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   『人造少女   〜X章〜』  ...  ジャンル:未分類 未分類
 作者:NEO                 
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 「こ・・・これは・・?」
 
 そこは家の割には小さな部屋で、得体の知れないカプセルが並べられている。
 
 両側にズラっと一列。青やら黄色やら奇妙な色の液体が入ったカプセルがたくさん。
 
 その液体の中には新種の生物らしき物が入っている。
 
 「なんだ?これ?なんて生物だ?」
 
 俺は両側に置かれたカプセルを次から次へ興味津々に見た。
 
 そしてふと、部屋の一番奥に他のより大きいカプセルがあるのに気づく。
 
 俺はそれに心を引かれ、スタスタと向かっていった。
 
 「これは何が入ってたんだ?」
 
 言いながら後ろを振り向いた。
 
 振り向くと、すぐ後ろに三上は立っていた。
 
 「・・・それは・・・」
 
 返答を待たず、俺はまたカプセルの方へ向きかえり、すぐ手元にあったネームプレートを読む。
 
 「KAM-3 『零式』・・?」
 
 「それは・・・私が入っていた・・・カプセル・・」
 
 後ろから声。
 
 その主はもちろん三上。
 
 俺は振り返り、
 
 「ははは!お前も冗談―――」
 
 「本当よ・・・」
 
 その顔はいつになく真剣だった。
 
 俺も、笑顔が消える。
 
 「・・・は?・・・どういう・・・事だよ・・?」
 
 混乱。
 
 そして三上がゆっくりと口を開く。
 
 「・・私は・・『人間』じゃない・・・人によって作られたモノなの・・・」
 
 話を続ける。
 
 「一緒にご飯を食べられなかったのも、そのせい・・・名前は『KAM-3』というのを少し変えて『三上』。『零式』を『零』・・・」
 
 表情ひとつ変えないで言う、三上 零。
 
 「そんな・・・そんな・・・事って・・・」
 
 俺はうつむいた。
 
 三上は、また部屋を出ようと後ろを向く。
 
 「・・・自分の事・・・」
 
 「・・・?」
 
 俺の小さな声に気づき、また振り返る三上。
 
 「自分の事『モノ』とか言うな!」
 
 大きな声をあげてしまう俺。
 
 三上がその声に目を見開き、驚く。
 
 「『人間』じゃないとか・・・言うなよ・・・」
 
 今度は小さい声で。
 
 「・・・・・・何故・・・泣いているの・・?」
 
 不思議そうに俺を見る三上。
 
 俺は・・・泣いていた。
 
 自然に、流れていた。
 
 「何故・・・?・・・それは・・・」
 
 俺は反射的に口を開いた。少し微笑んで。
 
 「悲しいからだよ」
 
 
 ドクン
 
 
 「・・・悲・・・しい・・・?」
 
 目を見開いたまま呟く三上。
 
 「なんだ・・・流せるんじゃん・・・・・・・・・・『涙』。」
 
 三上は泣いていた。
 
 「・・・何故?・・そんな訳ない・・・私は・・・泣けるはず・・・ない・・・のに・・・」
 
 流れた涙を手にすくってそれを見る三上。
 
 「・・・いいんだ・・・それで。・・・三上も『人間』だよ。・・・これがその証拠・・・」
 
 その瞬間、
 
 「わ・・・わた・・し・・・うわぁぁぁぁぁぁぁん!!!」
 
 三上は大泣きした。
 
 俺の胸の中で。
 
 俺もオドオドしながらも三上の肩に手を添える。
 
 
 三上が初めて『人間』らしい姿を見せた瞬間だった。
 
 
 
 
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2003/11/07(Fri)23:46:00 公開 / NEO
 ■この作品の著作権はNEOさんにあります。無断転載は禁止です。
 
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■作者からのメッセージ
 みなさん!嬉しいコメントの数々ありがとうございました!
 完結は次かそん次くらいになるかな・・・?
 よかったら感想下さい。
 
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