『友情 〜第三章 脅し〜』 ... ジャンル:未分類 未分類
作者:悠
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そして、放課後。
「教室じゃ人が多すぎだな。生徒会室だ。お前、後からちゃんと来いよ?」
「…判ってる。」
玲が行ってしまったことを確認し、紗子は将登のクラス、D組へ向かった。
将登は紗子の彼氏。付き合い始めたのは、実は3ヶ月前の今日。
将登は、覚えているかな?と紗子は今朝考えていた。
「ま、将登。」
「あ、紗子!もう帰る?僕はいつでもいいんだけど。」
「そ、それがさぁ、ごめん、もうちょっと…10分くらい待ってもらえる?
もし、10分経っても帰って来なかったら、生徒会室に…来てくれる?
あと、携帯で連絡した時もすぐに来て!」
「へ??うん、判った…生徒会室、ね。んじゃ!」
「う、うん。」
「どーした?顔色悪いけど…?」
「だ、大丈夫。じゃ、よろしく!」
笑顔で去った紗子の顔には、いつもの笑顔はないように見えた。
それに、大丈夫、という言葉が、将登に言っただけではなく、
自分自身に言い聞かせているかのようにも見えた。しかし、紗子はもう走っていってしまった。
紗子は途中でトイレにより、ボタンを一つ押せば将登の携帯に繋がるよう設定した。
その後、また走って生徒会室まで行き、ドアをノックした。
「…誰?」
「わ、私。紗子だよ。」
「入れ。」
心臓が高鳴っているのが判った。何が起こるのだろう…何か、が起こったらどうすれば…
ああ、携帯のボタンを二つ押せば、将登に繋がる…すぐ来てくれる。でも、何もありませんように…!
「紗子?早く入れよ。どうかしたか?」
「あ、な、何でもない…」
「じゃあ、早く入れ。」
はやしたてる玲の手には、さっきのカッター。紗子が部屋に入ると、玲は鍵を閉めた。
近くに玲が来ると、反射的に体がこわばる。それが玲にも判ったのだろうか。玲は、紗子の頭を…
手で包み込めるくらいの小さな頭を、壁に押し当てる。
「痛っ な、何すんのよ!」
玲は何も答えず、持っていた縄の様な物で、紗子の両手首を後方で縛った。
「ちょっ、れ、玲?!何を…」
「だって、お前隙をついて逃げる気だろ?それにどうせ、将登に何か言ってきただろ。」
「…」
ニヤリ、と笑い、玲はカッターの刃を取り出す。そして、掃除の時の体勢…
壁と玲の間に、紗子が挟まれる状態になった。
「で、何を言おうとしたんだ?言ってみなよ。」
「やっぱ、」
言葉を考えつつ、紗子は口を開いた。
「やっぱ、人を傷つけちゃダメ。航君たち、何も悪い事してないじゃん!確かに、
ちょっとイチャイチャしすぎとかは思うけど…。」
「ふぅ…ん、それだけ?」
「違う!っていうか、大体、玲、何でこんなにイライラしてんの?玲らしくないっ!
そんなに…そんなにフラれてショックだったの?!」
言った後に、流石に言いすぎたと思った。玲はその最後のフレーズを聞くと、紗子の
手にカッターを突きつけていた。皮膚が少し切れたようだった…カッターの刃には、血がついていた。
「お前には、判るわけがない…」
独り言のように呟き、玲は紗子を見た。紗子は結構スタイルがいいことに気付いた。
顔もよく見れば上の下、位か?制服も今風に着こなしている…ちょっと短めのスカート、紺のハイソックス。
髪は毎日綺麗に整えているし、首元にはネックレス。もし、俺が初めて街ですれ違ったりしたら、絶対声かけるのに。
そんな子が目の前にいる…そうだ、さっき、あんな事言ったんだから、将登からこいつを奪ってやれば、紗子も俺の気持ちが…
紗子は玲が自分の世界に入っているのを見、それから壁掛け時計を見た。まだ、将登と
約束を交わしてから5分しか経ってない。あと5分もある…嫌だな。将登、早く来てくれないかな?
カチッ…6分が過ぎた、と紗子が思った…刹那。急に玲が動いた。紗子の肩をつかみ、半ば強引に壁に押し付ける。
「痛っ…玲、何す…」
紗子が言い終わる前に、唇に軟らかい何かが触れた。目の前にある玲の顔からそむける様に顔をひねる。
「嫌っ!何すんのよ!」
玲の頬を叩きたかったが、手が動かない。こうなったら、もう最終手段。紗子はポケットに手を伸ばし、携帯のボタンを押した。
2003/11/03(Mon)23:31:54 公開 /
悠
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■作者からのメッセージ
第三章です...半ば自己満足でしょうか?(汗
はるかさん、柳沢風さん。
前回のお言葉、とても嬉しかったです!!
ありがとうございました!
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