『〜Test〜』 ... ジャンル:未分類 未分類
作者:柏原 純平                

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〜テスト〜
 

 この仕事を始めてから、こんなにも困難な依頼を受けたことは無い。通常このような依頼は断るのが俺の流儀だったが、今回はそうもいかない。ボスからの直接依頼だからだ。彼が俺に頭を下げ頼み事をするなど、今まで一度も無かったことだ。いつも通り『作戦内容』意外聞いてはいないが、今回に関してはターゲットの情報が足りない。正確な潜伏先の確認をする前に通話が切れてしまったらしい。

 俺は少ない情報を頼りに、ターゲットが潜伏しているとみられる、本牧埠頭9番ターミナルに向っている。12月31日22:24。潜伏予想地点に到着した。大晦日だからか、辺りはひっそりと静まり返り、いつも行き交う大型トレーラーの騒音さえ聞こえない。外国航路の貨物船だろうか、遠くで微かな汽笛だけが、冷たい真冬の帳を断続的に捲っている。
 俺は愛車を降り、愛用の道具が腰にあることを確認した。そして、この仕事で最も肝心なメインアイテムを両手で持ち、その重量感に安心をする。身に染みる夜風は、俺のキャリアでも最悪だと思われるこの作戦に、一瞬の後悔を過ぎらせる。しかし、プロである以上受けた仕事は確実に達成しなければならない。ほんの先の未来に、数々の修羅場を潜り抜けてきた俺の防衛本能は警笛を鳴らしている。これから待ち受ける過酷な運命を予感しながらも、俺の足はガントリークレーンが立ち並ぶ波止場をゆっくりと歩く。
 貨物船からコンテナを積み下ろしする為、クレーンは40メートルほどの高さで聳え立つ。その異様な迫力は見る者を圧倒させる。今回の作戦はこの聳え立つクレーン群の中からターゲットが潜むものを搾り出し、確実に任務を遂行させ無事に生還することが目的だ。5分程歩いたとき、俺は何十機と並ぶその中から、操縦室にぼんやりと灯りが洩れる一機を発見した。

 作戦発令から時間はすでに35分を経過している。確信は無い…。だが、時間は刻一刻と迫ってくる。俺は意を決し、絞り込んだ一機に取り付き、天国へ続く階段を駆け上がった。途中、上を見上げると冬の星空に手が届きそうな錯覚に陥る。上り始めて7分が経過した。まだ半分という所だ。酸欠にならないよう、少し休んで息を整える。冷たい空気が肺に充満し、火照った体を癒してくれる。ハーバーライトに浮かぶベイブリッジと港町の夜景が今日はやけに綺麗に見える。もう二度と見る事など出来ないかも知れないこの景色を、俺はしっかりと胸に焼き付けておいた。重くなった足を何とか前に踏み出し延々と階段を上る。
 ようやく、操縦室が見えてきた。時間は22:58を回っている。この後の展開に備え、乱れた呼吸を整える必要がある。ゆっくりと息を吐きながらそっとドアに近づく……。中から、男の話す声が聞こえる。だが、内容までは聞き取れない。会話の様子から恐らく3人はいるだろう……。もし、俺の読みが外れて、このクレーンにターゲットがいなかったらアウトだ。突然、腕時計のアラームが鳴った!
「いかん、タイムリミットだ!」
俺は、考える間も無くドアを蹴破った。
「お待たせました! ピザダヨーンです。あの……お届けはこちらでよろしいんですよね?」

(完)

2003/12/28(Sun)11:33:14 公開 / 柏原 純平
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■作者からのメッセージ
これは貼り付けのテスト用作品です^^;どうも、上手く貼れないもので…。練習しました。すいません…m(_ _)m

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