-
『人造少女 〜U章〜』 ... ジャンル:未分類 未分類
作者:NEO
-
123456789101112131415161718192021222324252627282930313233343536373839404142
昼食が終わるとクラスの生徒は次の科目の用意をし、また遊びに行く。
俺の場合、読書だが。
時が経ち、やがて五時間目が始まった。
「気をつけ!礼!」
日直が号令をかける。
「はい、じゃあ始めるぞ。・・・教科書を―――」
また、退屈な時間の始まりだ。
俺は外を眺める。
外では小鳥が囀りながら飛び回っている。
平和だ。
「―――じゃあ、ここ解いてみろ。・・・三上。」
俺はすぐさま三上の方へ振り向く。
「34。」
「正解。・・・じゃあ―――」
「86。」
先生が言い終わる前に回答してしまった三上。
「くっ・・・正解だ・・・」
正解だというのにムっとしている教師。
プライドというやつが許さないのだろう。
この光景は実に、面白い。
「ククク・・・」
「おい黒澤!何笑ってる!!」
ヤベっと思った頃にはもう遅かった。
でも面白い物はしょうがない。
そんな事を考えている内に、俺は先生に胸倉を掴まれていた。
「なんですか?先生?・・・当てられたからって俺に八つ当たりしないで下さい。」
当然、教室中は笑いの渦だ。
「ぐぅ・・・」
胸倉を離す。
お返しだバーカ。と、心のなかで呟くと、くしゃくしゃになったえりを直しながら席に座る。
それからまた授業は続いた。
残りの時間も三上は自分の天才っぷりを発揮し、次々とムカつく教師らを蹴散らしていった。
下校時、帰りの私宅をしている時、
「三上、お前って頭いいんだな〜〜!すげーよ!」
「そう・・・」
あまりに無反応な返答。
「・・・なぁ、どうしてお前って―――」
「起立!」
言い終えない内に号令がかかり、急いで立ち上がる俺。
「礼!」『さようなら〜〜〜!』全員が声を合わせ言う。
途端に教室中が騒がしくなる。
「なぁ、三上!ちょっと待―――」
「・・・さよなら」
一言残し、俺に後ろを向け歩いていく三上。
その「さよなら」は何故かいつものと違う・・・
何かもっと・・・重い意味のような・・・
残された言葉が俺の中で響く。
「・・・そんな悲しそうに・・・言うなよ・・・」
本当に小さな声で呟くと、俺も教室を後にした。
-
2003/11/06(Thu)16:50:03 公開 / NEO
■この作品の著作権はNEOさんにあります。無断転載は禁止です。
-
■作者からのメッセージ
え〜〜、感想も指摘も両方待ってます!!
作品の感想については、登竜門:通常版(横書き)をご利用ください。
等幅フォント『ヒラギノ明朝体4等幅』かMS Office系『HGS明朝E』、Winデフォ『MS 明朝』で42文字折り返しの『文庫本的読書モード』。
CSS3により、MSIEとWebKit/Blink(Google Chrome系)ブラウザに対応(2013/11/25)。
MSIEではフォントサイズによってアンチエイリアス掛かるので、「拡大」して見ると読みやすいかも。
2020/03/28:Androidスマホにも対応。Noto Serif JPで表示します。