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ああ、いい感じです。 茫洋とした白日夢の雰囲気もいいし、ラストの救いもいい。 ただし、やや詰めが甘い点も少々。徹底的な自己表現としての純文学はさておき、中間小説やエンタメでは、自分の書いた作品を、あくまで一読者として客観的にチェックしなければなりません。 たとえば、この作品のクライマックスに突入する台詞――「大丈夫、君は一人じゃない。僕はここにいる。さあ、それを離そうか」――この台詞をここで一気に入れてしまうと、@『僕』とは誰なのか、A離させようとしている『それ』とはなんなのか、以上ふたつの疑問が、もともと不明瞭な白日夢の世界に、一気に投入されます。そして、『僕』が現在の夫であることはまもなく明かされますが、『それ』がなんであるかは、かなり先までお預けになります。これだと、長からぬSSの肝腎のクライマックスにおいて、流れが滞ってしまうのではないでしょうか。 で、たとえば(あくまで私見ですが)ここでの台詞を「大丈夫、君は一人じゃない。僕はここにいる」で止めておき、かなり後の『彼女の手に持つ包丁の刃先から、赤い液体がこぼれ落ちます。』の前の行に、「僕はここにいる。さあ、それを離そうか」と台詞を入れてみる。「僕はここにいる」が二度出ることになりますが、刺された旦那様の包容力が強調されたりして、いい感じなんじゃないでしょうか。 あと、『夕食の買い出し帰り、ある噂を耳に拾ってしまった』だけで旦那さんを刺すのは、いくら昔のトラウマがあったとしても、異常すぎる気がします。旦那さんが『おそらく近所の主婦連中に、自分が浮気しているとでも吹聴されて信じてしまったのだろう』と、あっさり推理・納得してしまうというのも、やっぱり尋常じゃないでしょう。ただ、そこに至る疑惑の蓄積とかを話に組み込んでしまうと、やはりSSとしては流れが滞ってしまうので、むしろ、この女性にちょっとした精神的な既往症があることを白日夢のどこかで匂わせるとか、そんな工夫が有効かもしれません。ますます旦那さんの株も上がりますしね。やっぱり男は(いや女性も)愛だぜ、愛。 長々と偉そうに指摘してしまいましたが、どうか、お気を悪くなさらないでくださいね。それだけ感情移入できる作品だったのです。 | |||
バニラダヌキ | |||
バニラダヌキさんへ 感想ありがとうございます。 他の短編小説との投稿感覚が随分と空いているので、感想を頂けるのかと不安に思っていました。ただいま、ほっとしております。 実験的な側面が強い作品ですが、雰囲気のみにはならぬよう書いたのでありがたい感想でした。 指摘された箇所。自分でも白日夢中に夫だけ会話文を挿入するのはおかしいかなあと感じていました。さりとて白日夢から脱却するきっかけとしてならいいかなと妥協したのですが、やはり違和感があるようですね。 手に持ったものが包丁だと明らかにするのも、間が空いてるように感じられたそうで参考になりました。 改めて今後の参考になる感想、ありがとうございました。 | |||
弥生灯火 | |||
拝読しました。初めまして。水芭蕉猫ですにゃあ。 うぅ、やっぱり愛ですよね。愛。最後の最後で言った旦那さんの言葉がもうね。もうね。私は刺した事に対する違和感があまり感じられませんでした。ということは、私も些細な噂があったらうっかり度を越してやらかしてしまう激情型の人間ってことですかね。小さいころや思春期のトラウマって人格の根っこに蟠るんですよね。ともあれ、この奥さんがもう疑うことなくお二人で愛を育んでいけることを願っています。良いお話、ありがとうございました。 | |||
水芭蕉猫 | |||
水芭蕉猫さんへ 感想を見落としておりました。レスが大変遅れまして申し訳ありません。 読んで下さり、とても嬉しいです。実験的要素の強い作品でしたが、味わえたようでよかった。 愛をテーマにするのは無難なようでなかなか難しいですけど、また頑張りたいと思います。 重ねがさねレスが遅れて申し訳ありませんでした。 | |||
弥生灯火 | |||
[簡易感想]文句無しのおもしろさです。 | |||
Essy | |||
[簡易感想]まだわからないので、続きに期待します。 | |||
Forever | |||
合計 | 1点 |