『不条理』 ... ジャンル:未分類 未分類
作者:朔夜                

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俺は如月優介、高2。
真実を知ったのは少し肌寒い秋のころだった。

…ちゃん
ん?
「お兄ちゃん!朝だよ!!」
「んー…」
俺を起こしたのは小学生の妹。
「お母さんが朝ごはん用意してまってるよ!!」
「うぃーす…」
っといって起き上がろうとしたが突然下腹部に鈍い痛みが走った。
「…っ!?」
「お兄ちゃんまだ?」
「由希、お兄ちゃんちょっとまだ眠いから先に食べてて…」
「わかった」
とは言ったもののこの痛みはなんなんだろう…?
暫く布団の中でうずくまっていたが痛みが引くどころか酷くなってきた。
「…痛…っ」
そのとき妹が再度起こしに入ってきた。
「お兄ちゃん起きてー、学校遅れるよー」
「…由希…母さん呼んできて…」
「どうしたの?」
「お兄ちゃんお腹痛いからお願い…」
「う、うん、ちょっとまってて!!」
可愛くて純情な妹はものすごく心配そうな顔をして母さんを呼びに行った。
2人の話し声が聞こえた。
「お母さん、お兄ちゃんがお腹痛いって!お母さん呼んできてって!!」
「あらー、どうしたのかしら優ちゃん…」
間も無く母さんと妹が走ってくる。
「優介?どうしたの?」
「腹痛くて動けない…」
「仮病じゃないでしょうねぇ」
「違うょ…ホント痛いからっ…」
「どの辺が痛いの?」
「下のほう…」
「あー、なんとなく解ったわ。でも、一応主治医を呼びましょう。」
「なんとなく解ったって?俺病気なの!?」
「うーん、なんとも言えないから診察してもらってからね」
と、母さんは曖昧な言葉を残し、医者を呼びに電話機のところへ行った。
「お兄ちゃん…大丈夫?」
妹が泣きそうな顔で見ている。
「ごめんね、今日は小学校1人でいける?」
「…うん」
「お兄ちゃん今日は無理みたいだから、ね。」
「大丈夫。私1人で行けるよ。行ってきます!」
「気をつけてね。」
「優介君、いるかい?」
妹と入れ替わりに主治医の広末先生が入ってきた。
まだ24歳ですごく綺麗なかんじの男の先生だ。
「今度はお腹壊したって?」
そう、1ヶ月前は喉の扁桃腺が腫れて診察してもらったのだった。
「なんとなく解るんだけどね」
「なんなんですか、母さんといい先生といい…」
「いやいや…ところでどの辺が痛むのか言ってくれる?」
「えっと…お腹の下のほうです…」
「ちょっと失礼」
そう言って先生は俺の腹の上に手を置く。
「この辺りかな?」
「…はい…」
ちょっと押さえながら
「こうすると痛い?」
「ここは?」
と、かなり慎重に診察している。
「…っ先生…痛い…」
「おっと、ごめんごめん。
やはりお母さんの予想は当たってますね。
これは生理痛でしょう。かなり酷いタイプみたいですね。」
ちょっと待て、俺は男だぞ???
「やっぱりねぇ」
何関心してんの母さん!!!
「ちょ…」
「優介君、覚悟して聞いて欲しいんだけど…
男でも女の人みたいに生理痛があってね、
溜まったときに痛いんだよ。
これも痛みは人それぞれで、優介君みたいなタイプは5000人に1人って
言われてるんだけど、これからは一生付き合う痛みだよ。」
「そ…そんな…」
「でも心配は要らないよ。」
「え…?」
「痛いときはこれを飲んで。なくなったらまた取りにきて。
この薬は生理痛を持ってる人に無料配布される薬だから。」
「はい…。」
「これを飲んで寝るといいよ。」
「あの…」
「なんだい?」
「どうして母さんや先生はこのことなんとなく解ったの?」
「それはね、あなたのお父さんもそうだからよ。日ごろからすれば
解らないかもしれないけど、あの人も薬で抑えてるからね。」
「…遺伝子かぁ…」
俺は言われた通り、薬を飲んで寝た。

3時間くらい寝ていたらしい。
そっと起き上がる。
まだちょっと痛みは残っていたが、歩いたりできるくらいに回復していた。

次の日、学校へ行った。
「おー優ちゃん!大丈夫か?」
「生理痛だって!?大変だな!」
「優介君お腹大丈夫?」
などといろんなクラスメイトから心配された。

体育の時間
見学しようとも思ったが成績に関わるので出ることにした。
昨日薬を飲んだし、今はあまり痛くないし、大丈夫だろうと思っていた。
しかし…
走っていたらまた痛くなった。
腹を押さえてしゃがんでいると友達が駆け寄ってきた。
「優介、無理するなよ、保健室行くか?」
「う…うん…」

ガラガラッ
「陽子先生いるー?」
「いるわよ?どうしたの、和泉くん?」
「いや、俺じゃなくて、優介が…」
「あ、如月君、またお腹痛くなっちゃった?」
「はい…」
2時間くらい保健室で寝らせてもらった。
だいぶよくなったから部活にでたけどまたしても…

俺ってそんなに溜まってたのか…?

2003/12/07(Sun)23:52:09 公開 / 朔夜
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