『−B−第二部(一章)』 ... ジャンル:未分類 未分類
作者:最低記録!
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第二部
第一章「逃走」
銃声が鳴り響いている。
それはこだまするように、波打ちながら遠くに消えていく。
しかし、それは再び鳴り響く。
そんな事が繰り返される中、俺は走っている。
俺の名前はコーデリア。
二年前の不思議な出来事から、Bという人間達の仲間に入った。
あまり思い出したくないが、俺はもう普通の人間の生活はできなくなった。
そして、ブラックメイデルという存在になりシリウスという敵と戦っている。
シリウスだけではない。人間達もBについて研究したがっているため、この国も敵だ。
そして今は・・・
「おい!コーデル!!もうちょっと速く走れないか?」
イオが大声で叫ぶ。
「そんな事言ったって、ブラックメイデルとナチュラルじゃ違いが大きすぎる!
走るスピードだって違いがあるさ!!」
半ば怒り気味で俺も叫んだ。
後からは銃声。人間達の攻撃だ。
一応弾丸の道筋が分かるようになってきたので、かわせない事はないが当たってもおかしくない。
走りながら、3eyeSに弾を込める。
3eyeSと言うのは、二年前にフォボスという人に貰った銃で、発射口が三つになっている。
ザイバルの力の込められた弾を三つ入れて、引き金を引くと弾からザイバルが出て、その3つのザイバルが一つになって飛んでいくという物だ。
最初は、扱いが難しかったのだが・・・
今は、レグルス(本部)では銃で右に出るものは居ないとまでいわれる腕になった。
込めた3eyeSを後に向けて3発打ち込む。
2人倒れたが、そんな人数じゃ意味がない。
相手はまだ、50人ぐらい居るはずだ。その後にも人影が沢山見える。
倒れた二人につまずいて、動きが止まる。
それを確認して、再び前に向き直る。
「とりあえず、この下水道から出ないと・・・」
カリウスが苦しみを現して言う。
イオも振り返って、閃光を放つ。
これは、並んで走っている者すべてに当たり、
10人ほどが倒れる。
今、俺たちは重大な任務の一つについている。
都心部の、とある公共施設で実は対B開発を行っている事が分かった。
その都心部というのが故郷に近いという事が、嫌だったが仕方が無かった。
「郷土博物館」と称して、郷土について展示してあったり、集会を開く部屋があったり、映画を見れるところがあるが、そういうのがあるのは4階までで、そこから上に、6階まである。
10階建てで、6階分も何にやるのか?
対Bの開発だ。
それだけでなく、隣には区の環境課事務所という所があるが、それも5階建てで上のほうは対B開発のようだ。
最上階は、郷土博物館とも繋がっている。
このミッションは、潜入し情報を盗む。できれば建物ごと破壊したいのだが・・・
「うわぁ!あぶね!!」
イオは側転をしながら、弾丸を避ける。
―この様だ
「くっ、これじゃあ潜入どころか、逃げ切れるかも分からねぇ」
イオがぼやく。
「いっその事、闘っちゃえば?」
と俺。
そこにイオが返す。
「ばか!あの人数に囲まれて、四方八方から銃で撃たれたら・・・それこそお終いだろ!!」
「そっか・・・」
とつぶやく。
「こうなったら、ちょっと手荒くても止めるしかないな」
カリウスが言う。
「ってーと?」
とイオ。
「イオ、天井に向って放て!」
そのカリウスの言葉に、驚いた顔でイオが返す。
「ちょっと待てよ!もし、陥没したら俺たちも死ぬぞ!!」
カリウスが天井を睨みながら言う。
「どっちにしても逃げ切れない。いちかばちかだ!」
と怒鳴ると、イオがニヤリと笑って返す。
「どうせ死ぬなら、あがいて死んだ方がいいぜ!!」
イオは振り向き様に、唸り声を上げて、下水道の天井に今までとは比べ物にならないほど大きな閃光を放った。
閃光はかなりの速さで、飛んでいき天井にぶつかる。
その瞬間、薄く緑の混ざったレーザーのような閃光が後から俺たちを包み込んだ。
鼓膜が破れそうなほど轟く爆発音。そして、崩れる音。
その爆発音にまぎれて、悲鳴が聞こえたような気がした。
しかし、ふと気付くと足が地面についていない。
吹き飛ばされていたのだ。だが、辺りは粉塵と閃光でよく見えない。
「カリウス!?イオ!?」
と、叫ぶと間髪をいれずに俺の手が誰かにつかまれた。
つかんだ手に傷を感じたため、カリウスだろうと思った。
潜入した時に、弾丸をかすっていたのだ。
今度はその手に頭を抱えられて、前に倒れこんだ(地面に当たったので分かった)。
上を熱線が通っていたような気がした。
さらに、自分の上に落ちてくる瓦礫と、粉塵。
むせかえったが、つばを飲みこみぐっと耐えて、口を結んだ。
やがて、轟音は収まりつかんでいた手の主が立ち上がったので、俺も立ち上がった。
「大丈夫か?」
やはり、カリウスだった。
「うん、なんとか」
しばらくすると、離れた所でイオが身震いをしながら立ち上がる。
そして、軽くせきこんで言った。
「ちょっと、強すぎたな」
渋い顔つきとその言葉に、俺もカリウスも少し笑った。
追っ手は居ないようだった。
当り前だろう。あの瓦礫の真下に居たわけだし、本来普通の人間なら俺たちのようにピンピンしていない。
「さぁ、行こうか。また、作戦の練り直しだ」
カリウスが呟いて、歩き出す。
「相当、騒がせたな。バレただろうけど・・・」
イオも歩きだす。
「こりゃ疲れるわ」
と、俺も一言いって二人についていった。
2003/12/26(Fri)09:36:02 公開 /
最低記録!
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