『黒き刃の男第1話』 ... ジャンル:未分類 未分類
作者:花鳥風月                

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「ふぅ…」

 男は一つ溜め息をついた。この男は闇の世界の首領と言われた男で悪事を働き続け、巨万の富を手にした男である。そのため、しばしば誰かから狙われ続けている。今日も、さっき部屋に置手紙がしてあったのを見つけたばかりである。

「ちっ、次から次へと…いつになったら私の部下達にかなわんと分かるのだ」

 男は苛立ちを隠し切れない様子である。

「だよねぇ。さっさと終わらせなきゃねぇ」

「だ、誰だ?!」

 男は立ち上がって辺りを見回す。しかし、どこにも姿は見えない。

「ここだよ。ここ」

 背後を見ると、そこには一人の男が立っていた。

「やぁ、こんにちは」

「お、お前は一体誰なんだ?!」
 
 いつの間にか部屋に入っていた男に男は驚いた

「嶺っていう只のしがない殺し屋ですが、削除依頼が来てるので殺しにきたわけですなぁ」

 少し楽しそうな口調で嶺という男は言った。黒いロングコートを着ていて、手には、ナイフが一本握られ、腰には一本の刀がベルトで止めてある。

「お前がさっきの文章を送りつけてきた奴か?!」

ふざけるな、ここには何人の部下がいると思っている?! おい、お前らやってしまえ!!」

 男は大声をあげ、部下達を呼びつける。しかし、部下達は一行に来る気配がない。

「な…何故こんのだ」

「あ、さっき襲ってきたから皆やっちゃったんですけど」

「な、なんだと?!」

「ま、まさかお前が最近噂に聞く殺し屋『黒き刃』か…」

 男は驚愕の表情を浮かべた。

「や、やめてくれ! 殺さないでくれ!! か、金は幾らでもやるから、命だけは…」

「聞いてやってもいいけど、ちゃんと振り込んどいてよね。これ、口座だから」

 そういうと、嶺はさらさらとメモ帳に自分の口座の番号を書くと、それを男のむなポケットの中に押し込んだ。そしてナイフをポケットにしまった。

「任務完了と。さて、帰るか。後の処理は警察がやってくれるよね」

 後ろを向こうとしたとき、男が撃ちポケットから銃を取り出し、構えた。

「そんな金払うか! 死ね!!」

 凄まじい轟音と共に銃弾が嶺の頬をかすめる。

「ちっ、はずしたか。だが、次は当てるぞ…」

 もう一度撃とうとした時、瞬間移動並みのスピードで嶺は間合いを詰めた。

「嘘つきはダメだね。じゃ、死んで」

 腰似さしていた刀を抜くや否や、凄まじいスピードで相手を袈裟方向に斬り付けた。

「そ、んな…俺がぁ…」

「さようなら…」

 剣をなおし、手を合わせ合掌のようなポーズを取ったと同時に男は倒れ、絶命した。そこにはもう、生けるものは嶺しか存在しない。

「嘘は身を滅ぼすってね。さて、帰って寝るか…はっ!」

 誰かの気配に気付き、嶺は胸に入れていたナイフを天井に投げつけた。
しかし、反応がない。

「勘が鈍ったかな?ま、いいか」

そういうと、嶺はビルを後にした。

               ◆

ピピピピピ…

「う、うぅぅ…」

 次の日、嶺は唸りながら半ば目覚まし時計を叩くようにしてとめた。

「ふあぁぁ…昨日の疲れが抜けない」

 一つ伸びをして、郵便受けをチェックする。
そこには朝刊と封筒が二つ入れられていた。

「一つは、昨日の殺しの報酬として…もう一つは何だ?」

 嶺はその場で手紙を開いた。

『先刻の殺し、見させてもらいました。あなたは素晴らしい能力の持ち主だ。その腕を見込んで頼みがあります。人を一人、殺して欲しいのです。詳細は後ほど、指定の場所で…』

「やっぱり誰か見ていたのか…。それにしてもまた依頼か。最近多いなぁ。訳ありっぽいし、でも、久々に面白そうな依頼だな」
嬉しそうにそういうと、嶺は部屋に戻っていった。

2003/12/09(Tue)03:03:30 公開 / 花鳥風月
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■作者からのメッセージ
殺し屋嶺の奮闘記です。まだあんまり上手くかけませんが、何とか上手くなっていけるよう頑張りたいです。

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