『赤ん坊』 ... ジャンル:未分類 未分類
作者:NEO                

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「え〜〜では―――」

先生が授業をしている。

私は中学二年生の女子、「野田 明美」。



これは昔あった恐怖体験である。


私の席は真ん中の列の一番後ろ、横には誰もいない。

「はぁ〜・・・つまんないなぁ〜〜・・・」

イスを後ろに傾けて、ブラブラやっている私。

と、その時、



『オギャァ、オギャァ!』

後ろから赤ん坊の声が聞こえる。

だが、私の後ろには人が居るはずもない。ましてや赤ん坊など。

私は恐る恐る後ろを振り返った。



「きゃ・・・」

私は叫びたい気持ちを抑え、うしろを見続けた。

そこには顔がボコボコに腫れた赤ん坊を抱いた、女の人がいた。

そしてその女性も異常なまでに、ガリガリだった。肌色も黒ずんでいる。


『ね〜んね〜ん、ころ〜り〜よ〜・・・おこ〜ろ〜り〜よ〜・・・』

手には『カラン』と音を鳴らす、赤ちゃん用の玩具、あのマラカスのようなやつである。

子守唄を歌って泣き止ませようとする女性。

『ウギャァ!ウギャァ!!』

しかし、歌えど歌えど泣くのは止むどころか、より激しくなっていく。



『・・・い゛あ゛〜〜〜〜!!!!』

いきなり奇声を上げる女性。

その言葉になってない声にビクッとする私。

目を背ければいいのだが、何故か背けられない。

それが人間である。

クラスの皆は平然と授業をしている。

『もう!!この子は!!・・・こら!!黙れ!!も゛う!!』

言いながら、赤ん坊のデコボコの頭を手に持った玩具でたたき始める。


  「や、止めて!」


思わず叫んでしまった私。

赤ん坊と女性が目を見開きこっちを見る。

『あなた・・・見てたのね?』

言うと赤ん坊を物の様に地面に投げ捨てこっちに向かってくる。

「い、いや、違―――」

言い終えぬ内に女性に首を締められる。

『あひゃっあひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!』

狂ったように笑う女性。

気がつくと地面に転がってる赤ん坊も、醜い顔で笑っている。

「く、苦し・・・・」








           ガバッ!








目が覚めると、私は保健室のベッドで寝ていた。

「はぁ〜〜・・・夢だったのかな・・・」

うっすらと笑いを浮かべ、ホっとする。

「目が覚めたのね?」

するといきなり視界に保険の先生の顔が視界に入る。

ビックリしてしまう私。

「何だ〜〜、先生かぁ〜〜。驚かさないでよ〜〜」

「あらゴメンなさい」


「それよりどうしたの?・・・・・その首の『アザ』」



         「え?」



その言葉は、ホっとしていた私を絶望のどん底へ落とした。

「それと、あなたが倒れていた所に、こんな物が」

そういって出したのは、あの赤ん坊を叩いていた玩具。




          ―夢じゃなかった!?―




「先生!私!!」

涙目で先生にすがった私。




   「そのアザ・・・痛そうね・・・どれどれ?見せてごらんなさい?ひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!」



先生があの女性へ変わっていく。




「きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」

2003/11/11(Tue)20:26:52 公開 / NEO
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