-
『顔をあげればほらそこには君がいる。 bQ』 ... ジャンル:未分類 未分類
作者:バナナ
-
123456789101112131415161718192021222324252627282930313233343536373839404142
その野良犬は、すっかり佐奈になついた。
でも、すでに佐奈の家には6匹の犬。そして3羽のインコ。
こんな家にもう一匹なんて無理だ。
佐奈はわかっていたけれど、この犬がとてもかわいそうでならなかった。
「ゴン、お母さんに頼んでみるね。」
佐奈はもう犬にゴンと言う名前を付けた。
理由は泣き声が何故か「ゴ〜〜〜〜〜ン!!」に聞こえるからだ。
――――その夜
「お母さんなんて嫌いっ、大嫌い!」
佐奈の顔が真っ赤になった。
「もうこんな家出てってやる!」
『佐奈の部屋』と書いてある戸をバンッと開け、財布、去年のお年玉が二万入った袋、上着、みちるから貰ったマフラー、手袋、レジャーシートをカバンの中へ入れて部屋を出ました。
リビングでは六匹の犬達が心配そうに見ている。
佐奈は犬達に心配かけまい、と微笑んだ。
そして家を何も言わず、出て行った。
顔には冷たい風が吹いてあたってくる。
どこで寝よう。
「寒いよ、助けて。」
野良犬のところへ向かう。
お母さんとのケンカの原因はやっぱりさっきの野良犬のこと。
実を言うとお母さんは動物嫌いだ。
今は無理矢理飼っている。
佐奈は5歳のとき、段ボール箱に4匹子犬が入っていたのを見つけ、家に持って帰った。
その時お母さんは腰を抜かすほどビックリし、「ダメ」ときつく言った。
佐奈は泣きまくり、そして部屋に閉じこまった。
どんなにお腹が空いても食べずにいた。
そして、しょうがなく飼わせてもらった。
犬の4匹のうち2匹が赤ちゃんを5匹産んだ。でも3匹死んでしまった。
だから今は六匹だ。
別に七匹になっても変わらないと、佐奈は思う。
なのにお母さんは・・・・・・・・・・・。
もうっ!
地面を足で蹴った。思いっきり。
ドン、と鈍い音が響く。
あ・・・・・・・。
ドキンッ。
「みちる君・・・?」
「あ、佐奈。」
みちるの隣にはみちると同じクラスの、マドンナ美女。羽美(はみ)ちゃんだ。
え・・・・・・・。
何で・・・・・・・・・?
うそ・・・・・、だよね・・・・・・・?
わざと明るく振舞った。
「ど、どうしたの?二人で。」
顔がジワジワと熱くなる。
「佐奈・・・・・。」
その後のみちるの言葉をさえぎるように、羽美が口を開く。
「二人、どういう関係?」
キョトンとした顔で質問する。
佐奈とみちるはクラスが違うし、あまり付き合っていることを知られていない。
だからたぶん羽美は知らなかったのだろう。
「私達・・・・・・付き・・・・・・・あ・・・・てる。」
「え?」
「俺達付き合ってるんだよ。」
「うそ。」
羽美はショックと言った風に両手で顔をふさぐ。
そんな事どうでも良かった。
『何で、みちる君と羽美ちゃんが一緒に?何で?何で?何で?』
考えても本当の答えは出てこないのに、この疑問が頭の中をぐるぐる回る。
【続く】
-
2003/12/25(Thu)14:53:41 公開 / バナナ
■この作品の著作権はバナナさんにあります。無断転載は禁止です。
-
■作者からのメッセージ
意味わからなかった人ごめんなさい。
読んでくれた人ありがとうございました!
感想あったら宜しくお願いします(^0^)
作品の感想については、登竜門:通常版(横書き)をご利用ください。
等幅フォント『ヒラギノ明朝体4等幅』かMS Office系『HGS明朝E』、Winデフォ『MS 明朝』で42文字折り返しの『文庫本的読書モード』。
CSS3により、MSIEとWebKit/Blink(Google Chrome系)ブラウザに対応(2013/11/25)。
MSIEではフォントサイズによってアンチエイリアス掛かるので、「拡大」して見ると読みやすいかも。
2020/03/28:Androidスマホにも対応。Noto Serif JPで表示します。