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   『−B−第二章』  ...  ジャンル:未分類 未分類
 作者:最低記録!                 
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 第二章 「ザイバルという力」
 
 俺は、訳がわからなかった。
 こいつらは、狂っているのではないか、とも思った。
 しかし、俺は見てもいる。あの力を、あの閃光を・・・。
 「ザイバルは、この世界にある全てのものが持つエネルギーの事だ。
 火・水・風・大地・電気・氷、光、闇とかな。もっと詳しく言えば、圧力や、重力、霧だって、その一つだ。そういった、もの全てがエネルギーを持っている。」
 本当にバカバカしい話だった。
 何がザイバルだ?何がエネルギーだ?そんな、マンガやゲームの中の話が本当にあるのか?
 それは、普通の人間から言わせて貰えば狂っているとしか言いようが無い。
 夢の世界に陶酔しているようにしか見えない。
 「そんな、『お前ら、狂ってるんじゃないか?』なんて眼で見ないでくれ。
 ・・・まぁいい。論より証拠だ・・・。」
 カリウスがそういうと、イオを見て頷いた。
 すると、イオが立って手を合わせた。
 そして、その手をひねらせながら離していく。
 ・・・!?光っている、薄い緑を交えた閃光が手の間に輝いている。
 それを片手の上に滞空させて、足で下に落ちていた木片を蹴り上げて、
 そこに投げつけた!
 あっという間の出来事だった。木片は、5つに砕けて飛び散った。
 俺は相当驚いた顔をしていたのだろう。
 俺をみて、イオが大笑いをした。
 「ハッハッハッ!小僧、そんなにビックリしたか?お前は昨日の晩も見ただろうが。」
 そうだ、俺は昨日も見ていたんだ。
 そして、昨晩の戦闘の様子が鮮明に浮き出てきた。
 「香田君。わかったかい?昨日も見ただろうが、ここに今ザイバルのエネルギーがあった。確かに、ゆるぎない真実として。」
 カリウスが真面目な顔をして、俺に言った。
 その言葉に、俺は少し恐怖を覚えた。
 なぜだか、わからない。けど、深い意味を持っている気がした。
 「彼の使った、ザイバルは雷だ。
 我々、Bの人間は生まれた時から、2つないし3つのザイバル属性を持っている。まぁ、3つ持っているBは珍しいんだがな。
 イオは、雷として生まれたが、親の“木”の能力の影響で、雷が少し緑色になっている。」
 なるほど、と思った。
 けど、まだ信じきれずにいた。
 この目で見たものだ。体で感じたエネルギーだ。
 しかし、わからない。なぜ、こんな人々が存在するのか。
 「なんで、そんな人々が存在しているんだ?」
 突然、声を出してしまった。
 自分では、交渉するまで声を出さずにいようと思っていたのだが、その疑問に耐え切れなくなっていた。
 彼らも、少し驚いた表情をして、真顔に戻りカリウスが始めた。
 
 ―神は、ある時人を二つに分けたのだ。
 
 それは、遠い昔のお話ではない。
 比較的、最近の話だ。とはいえ、1200年ほど前の話だがな。
 神はある時悟った。
 この世界は、進歩と引き換えに破滅の引き金を引く。
 そして、それを守るには自分(神)とは違う存在であり、同じような力を持つものが必要だ・・・と。
 その後神は、人間を8人選び、神の力を8つに分け、その想いを彼らに託した。
 開闢・仁炎・源水・風魔・地義・紫閃光・玄白・暗樂
 彼らは、神の想いを聞き入れ、神と誓い、約束した。
 その時まで、普通の人間にはばれずに子孫を増やし、その時が来たら、世界を救えと。
 
