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『運命の輪』 ... ジャンル:未分類 未分類
作者:暁菜
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「誰・・・!?」
そこは安いアパートの一室。窓の近くにソファとテーブルがあって、右側の壁にタンスがある。生活すること以外は何も役に立たない部屋。
普段ここに姿を現すのはバイトが終わって7時頃帰ってくる18歳のランだけだ。しかし、今夜は違う。全身黒い服を着たランと同じくらいの歳の女がソファの上に立っていた。
「あんた、ラン・クリスティンでしょ。」
「え?そ、そうだけど・・・あなたは?」
いきなり自分の名前を言われてランは驚いて目を丸くした。
「あたしはアナ。アナ・モーガンよ。わかった?」
そう言うと、アナはソファから降りてテーブルに座った。足を組む。
「わかった・・・けど、テーブルじゃなくてソファに座るべきじゃない?」
「あらそう?でも私はこっちの方が落ち着くわ。硬くて冷たくて。」
ランはアナの考え方がわからず溜息をつく。
「それより、アナは何しに来たの?」
「あんたを殺しに。」
さっきと同じ口調でアナは言った。ランも、親が殺し屋を雇うのはわかっていたので特には驚かない。
「・・・雇うとは思ったわ。で、いつ殺すの?」
「そうねー・・・気が向いたら・・・かしら。今夜は顔を見ようと思ってね。」
言い終えるとアナは、テーブルから立ってランの方へ近づいていく。
「殺す相手の顔を見ようと思ってなんて・・・趣味悪いわね。どうやって殺すの?刺す?首を絞める?」
「あんたには薬を飲んでもらうわ。毒よ。大丈夫簡単よ。」
「別に心配してないわ。」
ランはアナに背を向けて寝部屋に行こうとする。アナもついて行く。
「・・・何でついて来るのよ。」
「今夜は泊まるわ。帰るの面倒なのよ。いいでしょ?」
「・・・別に・・・・。でもベッドは一つしかないわよ。」
「それでいいじゃない。」
「・・・・そうね。」
翌朝。太陽が上がったばかりの頃、ランはソファに座ってアナを待っていた。アナが窓から入ってくる。
「あら・・・起きていたの?早いのね。」
「・・・何してたの?」
「他の殺される人のところに顔を見せに。」
「・・・一言言ってから行けばいいのに。」
アナも座る。テーブルに。
「嫉妬してるの?」
「・・・・昨日の夜と同じく、今日は私だけのものよね・・・。」
アナはポケットから小さなビンを出す。それをランの方に出して、
「飲んで。スッキリするわよ。・・・何もかも。」
ランはしばらくそのビンを見て、それからいっきに飲み干した。
「・・・まだ死なないわ。ねぇ、今日は死んだ後も一緒にいてね。」
「わかったわ。」
アナは微笑んだ。そして、ランをソファに横にさせた。
「・・・私、兄がいるの。兄は病気でずっと病院にいるわ。私が死んだら、兄はどうなるかしら?」
「そんな事考えなくていいのよ。ラン・・・安らかに・・・。」
「・・・うん・・・・。」
ランは、死んだ。アナは・・・・・
その病室には一人の男がいた。本を読んでいたが、窓から女が入ってきたので本を閉じた。
「アナか。昨日だったんだろ、仕事。」
「ええ。あなたの親に頼まれて。妹さんをね。」
「そうか・・・。ランは何て言ってた?」
「あなた・・・イルのことを心配していたわ。」
そしてポケットからまたビンを取り出す。イルに渡して、
「飲んで。今日がイルを殺す日なの。」
イルはビンを少しずつ飲んでいった。そして干す。
「美味しくもなければ、不味くもないね。・・・ただ、眠くなるよ。」
「ゆっくり寝なさい。安らかに。」
「・・・うん。」
「じゃぁね。イル。」
「・・うん。・・・・」
アナは窓から出て行った。またランの死体がある所へ行く為に。
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2003/10/28(Tue)22:13:59 公開 / 暁菜
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