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   『僕は君が好きなんだ。』  ...  ジャンル:未分類 未分類
 作者:さこ                 
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 ・・・・・・解ったよ。
 僕は君が好きなんだ。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 「喜一。」
 「何。」
 「明日、俺はいなくなる。と、思う。」
 
 カズの言動はいつも意味不明。でも、彼なりにいつも意味はあるらしい。
 
 「今回は宇宙の果て、とか言わないでくれよ。」
 先月も、『風の果て』って曲、そうあの映画の。―――を僕が聴いてて
 「これ、スゴク好きだな。」
 っていって別れたら、次の日失踪騒ぎになってた。
 3日後に自分で帰ってきたけど、何処に行ってたかって、
 「海。あそこが風の果て、だ。」
 なんて大真面目。どうしたものか。
 
 
 
 「いや、そうじゃない。いなくなるんだ。
 喜一、どうする?」
 「プッ―――どうするって、帰ってくるんだろ。待ってるよ?」
 書いてた日誌から目を上げて、息を呑んだ。
 
 彼は、必死だった。
 
 これまで見たことない、僕にすがりつく位に必死な目をよこしていた。
 「カズ・・・・・・?」
 そうか、と呟くとカバンを肩に掛けて カタン と席を立った。
 背中がよそよそしくて胸がざわっといやな感じがする。
 「先帰っちゃうのか?」
 「・・・・・・あぁ。サヨナラ。」
 
 
 
 
 
 カズと僕とはいわゆる幼馴染。
 
 高校も当たり前のように同じ学校に通ってる。気が付くといつも一緒。だから、僕らの間に『サヨナラ』なんかいらない。
 家に帰る時は、
 「また明日。」「あぁ、じゃな。」
 で済むから。
 
 
 なのに今日彼はそれを口にした。
 
 
 家に帰ると夕飯も待てずにベットにどっと倒れこんだ。
 なんだか死ぬほど体が重くって、そのまま朝まで眠ってしまった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 どうして笑っちゃったのか。
 どうして眠りこんでしまったのか。
 ・・・・・・なんて、今さら。
 
 
 カズはいなくなった。
 
 
 今まで一緒に歩いてた道、
 一緒に立ち読みした本屋、見上げた空。
 一緒に、一緒に、一緒に。
 隣にいるはずのカズがいないだけで、全部違って見えた。
 違って見えると感じるたびに、ココロがきりきり痛むようで。
 
 
 
 何でだろ。
 何でかな。
 
 ・・・・・・嘘。
 解ったから。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 帰ってくるんだろ。待ってるよ?
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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2003/10/08(Wed)02:48:41 公開 / さこ
 ■この作品の著作権はさこさんにあります。無断転載は禁止です。
 
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■作者からのメッセージ
 完結編かくって言ったのだけども。
 だけども。
 思い付いたの書きたくて書いてしまいました。
 
 感想&批判まってます!!
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