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『忘れないでボクを。』 ... ジャンル:未分類 未分類
作者:ポテン
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今年、何度めかの雪が降り積もる。
-ボクは独りぼっちだ-
公園の隅、ここでボクはもう何日も独りで同じ景色をみている。
何もない白の世界。あたり一面、白の世界。
誰かをずっと待っている。
ボクの周りには何もない。
ここから聞こえてくるのは、楽しげな人たちの笑い声。
つらかった、悲しかった、さびしかった、そして羨ましかった。
ボクは独りだ。何もない。
誰もいない。
あたり一面、白の世界。
-いったいボクは誰をまっているんだろう-
ボクはずっと誰かをまっている。かつてこの場所でミンナで笑いあって遊んだことを思い出している。
楽しかった。みんなの笑顔が嬉しかった。
でも、みんな去っていった。
ボクはこの場所から動けない。
行かないでと叫ぶことも出来ない。
ボクがいると「冷たくて死んでしまうんだ」って言われた。
ボクがいるからミンナが消えてしまうんだって。
ボクは疫病神だ。
だから、ずっと独りだ。
苦しかった、辛かった、冷たかった、そして悔しかった。
ボクは何の為に生きているのだろう。
誰もボクによりつかない、生きている意味はあるのだろうか?
ボクに生きる意味があるのならばそれはなんだろう?
人の害にしかなっていない。
人とをどんなに愛しても愛してもらえない。
誰よりも人が笑うのが好きだ。
誰かを幸せにしたい。
それから、しばらくしたある日、公園に3人の男の子がやってくる。
白い公園に久しぶりの足跡がつく。
「あ、男の子だ。」
男の子たちは目を輝かせながらボクに近ずいてきた。
ボクを見て笑っている。
ボクは嬉しかった。
-もどって来てくれたんだ-
かつて、この公園で一緒に笑いあった男の子たちだった。
男の子達は走りながら「まだいたよアレ。」「うわぁーー。」「オラー」
男の子たちはボクのところまでくると突然殴り始めた。
「オッシャー!!!」
吹き飛ばされるボク。何度も何度も蹴られ、踏まれた。
悲しかった。かつての友達が・・。でも男の子の顔は以前のように輝いていた。
「オラ-」「オラーこんな雪だるまは、こうだ!!」
-・・・・!!・・そうか・・・・これがボクの生まれた意味か。所詮ボクは雪だるま。君が笑うなら。
どんどん消えていく身体。踏まれて茶色くなり投げられ身体はどんどん消えていく。これが雪だるまの生きる道。
やがて少年達は笑いながら帰っていった。
足跡だらけの公園に残された、もう顔の半分ものこっていない雪だるま。
-ボクはここにいます-
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2003/12/11(Thu)22:31:00 公開 / ポテン
■この作品の著作権はポテンさんにあります。無断転載は禁止です。
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■作者からのメッセージ
読んでくれてありがとうございました。初投稿です。
作られてみんなに忘れられてしまった雪だるまの気持ちを書いてみました。
小説って書くの難しい。感想&批評お願いします。
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