『笑顔の宝 ホントの宝』 ... ジャンル:未分類 未分類
作者:悠里                

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 「はぁ…退屈」

パソコンを打ちながら、一回大きなため息をつく。

「柚華!! もう直ぐ電車来るよ」

「早くおいでよ」

駅のホームから、友人の愛と泉の声がした。
ノートパソコンを駄々草に閉め、彼女達の元へと駆けて行った。

「柚華ってさ、笑わないよね」

「なんで笑わないの??」

泉の後に続いて、愛もが私の顔を覗きこむ。
再びノートパソコンのキーボードから手を離し、彼女達を見つめた。

「意味はないよ。ってか、笑う意味ってなんなの」

そう言って、再び手をキーボードに戻しす。
打たれていく文字と共に、外の風景も変わっていく。
森が現れ、田んぼが現れ、大きなビルが現れ……

(この辺も……ビルが建ってきたなぁ…)

昔の風景を思い出しながら、窓の外を見つめた。


 あ…申し遅れました。
私の名前は柚華(ゆずか)。十六歳の女子高生。
今日は演劇の大会のため、少し遠出。
それでもパソコンは手放さない。

「また台本創ってるの?? 今回もアンタが書いた話だし、秋もそれにするつ もり??」

愛が笑う。

「もちろん。そのつもりさ」

パソコンの画面だけを見つめ、二言で返事を済ませる。

「今回の話さ、良かったよね。これのおかげで県大会までいけるんだから」

「ありがと」

今度は一言で返してやった。

 家にいても、学校にいても、常にパソコンを打っている私。
パソコン以外、何もいらない。
友達だって、別に大切だとは思わない。
でも、この子たちは私といつも一緒にいてくれる。
それは嬉しいことだ。

「あ、駅着くよ」

「あぁ」

パソコンの電源を消し、再び無造作に閉じる。
蒼い深い手提げの中にそれをしまい、携帯を出す。


『今駅に着きました。もう少しで会場に着きます』


先輩にメールを入れる。
そして再び胸ポケットに携帯をしまおうと思ったとき……

〜♪

「あ、柚華、メールメール」

「先輩か??」

私は再び携帯を開く。
記されたアドレスは、見たこともないもので。

「誰だ??」

「知らない人?」

「あぁ」

再び携帯の画面に目を戻し、メッセージを見てみた。


『こんにちは、初めまして』


「……?? 初めまして?? 小説のサイトの人か?」

メッセージの続きを見てみた。
批評と感想が書かれた、長いメール。

「へぇ。読んでくれた人がいたんだ」

『有り難うございます』


感謝の意を込めたメールを送る。

 このときは思いもしなかった。

 この返事が、私の人生を大きく左右するなんて……




2003/11/27(Thu)19:59:04 公開 / 悠里
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■作者からのメッセージ
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