ電信柱のそばに隠れる私。
いてもたってもいられなくて。
後を追う。
+++
数十分歩いて。
甘利さんが向かった場所は。
「お・・・」
静かな。
静かな。
「お墓・・・」
そこまでしか。
行けなかった。
それ以上。
踏み込んではいけないと思った。
あなたの忘れられぬ人は。
この世にはもう、いない人。
かなうはずもない。
「うー・・・」
涙が、こぼれた。
あなたが、想う人。
大切な人。
死んでしまう以上に。
縛るモノはない。
「・・・あれ。種チャン?」
何分か泣いていたらしい。
手ぶらの甘利さんが。
突っ立ってる私を見つけて近づいてきた。
「あ・・・まりさん・・・」
「あー見られちゃった?」
ハハ。と笑うあなた。
無理に笑わせているのは私。
「今日でさ・・・一周忌だったんだ」
近くの公園のベンチでフタリ。
ぽつり、とあなたが話し出す。
「1年前の今日、俺のダイジな人、眠るように死んだ」
ぎゅっと握る拳を。
ただ、隣で見ていた。
「変なんだけど、その子と話したのって1回きりで」
聞きたくないけれど。
聞きたい。
「それでもその子のチカラになりたいって思った」
私も、そうだよ。
「で、1年間彼女のこと絶対忘れない、て誓ったわけっすよ」
いち・・・ねん
「それ以上思っちゃ。相手にも迷惑かなってさ」
「わた・・・しは」
「ん?」
すくっと立ち上がって、あなたを見る。
私は。
私だって。
「私は・・・私は甘利さんがすきです」
「種・・・」
「すきで。すきで。2番目でもいいなんて嘘だよ・・・」
ぐっと。
今度は私が拳握るの。
泣かないよう。
泣きたいあなたの前で。
泣かぬよう。
「いつか・・・あなたの1番になる」
ハァ、といい終わった私を見て。
ふ、と笑うあなた。
立ち上がって、頭ぽん、となでて。
「待ってる」
そう言って。
あぁごめんなさい。
やっぱり涙、溢れてしまった。
「帰ろうか。送るよ」
「ふあぃ・・・」
夕焼けみながら。
隣にはあなた。
絶対、絶対あなたの1番になるよ。
「ねぇ甘利さん」
「んー?」
「クイズの答え教えてー」
「やだー」
「むぅ。じゃあヒント」
「もうすぐ今年も終わりだなぁ・・・」
「ひどいー」
来年も。
あなたの隣に。
「これ、ヒント」
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2003/12/30(Tue)15:24:30 公開 / 未央
■この作品の著作権は未央さんにあります。無断転載は禁止です。
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■作者からのメッセージ
ココに投稿するの初めてで緊張しました;
下手な小説ですが;
ちなみにクイズの答え気になりますか?
これははっきり言ってパスワードシリーズです;
って意味不明だと思いますが^
で、答えのほうなんですけど↓↓
*おととい⇒12月30日(17歳
*昨日⇒12月31日(18歳
*今日⇒1月1日(18歳
*今年の誕生日⇒12月31日(19歳
*来年の誕生日⇒12月31日(20歳
ですねw
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