- 
   『Docters − 過去との決着 − 』  ...  ジャンル:未分類 未分類
 作者:流浪人                 
- 
	
 123456789101112131415161718192021222324252627282930313233343536373839404142
 
 
 Docters − 過去との決着 −
 
 
 
 「村西先生。オペの準備ができました。」
 
 「……よし。これからオペを開始する。」
 
 話は十年前にさかのぼる。
 
 
 ――――10年前。
 
 ユカを失い、もう一度基礎から学び直すことを誓った村西。
 
 そのために故郷を捨て、東京に来た。
 
 よし、もう甘えは許されない!厳しい環境でこれから頑張るぞ!
 
 「えーと、住所ではこの辺……あっあった!星宮病院!」
 
 東京には知り合いはいないから、ちょっと緊張するなー。
 
 病院に入り、院長室に向かった。
 
 コンコン、ガチャッ。「失礼します。」
 
 「おや、君が沖縄から来た……村西君?」
 
 「はい!!これからよろしくお願いします!」
 
 「こちらこそ。私は院長の坂本だ。」
 
 すごく優しそうな人だなぁ。良い病院そうで良かった!
 
 「じゃあ早速今日から仕事を頼むよ。」
 
 それから毎日、病院のあらゆる仕事をやった。
 
 医者としての勉強も、毎日坂本先生に教わった。
 
 いつしか、坂本先生は俺の師匠のような存在になっていた。
 
 医者として一人前になりかけた、ある日のことだった。
 
 「真吾。今日のオペは、お前がメインだ。」
 
 俺がメイン!?ついにこの日が来たのか!!
 
 「頑張りますっ!!」
 
 素直に嬉しかった。今までの努力が報われた気がした。
 
 しかしオペが近づくにつれて、緊張が高まっていった。
 
 もし俺が失敗したら、患者の命は無いんだ・・・・
 
 その場から逃げ出したくなった。
 
 「真吾、力むな。さぁオペだ。」
 
 ついにオペの時間がやってきた。
 
 助手に坂本先生がついてくれているわけでもない。
 
 「オペを……始めます……」
 
 手が震える……これが、これが医者か……
 
 これが患者の命を背負ってる医者の仕事か!!
 
 1時間後。
 
 「おう、真吾。どうだった?初オペは。」
 
 緊張した。恐かった。けど……
 
 「ちゃんと成功しましたよ!!」
 
 笑顔でそう言った。やっと一人前になれた気がした。
 
 
 ―――――――現在。
 
 「思ったより病状が進行しているな……」
 
 全ては俺の腕にかかっている。
 
 「先生、血圧が異常値を示しています。」
 
 俺はこの患者を救わなきゃならない。
 
 「できるだけ早く悪細胞を切除しないとな……メス!」
 
 俺はあの時、誓った。
 
 「君は血圧平常への処置を施しておいてください。」
 
 自分の手で、大事な人を救うことを。
 
 「わかりました。」
 
 俺はなんでも治せる医者になるんだ!
 
 「坂本先生がガンだなんて、私まだ信じられませんよ……」
 
 坂本先生。また俺に医者を教えてくださいよ……
 
 「オペ中だぞ。集中しろ。」
 
 俺はまだ習ってないことがたくさんありますよ!!
 
 「心停止しました。心臓マッサージを開始します!!」
 
 あなたを、まだ時代は必要としているんですよ!!!
 
 「ドッドッド、スーハースーハ・・・・・・」
 
 “なぁ真吾。医者にとって一番大切なことを教えてやるよ。”
 
 「心拍数戻りません!!電気ショックを開始します!!」
 
 “それは心だ。感情を失った医者は、医者じゃねえ。”
 
 「どけっ!!私がやる!!」
 
 “お前はきっと良い医者になるよ。俺が保障する。”
 
 「心拍数再開しましたっ!!」
 
 なぜ今、坂本先生の言葉を思い出す!!
 
 「悪細胞切除完了。閉腹に移行する。」
 
 “真吾、俺はガンだ。もう長くはねぇ。”
 
 もう少しだ!!!もう少しで坂本先生は!!
 
 “俺のオペは、お前に頼むよ。なぁ?”
 
 「閉腹完了です。」
 
 “いいか、真吾。これだけは覚えとけ。”
 
 「オペを終了します。……!?」
 
 “医者に絶対の二文字は無いんだ。”
 
 ピーーーーーーーッ、絶望を告げる機械音が鳴り響く。
 
 「…………なぜだ……。」
 
 「なぜ心臓が止まっているんだ!!!!!!!」
 
 わかってた!!神様なんかいないって!!!
 
 「私の手術は完璧だった!!なのになぜだ!!!!」
 
 医者はリスクを背負っているもんだって、気づいてた!!
 
 「村西先生……、完璧な手術なら、死人は出ません。」
 
 「俺の10年間はなんだったんだよ!!!!!」
 
 「坂本先生との10年間は!!!なぁ!!!!!」
 
 「医者の仕事は……経験とは比例しません。」
 
 わかってた……だけど――――――
 
 「医者ってなんなんだよ!!!!!」
 
 “歩き続けろ。お前だけの道を。”
 
 「俺にはもう、何も見えないよ……」
 
 “お前はまだ医者としての道を、歩き始めたばかりだ。”
 
 その夜、東京の空を過去最高の流星群が流れた。
 
 「ユカ、坂本先生。まだまだ甘いけど――――」
 
 いつか、胸を張って言えるように。
 
 「俺は医者です。」
 
 “お前はきっと良い医者になるよ。俺が保障する。”
 
 
 完
 
 
- 
- 
■作者からのメッセージ
 なんか伝わりにくいかもしれません・・・
 アドバイスもらえたらうれしいです!
 作品の感想については、登竜門:通常版(横書き)をご利用ください。
 
	等幅フォント『ヒラギノ明朝体4等幅』かMS Office系『HGS明朝E』、Winデフォ『MS 明朝』で42文字折り返しの『文庫本的読書モード』。
	CSS3により、MSIEとWebKit/Blink(Google Chrome系)ブラウザに対応(2013/11/25)。
	MSIEではフォントサイズによってアンチエイリアス掛かるので、「拡大」して見ると読みやすいかも。
	2020/03/28:Androidスマホにも対応。Noto Serif JPで表示します。