 我々は、その神の事を“ガイヴェル”と呼び、その8人の事を“開闢の八戦士”と呼んでいる。
 子孫は増えていき、今では・・・どうかな?大体、4万人ぐらい居るのかな。
 正確な人数はわからないがそれくらい居る。
 しかし、そのBの歴史の中で大惨事が起こった。
 一部の奴らが、その力にモノを言わせ、人間を攻撃し、皆殺しにした。
 戦争の最中だったため、人間にばれる事は無かった。そういうことが、いつ何処で起きてもおかしくなかったからだ。
 しかし、問題となった。
 検討し、しきたりを破った彼らを処刑する事にした。だが、彼らはそれに反抗し軍を設立。真っ向から、対立してきたのだ。
 奴らは、我々をバイファーと呼び、自らをシリウスと名乗った。
 そして、今もその対立は続いている。―
 
 「という事だ。」
 話す事に疲れた様子で、カリウスが最後に付け加えた。
 「じゃ、じゃあ、あんたらが戦っていたのはシリウスという・・・」
 カリウスとイオが深く頷く。
 「そ、そうだったのか。」
 俺はだんだん信じ始めていた。その出来事に対して、Bの存在に対して。
 しかし、その時ふと思い出した。
 交渉しなくてはいけない。俺を帰してくれと、頼まなくてはいけない。
 「で、でも、そんな話。俺には関係ない。・・・よな?
 できれば、帰してほしいんだ。俺、ホントは今日学校だったしさ。
 親も心配しているだろうから、早く顔見せたいんだよ。」
 最後の言葉はウソだった。けど、言っておいた方が説得力がありそうだったので、付け加えておいた。
 すると、2人は眼を見合わせて、辛そうにガックリと肩を落とす。
 そして、カリウスが口を開いた。
 「香田君、俺たちが何のためにこれだけ、Bについて君に話したかわかるか?」
 理解できなかった。Bの存在を知って欲しかっただけかと思っていたが、違うのだろうか・・・・・・・・・まさか?
 「君は、もう普通の人間とは違う。ザイバルの波動を間近で受け、俺に抱かれた時から、もうすでに・・・手遅れだ」
 悲しそうな眼をして、カリウスが言う。
 ははーん、わかったぞ。B何て言うのはこけおどしで、さっきのはちょっとしたマジックショーだったんだ。
 それで、難癖つけて俺を連れ去ろうって訳だ。
 「そんな事をいって、だまされないぞ!俺は行かせてもらう。家に帰るんだ!!」
 そう言い捨てて、俺はドアへ走っていった。この階に来た時に、逃げ口を確認しておいたんだ。もしもの時のために。
 「待て!!」と叫んで、2人も追いかけてくる。
 しかし、俺はもうすぐドアにつきそうだ。
 あれ?俺、足が速くなってる・・・
 まぁ、いいもうすぐドアだ。
 開けるぞ!
 と、ノブに手をかけた瞬間その反動でドアは、向こう側へ吹っ飛んでしまった。
 あ然とした。俺、こんな力・・・持ってないぞ・・・
 自分の手を見ながら震えてしまった。
 まさか、俺はBになってしまったのか?
 と、その時後から肩にポンと手をかけられた。
 「お前は、完全なBじゃない。しかし、あれだけ近くでザイバルの波動を受けると、体にザイバルのエネルギーが張り付く。そうした者に、普通の人間の生活はできない。」
 イオが悲しい眼でこっちを見ていた。
 俺は、その言葉が分かった。どういう意味なのか。どういう事なのかを・・・
 けど、信じたくなかった。
 「うるさい!ウソだ!ウソだ!ドアに仕掛けでもしたんだろ!!」
 いつのまにか、眼に涙がたまってきていた。
 こらえきれない、思いは雫となって落ちていった。
 
 そして、カリウスも涙をためてこういった。
 「Bの世界にようこそ・・・健二・・・・・・」
 
 
 
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2003/11/12(Wed)16:41:57 公開 / 最低記録!
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■作者からのメッセージ
 まだ、読んでない方は序章から読んで頂けると、ありがたいです。
 ちなみに、ザイバルとガイヴェルの名前は適当です(ぉぃ(^^;
 他はちゃんと意味を持ってますよ。
 もし、暇があれば感想いただけると嬉しいです。m(_ _)m
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